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シリーズ:【子供に読み聞かせたくない童話】かなしいピエロ
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【子供に読み聞かせたくない童話】かなしいピエロ

作者:ふじたばくや

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    これはとあるサーカス団のお話。

    みなさん、ピエロの顔はどうして
    “白”なのだと思いますか?

    それは、とてもかなしい理由が
    あったのです…。


    登録ユーザー星:7 だれでも星:34 閲覧数:17972

    【子供に読み聞かせたくない童話】かなしいピエロ 5248文字

     

    これは、どこかのくにのおはなしです。

    とあるちいさなサーカスだんが、まいにちサーカスごやでショーをしておりました。

    まずヒゲのだんちょうが、げんきにあいさつをします。

    「これはこれは、みなさまごきげんうるわしゅう。こよいも、すばらしいげいをおめにかけましょう」

    だんちょうは、ヒゲをなびかせながらフガフガわらいました。

    つづいて、ピエロくんのとうじょうです。

    かれは、とくになにかできるわけではありません。ただ、えがおでハシャぐだけです。

    みんな、かれの“おろかで”“いなかくさく”“まぬけな”すがたをわらっているのでした。

    ショーのさいごは、つなわたりのしょうじょのげいでおわります。

    かのじょは、このサーカスだんになくてはならないにんきものでした。

    たかさは10mほどあるでしょうか。ほそいロープがサーカスごやの“はし”から“はし”までかけられます。もちろん、おちたらそくしです。

    それでも、かのじょはいのちづなもつけず、まっすぐまえをむいてわたりきりました。

    かいじょうから、われんばかりのはくしゅがまきおこりました。

    「ありがとう! ありがとう!!」

    ショーはだいせいこうです。

    ショーがおわると、あとかたづけをします。

    ピエロくんはしろい“かお”のメイクをおとし、いつもの“かお”にもどります。

    ぶたいでみせていた“かお”がきえて、かなしい“かお”にもどります。

    「これが、ぼくの“かお”なんだ……」

    ピエロくんはかがみにむかってぽつりとつぶやき、またかなしくなりました。

    しろい“かお”は、かれのかなしい“すがお”をけすためのどうぐなのでした。

    ピエロくんがいえにかえるとちゅう、つなわたりのしょうじょにこえをかけられました。

    「どうして、そんな“かお”をしてるの?」

    「えっ!?」

    しょうじょは、ピエロくんのかなしい“かお”をのぞきこみました。

    「だって、ぼく、なんにもできないから」

    「そんなことないじゃない。あなたには、“えがお”っていうすばらしい“げい”があるじゃない」

    「えがおって、“げい”なのかな?」

    「そうよ。だってわたし、こころのそこからわらったことないもん」

    「え?」

    「そうよ。つなわたりだって、いちどだってまんぞくしたことないわ」

    「でも、おきゃくさんはよろこんでるじゃないか」

    「ううん、わたしがなっとくできないの。もっとじぶんはできるんじゃないかって」

    「なんか、ぜいたくな“なやみ”だね」

    「………」

    ふたりのあいだに、びみょうなくうきがながれました。

    「ね? ピエロくんの“げい”、わたしにおしえてよ」

    「ぼくの“げい”?」

    「そう。おきゃくさんのまえで、いっぱいわらえる“げい”」

    「………」

    ピエロくんは、しょうじょがなにをいっているのかよくわかりませんでした。

    「あんなの、“げい”じゃないよ。わらおうとおもったらわらえるじゃないか」

    「わらえないの! ほんとうにわらえないんだってば!! ねぇ、おねがいだからおしえてよ!!」

    しょうじょは、ピエロくんにひっしにすがりました。

    「おしえるったって、ぼくにはなにもできないよ」

    「そっか……。じゃあ、こういうのはどう?」

    しょうじょは、あかるいこえでこういいました。

    「わたしはかわりに、つなわたりをおしえてあげるから」

    「えっ!?」

    「ね? これならおあいこでしょ?」

    とつぜんのしょうじょのはっそうに、ピエロくんはこんわくしました。

    「で、でも、ぼくがつなわたりなんて……」

    「だいじょうぶよ。やさしくおしえてあげるから。ねっ?」

    「………」

    「わたしはつなわたりをおしえているあいだに、ピエロくんの“げい”をもらうから」

    「………」

    「ねっ? これならいいでしょ? はいっ、きーまりっ!」

    ピエロくんは、あどけなくわらうしょうじょのかおをみて、なにもいえなくなりました。

    「じゃ、ほんばんがはじまるまえにはやくきて、ふたりだけでれんしゅうしよう」

    「うん。わかったよ」

    「じゃ、またあした」

    くるりとせなかをむけて、しょうじょはさりました。

