異なる三つの種族がそれぞれの国の境界となる地域で暮らしている中、本来は餌である存在のチヨと、チヨを食べる存在であるモクの揺れ動く繊細な気持ちを描いた、他では見られない、極めてユニークな設定の作品です。
各キャラクターの表情や、舞台となる「ボーダー」と呼ばれる地域も深みのある描写で、作者の確かな力量を感じさせます。
また、チヨとモクだけでなく、現時点ではまだ少ししか表に出ていない周りの人々のそれぞれの思いが、物語にどのように絡んでいくのか等も気になり、これから先も読み進めたいという気持ちにさせてくれます。
作者の今後の活躍に期待したいと思います。
審査員:花