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シリーズ:お嬢様と(下)僕
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お嬢様と(下)僕

作者:Maggie

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    3分で読める、可愛いお嬢様と僕のラブコメディ


    登録ユーザー星:3 だれでも星:2 閲覧数:398

    お嬢様と(下)僕 1194文字

     

     僕がお仕えするお嬢様は、いばりんぼで生意気で、でも本当はかなり可愛いお方だ。
     奥様は早くに天に召され、旦那様はお仕事でお忙しい。お嬢様は広いお屋敷でひとりぽっち。それでもけして我がままを言わず、お父君のお戻りを待っていらっしゃる。
     その分、おそばに仕える僕には言いたい放題、やりたい放題なのだけど。
    「これは何!? 桜餅と言ったら道明寺でしょ、やり直し!」
    「そんなに背が高いなんて生意気よ、下僕のくせに!」
    「明日はお父様と一緒にお呼ばれなのよ。絶対晴れるよう、テルテル坊主を百個作りなさい!」
    「せっかくのお呼ばれだったのに、雨になっちゃったじゃない。お前の作ったテルテル坊主は役立たずだわ。みんな首をちょん切って!」
     徹夜で作ったのにそりゃないよ、なんてこぼそうものなら。
    「代わりにお前の首をちょん切られたいの!?」
     見かけはちいちゃくて愛らしくて、お人形みたいな方なのに、口を開けば天邪鬼より手が付けられない。
     けれど、お嬢様の十一回目の誕生日。
     その日も旦那様はお仕事で、
    「すまない。今夜も遅くなる」
    「心配なさらないで、お父様。良い子でお留守番いたします」
     お嬢様は笑顔でお見送りされたけど。
     僕は見つけてしまった。お嬢様がお居間の隅でひとり声を殺して泣いてらっしゃるのを。
     この方は理解しておられる。泣いてお父君に我がままを言うのは簡単だ。誕生日くらいそばにいて、と。けれどそれを言ったところで、お父君を困らせるだけだということを。
     それよりはお父君を安心させてさしあげようと、淋しさも涙も我慢して、無理に笑っておられたのだ。
     僕は使用人の立場も忘れ、お嬢様を抱きしめた。
     泣いて汗ばんだ前髪をかきあげ、可愛いおでこにキスをする。
    「え……」
     お嬢様は一瞬、大きく目を見開いて僕を見上げた。
    「子ども扱いしないで!」
     お嬢様の頬が見る間に紅く染まる。両手がぎゅっと握りしめられ、小さな体に怒りが満ちていく。
    「も、申し訳ありません、つい……」
    「踏み台を持っておいで!」
    「は?」
    「踏み台よ! お前、踏み台も知らないの!?」
     怒鳴られて、僕はあわてて踏み台を取ってきた。女中たちが棚の上の物を取る時などに使うやつだ。
     お嬢様は意気揚々と踏み台に飛び乗った。ふんぞり返って僕を見下ろす。
    「目を閉じなさい」
    「え?」
    「いいから目をつぶって!」
     反射的に目を閉じると。
     唇に、ぷにっとやわらかくあたたかなものが触れた。
    「えっ!?」
     目を開けると、両手を腰にあて、お嬢様が勝ち誇ったように僕を見下ろしている。
    「いいこと? 下僕のお前がわたしを見下ろしてキスするなんて、思い上がりもいいとこだわ。こうしてわたしがお前を見下ろすのが正しいのよ。これからわたしにキスしたくなったら、必ずこの踏み台を持っていらっしゃい!」
     ……ああ、まったく。
     僕のお仕えするお嬢様は、いばりんぼで生意気で、プライドばっかり高くって、それでも本当はとてもとても可愛い方なのだ。

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    作者紹介

    • Maggie
    • 作品投稿数:10  累計獲得星数:91
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      平安~明治大正まで、日本を舞台にしたヒストリカルロマンスを中心に、アクション、歴史ものなど、オトナ女子向け作品を手がけていきたいと思っています。もちろん、Hotなシーンももりだくさん! どうぞよろしくお願いいたします。
      つぶやきはTwitterではなく、すぴばるが中心です。
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