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シリーズ:彼女は創価学会員
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彼女は創価学会員

作者:おはぎ

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    ぼくの彼女は学会2世とかだった。
    ぼくは宗教の自由は尊重する。
    しかし・・・・


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    彼女は創価学会員 34576文字

     




    休日、彼女とドライブに出かけた途中、立ち寄った喫茶店でのことだ。
    窓の外の、猛暑に疲れ果てた色あせ気味の山並みを眺めながら、僕は、彼女と他愛も無い話をしながらコーヒーを飲んでいた。
    彼女は、僕の会社の同僚で、付き合いはそれほど長くはない。
    どちらからともなく、交際は始まった。
    だが、付き合ってみると、今時にしてはスレてなく、とても良いお嬢さんだと僕は思った。
    彼女は、男遊びも全然してないようで、僕は、思わぬ拾いものをしたようにも感じた。

    それに美人で僕の好みのルックスだ。
    僕もそろそろ30手前だし、この子と結婚をしてもいいかもしれないな・・・
    そんなことを考えながら、彼女のきれいな指先を眺めていた。

    そんな僕の視線に気がつくと、彼女は、手にしていたコーヒーカップを皿に置き、自分の膝の上に手を引っ込めてた。
    そんなしぐさがまた可愛い。ニッコリと僕は笑った。
    しかし、彼女の顔から笑顔が消えた。

    「ん?」

    僕は気が利く彼氏だという自負がある。
    彼女の異変は、少しも見落とさない・・・つもりだ。
    「どうかしたの?」
    彼女は、うつむいたまま黙っていたが、顔を上げ、無理やりな笑顔を作ってみせた。
    さあ、何でもこい。ここは、僕の頼もしいところを見せてやる場面だ。
    やがて彼女は、僕にこう言った。

    「私ね・・・創価学会なの・・
     親がやってて・・」

    なに?
    創価学会・・って ああ、あのわけのわからない宗教団体か。
    まさか彼女も、家で「ナンミョウホウレンゲキョウ」とか唱えてるのか?
    想像できないな!
    というか、勘弁してくれよ・・・・
    何を話していいか戸惑ってる僕より先に、慌てて彼女がこう付け足した。

    「でも、私・・
     そんなに熱心じゃないから」

    この言葉に、正直、僕はほっとした。
    そして僕は、改めて頼もしそうな彼氏像を取り繕い、思いっきり微笑んで彼女に優しく話した。
    「大丈夫。僕はそういうのなーんとも思わないから。」

    僕のその言葉に、彼女はとても安堵したようだ。
    気が抜けたように椅子の背にもたれかかると、大きく息を吐いた。
    「よかった〜・・・。
     世間じゃ、いろいろ言われてるでしょ?
     だから、町田君も私のこと変に思うかな〜って、心配だったの・・」
    「理恵ちゃんは、全然普通じゃないか。
     少しも変じゃないよ。
     それに、親がやってるだけで、君はやってないんでしょ。
     じゃあ関係ないさ」

    僕のその言葉を聞くと、彼女は本当に嬉しそうだった。
     
    「創価学会」の話はそれだけで終わり、僕らは終日デートを楽しんだ。
    この日の僕は、物分りが良く、頼り甲斐のある自分を十分アピールできた。
    上出来だ。



    理恵は、町田に自宅付近まで車で送ってもらった。
    家に入ると、いつもながらの線香のにおいがする。
    玄関先には、公明党議員のポスターが貼ってあり、下駄箱の上には小さな三色旗が飾ってある。
    奥の部屋からは、母親の「ナンミョウホウレンゲキョウ」が聞こえてくる。
    楽しいデートの余韻は、すっかり消え去った。
    「おかえりなさい。理恵、もう少し早く帰らなきゃだめよ」
    「うん・・・。パパは?」
    「統監責任者会に行ってるわよ」
    「そうかぁ。いい加減若い人に代わってもらえばいいのに・・・」
    「学会活動は、やればやるほど功徳をつめるのよ。大したものよパパは」
    「そうね」
    理恵は、仏間にあがると仏壇の前に座り、題目を3遍唱えた。
    合掌し、しばらく何か祈った後、母親の方を振返り、おもむろにこう言った。

    「今日ね、町田さんに、うちが創価学会だってことを話したわ」

    「まあ、そうなの!それで?」
    母親は、学会員であることを名乗った娘の勇気を賞賛するように微笑んだ。
    「彼は、学会に対して偏見ない人みたい・・・」
    「それはよかったわね!
     ママは、町田さんは良い人だと思うわよ。理恵もそう思うでしょう?」
    「うん・・」
    「じゃあ、これからはご本尊様に彼のことも祈ってあげましょうね」

