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駆け出しライトノベル作家『御岳(みたけ)ハルカ』を母に持つ、僕、御岳登(のぼる)の家に、叔母の森宮薫がやってきた。モデルみたいな大人の女性な彼女は、昔の家族写真を見ながら笑顔でこう言った。「私、この頃はまだ男の子だったのよ」……一体どういうことですか?
2014/11/27 5節更新。7Pなかほどからです。完結です。
イラストコンペの投票締め切られました。参加された皆さん、投票してくださったみなさん、ありがとうございました!
「僕の母親がラノベ作家なワケがない!」主人公も母も未だに発展途上です。これからも、温かく見守っていただければと思います。どうぞよろしくお願いします!
1,
『OKINAWAスゲー!』
メールを開くと、いかにも「沖縄!」といった風景をバックに、揃って派手なアロハシャツを着たミチアキとその父親が、友だちのように肩を組んで写っていた。
そういえば、今年はミチアキの両親が結婚二十周年だから、夏休みは揃って旅行に行くのだと言っていた気がする。
結婚記念なら、二人だけで行かせるもんじゃないかと思うのだけど、ミチアキは本当に親と仲がいい。特に父親は、未だにミチアキが可愛くて仕方ないらしくて、どこに行くにも連れ回そうとするという。
そのメールの後にも、いくつか画像が送られてきた。免税店で買い物する所にも、ソーキそばというものを食べている場面でも、必ず一緒に父親が写っている。これを撮ってるのは母親だろうから、やっぱり仲のいい家族なんだろうな。
僕は思わず笑顔になり、それからふと考えた。
うちが家族揃って出かけなくなったのは、いつからだったろう。
思い返してみると、やっぱり中学の頃から、本当に大事な用事以外では、家族で遠出した記憶がほとんどない。家族と出かけるより部活の方が楽しくて、休日もテニスの練習に行くようになってから、つきあいが悪くなった僕を連れ出すのを、父さんはあきらめたようだった。それは、僕が高校を中やめ、割と時間に余裕ができた今でも変わらない。
一緒に出かけないから当然、家族揃った写真や画像もない。
僕が子供の頃の写真も、そういえばうちに存在するんだろうか。整理嫌いの母さんは、写真を撮って現像はしても、それをアルバムにまとめたりはしていないようだった。最近全然見た記憶がないから、ひょっとしたら、引っ越しの時に無くしたのかも知れない。
まぁ、いいんだけどさ。
ベッドに仰向けに転がって、ミチアキのメールに『おみやげ忘れるなよ』と月並みな返事を入力していたら、
「ノボル、起きてる?」
「なんだよ、いきなり開けるなっていつも言ってるだろ」
ノックしながら部屋のドアをあけた母さんは、僕の抗議になどまったく耳を貸さず、
「もうすぐリコちゃんが来るんだけどさ」
「ふうん」
白川璃子(しらかわりこ)は、僕の中学時代の同級生だ。
でも、うちに遊びに来る動機は僕とはまったく関係ない。白川璃子は、僕の母親の御岳遥(みたけはるか)……ではなく、『ライトノベル作家の御岳ハルカ』のファンなのだ。
それだけなら、母さんの個人的なつきあいだし、どうぞご自由になんだけど、
「リコちゃん、今日はちょっと荷物が多いと思うから、あんた駅まで迎えに行ってよ」
「なんで僕が?! 母さんに会いに来るんだろ? 車で迎えに行けばいいじゃん」
「人が来る予定があるから出られないの。あんたどうせ暇でしょ」
最後の『どうせ暇でしょ』が、なぜか妙に胸に刺さった。とっさに言い返せないでいるうちに、母さんはさっさと居間に戻ってしまった。
確かに、バイトは午後からだから、午前中は部屋でごろごろしてるだけだ。だからって、白川璃子が家に来るたびに、いちいち僕を巻きこむのはやめて欲しい。
……というか、白川璃子以外にも、誰か来るんだろうか。知り合いどころか、親戚だって滅多に来ない家なのに。それとも、宅配で荷物が届く予定でもあるのかも知れない。
改めて聞くのも面倒で、渋々ながら駅まで歩いてきてしまった。
駅に着いてから、自転車で来れば荷台に荷物を乗せられたのにと気がついた。
まぁ電車で来る白川璃子が、僕が持ち歩けないほどの荷物を持ってくるとも思えないし、いいだろうけど……
新しくなった駅舎は、壁も床も天井もぴかぴかに真っ白だ。ただでさえぴかぴかなのに、線路をまたぐ通路の中央に当たる改札口周辺は、大きな窓から差し込むの日差しが照り返して、日陰でも照明が要らないくらいに明るい。
僕が引っ越してきたとき、この夏浦駅は、築何十年かもよくわからない古ぼけた駅舎だった。
僕の家がある高台側はそれなりに賑やかだったけど、反対側の、駅から国道を挟んだ海側は工業地帯になっているので、ロータリーの周りにコンビニと弁当屋とビジネスホテルがあるくらいだった。
