募集前から難しさゆえに応募数が少ないのでは? とスタッフ間で心配がされていた「アドリアン」表紙コンペも、蓋を開けてみれば32作の応募が集まる盛況となりました。
特に応募締切前の怒涛の駆け込み投稿は、今までで一番の勢いでした。
力作の数々、ありがとうございます。
作品の雰囲気を崩さず、如何にして読者に届きやすいものを選ぶか。
今回の選考はそこが争点となりました。
独特の時代背景と世界観が大きな魅力の「アドリアン」において、まず画風は意識せざるを得ないものだったのでしょう。
色の塗り方の多くは、厚塗りを中心に油絵を意識したものが見られました。独特のタッチで描かれたアドリアンの姿は、どれも作品から抜け出たと錯覚させるようなものばかりでした。他にも著者の資料を読んで調べていただいたのか、当時を象徴する小物を描きこんだりと細かな仕込が見て取れこちらに関しても作者の努力を感じることが出来ました。
解釈についても様々で描かれるモデルをしているアドリアンを描いたものや、そのアドリアンが描かれた「絵」を描いたもの、シーンの一部を切り取ったようにイラストにしたものと様々です。どれにも言えることは、作品のメインテーマである絵画をやはりみな強く意識しているということでどの方もよく「アドリアン」を読み込んでいるなと私も関心しきりでした。
作品それぞれを見ていくと、みなさん画風に合わせた構図など試行錯誤が伺えます。しかしやはりこの画風で、ボーイズラブ小説(この作品は18禁要素は薄いですが)売り場に並んだ時に目を引けるものを描くのは難しかったようです。
募集ページでもお伝えしましたが、今回選出された作品が表紙となって販売されるのはパピレスとRenta!です。こちらのボーイズラブ小説ページを見ていただけると分かる通り、基本的にサムネイルがユーザーが初めて見る表紙となります。こちらのサムネイルで如何に興味をそそらせるか。それが表紙の役割です。
その点で、縮小されてしまうとなんの画像かよくわからなくなってしまうものなどについては、キャラクターを重視した見せ方をしている他商品に比べるとどうしてもインパクトに欠けてしまいます。
「ぱっと見たときに目をひく表紙」これは色味と構図が重要になってきます。いくら拘りを持って細かい描写をしたとしても、まずは作品ページに来て本を手に取ってもらわなければ大きな画像は見れません。
この視線がきやすいという点について言えば、今回だけでなくすべてのイラスト作品に言えることではないでしょうか。
一度遠目や縮小してみて全体像を確かめると、自分の作品の新たな面が見えて来るかと思います。
最後に今回のコンペへの応募者、コメントなどでイベントを盛り上げていただいたユーザーの皆様、改めてありがとうございます。
ついにBL小説コンテスト表紙コンペも、残すところ特別審査員賞「黒木くんと美月ちゃん」のみとなりました。こちらもスタッフ一同よりよいものとするよう尽力いたしますので、よろしくお願い致します。
upppi公式アドバイザー弓島
2013年7月より募集を開始いたしました 『アドリアン』表紙コンペ には32作品のご応募を頂きました。作品応募頂きました方々及びコメントや評価を頂いた読者の方々、本当にありがとうございました!
以下、選出作品と選評を発表させて頂きます。また最終選考に残った作品については短評を掲載させていただきましたので、ぜひご覧頂ければ幸いです。