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シリーズ:ライト(三毛猫)1
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ライト(三毛猫)1

作者:風呂助

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    お題:混沌の海風/必須要素:下駄箱


    登録ユーザー星:3 だれでも星:0 閲覧数:185

    ライト(三毛猫)1 11264文字

     


     ペタ。

     む?逆の手で、押し戻すか。

     ペタペタ。

     むむむ?この奇怪な白い化け物は、俺の手を掴んで放さない!
    違う、掴んではいない。何だろう、この不愉快なペタペタ加減。
    自慢の毛が抜けてしまいそうな、恐怖感が襲ってきた。
    というか、とにかく手が外れない。走って振りほどくしかない!
     いっせーの、せい!ベリリ!
    上手く敵の搦め手からは、難を逃れたが急激に長い細い
    棒状の方が、こちらへ倒れてきた。
    俺は勇敢な騎士ライト騎士ではあるのだが
    とにかく、敵と間合いをとる事が優先である。
    戦いは知略と経験が全てなのだ。

     だが、事態は最悪の展開になった。丸い筒状のペタペタした
    頭?の部分が、俺の尻尾に食らいついて来た!
    真っ白な不気味なベタベタが、長い廊下を逃げるほどに
    ズルズルと追って来る。来る。きっと来る。

     うわあああああああああ。

     廊下の先を越えて裏庭へ抜ける、脱出路が見えてきた。
    しめた(涙声)外へでて俺の家に戻れば縄張りだから
    そこまでは追ってこれないであろう、っていうか来ないでえ!

     バーン!

     ガラス戸、閉まってました。激突して鼻が痛い。
    その音でメメ様がやってきて、笑っておられた。
    その「コロコロ」なるふざけた名前の化け物を追っ払って
    くれ。へつれてしまった俺の美しい尻尾も
    優しく染みる消毒をしてもらいって「また生えてくるから。」
    そのようなお言葉を頂いた。

     そんなこんなで、メメ様をお守りして1年ほど経った頃。

     ある日、久しぶりにあの注射とかする病院なる虎の穴へ
    連れて行かれた。いつぞやの失態で、再訓練という事か。
    やむなし。頑張るのみである。

     だがメメ様の居城に戻ると、メメ様は次のように仰られた。
    「頑張ったね。もっと好きなようにして、好きなもの食べてね。」

     言われて。気付いた。俺はカリカリを最近避けていた。
    好き嫌いの問題ではない。あれば何でも有り難く食う。これは
    自然界の掟であり、野生の。野性の。野性の。

     やわらかい缶詰も、食べれていない。メメ様はその都度、
    食事を吟味して下さった。でも食べていない。無礼な家臣だ。
    ミルクさえ、もう飲んでいない。残してしまう。

     初めてこの家に来たときのように、痩せていた自分を鏡でみた。
    ここに映る猫は、己自身なのだとメメ様に教わった。
    なんという貧弱な騎士であろうか。

                *

     そうだ。メメ様はなるべく部屋を暗くして下さった。
    でも、俺は眠っても直ぐに目が覚めてしまう。

     そうだろう?

     今までは、栄養?のバランスとか何とかで許可が出なかった
    カマボコやちくわ、缶詰もドンドンと新しい物に替わる。
    食べれると、それと一緒に刺身を頂戴した。

     積み上げる時、それは無限に昇る山のようである。
    落ちる時、それは一瞬の光である。光はこの自然界で一番速く。

    (やれやれ、また自然界かい?次は野性の本能かな?)

     俺はメメ様のご寝所で眠っていた。メメ様が運んでくださった。
    眠っているのか、起きているのか解らない。
    家臣の方も来ているのか。見舞いとはなんともかたじけない。
    早く元気にならねば。

    「随分、痩せたね。」
    『スッカリ軽くなったし、筋肉も足なんかほとんど。』
    「骨は太くてオスらしい立派な、感じなのにね。」
    『食べないから、お腹と背中がくっついてる。』
    「後ろ足も太かったよね。」
    『ライト、お腹空いて欲しいな。ライト。』

     ライト。


    (『FeLV』ってなんですか?!)
    (猫白血病ウイルス感染症という病気です。)
    (なおり、治りますよね?!)
    (ライトくんの舌、凄く白いですね。ほぼ食事も出来ていない。
    血球減少が速すぎます。勿論、輸血を含めて治療しましょう。
    但し、効果に期待は出来ないかもしれません。)


     俺は。前足で立ち上がる。ベッドから降りようとする。
    メメ様が危ないからと、床へ下ろして下さる。
    前足だけで進む。長い長い廊下を進む。窓が閉まっている。
     見回りに行かねばならぬ。初めて会った場所へ。公園へ。
    メメ様が、お留守番をお願いします。そう言ってから
    毛布を持って俺の後から着いてくる。

     野性だ。寒い冬だ。

     公園の滑り台の上にあいつはいた。白黒。

    『よお。光ってるな。』
    「ああ、あの時の光の粒か。俺はライトだからな。」
    『そうか。では何をしに来た。俺に会いに来たわけじゃないだろう?』
    「ああ、お前なんかに用は無いよ。」

    (ライト、もう前足も動かなくなっちゃうから。帰ろ?)

     毛布に包まれた。

    『俺の飼い主に、見せたかったのだ。この冬を。』
    「冬の光か?」

     そうだろう?

