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シリーズ:朧月夜
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朧月夜

作者:night

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    便乗してかいてみました。全然かぐや姫関係ないですね。すみません


    登録ユーザー星:6 だれでも星:3 閲覧数:451

    朧月夜 2051文字

     

    朝倉輝夜(かぐや)は無口な男だった。
    席替えで俺が朝倉の後ろの席になった時も、必要最低限の言葉しか交わさなかった。
    それは会話と言えるようなものではなかった。
    本当に…
    言葉を、交わしただけだった。

    さらりとした漆黒の髪が、光にすけているのを見るのは好きだった。
    クラスメイトの女子よりも綺麗な髪をしていると、その時から思っていた。
    俺はろくに話もしたことがないのに、いつも心の何処かで、朝倉の髪に触れたいと願っていた。

    気持ちの悪い話だ。

    指先がさらさらとノートの上を滑るように動いている。
    後ろの席というのは便利なものだ。
    いくらでも盗み見ができて、バレることがない。
    俺は授業中のほとんどを、そうやって過ごしていた。
    人には言えないたった一つの俺の秘密。

    俺は朝倉に恋をしていた。

    きかっけなんて、何もなかったように思う。
    俺はゲイではないし、普通に女子とも付き合ったことがある。
    それでも朝倉には、心が引きずられていくように思えて、仕方がなかった。

    そんな自分が気持ち悪いと思いながら、自分の指先が朝倉の髪に触れようとして、躊躇いがちに空をなぞるのを、黙って見ているしかできなかった。

    クラスメイトの誰ともしたしくしていない、寧ろ誰とも接したくないオーラを朝倉は放っている。
    そんあ朝倉に、声をかける勇気など、誰も持ち合わせていないのだろう。

    昇降口で朝倉と顔を合わせた。
    勇気を振り絞って、一緒に帰らないかと尋ねたところ、思いのほかすんなりと承諾されてしまった。
    手のひらが汗ばんでいるのがわかった。
    こんなにもあっさりと、OKがもらえるなんて思ってもみなかったから…

    『朝倉って友達いるの?クラスメートの誰とも喋ってなさそうだし…』
    『別に…ワザとそうしてるわけぢゃないよ。ただめんどくさいんだ。』
    『今俺といるものめんどくさい?』
    『……………わからない…めんどくさくはないけど……よくわからない』
    『そっか…嫌われてないなら、俺は別にそれで構わない。』
    『?………』
    『友達になろうぜ?朝倉』
    『……………。』
    朝倉は黙ったままこくりと頷いた。
    これはOKの印だろうか?

    俺は一つだけ自分に嘘をついた。
    本当は友達ぢゃなく、付き合いたいと思っていたし、許されるのならその髪に触れてみたかった。
    でもノンケの朝倉に対して、いきなり直球をぶつけるのも躊躇われたのは事実。

    キリキリと胃の痛む毎日がこれから始まるなんて予想もしてなかった。

    順調に朝倉との距離を縮めることには、成功したのだが、そこから先へはなかなか進めない。

    汚れた欲望に塗れた己の精神に嫌気がさす。
    朝倉の髪にふれたい。
    朝倉の頬をなであげたい。
    朝倉の唇に指先でふれたい。

    そのまま朝倉の全てを奪ってしまいたい。

    それらの欲望を全部押し殺して『友人』という立ち位置を選んだのは自分だ。

    いつかこの想いは隠しきれずに、朝倉にも気づかれてしまうだろう。
    その時、俺たちの関係はどんな結末を迎えるのだろうか?

    友達になってからわかったことは、朝倉の笑顔は極上の微笑みだということだった。
    めったに笑わないからこそ、たまに見せる笑みは、俺の心臓を貫きまくる。

    平常心をたもつにも限界はあるんだとつくづく実感させられた。

    『輝夜』
    『その名前で呼ぶな!』
    不機嫌そうにぷいっと朝倉は顔を背けた。
    『かっこいい名前だと思うけどな?』
    『嫌いなんだ。昔から輝夜姫ってからかわれてたから』
    『そっか…ぢゃ朝倉って呼ぶよ。ごめん』
    『いや…俺こそゴメン。もう昔のことなんだけどさ、そういうのって一生忘れられないんだよね。』
    『うん…なんかそれ…わかる気がする』
    『本当にわかってんのか?』
    くくくっと朝倉は小馬鹿にしたように笑った。

