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第2回ぷちほらー
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2015年7月より開催いたしました 第2回ぷちほらーコンテスト は、全276作品ものご応募を頂きました。作品応募頂きました方々及びコメントや評価を頂いた読者の方々、本当にありがとうございました。

以下、『大賞』『佳作』『審査員特別賞』各作品及び選評を発表させて頂きます。

⇒ コンテストの概要はこちらをご覧ください
メダル
大賞
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『恋患い』 作者:木下季花
 恋が危険な病だと制定されてから、百年以上が経った。
 西暦二〇五八年に、スウェーデンのリチャード博士を中心とするチームが様々な研究を重ね、恋という病原菌が人間に与える悪影響、危険性を反論の余地がないほど明確に証明することに成功した… ”
審査員選評
 今回多数の応募作品の中で見事大賞となった今作。受賞の理由は審査員の多くの声で一致した「完成度の高さ」です。

 ディストピア。まずその一言がこの物語の根本でしょう。
 恋は病であるという考えから、結婚が人間を完全数値化したマッチングによってされるという設定は読んでいるだけでうすら寒いものを感じます。
そのうすら寒さは、どこか遠い未来ありうるかもしれないと読者に思わせる非現実と現実の絶妙な境目がそうさせています。
 序盤で打ち出されたその設定で、最後まで息もつかせず読みふけってしまうその力量にはただただ感心させられるばかりです。よくこれを8000字という中で表現しきったなと感心しきりです。
 この「ぷち」ほらーという短編小説という形式上、これ以上中身に対して言及出来ないのが惜しいと思わざるを得ません。また読んでいない方、是非ご一読ください。損はさせません。
upppi公式アドバイザー弓島
メダル
佳作
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『ミエナイ』 作者:ひせみ綾
 昼休み、食事から戻って来た同じ部署の若手社員数人が怪奇現象の話題で盛り上がっているのを、私は少し離れた自席で、聴くともなしに聞いていた。
「でさ、その取引先の担当者が会議室に入って来た途端、俺、なんていうかこう、背中がザワっとしちゃって」… ”
審査員選評
 上手い!というのが第一の感想でした。オチへと向かう要素が巧妙に提示され、終盤でそれらが収束していく流れはお見事。ストーリーの洗練度は投稿作品の中で突出していると言っても過言ではないでしょう。また、ホラーでありながら「見える」方ではなく「ミエナイ」方を主軸にした着眼点も良く、他作品にない独特の味が出ています。
 惜しくも大賞は逃しましたが、本作を連載で読みたいという審査員も出たほど人気があり、作者の力量を感じさせる一作でした。
審査員:新堂
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『三十秒』 作者:國枝 享
 はっと目が覚めるとそこは、真っ白な世界であった。

 先ほどまでふかふかの布団の中であったはずだ。幸せな心地のまま薄目を開けた際、時刻は朝の七時二十九分三十秒手前であった。眼前の時計の秒針が、真下に向かって行くのを確認して、腹をくくって瞬いたはずだ… ”
審査員選評
しかし相手の顔が。
「俺と同じだ」

