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シリーズ:葉城探偵事務所ー願いを叶えましょう
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葉城探偵事務所ー願いを叶えましょう

作者:あやと

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    『葉城探偵事務所』番外編です。

    この『葉城探偵第六話』のイラストを描いて下さった菊市香さまの了承を得て、『願いを叶えましょう』表紙とさせて頂てます。
    この表紙から湧いてきたイメージで話を作りましたが、イメージ崩れ等、ご容赦下さい。



    登録ユーザー星:13 だれでも星:8 閲覧数:2273

    葉城探偵事務所ー願いを叶えましょう 40099文字

     

    第一話<願いを叶える木箱>




     俺は探偵事務所の所長をしてる。
     ーー探偵。
     殺人が起きて犯人を推理! そして事件解決!
     ・・・・・・なーんて事、この事務所じゃしちゃいない。第一、殺人が起これば、探偵なんかに頼まずに警察呼ぶだろ。
     だったら俺たちの周りで殺人事件を解決!・・・なんて。身の周りで殺人なんて起ったことないよ。ってか普通、あんまり起こんない。
     じゃあ探偵業務として、浮気調査や所在調査、家出人の搜索調査なんかを行っているのかと言えば、そうでもない。そんな依頼、悲しいかな、うちにはあんまり入ってこない。
     じゃあ、葉城探偵事務所って何の仕事してんの?って聞かれたら、俺はこう答えるようにしてる。
     ーー『葉城探偵事務所』は、この世に在らざるモノの怪異を調査します。ってね。









