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シリーズ:サイエンスコースの刺激的な一日
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サイエンスコースの刺激的な一日

作者:かぼちゃの骸

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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     短めで、簡単に読める感じにしてみました。
     お面を拾って捨てる話、二話目。


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    サイエンスコースの刺激的な一日 2562文字

     



     皆は夏休みをどうお過ごしだろう。
     私は補習補習で夏休みなんてないに等しい哀しい青春だと嘯くのが、もはや趣味になっている。
     三時までみっしり勉強して、皆帰る中、私だけは塾に行くために家とは反対方向に行かなきゃならない。
     悩みの種は尽きない。今履いている靴にしてもそうだ。夏休みに入る直前の登校日になぜか違うクラスの靴が一斉に入れ替わる事件が起こった。誰かのいたずらだと思うが、クラスで私だけが、完全に巻き込まれた感じで入れ替わっていたのだ。
     出席番号が一番で、左隣の靴箱にそのいたずらを受けたクラスの人の靴箱が在ったので、絶対間違われたんだと思う。
     隣のクラスの人と仲のいい人が居なかった私は結局、靴が見つからずに、この靴を使うという羽目にあっているのだ。
    「すいません、一寸拾ってもらえませんか」
    「うわぁぁぁ」
     道に落ちていたお面、それまでそこにあるのも気には留めていなかったものがカタカタ動き出す、というか喋った。
    「いい反応ですね、ですけどもう貴方で3人目なので斬新さはありません」
     なにこれ。
     一体どういう原理で動いているの? 理系女子としては、エネルギー保存則が気になるわ。
    「すいません、かわいそうな捨てお面を持主の所に戻すボランティアませんか?」
     取りえず、持ち上げる。軽い。
     叩く。太陽電池の類では無いようだ。
     いくらICチップの小型化が進んでいると入ってもこれはやりすぎだ。すごいよ日本の技術屋と手放しで褒めるにしても、もう少し理解の余地があってもいいと思う。
    「あー、喋れない人ですか?」
    「逆に喋れるお面なの?」
    「まぁ」
     なんて誇らしげな「まぁ」なの!
     
     とりあえず塾に遅れてしまう。
     このお面は持っていこうと決め、バックに突っ込む。
     
    「――――」
     塾も終わると、空にも赤みが差す時間帯になってくる。
     それにしても、このお面が気になりすぎて自分でもびっくりするくらい集中できなかった。というか、フェルマーの最終定理を覚える必要性は本当にあるの?
    「あ、其処の角を右です」
     それにしても解らない。何処からどう見ても薄っぺらい、時価三百円程度のお面である。百歩譲ってICチップの進化により、電子頭脳がレボリューションしたと仮定しても、一体全体何処から電力を供給しているのかがわからない。
     とりあえず、この人の持ち主のところに行けば、大体の疑問は答えてもらえるはずだ。このままでは寝れない夜を過ごすことになる。
    「はい、ここです!」
     意外と私の家から近いところに立っていたその家は、白塗りの研究所でも、大富豪の豪邸でもなく、普通の一軒家だった。一軒家の事を普通と言うと気分を害する人も居ると思うが、世間一般で言う一軒屋ってこんな感じという意味だ。
    「とりあえず、電気は付いてるわね」
    「本当にありがとうございます」
    「最後に確認しておきたいんだけど」
     そう、これだけは確認しないといけない。
    「私が幻聴を聞いてるということはありえないよね」
    「えぇ、それは私が中国語を喋った事で確認したじゃないですか」
     いや、確かに私の知らない言語を使いこなせば、確かにそれは幻聴では無いと言えるだろうが、私が中国語を知らないので確認の仕様がないのでは無いのか。
    「とりあえず入るわ」
     インターホンを押すと、すぐに扉は開いて、私と同じくらいの男子、なぜか顔が絆創膏だらけだったが出てきた。
    「……どなたですか」
     なんだか、すっごいくらい感じで話しかけられた。
     逆に話しかけやすそうで助かった。
    「このお面が」
    「失礼します。いま、茶の間でたけのこが大量発生してて、それどころじゃないんで」   
     バンと私が言い終わる前に素早く扉を閉められてしまった。
    「押しが弱いですよ!」
     お面になぜか駄目だしを受け、それでもせっかくここまで来たのに門前払いは無いだろうともう一度インターホンを押す。
     数分経ったろうか。相手は無視を決め込んでいるらしい。
    「連打するといいですよ」
     お面のアドバイスどおりにすると、恨めしそうな顔をしたさっきの男子がドアを半分だけ開けて出てきた。
    「ちょっと上げてくれない」
     正直、話を聞くにしても体が冷え切ってしまっていて、辛かった。
    「……たけのこが」
    「いや、たけのこは春でしょ」
     私がドアを掴んで無理やり脚を入れると、観念したのか、家に上げてもらうことに成功した。
    「お面、とりあえず貴方のでしょ?」
    「……違う」
    「違うの?」
    「そんなことないですよ、騙されないでください!」
     お面が焦った様子で否定するのを見て、何となくお面がいらなくて嘘をついているんだろうと踏んだ。
     しかし確信は無い。
    「…………それ、捨てていいですから。切り刻んでから捨てるといいですよ」
     とりあえず嫌いだという確信は得られた。
    「返すわ」
     本当は、持って帰ろうかとも一瞬考えたが、気が変わった。
     これは呪いのお面では無いかと思い始めたのだ。なんと言ってもこの嫌われようだし、呪いのお面は語呂もいい。
     何よりこれで喋るという謎が解ける。もともと物理則が通用しないものだったのだ。そうに違いない。
     り、理系女子としてはそういうのには、あまり関わりたくないというか、ホラーとか、幽霊とかとは、仲良するべきではない。
    「……寒いの?」
     がたがた震えている私を見て勘違いした男子が、声を掛けてくる。
    「うわぁぁぁ」
    「痛いっ」
     男子にお面を投げつけて、履きなれない靴を履く。
     バンとドアを閉じて、久しぶりに全力で家まで駆けた。
     
     自分の家に帰って、お母さんの顔を見てやっと安心する。
    「どうしたの? 汗だくよ? それよりもお母さん、貴方の哀しい青春を打破するためにご馳走を作ってみたのだけれど」
    「ありがとう。でも、今日は凄い刺激的な青春を送ってきちゃったから休ませて……」
     ソファにダイブして、そのまま寝てしまおう。
     明日になれば大丈夫。私はいつも通りよ。

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    コメント

    作者紹介

    • かぼちゃの骸
    • 作品投稿数:4  累計獲得星数:3
    • 海苔が好きです。
      なろうも見てね。



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