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シリーズ:想い出の記
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想い出の記

作者:古来

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    むかしの、いじめっ子といじめられっ子のお話です。


    登録ユーザー星:0 だれでも星:0 閲覧数:133

    想い出の記 1136文字

     

     むかしの話だ。
     小学生のころ、クラスにいじめっ子がいた。といっても、むかしのことだから、お山の大将みたいな存在だ。ドラえもんのジャイアンを思ってもらえばいい。名前はオヤマくんとしておく。
     いまにして思えば懐かしい人物だが、それでも、当時のぼくたちがオヤマくんのことを怖れていたのは間違いない。オヤマくんは四月生まれで、体格がすごくよかった。
     そんなオヤマくんを、みなの中でも特に怖がっていた生徒がいた。名前はピョン太くんにしておく。ピョン太くんは三月生まれで、オヤマくんとはほぼ一年の開きがあり、体格の差は歴然としていた。
     さて、ある日の、授業が始まる前の朝のことである。ふざけていたオヤマくんが、窓際に置いてあった花瓶を割ってしまったことがあった。ひどい音がし、みなはびっくりした。オヤマくんの顔色も変わったが、すぐ拳に固めた右手を振り上げると、そこにいたみなを睨みつけた。
    「いいかおまえら、俺が割ったと言ってみろ、ただじゃおかないからな!」
     急いで割れた花瓶と花を片づけているうちに、始業のベルが鳴った。オヤマくんはそれらをゴミ箱に放り込んだ。
     担任の女の先生が入ってくる時には、みなは着席していた。
     起立、礼がすみ、園芸の好きな先生だったので、すぐに花瓶がないことに気づいた。生徒たちを見ると、みな慌てて先生と目が合わないようにうつむく。床の一部が濡れたままなのに気づいた先生は、ゴミ箱の中を見て事情を察した。
     先生は教壇に立った。
    「花瓶を割ったのは誰なの? 正直に言いなさい」
     首を亀のように縮め、みなはいっそううつむいた。
     先生はコホンと咳をついた。
    「もう一度言うわね。花瓶を割ったのは誰なの」
     声がやさしくなっている。
     午前中の教室は整理整頓が行き届き、窓からの光も爽やかに感じられる。黒板もきれいに拭かれていて、さ、これから一日が始まるぞという顔をしている。椅子も机も木製で、校舎も木製だった。
     そんな気持ちのよい教室の中で、みなはじっと黙り込んでいた。正直に話したいのだが、オヤマくんの、俺が割ったことを言った奴はただじゃおかないぞという言葉が、頭の上にのしかかっていた。それで、なおのことうつむいてしまう。
     だんまりが続き、先生のほうから口にした。
    「これが最後よ、いい。花瓶を割ったのは誰なの」
     プレッシャーに耐えかねたように、あのピョン太くんが震えながら立ち上がるのを見て、みなはびっくり仰天した。勇気ある告発をするのか。オヤマくんを誰よりも怖がっているピョン太くんが。
     ピョン太くんは、いまにも泣きそうにして言った。
    「花瓶を割ったのは、オヤマくんじゃありません!」

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    コメント

    • このラストはすごいですね…。ピョン太君みたいな天然が、一番怖いのかもしれません…。
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    • ご感想ありがとうございます。指摘されると、確かに怖い話でもありますね。これをホラーコンテストに出しておけばよかったかもですね。
      今後もよろしくお願いいたします。
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    • ちょw 確かに言ってはいないけれど! 微笑ましいお話でした。
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    • ピョン太くんは、オヤマくんと先生のプレッシャーで、パニックってしまったんでしょう。
      いつもご感想を書いてくださって、ありがとうございます!!
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    作者紹介

    • 古来
    • 作品投稿数:3  累計獲得星数:9
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