それが、隣の市に大規模アウトレットパークができて、この駅からも巡回バスが出るようになったおかげで、いきなり再開発が活発になった。駅舎はあっという間に建て替えられて、巡回バスの停留所がある国道側は、今もエレベーターやロータリーの整備工事中だ。
巷では大人気らしいアウトレットパークだけど、その中にできたお店の話題で母さんが一番反応したのは、
『BiNZが出店するんでしょ? 眼鏡が安くて助かるんだよねー』
だった。
あのひとはもう少し、自分の着るものに関心を持った方がいいと思う。
つらつら考えていたら、
『……行きの電車が到着します。黄色い線まで下がってお待ちください』
駅舎の吹き抜け部分を通して、階下のホームからアナウンスが聞こえてきた。吹き抜けの手すりに頬杖をついてぼんやりしていた僕は、はっとして反対側の壁際まで離れた。
この電車から降りてくるはずの白川璃子が、もしホームからこちらを見上げたら、まるで僕が到着を待ちわびていたように見えてしまうだろう。それはちょっと癪だ。
すぐにホームに電車が滑り込む音がして、階下が賑やかになった。
登りのエスカレーターとその横の階段から、結構な数の人が上ってくる。壁にもたれ、改札に流れてくる人混みをそれとなく注意して見ていたら、
「まぁ! ひょっとして登ちゃん?!」
花柄のカラフルなスーツケースをガラガラ引っ張りながら、改札を通り抜けた背の高い女の人が、僕を見て驚いた様子で声をかけてきた。
年齢は、二〇代後半くらいだろう。僕は割と背が高いんだけど、この人も女の人にしては相当高いと思う。ゆるやかにウェーブのかかったブラウンの髪と、涼しげで品のいいワンピースがよく似合う、見るからにオトナのお姉さんといった感じの……
「カオルちゃん?!」
「わぁ、やっぱり登ちゃんだわ!」
僕が声を上げると、彼女は嬉しそうに片手を口元に添えて微笑んだ。
母さんの一番下の妹で、僕にとっては叔母にあたる森宮薫(もりみやかおる)だ。前に会ったのは母さんが交通事故で入院した時だったから、ほぼ二年ぶりだ。
「カオルちゃん、どうしたの急に?!」
「うふふ、驚くわよね。ハルカちゃんと登ちゃんの顔が見たくなって、飛行機に飛び乗って来ちゃったの」
カオルちゃんは、いたずらを成功させた子供のように目を細めた。
「でもハルカちゃんには、おうちまで勝手に行くから、お迎えはいいわよって言ったのよ? わざわざ来てくれたのね」
「ええっ?」
「あれ? 御岳くん?」
目を丸くしていたら、カオルちゃんの背後から、更に僕の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
小さめのキャリーバッグを転がしながら改札を通り抜けた、白川璃子だった。いつもは高校の制服姿なのに、今日は白のワンピースに薄手の青いカーディガンを羽織っている。あしもとは、ひまわりの飾りのついた夏らしいサンダルで、一見すると海に遊びでも行くような爽やかな服装だ。
「珍しいね、駅で会うなんて。どこかにお出かけ?」
「え、いや……」
きみを迎えに来たんだ、なんて、カオルちゃんが見ている前ではちょっと言いにくい。でもカオルちゃんは僕と白川璃子を見比べると、邪気のない笑顔で、
「可愛い子ね、登ちゃんのカノジョ?」
「ちっ、ちがっ」
「私、登ちゃんのお母さんの妹なの。登ちゃんがお世話になってます」
「あっ、御岳くんのご親戚の方なんですね」
慌てて遮ろうとした僕とは対照的に、白川璃子はあまり動揺した様子もなく、ぺこりと頭を下げた。
「白川璃子といいます。御岳くんとは中学校時代の同級生なんです。御岳くんのお母さんには、いろいろお世話になってます」
「もうハルカちゃんとも会ってるの? すごいわ登ちゃん」
「だからそうじゃなく」
「段階をきちんと踏むのはいいことよ。高校をやめちゃったって聞いて、どういうグレ方をしてるのかってみんなで心配してたんだけど、わりとしっかりしてるのね」
「だから違うって」
「そっか、登ちゃんは私じゃなく、リコちゃんを迎えに来たのね。これから二人でお出かけの予定?」
2014/11/29 15:20:05
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2014/11/30 22:03:18
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└マウス攻めアイコン受け擬人化すらしてないBLです。
└弘司と洋子は、突然スマホが故障したため、無料のスマホを入手した。ところが、そのスマホは、超ヤバーイ、 スマホだったー! その後、何人もの男女が、そのスマホを入手…
└物語の全てのはじまり。少年は、何を嘆き、何を悔いたのか。
└※勇気を振り絞ってアップしました。下品なお話で本当に申し訳ありません。※かなりでたらめなフィクションです。あまり真に受けられないようにお願いします。
└あののび太が・・・