 深みのある内容を、短文でリズムよく読ませることに長けた作品です。序盤は今流行りのデスゲーム風でとっつきやすく、簡潔かつ明瞭な文章でサクサクと物語が進行していき、「どのような話か」「どんなオチか」を予測する前に畳み掛けられ、息する間もなく完結を迎えます。読み終えた直後の一瞬の静寂の後に襲ってくる鳥肌は、まだ今作を読んでいない方に是非体験していただきたいです。
 他の応募作もショートムービーや短編漫画の原作に向いていそうな作品で、その方面の才能を著者様から強く感じました。
審査員:狩屋
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『繰り返すは夏の空』 作者:二月魚帆
 苦しくなるくらいの藍をした空から逃げ惑うように、みんみんじじじ、と蝉が飛び交う夏。
 僕はそれを築年数を経た砂壁のワンルームの部屋のサッシから、見るともなく見ている。押入れから引っ張りだしてきた青いチェックの半纏の黒い襟元をかき寄せ、さらにその上から布団を被って… ”
審査員選評
 可愛い幽霊と同棲するようなほのぼのしたストーリーかと思いきや、中々に癖のある作品です。言葉選びに若干の疑問が残るものの、しっかりとしたストーリー構成や見え隠れする歪な関係性など、完成度の高さに驚かされました。彼女の成仏を願いながら、その呪いにすらも一種の心地よさを感じている主人公は、まさに取り憑かれているのでしょう。それが執着なのか罪悪感なのか、そもそも彼女の霊すらどちらが望んで現れているのかわからないところに怖さと切なさを感じました。
 何処か郷愁を感じさせる真夏の空の描写は素晴らしく、また彼女の想いと掛けていた事にもはっとさせられます。最後の二文に込められた哀愁と清涼感が、この作品を象徴しているように思いました。
審査員:平
メダル
審査員特別賞
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『友達のなる木』 作者:木下季花
 校庭の隅には、友達のなる木が生えている。
 それは僕の背丈の三倍以上はありそうな高さの木。
 校庭に一本しか生えていない木。
 ほとんど誰も寄りつかない不気味な木… ”
審査員選評
 友達の木から作った友達はその手で殺さないと、自分が友達の木になってしまうという不条理で救いのない設定は個人的には好みですが評者の間で賛否両論分かれました。結末を変えるだけで、いい話にもスラップスティックホラーにも持っていける懐の深い物語になっているのがとても面白いと思いました。設定を説明するために登場人物のセリフが冗長になってしまったところが惜しい点です。
審査員:H.H
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『まだらぼけ』 作者:るうね
 ポチやぁい、ポチやぁい。
 へんだねぇ。
 エサのじかんだというのに、ポチはいったいどうしたのかしら… ”
審査員選評
 目を背けたくなるような原始的な怖さと、現代社会が抱える闇の怖さ、2種類の怖さを内包している作品です。
 文面に関しては、繰り返しや、単語を平仮名で表記するなど、痴呆気味である雰囲気が伝わってきて上手いと思いました。”まだらぼけ”というタイトルも非常に合っています。
行動の詳細、特にラストに至った伏線が言葉足らずな部分もありますが、具体的に描写しないことで逆に恐ろしさを想像させる要素ともなっています。
審査員:野村
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『猫々、骨々』 作者:ナマケモノ
 からり、からりと骨の鳴る音がした。
 ユイはふっと顔をあげ、周囲の木々を見つめる。沼のぐるりに点在する木々には良く乾いた人の骨が、針金で、骨格標本のような状態で吊るされていた。それらの骨がぶつかり合い、玲瓏な音を涼やかな沼湖畔に響き渡らせる… ”
審査員選評
 閉鎖された森という異空間を題材とするのは、M・ナイト・シャマランの「ヴィレッジ」を彷彿とさせます。
 しかし、それだけで終わっていないのが今作です。カタカナ語を多用した独自の言語センスと世界観が強烈な個性を放っています。主人公が意味が分からず使うカタカナ語が、読者には理解でき徐々に話の全容が見えてくる展開は読んでいるものを引き込む独自性を持っています。
 グロテスクな展開も含んでいる今作ですが、前述の独自の世界観と用語があることで忌避感なくその展開を受け入れられるようにしています。
 このどこかファンタジックな空気を含んだ物語は、ダークな童話と言っていいのかもしれません。単なる童話で我慢しきれくなった大人におすすめできる一作です。
upppi公式アドバイザー弓島
