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シリーズ:星久喧噪記 ー賞金稼ぎのミコー 1 プロローグ
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星久喧噪記 ー賞金稼ぎのミコー 1 プロローグ

作者:唐竹十矢

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    列強との戦争の傷跡残る街、星久。街は荒廃の一途をたどっていた。新米賞金稼ぎミコが選んだ最初の獲物は、街で最大の賞金首だった……。


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    星久喧噪記 ー賞金稼ぎのミコー 1 プロローグ 2208文字

     

    プロローグ

    「なんかよう?」
     カウンターから面倒くさそうに見上げているのは、顔にあばたの目立つ、眼の細い青年だった。まばらに生えた無精ヒゲを引っこ抜きながら、不審そうな目でミコの顔を見上げている。
     赤みがかった髪を後ろで束ねた、背の高い娘――ミコ――は、意志の強そうな大きな目をいっそう大きくして、青年を呆然と見下ろしてしいた。
    (これが接客する態度……)
     少し前に代替わりしたとは聞いていたが、こんなガキが取り仕切っていて本当に大丈夫なのかと、他人事ながら心配になる。
     ここは星久市、第三地区の歓楽街の一角にある、斡旋所。
     俗に“ヴァンク”と呼ばれる、賞金稼ぎ達に賞金首を紹介する場所である。
     特殊合金製の鎧を着込んだ男。隆々に盛り上がる筋肉を見せつけるかのように上半身裸の男。いかにも敏捷そうな体つきに、異様に鋭い目を持ったオオカミのような男。気味の悪いくすんだ目をした、小男。腕や顔に異様なタトゥーを施し、ジャラジャラと腰にナイフを下げた、不健康そうな男――
     賞金稼ぎ達の溜まり場ともなっており、この狭い空間に、一目でまともではないと分かる男達がひしめいている。 
     そして彼らのおおよそ好意に満ちているとは言えない視線が、ミコの背中に集中していた。
     まだ十代とおぼしき細身の女子が、たった一人でこんなところに足を踏み込んできたのだ。注目が集まるのも、当然と言えば当然の話なのだが。
    「っていうかさ、あんた来るとこまちがってるよ。売春宿は路地を回った裏通りなんだけど」
    「登録したいから、書類ちょうだい」
     青年の下卑た冗談に耳を貸す様子もなく、ミコはその白い手を差し出した。
    「なに? 本気? もったいねーの」
    「なにがもったいないのよ」
    「あんたがだよ。そこそこカワイイのに。三日後には死体だね」
     ぷ。ミコはわざとらしく吹き出した。
    「ありがと。一週間ぶりに笑ったわ」
     言いながら、差し出された書類にペンを走らせる。
    「別に冗談で言ってんじゃないんだけどね。あ、登録料は三千ギャロだから」
     書類を書き終え、登録料といっしょに渡すと、青年はサッと書類に目を通す。
    「ふーん。あんた、ミコって言うの」
    「ええ。それで?」
    「いや、べつに。なんか、女の名前見るのひさしぶりだったから。ああ、俺の名前はユガ」
     聞いてもいないのに勝手に名乗ると、書類を丸め、脇の箱の中に無造作に放り込んだ。
    「はい、これで終わり。ごくろうさん。証明のカード作っとくから、二、三日後にまた来て」
     そう言って、すでに仕事は終えたとばかりに、散らばった書類の整理を始める。
    「ねえ、ちょっと、まだ用事あるんだけど」
    「ん?」
     眉をひそめるユガに、遠慮無くミコは言う。
    「めぼしい賞金首教えて欲しいんだけど」
    「ほんとに仕事すんの? ハッタリで登録したんじゃないの?」
     ユガは本気で目を丸めている様子だった。
    「本気に決まってるでしょ。ハッタリって、そんなことしてどうすんのよ」
    「なんでそんなに命を粗末にするかねぇ。大体まだカードも出来てないんだからさ、少しは我慢できないの?」
    「あんたね。それが仕事でしょ。とっとと出してよ!」
     強い口調で迫ると、ユガは仕方無さそうに一枚の人相書きをカウンターの上に放り投げる。
    「じゃあ、こいつでも捕まえれば?」
     柄の悪そうな青年の顔の下には、『食い逃げの常習犯。賞金、千ギャロ』と書かれている。
    「登録料にも足りないじゃないのよ!」
    ミコは外にまで響きわたるほどの怒鳴り声を上げた!
    「こんなせこい食い逃げ捕まえろっての? あんたさっきからふざけた口聞きまくってるけど、一回ぶん殴れば静かになる!?」
    「う、うっせーな」
     その剣幕に、ユガはあからさまに動揺していた。それでも言葉だけは強がっている。
    「じゃ、じゃあ、一体どんなのがいいんだよ。あんた新米なんだしさ。そんな高額な――」
    「一番高いヤツ」
    「え?」
    「ここで一番高い賞金首を教えろって言ってるの!」


     星久。
     ある大国の海岸線に存在するその町は、かつては、世界でも有数の商業都市として知られた街だった。
     海外の同盟諸国、いわゆる“列強”が国に侵略を開始したのは、今から五十年ほど前のことだ。十年にも及ぶ大戦の後、国は敗北。列強諸国に分割され、消滅した。
     国民は割譲された国々の人間になることを強制された。
     そして大規模な粛正と、強制移住が繰り返されることで、長い歴史を誇った大国は、その原形をとどめないほどに、破壊されることとなった。
     だが、星久という一つの町だけは、屈しなかった。
     一時は占領の憂き目に遭うが、市長が秘密裏に組織した百人の精鋭部隊、俗に「星久親衛隊」と呼ばれる者達によって、猛烈な反抗を行った。
     約一年に渡る抵抗戦。
     星久の町そのものが舞台となった戦いは、壮絶を極めた。町の大部分は破壊され、十万を越えていた人口も、最終的には二万を下回るまでに落ち込んだ。
     それでも、親衛隊は列強の軍隊を撤退させることに成功。ようやく星久は自由を取り戻した。
     市長が暗殺されたのは、その直後のことである。
     その市長を失った行政機関は、たちまちのうちに崩壊。市長が統帥権を一任していた親衛隊も、必然的に消滅する。
     町は、戦時中を上回る混乱に包まれた。
     疲弊した街にはすでに利用価値はなく、列強はあえて町から目をそらした。混乱が外部に波及する事だけを恐れ、町を外部から封鎖してしまう。
     逃げ場を失った混沌は、町の中でいっそうの渦を巻いていくことになる。
     それが、約五年前のことである。

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    コメント

    作者紹介

    • 唐竹十矢
    • 作品投稿数:9  累計獲得星数:29
    • 以前パピレスの人気投票に参加させていただいておりました。
      まずはそこに上げていた作品をUPしていこうと思います。
      よろしくお願いいたします。

      以下は自著となります。
      「フライレン大陸物語 青き光の王子」
      http://www.papy.co.jp/act/books/1-53527/
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