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シリーズ: お昼寝タイム事件があったもんで
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 お昼寝タイム事件があったもんで

作者:相坂桃花

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    トリップ先にお酒と果実があったもんで番外編

    番外編ですので、本編をご一読の上読んでいただけると、幸いです。


    登録ユーザー星:7 だれでも星:3 閲覧数:478

     お昼寝タイム事件があったもんで 3625文字

     




    「あ……そんなつよくにぎらない……で……あ……はげし……っ」
     それは、とある平和な昼下がり。
     起こった小さな事件でございます。






     御山(おやま)から永久が採ってきた籠いっぱいの苺的な果物を、一日かけてジャムに作ったあたし、飯島早苗はお隣に住む小豆さんたちにお届けするために、家を出た。
     隣と言っても、畑を挟んでいるので少し距離はある。
     小豆さんの家は、永久と因幡さんの家よりも少し大きめで、まだ経って間もない新築である。なんでも、あたしがこの村に来る少し前に、小豆さんと同居人さんの大ゲンカの末、家が半壊してしまい、立て直す運びになったそうだ。
     ……喧嘩で家が半壊って……どんな規模で喧嘩をしたのだろう。
     鼻歌交じりに歩き、辿り着いた小豆さんの家でお茶をもらい、ついでのように軽く口説かれ、同居人さんが「破廉恥だ!」と怒り、あたしは笑って受け流す……という時間を過ごした。
     そういうことがあったので、予定よりも少し遅い帰りになったあたしは、心もち急ぎ足で家路に着いた。
    「ただいま〜」
     戸を空け、足を踏み入れた瞬間。
     鼻孔を甘い匂いがくすぐった。
     家の中には、苺の匂いで充満している。
     ジャムにしたことで、その匂いはさらに濃厚なものになっていた。
     作ったジャムは小瓶に入れて、とりあえず保管してある。果物はいつでも好きなだけ手に入る環境にあるので、新鮮なうちに食べてしまおうとか思っている。
    「おふ」
     思わず、息を飲む。いや、吐いたのか。
     あまりの衝撃に、自分が息を吸ったのか吐いたのかさえ、わからなくなった。
     あたしの視線の先、黄色と白のコントラスが愛くるしい物体が――。
     居間の真ん中で、愛くるしいものの集合体ができあがっていた。
     それらは、 いつも食事をするちゃぶ台は脇に寄せ、空けたスペースで、すやすやすぴすぴと、寝息を立てているではないか。
    「ちょ、待って。キタコレやばい」
     自分を落ち着けるために、独り言を漏らす。
     そっと、足音を立てずに少し近づいて……止まる。
     これ以上近づけば、起こしてしまうかも……と思うと、うかつには近づけない。
    「ああんもぉ、かわいい」
     うっとりと乙女のような眼差しに――自分でも、そうなっているのと自覚のある眼差しで、見下ろし、熱い息を吐く。
     永久と因幡さんは、寝る時には動物体……というか、ぬいぐるみのような身体になる。
     なので、二人が昼寝時、動物の姿になるのはわかる。
     本人たち曰く、「虎だもん」「うさぎですから」としか理由は説明されないので、そういうものだと納得するしかない。
     永久がお昼寝をすることは珍しくないのだが、因幡さんも一緒なのは珍しい。
     少なくとも、あたしが見かけることは滅多になかった。
     相変わらず黄色い座布団のようになった永久が、すぴすぴと仰向けになって寝息を立てている。いつものごとく、股間部分はぐるぐる巻きになっている尻尾で隠されている。
     で。
     問題は因幡さんだ。
     因幡さんは…………永久の枕になっていた。
     ただの黄色いざぶとんになっている永久と違い、因幡さんは着物を着た状態でうさぎスタイルになっているのだが…………永久が因幡さんを枕にしているせいか、着物が枕カバーに見えてきた。
     すぴすぴ、すやすやと……それはもう、健やかな寝息を立てて幸せそうに眠る二人は、息が止まりそうになるくらいにかわいかった。
     だがしかし、因幡さん……重くないのかな。
     永久と因幡さんでは、その身体の大きさがあまりにも違いすぎる。
     かわいいんだけど、ちょっぴりかわいそうな気がした。
     ……だからといって、永久を起こすのもかわいそうな気がする……。
     あたしはいったいどうしたら……。
     そう悩んでいると、幸せそうに寝ていた永久の眉間にシワがより始めた。
     急に寝苦しくなったように、身体をもぞもぞとゆすり始める。
     ん? どうした永久?
    「んん……あ、……だめ……さなえ……そんなつよく……ああぅ……うう……さな……んん……いたっ……らんぼうにしちゃ……あ……んん……あわだっちゃう…………」
     …………。
     ………………。
     ……………………。
     こ、こ…………こらぁあああああああああああ!!!
     どんな夢を見てるんだ!?
     夢の中であたしは何をしているんだ!?
     夢の中のあたしは何をしてるんだ?!
     つか、あわ立っちゃうって何がどうあわ立つんだ!?
     やめてくんない!? 超やめてくんない!?
     それじゃまるっきり、あたしが夢の中で永久にい、いかがわしいことをしているみたいじゃない!
     思わず永久の胸ぐら……はないけど、そこ辺りを掴んで叩き起こしそうになるが、あたしよりも先に、因幡さんが反応を示した。
     まあ、自分の身体の上でもぞもぞと動かれたら、そりゃ起きるわな。
    「……………………」
     永久の身体の下から這いずり出た因幡さんは、まだだいぶ眠そうな目を半分ほど開けて、うつらうつらと、頭を動かしている。
     よっぽど、眠たかったのだろう。
     それでも、因幡さんは夢にうなされている……んだと思う永久の身体に手を置き、ぽんぽんと、あやし始めた。
     因幡さんのぽんぽんのおかげか、永久の寝言も収まってくる。
     まだ半分以上は寝ているんだと思われる因幡さんは、永久が再び安眠しだしたことに安心したのか、同じように昼寝の体勢に戻った。
     だだし、今度は因幡さんが永久のお腹の上に乗る。
     もぞもぞと、寝やすい場所を探し、すぐにベストポジションを見つけたようで、すやすやと寝息が聞こえてきた。
     すぴすぴ、すやすや。
     永久のお腹の上で眠る因幡さん。
     因幡さんを枕にして眠る永久よりは、まぁビジュアル的にかわいそうな感じはしない。
     そろそろと近づき、間近で眺める。
    「しかし……」
     かわいい。
     幸せそうに眠る二人に、ニヨニヨしてしまう。
     自分も身体を横たえてみる。川文字とは少し違うけど、こうやって一緒に眠るのって、幸せな気分になるなぁ。
     ……そうだ。
     永久はバスみたいに大きくなることもできるんだし、今度大きくなってもらって、あたしもそのふわふわもこもこのお腹に乗せてもらおう。
     きっと、永久ならば嫌がらないだろう。
     永久のひげを指先で軽く引っ張りながら、あたしはそんなことを思った。