    その瞬間俺の衝動が本能を突き破りかけた。
    『俺…朝倉の笑顔いいと思うよ?』
    『?』
    『もっと笑えばいいのに…きっとモテるぜ?』

    本当は俺だけに見せて欲しい。
    俺だけのモノであって欲しい。
    本当は、本当は、本当は、本当は…

    真実はいつだって自分の想いを裏切っている。

    俺の欲望が朝倉を罪深くさせている。

    本当に友達ならよかった。
    ただの友情ならよかった。
    だけどおれのこの想いはソレぢゃない。

    恋心なんだ。

    朝倉はまだ気づかない。
    毎日無愛想な顔で、俺のことを待っている。
    ほんの少し遅れて、教室に入るのは、俺を待っている朝倉が見たいからだ。

    俺は歪んでいる。
    男の朝倉に欲情してるんだ。
    いつか破綻するこの関係に俺はいつまで耐えられるだろう。

    五人もの貴公子に言い寄られても決して絆されることのなかったかぐや姫

    朝倉は俺のかぐや姫そのものだった。
    手を出してはいけない。
    この想いを告げることもできない。

    それでも一緒にいたい。

    世界は矛盾でできている。




    この世に蘇ったかぐや姫が男だったら。
    きっとそれは朝倉だろう。
    誰の誘いも受け付けずただひたすら真っ直ぐに己の道を歩いていくんだ。

    そんな馬鹿な考えすら頭をよぎる。


    『頼むから、月に帰ったりしないでくれよな。』
    カーテンの隙間から見える朧月夜に俺はただひたすら願う。

    明日も朝倉の笑顔が見られますように。
    俺はそう願わずにはいられない。




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    コメント

    • え~、あ~、う~ん……
      とりあえず足跡だけぺたぺたと残していきます!<競作タグからきました
      • 0 fav
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    • ご足労様です。
      • 0 fav

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    • こんにちは。
      文体がとても好きです。
      こんなにきれいな描写なのに、一番印象に残った言葉が「気持ちの悪い話だ。」でした。
      それがすごく切なかったです。
      • 0 fav
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    • chiyo様
      気持ちの悪い話だという表現は主人公が自分に対して思う嫌悪感を表すために使いました。

      文体を褒めていただけたこと嬉しく思います。
      コメントありがとうございました。
      • 1 fav

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    • すみません、言葉が足りなかったようでした。
      書き直します(^_^)b

      主人公が罪の意識を感じている心情がその一言に凝縮されていて、それがすごくきゅんと来ました。
      罪もなにも、恋しているだけなのにー
      それを許せない少年らしい純粋さも感じられて、いちばん好きだと思った言葉です(^-^)
      切ないお話、ありがとうございました。

      平安時代のかぐや姫も、きっとそうやって迷わせたに違いありません。
      • 0 fav

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    • 競作かぐやタグで来ました。
      ある種の少年の黒髪や笑顔は美しいものだという点にまず共感。
      そして、「俺の欲望が朝倉を罪深くさせている」という一文が、美はただそこに存在するだけであり欲望が美に罪を与えるのだという意味ならば、さらに深く共感してしまいます。
      美しいものへ否応なしに心惹かれ逡巡する少年の心理を表すのに、フレッシュな文体が実にマッチしているとも感じました。
      たいへん“美味しく”読ませていただきました。
      • 1 fav
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    • らしき様

      美しさが罪だということもあります。
      かぐや姫もそうだったのでは?と思いながらこんなお話ができあがりました。
      BLで書きたかったので最終的にかぐや姫関係ないなってなっちゃってますが(苦笑

      書いててとても楽しかったです^^

      コメントありがとうございました。
      • 1 fav

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    • またまたまたこう来たか が正直な感想です(笑)

      参加、ありがとうございます。
      やっぱり 「禁忌」 じゃないでしょうか。このテーマ。
      あともうひとつ、うん そうなんだよ、かぐや姫といえば、これなんだよ! っていうのがあるんですが、ネタばれになりそうなので黙っておきます。
      • 0 fav
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    • やっぱりこうなっちゃいましたwww
      BLでかぐや姫は無謀かなとも思ったのですが、書かずにはいられませんでした。

      楽しい企画に参加できて嬉しいです。
      コメントありがとうございました。
      • 0 fav

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    • いやいや ホモ版『白鳥の湖』もあるくらいですし (笑)

      とりかえばや物語なんかもあることですし、平安バージョンでもアリじゃないかと。
      • 1 fav

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    作者紹介

    • night
    • 作品投稿数:31  累計獲得星数:226
    • ちまちまと小説を書いています。
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