    未入信の彼を持つ事に、寛大な母親で良かったと、理恵は思った。
    それでも、理恵は後ろめたさを感じていた。

    それは、
    理恵自身が熱心な信者だという事実を、町田には言えなかったということだ。

    この信心は絶対に正しいのだから、いずれは町田さんも私達と共に信心をするに決まってる、だから、今はあえて言うこともなかったんだと、理恵は自分で自分を納得させた。

    理恵は、仏壇に向かい、題目を唱え始めた。

    『お前は 熱心な信者だと知られて嫌われたくなかったのだ!』
    『違う!自分がそんな情けない信徒なんかじゃない!!』

    二つの声が、頭の中でぶつかり合う。
    理恵の題目は、力強く、速くなった。
    そして、いつしか、理恵の祈りは、こう定まった。

    「町田さんを、必ずや入会させます!!!」








    やがて、僕らの交際は1年にもなった。
    礼儀正しく控えめで、時として凛とした清々しさを持つ彼女。
    僕の自慢の彼女となった。会社でも、公然と恋人同志だ。

    その間に、オヤジやお袋にも彼女を紹介した。
    それから、あんまり会わせたくなかったが、売れないロックミュージシャンの兄貴にも紹介した。
    女には手の早い兄貴で少し心配だったが、悪い人間ではない。
    そんな兄貴でさえも、下心抜きに彼女を大絶賛だ。
    つまり、家族全員が大歓迎ムードで盛り上がった。
    お袋は、「式の日取りはどうしようか?」と口にするので、さすがに「それはまだ早いよ」と、僕は止めた。
    しかし、彼女は僕の横でニッコリ微笑んでいた。

    彼女の誕生日祝いに、高級フランス料理店で食事をした日の帰りのことだ。
    僕が、いつも通り彼女の自宅まで車で送ると、玄関先に彼女の母親が立っていた。
    車から降りた彼女は、母親となにやら話しをしていたが、やがて彼女が僕にこう言った。

    「ママが、町田さんに、うちにあがってお茶でも・・って・・・」

    僕はまだ、彼女の自宅にはあがったことがないし、彼女の親とよく話したこともない。
    未来の娘婿を品定めするために、母親は僕を家にあげるのだな?
    胸の鼓動は少しだけ早くなった。
    しかし、そこらの若造とは違う。
    それなりに自分には自信がある。自信をもてなきゃ情けない年齢だし。
    さあ!堂々と、茶の1杯や2杯、呼ばれてやろうじゃないか!
    僕は車から降りるとビシッと背筋を伸ばし、彼女の自宅の玄関に立った。

    すると、父親が目の前に立っていた。

    やはり母親だけ・・・なんてことないか・・・。
    まな板の鯉になった気分で、僕は大きな声で自己紹介をすると家にあがった。


    玄関先には・・・・・
    おお三色旗!これが、うわさの・・・。
    それから、この前の選挙で落選した公明党議員のポスターが貼ってある。
    その前を追加して、二間続きのだだっ広い和室に入ると、大きな座卓が目に入り、
    続いて、大きな黒い仏壇に僕は圧倒された

    ちょっと呆然としてる僕をよそに、彼女の理恵ちゃんは、仏壇の前に正座すると慣れた手つきで鈴を鳴らし、小さな声で「ナンミョウホウレンゲキョー」を3回唱えた。
    初めて聞いた理恵ちゃんの題目だった。
    唱えた後も、何か祈ってるようだ・・・・。
    そして、その光景に目が釘付けになっている僕と視線を合わさないように、彼女はうつむいたまま横に坐った。

    部屋の壁には、額縁がたくさん飾られていて、電車の釣り広告でよく見かける「池田大作」の写真が、やはりそこにはあった。
    うわさには聞いていたが、学会の人が家に肖像写真を飾ってるというのは、本当だったんだな・・。
    その時、仏壇の方から機械の音がした。
    ウィィィィーーーン・・・。

    「わ!この仏壇の扉、電動式なんですかぁ!」

    仏壇の内扉が、自動的に閉じていくのだ。
    「ははは。やはり、今時の若い人は、あまり仏壇を見たことがないようだね。」
    彼女の父親が、笑いながら小さな声で話した。
    「僕の家なんて仏壇なんてありませんし・・・。信仰熱心な者など誰一人いませんよ。
     兄なんて 罰当たりな人間ですし。 それにしても立派な仏壇ですね」
    すると今度は母親が話をした。

    「うちはね、支部の拠点になってるんですよ。だからよく人が集まります・・。
     自宅を会合に提供してきて、もう30年になるかしら。
     すると不思議なことに、我が家も大きくなるんですよ。
     だから、うちの仏壇もはじめはミカン箱程度だったのが、今はこの通り、黒檀の最高のお仏壇になったんです

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