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シリーズ:ライト(三毛猫)1
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ライト(三毛猫)1

作者:風呂助

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    お題:混沌の海風/必須要素:下駄箱


    登録ユーザー星:3 だれでも星:0 閲覧数:184

    ライト(三毛猫)1 11264文字

     

     野良猫暮らしを、気ままに堪能していたんだ。
    でも飼い猫のように、家が欲しいと思うこともあった。
    飼い猫なんて野生のプライドを捨てた獣の誇りを……。
    大自然の厳しい掟を、我が身で受け入れてこそ命とは……。

     そういう気持ちを、失いかけていたとすれば。
    俺もそれなりに年を経たという事だろうか。
    家が欲しいのか、誰かと過ごす日々に憧れたのか。

     とにかく、野良猫にとって辛いのは雪の季節だ。
    犬は喜びに庭を駆け回るのだろう。彼らは逞しい。
    だが猫といえば、贅沢に……コタツでなくてもいい。
    せめてカマドの煤にまみれて灰猫と呼ばれても構わない。

     どうであれ白く冷たく。世界の汚い物を覆い隠して、
    何事も無かったかのように、白紙の原稿用紙に戻す。
    そんな雪が。嫌いだ。余りにも外であると思うから。

               *

     1年ほど過ぎた頃。自分ではよく憶えていないが、
    猫としては2〜3歳だったと思っている。名前はない。

     俺の毛並みを笑った無礼な猫と、雪の日に出会った。
    真っ黒で手足だけ短く白い。人間でいうなら
    くるぶしの少し上辺りまで純白で、他は全て黒い。

     それに比べて俺は、キジ三毛の美しき三毛猫である。
    しかもプレミアムレアの♂である。三万分の一のレア猫。
    日本では三毛猫♀は珍しくないが、海を渡った西洋では
    三毛猫自体が珍しいので「MI―KE」とも呼ばれる。

     招き猫のモデルとしても、大人気の三毛猫を見て苦笑する。
    世界中に掃いて捨てる程に溢れる黒猫が、無礼千万だ。
    公園の縄張りを巡って、久々に血を血で争うのも一興。

     相手してやろう。かかってこい。

     だが、その白黒猫は言った。

    『おまえさんの毛並みを笑ったわけじゃないさ。』
    「では何故、ケンカを売る?そして何故ツメを出さぬ?」
    『おまえさんの周囲に、キラキラした光の粒が見える。』
    「そんな事は知っている。これが何だというんだ。」
    『何でもない。立派な毛並みを無駄にするのはどうかな。』
    「意味が解らぬ。何を言いたい。」
    『素直になればいい。じゃあまたな。ライトくん。』
    「話は終っていないぞ。ライトとは何だ!」

    『光という意味だ。』

    「ひかり?」

     白黒猫が姿を消した時、俺は一撃を浴びせようと手を。
    手を、もがいて。バタバタと、泳いで。暴れて。喚いて。
    消えて行く白黒は、その気配すら消してしまい。

     俺はとある人間の女性に抱きかかえられた。
    暴れて、その腕を振り解いて、引っ掻いて、噛み付いて。
    その全てが出来なかった。ちくしょう。負けない。

     でも、もう力が無かった。白黒の言った通り。
    俺は貧弱で弱々しくやつれて、毛並みもはげて落ち。
    震えていたのは武者震いじゃない。寒いだけだった。

     だからどうという事は無い。自然界では当たり前。
    命の光りが消える時、闇へ去る時だ。
    この公園の縄張り、ここは白黒の彼に譲ろう。

     ところで、どうでもいいのだが。この人間の女性は
    何をしているのか。俺はそろそろ終わりを迎えるのだが。
    静かにしてはくれないだろうか。雪が全てを消すように。

     いや。あの。まじで聞いてほしい。

     っていうか、本当に聞けよ。どこに連れて行くんだ。

     眩しい。屋内だ。彼女は下駄箱でスリッパに履きかえて
    そこが動物病院という場所だと後で知るのだが。
    酷い目にあった。あ、いや。死を覚悟したくせに何だが。

     注射だの何だのは、洒落になっていない。絶叫した。

     そのまま妙に暖かい毛布に包まれて、女性に任せて
    どこかへ連れて行かれた。もう……俺は眠っていた。
    柔らかく暖かく。こういうお終いも悪くは無い。よな。

     誰かが言う。「ごめんね。痛かったね。ごめんね。」

     恐らく人間の女性の声だと思ったんだ。

     目が覚めると暖かい部屋の中で、目の前にミルクがあった。
    頭から飛び込むように飲みまくった。何という事だ。
    天国とはこんなに暖かく美味いミルクが、飲み放題だとは。

     あれ?公園で俺を抱きかかえた女性がいる。
    彼女は死んでいないだろう。つまり俺も死んでいないだろう。

     あれ?クルクル見渡す。ここはどこだ?

     痩せてボロボロだった俺は、毎日ミルクを飲んで寝る。
    次第に缶詰もガツガツ食えるようになる。パワーが出れば
    カリカリしたエサも食う。寝る。食う。寝る。食う。
    みるみる毛並みが、本来のようにふんわり伸びてきた。

     堂々たる日本が誇る三毛猫に、俺は蘇ったのだ。

     そしてようやく俺がプレミアムレアな三毛猫♂だと
    気がついたようで、救い主である女性は大変に驚いていた。
    凄いだろう。フフン。彼女に相応しい飼い猫になった。

     オレはナイトしてよみがえったのか。ライトにまぁ似てる。

     ところで。

     このコタツという素晴らしい設備には酷く感動した。
    おそらく彼女は人間界でも貴い地位にあるのだろう。
     一般庶民には、このような高貴な文明は入手し難いはず。

     しかし三毛猫の俺の主君ならば!当然である。そうだろう?
    だが同時に彼女を人間であれば、姫君とか女王陛下とか、
    お呼びせねばならぬ。多分「ニャア」としか聞こえなくても。
    あと俺は騎士の称号か、直参旗本以上の武士であるはずだろう。

     そうだろう?