    ピエロくんのかおに、すこしえがおがもどりました。

    こうして、ふたりのとっくんがはじまりました。

    しょうじょは、ピエロくんにいっしょうけんめいつなわたりをおしえました。

    ピエロくんは、しょうじょになにもおしえられませんでした。

    ただ、ピエロくんといるときのしょうじょは、とてもしあわせそうでした。

    そんなピエロくんも、とてもしあわせそうでした。

    ふたりのとっくんがはじまって、いっかげつがすぎました。

    いつのまにか、しょうじょとピエロくんは、ふたりきりになるじかんがおおくなってきました。

    あるひのかえりみち、しょうじょはピエロくんにいいました。

    「そろそろ、みんなにみてもらおうよ」

    「え?」

    「ピエロくん、すごいれんしゅうしたもん。きっとだいじょうぶだって」

    「で、でも、まだこわいから」

    「じゃあ、ふあんをけすおまじない」

    しょうじょは、ピエロくんのおでこに、やさしくキスをしました。

    「どう? まだこわい?」

    「………」

    ピエロくんのかおは、すこしあかくなりました。

    「わたし、ピエロくんにおれいしなきゃいけないの」

    「ぼく、なにもできなかったけど……」

    「ピエロくんといっしょにいると、しぜんにわらえるの」

    「………」

    「なんでだろうね……」

    「………」

    「ううん、なんでもない。ショーのことは、わたしからおねがいしてみるから」

    「うん」

    「じゃ、きまりね。がんばってね!!」

    そういって、しょうじょはさりました。

    「おれいをしなきゃいけないのは、ぼくのほうなのに……」

    ピエロくんは、むねにあつくこみあげるきもちをおさえ、いえにかえりました。

    ピエロくんのつなわたりデビューは、いっしゅうかんごにきまりました。

    ふたりは、ますますとっくんにはげみました。

    そして、デビューはいよいよあすにせまり、ショーおわりでメイクをおとすピエロくんに、しょうじょがはなしかけました。

    「いよいよ、あしただね」

    「うん」

    「じしんはある?」

    「うん、だいじょうぶ」

    「そう、いまの“かお”なら、きっとだいじょうぶね」

    しょうじょは、ニッコリわらいました。

    「じゃ、きょうははやくねて、あしたにそなえるのよ。いい?」

    「うん、ありがとう」

    ピエロくんも、ニッコリわらいました。

    「あ、あの……」

    「え? なぁに?」

    「ううん、なんでもない」

    「ヘンなピエロくん。じゃ、またあした」

    「うん」

    たちさるしょうじょをみつめながら、ピエロくんはけっしんしました。

    『あした、つなわたりがせいこうしたら……』

    かえりみち、ひとりになったピエロくんにきゅうにふあんがよぎります。

    『あした、もししっぱいしたらどうしよう……』

    『せっかくここまできたのに……』

    『………』

    がんばってくれたしょうじょのためにも、ピエロくんはなんとかしなきゃ、とおもいました。

    「よし、ひとりでれんしゅうしよう」

    ピエロくんは、いまきたみちをひきかえし、サーカスごやへとむかいました。

    まわりにはだれもいない、まっくらなサーカスごや。

    あついぬののカーテンをあけ、なかにはいります。

    そこでピエロくんがみたものは、しんじられないものでした。

    ステージのまんなかにいたのは、だんちょうとしょうじょのふたり。

    ふたりはだきしめあい、キスをしていました。

    そしてフガフガわらいながら、だんちょうはしょうじょの“むね”へてをのばしました。

    「あん……。もう」

    「おい、ずいぶんねっしんにピエロのそばにいるな」

    「あら、やいてるの?」

    「やいてなんかないさ。ただ、ピエロがおまえのことをすきになっちまうんじゃないかって」

    「じょうだんいわないでよ。あんなどんくさいひとに、きょうみはないわ」

    ピエロくんはそのことばをきいて、いしのようにかたまってしまいました。

    「じゃあ、どうしてあんないっしょうけんめいになれるんだおまえは。あ?」

    だんちょうのてつきは、ますますいやらしくなります。

    「んっ……! いや、かわいそうじゃない、かれ。あんな“かわいそうな”ひとといっしょのステージにたちたくないだけだわ」

    「でも、つなわたりはおまえのだいじな“げい”じゃないか」

    「ねぇ、あたらしい“げい”をおしえてよ。てとりあしとり…。うっ!」

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    作者紹介

    • ふじたばくや
    • 作品投稿数:1  累計獲得星数:41
    • ★作品の特徴

      ・刺激が強いか、キャラが濃い。
      ・出来るだけ読みやすく!!
      ・ラストでひっくり返す(^^;)。

      そんな感じですm(__)m。
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