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『墓』 作者:たまこ
 「お墓にはね、ご先祖様が眠ってるんだよ。ご先祖様がいなかったら今の私達はいないの。だから大事にしなくちゃいけないよ。お盆にこうして、墓石をきれいにして、お花をあげて、お線香をあげて手を合わせるとご先祖様も喜んでくれるんだ…」 ”
審査員選評
 展開としてはホラー的な華はなく、取り立てて目を引くギミックもないのですが、読みやすい文章と丁寧なストーリー構成が相まってテンポよく楽しむことができました。また、ラストのオチが全体的なまとまりを感じさせることで非常に読後感の良い感動系ホラーに仕上がっています。
 惜しむらくは、少々やりとりが短すぎたことでしょうか。もうちょっと読みたい気分のまま終わってしまった感はあります。文字数には余裕があるので、エピソードを多少追加すると読み応えが出たと思います。
審査員:新堂
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『黒髪の彼女』 作者:三塚章
 額に心地よい冷たさを感じて、僕は目を覚ました。見慣れた天井がぼやけて見える。
「あれ……」
 仕事中、頭と寒気が酷くなり、無理を言って帰らせてもらい、アパートの扉を開けた所までは覚えている。しかし、どうやって布団に入ったのか記憶はなかった… ”
審査員選評
 これぞまさしくブラックユーモア!クロと名乗ったミステリアスな美女はまさかの……というオチにまんまと笑わされました。起承転結がきっちりしていてコンパクトにまとまっていたところも高評価でした。もう色々と黒い。何がって、「彼女」の正体とか主人公の反射的な殺意とかこれを狙って書いた作者の腹の内とか。え?褒めてますよ、もちろん!読んだ後ではタイトルすらも伏線に思えました。絶対にあり得ないけどあり得そう、いやあってたまるか、というおぞましさを十二分に感じさせられた、応募作の中でもある意味最恐の本作に拍手を送ります。
審査員:高里
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※受賞者の皆様へ(賞金授与について)
upppiに登録したメールアドレス宛てに、運営(info@upppi.com)からメールが送られます。
賞金支払その他手続きの為の必要事項が記載されておりますので、必ずご確認ください。
1次選考通過作品の寸評
三猿の茶室 by 化野生姜
ハンミョウ by よもつひらさか
by るうね
魔縁の天秤 by 乃之鹿裡 -sikari-
壁々、家族 by ナマケモノ
賀茂ナスの夢 by 那由多
まぁだだよ by くろねこ8
by 由@初から変更中
探し物ノート by シキ
双子倚子 by ナマケモノ
『アボイド』 by 将軍
夕奈の箱 by るうね
「青髭奇譚」 by 比良坂
淋しさ鬼 by くりーむ
忌むべき色彩 by これっと
不思議なハンカチ by 國枝 享
■鳥獣戯画 by Hiro
お赤飯たきましょ by 松本エムザ
離ればなれの我が家 by 3gatuusagi
chocolate for you by 創作練習生 in upppi
深夜・母校・訪問 by  白 萩 
総評
 今回も集まりました総勢276作品、ご応募誠にありがとうございます。
 前回の第一回「ぷちほらー」コンテストが盛況だったために第二回となった今回ですが(正確には過去にホラーコンテストをしたので、ホラー関係だと3回目になりますが。あくまでぷちほらーとしての2回目です)
 毎度のごとく様々な作品が集まりました。
 都市伝説を題材としたものや、民話を独自のアイディアで再構築したもの。実体験に基づく、背中がひやっとするような話。はたまただいどんでんがえしを持ってくるストーリー構成に全てを傾けたものやSF作品など審査する側も非常に楽しく読ませていただきました。

 今回の傾向としては、前回に比べて全体的により完成度が高くなっていると感じました。おそらく前回の作品を読み、みなさん構想を練ったのだと伺えます。その一方で、字数制限のせいなのか唐突に終わってしまったような印象を受ける作品も目立ちました。
 それまでが非常にまとまっていたため、あと少しでもっといい作品になっていたのではと審査員から惜しむ声も多かったです。
 ショート故の「ぷちほらー」です。8000字という人によってはかなり短い中にはなりますが、構成を更に練りより素晴らしい作品を今後創っていっていただければと審査員一同思っております。

 今後もupppiは小説・漫画問わず様々なコンテストを行っていきます。今回惜しくも受賞を逃してしまった方達も是非とも次回コンテストにご応募ください。
 何卒よろしくお願い致します。
upppi公式アドバイザー弓島