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作者:能上成之

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    疲れたわたしは洗面台で顔を洗ってから、鏡を見た。


    登録ユーザー星:20 だれでも星:0 閲覧数:441

    1012文字

     


     疲れて眠くなってきたので洗面所で顔を洗った。冷たい水が心地いい。
    「ふうー」
     ため息をついて鏡を見る。目の下には隈ができていた。
     鏡に映るわたしの後景は見慣れたものだ。
     生成りの壁紙に、作り付けの棚。棚の中には色とりどりのバスタオルにフェイスタオル。ストックしてある石鹸にシャンプーのポンプ。
     普段から見慣れているから何も違和感はない。
     でも、たまに鏡を覗き込み、普段見えない背景を見ると思うことがある。
     鏡に映るそこは、実際と何一つ違わないのに、なぜか異界のようだと。
     洗面台の右斜め向かいには風呂場の入口があるが、歯を磨くときなどいつもの立ち位置だとそこは見えない。
     でも、顔をよく見ようと覗き込んだりした時、風呂場の入口が見える。風呂のドアを開けていれば、少しだけだが風呂場の中も見える。鏡に映るその隅に何かが潜んでいるように見えるときがある。一瞬どきっとして、見直すと何もない。振り向いて実際に見ても、もちろん何もない。
     入口の上の方から顔を覗かせて、こちらを見ているように見えることもあれば、下の方から覗いているように見えることもある。
     そんな感じだから、異界のようだと思ってしまう。
     合わせ鏡をして悪魔を捕まえるなんてことも聞くから、みんな似たようなことを考えているのかもしれない。
     ただの錯覚なのだ。でも、驚くし、怖くもある。
     目の下の隈をよく見ようと鏡を覗き込む。
     風呂場の入口が開いている。タイルの上に血まみれの足と薄目の開いた生首が見える。
     わたしは一瞬驚き、目を見開く。しかし、すぐ苦笑に変わる。
     これは錯覚ではないから。
     わたしは今、殺した彼を風呂場で解体している。だからこれは錯覚ではない。
     もうちょっとで処理が終わる。できるだけ細かくして、少しずつゴミ収集に出そうと思っている。あとは見つからないように祈るだけだ。
     早く済ませてビールを飲もう。
     もう一度、冷たい水で顔を洗い、鏡を見る。
     大きく目を開けた生首が洗面所の床に出てきている。これは鏡が見せる錯覚?
     足の指が蠢いている。今まで見えなかった手がタイルの上を這っている。これも錯覚? 
     きっとまだ、わたしは疲れているのだ。
     あたりに水が飛び散るのも構わず、再びじゃばじゃばと顔を洗い、頭を上げる。
     鏡の中のわたしの横に、ばらばらにしたはずの彼が立っている。
     鏡から視線を外し、横を見ると誰もいない。鏡に戻すと横にいる。彼の手が私の首に伸びてくる。
     ああ、これは錯覚だ。すべて鏡が見せる錯覚なのだ――











































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    コメント

    • こんばんは。のっけから怖いものを見てしまったと思ったのに、現実だったというのが凄く怖いです;;普通の鏡も怖いですが、三面鏡とか怖いですよね;互いに向きあわせると永遠に続いていて@@;また現実では見えてないのに、鏡の中だけ違う物が映ってるというのも;
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    • 幻覚ではなく、錯覚だということは・・・彼はそこに存在するわけですね・・・。いやしかし、早く終わらせてビールを飲もうとは・・・すでに壊れてますな、彼女w
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    • どこのどなたか、★をありがとうございました。新着情報からお名前をチェックすればよかったのに、慌てて確認に飛んでしまい、あああー、★には名前が出ないのだった―って、がっくりきたのですが、後の祭り。申し訳ない。いまだにupppi内で迷走しています。
      もし、良かったらまた来てくださいね。(ここを読んでくれることを期待して)
      • 1 fav
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    • 真夜中に起きてやむを得ず鏡の前に立つと意識して鏡を見ないようにしています。怖いから。あと、隙間。押入れとか、少し開いてると、めっちゃ気になってぴしゃんと閉めます。
      • 4 fav
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    作者紹介

    • 能上成之
    • 作品投稿数:42  累計獲得星数:464
    • 読むのも書くのも、年がら年中、ホラーです。ホラー馬鹿です。
      脳みそがすぐ忘却の彼方に行ってしまうので、いつでも読めるように気になる作家さんをすぐフォローしてしまいますが、フォロー返しに気を遣わないでくださいね。なぜなら、ホラーしか読まないから。
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