     起床後。
    「永久の夢に早苗が出てきたよ。早苗、永久を洗ってくれたんだけど、永久はあわでもこもこの永久になったんだよ。そしたら、早苗ってばあわもこもこの永久で、お風呂を洗い始めたんだよ」
     夜ご飯を食べながら、永久は夢の内容を教えてくれた。
     あわ立っちゃう発言の理由は、それか。
     なるほど。
     座布団ないしぬいぐるみ姿になった永久ならば、そりゃああわ立ちもよいだろう。
    「……そりゃ、難儀な夢だったわね」
     ほとんど悶えていたという事実は隠して、あたしは答えた。
     ひくつく頬をとめることはできなかったけれど、それは仕方がないだろう。
    「早苗、永久のことをぎゅうぎゅう強く抱きしめるんだもん。ふふふ。大胆」
     ……ああ……強く抱きしめたのか……ついでに、尻尾か何かを握りしめたのかしら。
     なんだか、ドッカリと疲れた気分になる。
     寝言は不可抗力だ。文句を言っても仕方がない。
     小さくため息をついて、気を取り直す。
    「あ、そうだ。あのさあのさ。永久にお願いがあるんだけど」
    「おねがい? 永久に? いいよ」
     内容も聞かずにOKを出す永久に、悪い人にそのうち騙されないかちょっぴり心配になる。
     ……まぁ、そうなったら、あたしと因幡さんで永久を騙すような極悪人には、正義の鉄槌(てっつい)を下すしかない。
    「永久のお腹に乗りたい。もふもふした方」
     そのまま青年の姿をした永久のお腹に乗るのは、乙女としての羞恥が邪魔をする。
     というか、あたしはもふもふしたお腹に乗りたいのだ。
     い、因幡さんが羨ましかったのだ……!
    「いいよ〜」
     永久はおにぎりの最後の一口を食べ終わると、「ごちそうさま」をして、ちゃぶ台から二歩ほど離れると、黄色い座布団に姿をかえた。
    「どうぞ、早苗」
     仰向けにになって、ごろーんとお腹を無防備にさらす。
     が。
    「いやいや。その姿では無理だから。あたしが寝たら、永久がぺちゃんこになっちゃうでしょ」

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    コメント

    • ちょっと一瞬いかがわしい・・じゃなくて勘違いをするところでした。ふー、あぶない。かわいいやりとりでほんわかします。
      あ、と、それから絵本を出させて頂きました。相坂さんも登場するので良かったら御覧いただければ幸いです。
      • 2 fav
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    • いかがわくしくなんか、ないですよ。
      欠片もいかがわくしくなんか、ないです(・∀・)ニヤニヤニヤニヤ
      絵本拝見させていただきました!
      めっちゃかわいい(笑)!!
      • 2 fav

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    • やっぱり、かわいい~~ん♪ かわいい~~~ん♪(*´∇`*)
      あーもー、ねこまんまちゃんと同じくらい癒されますなぁぁw

      早くイラストコンペの投票が始まらないかと、今からウキウキワクワクですww
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      • Re 返信

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    • かわいいぃ~ん♪と言っていただけて、嬉しいです~(∩´∀`@)⊃
      こういう番外編においては、永久は作中のかわいい担当かな……とか(笑)
      ヒロイン早苗ピンチ!
      イラストコンペは本当に楽しみであり、ドキドキです(笑)
      本当にありがとうございました!
      • 2 fav

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