upppiは縦読みコミック(タテコミ)・イラスト・小説が無料で楽しめるサービスです!

ようこそ!ゲストさん
シリーズ:完全犯罪
閲覧数の合計:408

作品を編集する

  • シリーズタイトル・ジャンルの修正
  • この章を改訂する
  • この章を削除する
  • シリーズに作品を追加する
  • 表紙画像の変更

完全犯罪

作者:TOMS

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    都市伝説を現代の物語として書いてみました。


    登録ユーザー星:2 だれでも星:1 閲覧数:408

    完全犯罪 2138文字

     

     「お父さん、お母さんはどこへいっちゃた
    の?」5歳になる息子真一に尋ねられて、前
    田寛は返事に困っていた。葬儀の祭壇に妻の
    麗子の遺影が微笑みを返していた。
    「お母さんは、遠くの星に行っちゃたんだよ
    」寛は子供騙しの返事に自分で苦笑した。
    真一はおばあちゃんのさちに尋ねた。
    「おばあちゃん、お母さんは星に行っちゃ
    ったの?もう、会えないの?」
    「真ちゃん、これからはお父さんとおばあち
    ゃんの3人で暮らして行くんだよ。」さちは
    真一を不憫におもい、涙があふれだすのを止
    めることができなくなった。

     さちは、亡くなった麗子の母親である。真
    一の前では、仲が良さそうに振る舞っていた
    が、寛とはそりが合わなくていつも口論が絶
    えなかった。麗子の存在が2人の緩衝役とな
    っていたのだ。その麗子が亡くなった今、2
    人の関係は、最悪だった。それまでの、感情
    がダムが決壊するかのように弾けた。

     いつもの、真一の進路について、口論が始
    まった。どちらも、一歩も引かない。
    「寛さん、真一には一貫教育の幼稚舎に行か
    せてあげるわよ。あなたみたいに大学も出て
    いないなんて、考えられないわよ」
    「義母さん、またその話ですか?真一は、サ
    ッカーの名門クラブに入れると言った筈です
    よ。運動神経は僕ゆずりですから……。」
     寛は、大学に行けなかった自分にコンプレ
    ックスを持っていた。そこを突かれてとても
    憤り、頭に血が上って、かっとなった。さち
    に殺意を感じたのだ。
     台所に立つさちの後頭部めがけて、寛はガ
    ラスの灰皿を振り降ろした。何度も何度も。
    さちは頭骸骨が陥没し、そこから血を吹き流
    しその場に崩れ落ちた。
     寛はしばらく、ぼーとしていたが我に返っ
    て叫んだ。
    「俺ははなんて事をしたんだ。真一に知られ
    る前に何とかしなければ……。」
    寛は急いで着替えて、さちの遺体をビニール
    袋で包み、車のトランクに押し込んだ。

     夜になった。誰もいない山の奥に寛は車を
    走らせていた。そこは、以前来たことがある
    熊の出没する山だった。ある程度の高さまで
    登ったところで、車をとめた。
    「ここからは、車ではむりだな……。」寛は
    さちの遺体をビニール袋から取り出した。さ
    ちの顔は修羅の様に歪んで見えた。
     とたんに悪寒が襲ってきた。そして、おぶ
    って裏山を歩きだした。その重みは想像以上
    のものだった。肩に両腕の跡が付く程だった。
    途中で気持ちが悪くなって、何回ももどした。
    それでも、暗い山道を上へ上へと登って行っ
    た。途中に休憩をして、汗だくになりながら
    も、さちの遺体を早く何とかしたかった。
     途中に産業廃棄物を不法投棄する輩の暗黙
    の了解の場所があった。そこに遺棄しようと
    さちの遺体を置いた。しかし、見つかる可能
    性が高いと考え、再び別の場所へとおぶって
    歩きだした。何だか、さちの遺体がさっきよ
    り、重い感じがした。

     さちを背負って数時間は山の中を歩いた。
    突然、目の前に熊が現れた。寛は、驚いてさ
    ちの遺体を熊の方に投げた。ドサッと音がし
    た。熊は最初、驚いて後ずさったが、さちの
    血の匂いが気になったのか、さちの体を貪り
    始めた。すぐに、ゆっくり後ずさりしながら
    寛は、逃げ始めた。遠くにいた何頭もの熊が
    現れて、さちの遺体に群がるのが見えた。
     ある程度の距離をとった寛は、その場所か
    ら、走って逃げた。熊は寛を追いかけなかっ
    た。車を置いた場所へ力の限りの速さで走り
    だした。車に戻ると直ぐにエンジンをかけ、
    山をおりた。空が朝焼けで赤く染まったって
    いた。

     どれくらいの歳月が流れただろう。寛は、
    警察にさちの捜索願いを提出していた。しか
    し、熊に食われたさちの遺体が見つかること
    はなかった。寛は、完全犯罪を確信した。そ
    れと同時に真一が、さちの話を全然しないこ
    とを不思議に思いつつ、やり過ごしていた。
     
     ある夜、晩御飯を食べていた真一は寛に告
    白した。
    「お父さん」
    「何だい?」
    「僕ねサッカークラブでいじめにあってるん
    だ。お前のお父さんは変だって。」
    「ん?俺のどこが変なんだ?」
    「お父さん、僕ね、前から聞きたいことがあ
    るんだ……。」
    寛は、不思議そうな顔で答えた。
    「何だい?言ってごらん。お父さんの知って
    ることなら、何でも教えてあげるよ。」
    「お父さんは、いつも重くないの?」
    「何だ?重い?何が重いんだ?」
    寛はそうに答えた。
    「クラブのみんなも知りたいっていうんだ。
    聞いてくるまで、ボールに触らせてもらえな
    いんだ。」真一は泣きながら続けた。
    「何だ?何を知りたいんだ?いじめなんて俺
    がどうにでもしてやる。」
    「じゃあ、本当の事を教えてくれる?」
    「ああ、もちろんだ、何なんだ?」
    真一は、涙を流しながら、こう告げた。
    「お父さん、何故、お父さんは、いつもお
    ばあちゃんをおぶっているの?」

    ←前のページ 現在 1/1 ページ 次のページ→

    1ページ目に戻る
    ▤ 目次ページに戻る


    お気に入りリストに追加 この作品を応援する

    応援ボタンを押す事で作品の★が増え、作者に「イイね!」を伝える事ができます。

    コメント

    • URL間違っていたので張りなおします。http://www.jguzagu.com/tosidensetu/4_26.html
      • 0 fav
      • Re 返信

      を押す事で、投稿者に「イイね!」を伝える事ができます。


    • 元ネタはこれかな? http://www.jguzagu.com/tosidensetu/4_26.html
      • 0 fav
      • Re 返信

      を押す事で、投稿者に「イイね!」を伝える事ができます。


    作者紹介

    • TOMS
    • 作品投稿数:3  累計獲得星数:10
    • はじめまして。TOMSです。時間と空間を旅する
      ことが好きな。時の旅人です。この天の川銀河に産まれ
      るのはこの生涯で7度目です。よろしくお願いします。
      (*´ー`*)
    • 関連URL
      :http://ameblo.jp/timemaster2009/

    この作者の人気作品

    • 花子さんのトイレ
      花子さんのトイレ

      └学級崩壊を経験していた教師、花子は、自殺を強要され実行してしまう。3日後あたりから、小学校のトイ

    • 腹切ショー
      腹切ショー

      └悪徳医師と悪徳興行会社に操られ、奇妙な興行をさせられる男。 裏稼業で莫大な富を手にする男。男の

    小説 ホラーの人気作品

    続きを見る