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シリーズ:愛さえあれば子供が出来る世界から僕は
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愛さえあれば子供が出来る世界から僕は

作者:岡野 こみか

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    それでは、腕をご覧ください。


    登録ユーザー星:12 だれでも星:1 閲覧数:493

    愛さえあれば子供が出来る世界から僕は 4698文字

     

     危ない! 
     そんなに腕を掻いたら、貴方の“子供”が潰れてしまうじゃないですか!

     ……あぁ、すいません。
     つい、僕らの世界と混同してしまいました。
     貴方の世界では、違うんでしたっけ。……まだ。
     腕の、そう、まるで虫にでも刺されたかのような小さな斑点。
     僕らの世界では、それは“子供”……胎児なんですよ。
     やがてその斑点が膨れて水泡になり、その中に黒い点が見えるようになってくる。
     動きますよ、勿論。“子供”なんだから。
     それが次第に大きくなり、黒い点――心臓を包み込むようにして体が育っていく。
     薄い膜に包まれた我が子が大きくなってくる様子が自らの腕の中、一目瞭然で分かるというわけです。

     何故、腕に子供が出来るようになったのか?
     諸説ありますが、まあ一番の理由は、一度にたくさんの子供ができるからではないでしょうか。
     僕らの世界は、愛さえあれば、子供ができるのですから。
     人は愛された時、子供ができるのです。
     性別なんか関係ありません。
     それどころか、種類、性別、その他の大きな垣根だって。
     愛は軽々と全てを超えてしまったのです。


     かつて――人類は著しい少子化により滅びようとしていました。
     しかしある日突然、全ては逆転したのです。
     愛の力で。
     愛さえあれば、子供ができるようになったのです。
     一番最初に異変が起こったのは、誰からも愛され、かつその存在を広く知られている人種――アイドルと呼ばれる芸能人でした。
     突然、ほぼ全てのアイドルの腕に余多の湿疹が発生したのです。
     女性アイドルだけでなく、男性にも。
     腕全体が水泡に包まれた頃、医師の診断が出ました。
     水泡の中にあるのは、全て胎児だと。
     しかし当初は当然のように、その事実は伏せられていました。
     アイドルの腕に、多数の胎児。
     そんなグロテスクな新事実を、世間が受け止めてくれるとは到底考えられませんでしたから。
     だけどその頃には、あらゆる所から異常に気付く声が上がっていました。
     多数の人に発生した、腕の斑点。
     水泡の中で蠢く黒い点。
     治療と称して潰して取り出すという悲劇も数多く起こってしまいました。
     そして――悲しい犠牲の末、人はやっと気づいたのです。
     自分達の腕が、子供を孕んでいるという事実に。
     しかし、胎児と愛の因果関係に気付くのには相当の時間がかかりました。
     性行為イコール子供という下衆な勘繰りを持つ人が多すぎて、真実にたどり着くのが遅れてしまったのです。
     真実は、無垢な子供の言葉が切っ掛けで発見されました。
     まだ幼い――しかし、多数の胎児を腕に孕んだ子供。
    「好きになってもらったから、子供ができたんだよ」
     彼女、彼らは自分達が愛されるが故に子供を授かったと、本能的に察知していたのではないでしょうか。
     人は、愛されるとその身に子供を宿すようになったのです。
     ……いえ、この表現は後で間違いだと分かりました。
     正確には、人は『愛したものに子供を授けることができるようになった』のです。

     そこからの、世界の動きは迅速でした。
     自らの身に起こった異常な出来事よりも、少子化を解消し新たな世界に繋がる可能性に目を向けたのです。
     腕に生じる胎児はどれも弱くて、その数多さ故に完全に大きくなるものは少ないようでした。
     その為の、妊娠中のケアが検討されました。
     また、生まれた時点で全長10センチにも満たない胎児を育てるための保育器も。
     こうして子供に優しい世界が作られていく一方で、愛によって生まれる子供は確実に増えていきました。
     それこそ、老若男女問わず。
     そして、次第に愛と妊娠の関係についても解明されてきました。
     愛情は、どんな種類でも良いわけではありません。
     親子愛、兄弟愛、同朋の愛といった広義の愛では、子供はできません。
     その点は、過去の愛と呼ぶべきものと大きな違いはないのかもしれません。
     男女の……とのみ限定しては誤解を呼びますね。
     大人の愛。
     つまりは、性愛を伴った愛でなければならないのです。
     その対象に対して性欲を持ち、それを……ああ、申し訳ありません、適切な言葉が見つからないので、俗語で表現することをお許しください。
     この場合、オブラートに包んだ言い方では誤解を広げる可能性があるので。
     その対象に欲情し、頭の中で性の対象にする、いわゆるオカズにした時に、相手が妊娠するのです。
     想像妊娠という言葉がありますが、この場合、妄想が現実を妊娠させるというわけですね。
     ただしこの場合は妄想する側が男であろうと女であろうと完全に結果は同じ。
     因果関係は、ある意味はっきりしていると言えましょう。

