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シリーズ:あの子はお姫様
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あの子はお姫様

作者:シズオリ

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    さっくり読めそうな感じにしました。女の子がもにゃもにゃしてるの好きです。


    登録ユーザー星:0 だれでも星:0 閲覧数:474

    あの子はお姫様 3160文字

     

     ある国にお姫様がいました。お姫様ではありましたが、非常にお姫様らしからぬ人でした。行動は粗暴で身だしなみはいい加減で、ギャンブルとエクストリームスポーツに精を出すヘビースモーカーでした。たしなめられると二言目には「あたし本質はお姫様なんかじゃないもの」と主張しました。「いいえあなたはお姫様なのです」と可愛らしい侍女が決まり文句のように繰り返しました。
     そんなある日、城に下着泥棒が入り込み、おそれ多くも姫の下着を盗み出しました。
     五分で捕まりました。
     捕まりましたが、既に何枚もの下着を所持していたため、町娘Aと姫の下着の違いがわかりません。いい加減な身だしなみで通販の量産品を愛用していたのが裏目に出ました。
     結局、下着泥棒にとられた下着を履こうという気も起きないとのことで、全て廃棄処分となりました。
     それから一週間後、側近の侍女が深刻な顔で姫の元へやってきました。
    「姫様、大変です大事件です空前絶後です」
    「どしたの、悪いこと?」
    「ええ最悪です、実は先日の下着泥棒の件で衝撃の真実が発覚致しました」
    「なになに聞きたい!」
    「盗み出された下着のなかで、どれが姫様のものなのか分からない、こうなったら使用済み下着に残されたホニャララを調べてDNA鑑定をしようという話になったのですが」
    「さっくりとんでもないことしないでよ!!」
    「その検査官が、私の姉と泥沼の末別れた元彼だったので、友好的な会話の後、面白半分でとある検査をお願いしてしまったのです」
    「友好的な会話って、脅し透かしの隠語なのかしら」
    「国王陛下とお后様、そして姫様の親子鑑定を」
    「へ?」
    「まぁここまで言えばお分かりかと思いますが、結果はお察し下さい。残念かつ残酷な現実が白日の元にさらされましたが、私の姫様への忠誠心は毛ほども変わりありませんわ」
    「え、え、え、え、……え?」
    「ところで姫様、本日の夕食ですがお魚とお肉、どちらに致しましょう」



     それからというもの、お姫様の態度は一変しました。何せ本当に自分はお姫様ではなかったのです。そんな話は聞いていないし、こっそり探ってみると、両親の王と王妃も姫のことを実の娘だと思っています。両親共に血が繋がらないということは、少なくとも王妃の浮気による不義の子や王が愛人に作らせた子ではありません。赤ん坊の取り違え、もしくは何らかの理由で本物の姫とすり替えたのかもしれません。自分のアイデンティティー及び立場の崩落に打ちのめされて、お姫様の行動は自然と消極的になりました。
     そうしてひとしきりヘコみ、諸行無常をいたく噛みしめたお姫様は冷静なテンションに復帰、今度は自己保身の為の活動を開始することにしました。
    両親の子ではないことはとてもショッキングでしたが、今さら姫様扱いされない世界に身を落とし、国民に笑い者にされ、三流ゴシップ誌に『あの人は今!』みたいなタイトルで、当時の体験談を語る記事が組まれるような未来は、お姫様の成層圏並のプライドが許しそうになかったのです。
     まず両親がとても嫌がっていたタバコをやめました。ついでにタバコ税を上げました。
     「自分がやめるんだから他の人にも同じ苦しみを」と、心では思ってはいましたが、口からは喫煙者の肺癌発症率や副流煙による二次被害を訴えて国議会を説得、増税を可決させました。
    そしてお姫様自らが禁煙活動のキャンペーンガールに就任しました。イベントの顔になるのですから、いい加減な格好は出来ません。専属のメイクアップチームが作られ、完璧なカロリーコントロールと美顔マッサージを受けて、お姫様は可憐で華々しい姿へ変身をとげました。カワイイは、作れる! 金と根性があれば。
     喫煙者の大半は男性です、男は可愛い女の子の要求なら悪い気はしません、お姫様がやっている物珍しさも手伝って、活動は一定の社会的効果を出しました。
     結果が一つ出れば後は芋づる式です。もともとお姫様は社会的地位があります、雑誌のインタビュー、ニュース番組の取材がひっきりなしにやってきました。
     ここでお姫様は前々から仕込んでいた話術を披露します。親しみやすいキャラと砕けつつも教養の感じられる言葉使い、王宮育ちゆえのちょっと外れた世間観でお茶目さも演出。実際は事前に質問内容のチェックが行われているので、専属のゴーストライターによる徹底したキャラ作り台本を暗記して受け答えしているだけなのですが、そんなのは世のアイドルもよくやっていることです、面白ければテレビ屋は文句を言いません。
     美しい見た目から好感度もうなぎ上り、王室の公務や行事にも積極的に参加、ボロが出ては困ると露出を控えれば、世俗に染まらぬ清廉な一面と勝手に解釈される始末。
     そんなこんなで気が付けばお姫様は時代の寵児、昔の奇行、珍行動は「若気の至り」という便利な言葉で片付けられました。