     公園の街灯に照らされて、雪が降ってきた。
    何もかも白く光のようになってしまえ。白く光れ。
    コタツよりも、彼女は暖かいな。もう行くよ。

    「ああ、またな。次はもっと大変だから。」
    『次?』

    (ライト、頑張ったね。次は長生きしようね。)

    『はい。メメ様。』

    **********


     で、終ったと思っていた。いや終ったのだ。
    そこは彼岸花が沢山咲いている、河原だった。
    小舟が一艘、舫ってプカプカと川面に揺られている。

     真っ黒い空。遠くに見える赤い空。知らない空。

     俺は体もいたって健康体で、毛並みも美しく生えそろい。
    どこからか、夢であったのではないか?そういう気持ちだ。
    ほとんど何も覚えが無い。確か名前はライトというはず。

     俺が愛した飼い主が名付けてくれた。飼い主の名も
    自分の住み家も判らない、飼い主の顔だけボンヤリと
    思い出せる。あと、コタツ……?まぁ、全て終った事だ。

     混沌とした今までの世界とは逆だ。ほぼ何も無い。
    そうじゃない。ここはとてつもなく広大で。
    猫一匹に把握できる世界じゃないんだ。多分。
    川なのに、彼岸花の群れは海風に揺れているようで。
    これは、これで素敵だなって思った。寂しく平穏だ。


     とりあえず俺は、これからどうしたらいいのだろうか。
    そこらはずっと河原。そして彼岸花。特に何も無い。
    あるのは舟だけ。しょうがないから、舟を覗いてみる。

    『わあ!だ、誰か死んでる!!人だ!人が死んでる!!』

     うるさいねえ。昼寝中にワアワア、騒がないでおくれ。

    『あわわ!骸骨が喋ってる!ヒェエ!すいません!
    猫ってあの、霊感とかそういうの敏感で、あのその
    殺さないで下さい!何もしてません!』

     いや、お前さんは死んだからココヘ来たんじゃろ?

    『はい!そ、そうだと思います!死んだ事なかったから!
    多分そうです!でも貴方を骸骨にしたのは俺じゃないです!
    だから、お願い許して!殺さないで!』

     わしゃあ昔々からこの姿、最初から骨と着物ばかりよ。
    じゃが、そんなに怖がられると、少し凹むのお。
    ではこれならば、どうじゃな?

     そういうと目の前の骸骨は、和装の美女に化けた。
    黒い着物に彼岸花。提灯を1つ。

    「どうじゃな。なかなか色っぽいかな?
    牡丹燈籠をイメージしてみたのじゃが。」

    『はぁ。俺、猫なんで人間的な美女とか、そういうのは
    よく判らないんですが、まぁ、怖くは無いです。』

    「やる気無くなるのお。まぁよい。それでは
    この死神763号が、三途の川を渡して進ぜよう。」

    『はぁ、よくは判りませんが、どうぞ宜しくお願いします。』

     そういって俺は舟に乗り込んだ。死神763号さんが
    着物の袖から手を出している。よく判らないので手を乗せてみた。

    「違うわい!そうじゃないだろう?!」

    『す、すいません。俺も犬じゃないんで、違うだろうなって
    思いつつも、これしかリアクションが浮かばなくて。
    えっと、あの、何でしょう?』

    「人間じゃないと、こう世の中の道理がなっておらん。
    よいか?人間の世界でも、電車に乗るのもバスに乗るのも
    金がいるのだ。銭だよ銭。舟代を出しなさい。片道六文だ。
    ICカードで払うなら、漕ぎ手の櫂の踏み台横にピピッとな。」

    『え、あの、いや。俺、猫なんで。』

    「見れば解るわい。間違いなく三毛猫のオスじゃな。別に
    三味線にされた恨みがあるとかいう記録も、届いてはおらん。
    だから、素直に閻魔様のところへいくのじゃ。」

    『え、あの、行くのは、別に構わないんですけど。』

    「じゃあ、早く払え。六文じゃ。渡り賃じゃ。安いじゃ。」

    『安くても高くても、俺、猫なんで持ってないです。』

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    コメント

    • おもしろいです!!
      これ漫画とかにしません?見てみたい!
      • 3 fav
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    • ねこまんまさん>
      漫画化……ねこまんまさんの
      アドバイスがあっても、
      小学生の絵本くらいしか
      描けないです(><)
      仮に……ラフな挿絵なら
      力になってやってもいいぜって
      言ってくれそうな、頼もしい
      敬愛する猫に精通した、
      画家の方を存じています…
      チラチラ(無論、ねこまんま先生を見ています。)
      コメありがとうございます!
      「ライト」シリーズは「オプ」シリーズと、部分的にリンクしていますので、
      もしお時間と興味が頂戴できれば、
      是非ともよろしくおねがい致します!m(_)m
      • 2 fav

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    • 漫画・・見て頂いてわかるように私は漫画がへたくそなのです。申し訳ない!!!
      4コマ以外はここで描いたのが初めてという体たらくで・・
      ラフでよければ来年落ち着いた頃にでも・・
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    • そうだ!プチさんと一緒に描こうかな?
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    • ありがとうございます!
      もし、そうなったら楽しみです♪
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    • あ、あと、この作品とは関係なくて申し訳ないんですが、4コマ参加しませんか?
      即興が得意な風呂助さんならと思ってるんですがどうでしょう?
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    • ねこまんまさん>
      ありがとうございます!
      実は、毎回毎回、参戦したくて
      アレコレ考えるのですが、
      本当に難しくて、改めて修行不足を実感です(TT)
      本当に皆さん、凄いなぁと
      感服です!
      ガクリ>_(:3 」∠)_
      運良くネタが降臨したら、
      是非、参戦させてください!
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    • そうでしたか、お待ちしてますね!
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    • (((( ;゜Д゜)))ガガガ、ガンバリマス!
      • 1 fav

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