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シリーズ:【よくないおしらせ】媚薬をつかう
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【よくないおしらせ】媚薬をつかう

作者:壬生キヨム

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    とても短い話。

    【よくないおしらせ】番外編。
    登場人物:
    朝雛雅人(あさひな まさと)/21歳/男/大学生
    白鳥七生(しらとり ななお)/26歳/男/会社員


    登録ユーザー星:3 だれでも星:5 閲覧数:2071

    【よくないおしらせ】媚薬をつかう 2383文字

     

     白鳥七生が食器の洗い物をしていると、リビングに座ってくつろいでいる朝雛雅人が何かを思い出したようにバッグから箱を取り出した。パステルピンクとブルーのパッケージは可愛らしく、お菓子の箱のように見えた。
     デザートに食べようとしているのかと思っていたら、雅人はその箱を疑うようにまじまじといろんな角度から見ている。特に、裏に貼ってある製品シールは慎重に見ているようだった。
     こんなにも可愛らしい箱の菓子を選ぶのは彼らしくない気がしたので、おそらく貰い物だろうと七生は検討をつけた。もらったはいいが、喜んで食いつくほどではないということだろうか。
     雅人は説明書きに納得したのか、箱を開けた。
     中は個包装になっており、透明な袋に、いくつかの白いものが入っていた。雅人はひとつをつまみ、また時間をかけて観察している。
     飴玉くらいの大きさで、遠目にはまさにキャンディか、ホワイトチョコレートかに見えた。

     雅人はちらりと七生を見た。
    「おいしそうですね。チョコレートですか?」
     七生がそう訊ねたが、雅人は答えず、袋をあけて、それを口に入れた。
     七生は、答えてもらえなかったことに多少傷ついたが、彼が感想を言うのを待った。
     しかし、雅人はすぐに、青ざめると口を抑えて立ち上がり、慌ただしくキッチンまで来ると、七生を押しのけて流し台に今口に入れたものを吐き出した。
    「だ、大丈夫ですか?」
     雅人がこんなふうに極端な反応をするのは珍しい。七生は驚いたが、泡だらけの手で彼に触れるわけにもいかず、ただおろおろとした。
     雅人は黙って水を口に含み、何度かゆすいだ。
     しばらく流し台を占領していたが、しばらくすると体を起こして手の甲で口を拭う。
    「そんなに口に合いませんでしたか? お菓子じゃないんですか?」
    「媚薬」
    「え?」
    「らしい」
    「あの、も、もう一回言ってください」
    「媚薬」
    「びやく? とは?」
    「エロい気分になる薬」
    「そ、そんなものをどこから手にいれてきたんですか」
    「ねこきちがくれた」
    「ねこ吉さん?? 会ったんですか?」
     ねこ吉とは、過去に七生の祖父の使い魔をしていたねこで、現在は各地を旅しているという。
    「今、そういうのを研究している魔法使いのところにいるらしい」
    「大丈夫なんでしょうか、その魔法使い……ねこ吉さんが心配です」
    「俺の心配をしろ」
    「えーと……。あの、漫画で読んだ知識なんですが、媚薬って、その、自分で飲むのではなくて、狙ってる相手に飲ませるものなのでは?」
    「だって、あんたいきなり自分の体に違和感が出たらいやだろ」
    「そ、そこは思いやってくれるんですね……」
     雅人は熱のこもった目で七生を見た。
    「それで、そんなにひどい味だったんですか?」
    「ちょっと苦手な感じだった」
    「そ、そうですか……」
     雅人は、七生の買ってきたお菓子類がある棚を勝手に開けると、カレーせんべいを選んで食べ始めた。

     七生は洗い物を終えると、リビングに戻り、雅人が置いた箱を手にとった。パッケージはバラをモチーフにした洒落たデザインで、ウラ面の製品シールには「ボンボン」と書いてある。
     中身を一つ取り出してみると白い球体で、これは砂糖をこのように固めたようだった。いわゆるウィスキーボンボンなどの要領で、中に媚薬が投入されているらしい。降るとちゃぷちゃぷと液体の入っている音がした。
     これがどのように流通しているのかわからないが、媚薬であることを示す表記はパッケージにはない(まあ、そうなのだろう)。
    「あの、体の方は大丈夫なんですか?」
     となりで新聞を読んでいる雅人に訊ねると、彼は平然としている。
    「すぐに吐き出したから大丈夫なのかな?」
    「大丈夫じゃない。俺が、せっかくあんたをかばって自ら食べたんだから、七生も一つ食べろ」
    「えっ、なんだか、媚薬を飲ませられそうになっていることよりも、あなたが食べて美味しくなかったものを勧められていることのほうがショックです……」
     雅人が一つを掴んで渡そうとするのを一生懸命避けていたら、七生の携帯電話が鳴った。

    「あっ、ねこ吉さんです」
     七生が画面も見ずに言い、通話ボタンを押した。どうやら着信メロディを専用のものにしていたらしい。
    「もしも……え? あ、……はい、そうです。…………は、はい」
     七生は改まった口調で応えながら、雅人の方をチラチラと見た。ねこ吉に接する口調ではない。
    「え、ええ……はい、ちょうど……ええ、まあ……。えっ、そ、そうなんですか……は、はい……いえ、はい。……失礼します」
     七生は相手に押され気味に答え、電話を切った。
    「ねこ吉じゃないのか?」
    「いえ、どうも、その、ねこ吉さんが今一緒にいるという魔法使いの方からだったみたいで……」
    「なんだって?」
     七生が媚薬のパッケージをチラと見た。
    「これ、どうも、全部が媚薬ではなくて、この中のひとつが当たりなんだそうです」
    「当たり?」
    「ええ、一つだけが、その、媚薬で、それ以外は単にバラのエキスが入っているそうです」
    「なるほど。じゃあどっちが当たるか勝負するか」
    「それ、勝負にならない気がします……」
    「当たったほうは何でも要求できるってのでどうだ」
     七生は多少考えた。
     雅人はもう一度砂糖菓子をよく見た。よく見たら、個包装になっている砂糖菓子の一つに、小さなシールが貼ってあった。
    「ていうか、これが当たりなんじゃ……」
    「じゃあ、あんた食べてみろよ」
    「えっ、い、嫌ですよ……」
    「当たりだったら何でもしてやるぜ」
     いたずらっぽく笑う雅人を見て、七生はもう一度考える。
    「俺が食べてもいいよ。その代わり、あんた俺の言うこと全部聞けよ」
    「ぜ、全部って、いったいいくつあるんですか……」
    「どうする?」 
     七生が考えている間に、雅人はそのシールを丁寧にはがした。すると、見た目は他の菓子と同じになる。
     雅人はそれを箱に戻して蓋をすると、箱を勢いよく傾け

     ここでおしまい。
     (タグの、○に入る文字は「ミ」)

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    コメント

    • な、なんですとーーーーーーーーーーーーー!? 面白かったです……。
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    • わーいありがとうございます(`・ω・´)

      この、バラエキス入りの砂糖菓子を私が実際に食べてオエッとなったことが執筆のきっかけでした(-w-)笑
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