     ちなみに俺の飼い主の女性は、メメ様と言う名前らしい。
    これは人間としては余り聞かない名前である。

     もしかしたら俺たち猫には、聴き取り難い呼び名であり、
    間違っているのかもしれない。そうは思ったが。

     俺の恩人であって、彼女を守るのは俺の使命となった。
    にもかかわらず、名前すらハッキリしない。これはダメだ。

     様々な研究に結果、彼女は一人住まいのようなのだが
    どうにも出入りする人物が多い。おそらくは国政に関わる
    家臣の者たちであろう。ほとんどが女性達であり
    三毛猫同様、♂は人間界の高貴な身分ではレアなのだ。

     こういう時、俺は彼女の書斎から締め出されてしまう。
    又、多くの家臣たちは、俺に礼を尽くして土産など頂く。
    だがメメ様は、お一人で安息される時間でも休まずに
    民の為に、机に向かって頑張っておられる。

     当然だと思うが、このような場合はメメ様に忠誠を誓った
    騎士であっても、ご公務の邪魔は出来ぬ。故に締め出されるが
    コレは隣室にて待機せよ。というご命令である。
    ちなみに隣室にはコタツがある。これこそが俺がメメ様護衛を
    一手に任された証明に他ならない。VIPルームである。

     かつては自然の掟に抗い、野性をこそ俺の誇りとした日々。
    だが、このように忠義にあって、生きる事もまた誇りである。

     そして遂に念願が叶って、メメ様は俺を「ライト」と
    呼ばれるようになった。確かうろ覚えだが、君主を守護する騎士を
    外国語で「ライト」と呼んでいたような気がする。
    三毛猫なので英語等は詳しくはないが、似ていればそれよい。

    *    

     しばらくすると、彼女は庭に俺の一戸建てを建築してくれた。
    別に家を追い出されたという訳ではなく、メメ様の居城には
    いつでも謁見できるよう、俺専用の小さな入り口が設置された。
    これは俺であっても、頭を下げぬと入室できない狭い入り口。

     日本を誇る三毛猫は、この程度の作法はしっている。
    かつて茶人という風流所作を嗜む芸術家が、編み出した
    如何なる高貴な者であっても、頭を下げて入室すべし。
    下げるのは自然界に対して。そのような入り口だと聞いた。

     メメ様が庭に一戸建てを用意して下さったのは
    城壁周辺警護、それと一定距離の城下庶民の安全を観察し
    時には不本意ながら、不埒者をパワーで捻じ伏せ。
    悪漢を悪の道から更生させ、町の為に生きる事を悟らせる為。

     そうだろう?

     ちなみにメメ様は高貴なお方であるが、だからこそに
    茶目っ気も多分にある、心にゆとりのあるお方である。
    猫ジャラシなどを使い、騎士としての鍛錬を自らお相手下さり
    俺の美しき、毛並みを愛でられたりもなされた。

     ある日、城門扉の俺専用入り口から入ると、見慣れぬモノがいる。
    白っちくて毛も無く貧弱に細い。だが背丈は人間の半分ほどもある。
    この奇怪な物体は何か。いつ侵入したのか。誰の許可を得たのか!

     その根元は丸い筒状になっていた。おそらく逆立ちしたような
    形で立っているのだろう。
    その床に平伏している丸い筒を押してみた。

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    コメント

    • おもしろいです!!
      これ漫画とかにしません?見てみたい!
      • 3 fav
      • Re 返信

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    • ねこまんまさん>
      漫画化……ねこまんまさんの
      アドバイスがあっても、
      小学生の絵本くらいしか
      描けないです(><)
      仮に……ラフな挿絵なら
      力になってやってもいいぜって
      言ってくれそうな、頼もしい
      敬愛する猫に精通した、
      画家の方を存じています…
      チラチラ(無論、ねこまんま先生を見ています。)
      コメありがとうございます!
      「ライト」シリーズは「オプ」シリーズと、部分的にリンクしていますので、
      もしお時間と興味が頂戴できれば、
      是非ともよろしくおねがい致します!m(_)m
      • 2 fav

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    • 漫画・・見て頂いてわかるように私は漫画がへたくそなのです。申し訳ない!!!
      4コマ以外はここで描いたのが初めてという体たらくで・・
      ラフでよければ来年落ち着いた頃にでも・・
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    • そうだ!プチさんと一緒に描こうかな?
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    • ありがとうございます!
      もし、そうなったら楽しみです♪
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    • あ、あと、この作品とは関係なくて申し訳ないんですが、4コマ参加しませんか?
      即興が得意な風呂助さんならと思ってるんですがどうでしょう?
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    • ねこまんまさん>
      ありがとうございます!
      実は、毎回毎回、参戦したくて
      アレコレ考えるのですが、
      本当に難しくて、改めて修行不足を実感です(TT)
      本当に皆さん、凄いなぁと
      感服です!
      ガクリ>_(:3 」∠)_
      運良くネタが降臨したら、
      是非、参戦させてください!
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    • そうでしたか、お待ちしてますね!
      • 2 fav

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    • (((( ;゜Д゜)))ガガガ、ガンバリマス!
      • 1 fav

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