     その事実が発覚した時には、再び一悶着がありました。
     何しろ、妊娠している人物は老若男女……男性女性はもちろん、幼い少年少女たちも含まれていたのですから。
     子供を欲望から守れという運動が起きたこともありました。
     一時期、女性アイドルが完全に姿を消したこともあります。
     しかし、人は慣れるものです。
     次第に妊娠は禁忌すべきものではなく、崇高なもの――選ばれた者だという認識が広がり、なし崩しに認知されるようになってきました。
     そして人々の腕に余多の命が宿ることが日常となった時、再び変化は訪れたのです。

     始まりが何だったのかは、いまひとつはっきりしていません。
     車だったのか飛行機だったのか、あるいは戦艦だったのかもしれません。
     木や石、建物だった可能性もあります。
     犬や猫、その他動物は以前から噂だけはありました。
     それらが全て“妊娠”を始めたのです。
     人のように薄い膜を作り、その中には蠢く胎児。
     誰もがはっきりと口にはしませんでしたが、何故そんなことになったのかは一目瞭然でした。
     それらは、欲情されたのです。
     人の、妄想の捌け口となったのです。
     世の中には様々なものを愛情の対象とする人がいたのでしょう。
     道を歩いていると時折ふと見かけるそういった“胎児”を、道行く人は気まずい思いで通り過ぎたりしておりました。
     あまりにも無差別に動物、無生物が妊娠している状況。
     さすがにこれは、なんとかしなくては――
     国が動き出そうとしたその直前。
     再び、新たな展開が始まってしまいました。
     そしてその展開は、皮肉な事に今までの混乱を僅かながら改善する契機ともなったのです。

     次に妊娠が始まったのは――絵でした。
     写真から始まって、漫画やアニメ――そうです、人は、とうとう二次元の世界をも妊娠させてしまったのです。
     それは一見、明らかに不思議な光景でした。
     漫画やイラストに描かれた少女、少年。
     インクで描かれた彼らの腕に、次々とインクで描かれた胎児が増えていったのです。
     勿論、印刷された時点で描かれたものではありません。
     それらは全て、妊娠した……“愛”を受けた時点で生まれてきたのです。
     そしてその事実は、今までとは全く違った意味で人々に受け入れられました。

     二次元が、俺の嫁が妊娠する!

     書籍が、カードが、今までにない勢いで消費されはじめました。
     ネットでは駄目なのです。
     正確には、ネットにアップされた二次元も妊娠はしました。
     ですがネットにアップされたイラストは多数の人の目に触れるので、それだけ数多く妊娠してしまうのです。
     しかし、自身が持っているイラストならば、自分の子供しか孕まない。
     尊ばれた処女性の元、かつてない程の出版ブームが湧き上がりました。
     追って、ネットの方でもダウンロードした当人にしか見られない映像が爆発的に増加するようになりました。
     また、供給者の方も、それら映像を配信する際にそれはもう気を遣うようになりました。
     何しろ、愛された時点で子供ができるのです。
     うっかり印刷前の元絵を愛してしまっては、まっさらなイラストが『傷物』になってしまいます。
     なるべく、イラストは淡々と扱うように配慮され――その結果、少なくない漫画家、イラストレーターの方々が苦しまれたようです。
     やはりクリエイターとして、自らの子供を愛さずにはいられない方も少なくないのでしょうか。
     それでも、愛されるべく生まれる存在は次々と増加していったのです。

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    コメント

    • こんにちは。うふふふ気色悪くて良いです。腕がぞわぞわします@@;
      今もぞわぞわしています(笑)
      締め切りが過ぎたら気になるのを色々読もうと思ったのですが、読んだらすぐに世界観に引き込まれました@@;
      • 3 fav
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    • かにゃんまみさん、読んでくださって、ぞわぞわしてくださって、そしてコメントしてくださって、どうもありがとうございます。
      気色悪いと思っていただけたのでしたら最高に嬉しいですー。
      • 4 fav

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    作者紹介

    • 岡野 こみか
    • 作品投稿数:26  累計獲得星数:240
    • 『ゼロコンマ』シリーズが4巻までRentaさん、パピレスさんから配信中!
      デスゲーム×BL小説『ビースト・ゲーム』も配信中です。
      これらが形になったのは、全て皆さんのおかげです!
      心から感謝させていただきます。
      これからも、もっと、色々書いていきたいなと思います。
      よろしくお願いします。

      文章書き、の端っこの端っこです。
      BLもラノベも、まだまだ初心者です。
      現在、クリエイティブRPG「三千世界のアバター」(http://s-avatar.jp/)にてゲームマスター(ライター)をやってます。←皆様のキャラの活躍を小説にしています。
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