    「なぁ」
    「あら、検査官こと姉の元彼さん、どうかいたしましたか?」
    「前に頼まれたDNA鑑定の話なんだけど」
    「あれは他言無用の国家機密だって言ったじゃないですか、妙なことしたら上に訴えて責任問題を問いますよ」
    「いや……誰にもしゃべらないけど、てかしゃべる必要ないじゃんか。間違いなく完全に疑いようもなく王たちと姫が家族だって、塩基配列が示してるだけだぞ」
    「ほんと、ショッキング極まりない結果ですよね」
    「どこらへんが」
    「私、王族は生まれながらにして高貴なものだと夢を見ていたの、あんなに粗雑極まりない姫様が王族だとはとても思えなくて……。いっそ何かの間違いで姫の地位に座っている一般人じゃないかな……と祈ってた時期もあったけど見事に打ち砕かれたの」
    「そりゃー残念だったな、アメやるよ」
    「ありがとうございます、そうゆうさりげない優しさで姉と二股かけてたんですよね」
    「だからそれは勘違いだって、頼むから復縁の仲持ってくれよ。あと意外だな、結構楽しそうに仕事してるから、君は姫のことが好きで仕えてるんだと思ってたのに、胸の内には不満を抱えてるんだな」
    「そんなことないですよ、姫のことは好きです。あの子ガサツですけど、私のいうことはちゃんと聞くし、気遣いはできる子ですから」


     名実ともに姫らしくなったお姫様、きっともう誰も姫の地位を疑ったりはしないでしょう。両親も臣下も国民も認めてくれました。自己保身は成功したのです。これからもこの地位を細々と維持していけばいい、もし本当の子供でないと知られてしまっても、これまでの活動を評価してくれれば悪いようにはならないでしょう。
     そう思っても、やはり不安です。時々たまらなくむなしく物寂しい気分になる時があります。鬱思考が負のスパイラル状態、夜中ベッドに潜り込んで眠れずにボーっとしています。
     そうしていると決まって侍女がやってくるのです。破天荒な毎日を過ごしていたころよく頼んだデリバリー、夜中に食べるにはふさわしくない高カロリーでジャンキーなポテトとチキンスティックとピザ、飲み物は炭酸。取り留めもなく深夜番組を眺めながら一緒に食べるのです。
    デザートのラムレーズンアイスを食べていると、テレビの中の人物が、お姫様のことを引き合いに出しました。お姫様のような女性が好みなのだと、他国の姫に比べてどれだけ素晴らしいかを話しています。
    「あたしの本質は、お姫様なんかじゃないのにね」
    お姫様は小さな声でそう主張しました。
    「いいえ、あなたはお姫様なのです」
    可愛らしい侍女が決まり文句のように繰り返しました。


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    コメント

    • 初めまして。未登録のときに「勇者に就職する~」を読んでファンになっていたのですが、登録後愚かにも検索システムを使えなかったわたし…。これを見つけて飛び上がりました。
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    • 他の作品も見てもらったようでうれしいです!
      これからもぬるぬる描き書きしていくんで生温かくツッコみいれたってください、コメどもです
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    • ふらっと立ち寄ってシズオリ先生のマンガを読んだ後、この作品も読んで、面白くて感動しました。
      感想が書きたくて、思わずこのサイト登録しました^^
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    • おおうありがたい
      感想いくつもどうもです、しみじみ読んでます
      あと先生はこっぱずかしいので勘弁してください
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    • 最初、ドラクエ4のアリーナか?と思いながら読んでたのですが、意外にも(失礼)なかなかにいい話で面白かったです!
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    • ありがとうございます

      うちのSF版ドラクエ5はしょっちゅうデータが吹っ飛んでラストを見た覚えがありません、嫁をくれ
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