     目の前には不可思議な木箱がある。開ければ願いが叶う木箱だ。
     木箱の大きさは、一人掛けのソファーくらい。わりとおっきくて、古びてて、それでも骨董価値のありそうな感じがする。
     なんだか胡散臭げな感じが、しないでもないけど、この木箱、界隈ではわりと有名らしい。
     でも誰も開けた事がないから、願いが叶うかどうかなんて、誰も知らない。
     この木箱はそれでもその昔、依頼を受けて俺たちが開けたこともある。
    けどその時、木箱を開けて願ったのは俺たちじゃない。だからこの木箱が本当に願いを叶えてくれたのかどうかはまでは知らなかった。
     そして昨日の事だ。その時の依頼人さんから、この木箱を葉城探偵事務所で『じゃまだから引き取って欲しい』って連絡があった。そして今日引き取ってきて、今は俺たちの目の前にある。
     この木箱、依頼人さんに捨てられたってことになるんだけど、それって願いが叶えられなかったってことかもしれない。
    「開ければ願いが叶う木箱。」
     都市伝説。街談巷説。噂程度のものでしかないのかもしれない。
     でもなあ。俺はこの葉城探偵でたくさんの怪異を見てきた。
     だからこの「開ければ願いが叶う」木箱、開ければ本当に願いが叶うんじゃないかな。って思ってしまう。
     だから俺は
    『亨さんと楓さんがひとつになりますように。』って願ってみたい。
     そもそも多重人格者の亨さんは、メガネを外すと、幽霊が視えるようになるんだけど、その時に亨さんって人格から、楓さんという人格へと変わってしまうんだ。
     『亨さん』はインテリジェンスでいい男だ。俺の恋人でもある。
     理知的な瞳に綺麗に伸びた鼻梁、少し酷薄そうな形のいい唇に、整った顔立ち、聡明で優しくて、俺は大好き。
     なのに、メガネを外して、『楓さん』になってしまえば、顔つきが代わり、目元は妖しく光り、妖艶な口元は常に微笑を浮かべる。その姿は禍々しい色香を醸し出していて、一体何を食べたらああなるんだろう。っていつも思ってしまう人格になる。
     しかも俺にやたらと絡むから辟易してる。
     だから亨さんはメガネをそう、やすやすとは外さない。
     メガネを外さない日常生活。
     それはとても不便な生活だ。お風呂入る時も寝るときも、メガネかけたまんまの生活を送ってる亨さんはすごいと思う。
     メガネかけたまんまお風呂に入ると、メガネはくもるし、顔洗うのもめんどくさそうで、俺には無理だな。そう思って見てる。
     でも亨さんと楓さんがひとつになってしまえば、そんな苦労しなくてよくなる。
    さよなら。メガネ生活だ。
     だから木箱を開けて、俺はこの願いを叶えてもらう。
     ーーお願い。俺の願いを叶えて。
     俺はそう願いながら木箱に鍵を差し込み、蓋を手に取り開けようとしたけど、開かなかった。
    「この木箱、鍵を使っても、やっぱり開かない。」
     俺がそう呟くと、そばに居た亨さんが優しく微笑んだ。
    「『楓』は以前、この箱には『色々なモノが取り憑いているから開かない』そう言ってたんでしょう。」
    「うん。確かにそう言ってた。」
     妖しい楓さん。亨さんと同んなじ姿なのに、違う風貌してる。
     俺がジッと綺麗に整った亨さんの顔見てたら、亨さんと目が合って、にっこり微笑まれた。
    「何を見てるんですか?」
    「あ・・・。いや、見とれてただけ・・・。」
     俺が思わずそう言うと、亨さんはその怜悧な目を細めた。ああ。この表情はマズイ・・・。
    「晴樹さん・・・。」
     木箱の置いてある応接室には二人だけ。そうっと亨さんの唇が重なる。
    「ん・・・・・・。」
     亨さんが後頭部を支えて、腰を引き寄せる。俺は力強い腕にすっぽりと覆われて、それだけでため息が出てしまう。安心感の中にある甘い痺れが、身体中を駆け巡った。
    「・・・・・・ふっ・・・・・・」
     漏れる吐息が熱い・・・けど・・・。俺は軽く亨さんを押し戻した。
    「と、亨さん木箱。木箱開けないと。」
    「貴方が誘ったんでしょう。」
     亨さんはそう言って、眼差しは、少し熱を含ませてる。
     その吐息は甘く、くらっとくる魅力に思わず、目を逸らすと、亨さんは薄く笑って俺の頭のてっぺんに、ちゅってキスをした。
    「ん。」
     俺は亨さんにこうされるのがすごく好きだ。亨さんもその事知ってて、こんな事してくれてる気がする。
     俺はたまらなくなって、亨さんの首筋に腕を巻きつけようと・・・して、その手を止めた。
     ・・・ダメダメ。流されそうになった。ある意味亨さんはこうして俺を上手くその気にさせるようなトコがある。
     気分を入れ替えて、木箱を開けないと!
     俺は首をぶるぶると振ると亨さんが微笑んだ。
     気を取り直そう。
     俺は木箱の蓋に手をかけた。
     開けるぞ。開くぞ。願いを叶えてもらうぞ。
     強い信念を持って、木箱の蓋を開けようとする。・・・けど木箱は開かない。
    「亨さん。やっぱり開かない。」
     俺が半べそかいてそう言うと亨さんはにこりと微笑んだ。
    「少し離れて下さい。祓ってみましょう。」
     俺が言われた通り少し離れると、亨さんは木箱に右手を差し出しこう言った。
    「消えろ。」
     たったそれだけ。ーー木箱に何の変化は見られない。
     そもそも俺はこの世に在らざるモノなんて視えない。亨さんも祓えるだけで視えない。
    「う〜ん。祓えたかどうか分からないね。」
    「では開けてみましょうか。」
    「ああ、そうか。開かないなら祓えてない。開いたら祓えったってことだね。」
    「そうです・・・。」
     亨さんを見上げるとなんだか遠い目で木箱を見てた。
     ・・・もしかして亨さんも何か願い事があるのかもしれない。
     亨さんは俺の視線に気がつくと、にこりと優しく微笑んでくれた。
     亨さんは人より感情が薄い。『自分が願ってる。』そんな感情も薄い感覚でしかないのかもしれない。でも亨さんにも願いがあるなら、その願い木箱に叶えてもらいたい。
     だから、こうしよう。
    「亨さんも木箱開けるの手伝って。」
    「はい。」
     亨さんはにこりと笑って返事をしてくれた。そして二人で木箱の蓋に手をかける。
     木箱は。
     木箱は、何の手応えもなく、ふわりと開いた。でも俺は力を込めすぎた反動で体が後退してしまう。
     うわっ! コケる! そう思った時には、亨さんの右腕に支えられてた。
    「・・・ありがとう。助かった。」
    「いえ。大丈夫ですか?」
     亨さんは真摯な眼差しで俺を見てる。木箱が気になんないのかな。と思いながらその視線と目を合わせると、亨さんは嬉しそうに優しく微笑んだ。
    「ど、どうしてそんなに俺を見つめるの。」
    「飽きないから、ですよ。」
    「なにそれ・・・。」
     見てて飽きないのは俺も同じで、ずっと触れていたくなるのも事実だ。でもそれを伝えてしまうと、変な方向に話が流れてしまう。そう思った時だ。
     木箱からパシっと何かを掴む音が聞こえた。
    「え!?」
     亨さんと同時に木箱に振り返ると、視界の中に『手』が飛び込んできた。
     ーー木箱の中に誰かが入っていて、手で縁を掴んでいる。
    「うわ・・・・・・。」
     気持ち悪い。ずっと開かないって言われてた木箱。そこから人間が出てくるハズなんてない。これはホラーだ。オカルトだ。この世のモノじゃない。
     じりっと後退すると、亨さんが自分の背中で、俺をかばうようにして木箱の前に立ちはだかった。
     でも亨さんの大きな背中越しにも木箱は見える。
     そして、ああー・・・。木箱からゆっくりと一人の男が立ち上がるー・・・。男は悠然と、優雅な佇まいで、俺たちの前に現れた。

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    コメント

    • 亨ってどんな人なんだろ、と実は掴みあぐねてて。私的には楓がツボだったんで亨の存在が脳内で薄かったんですが(笑)いやいや続編始まっての亨の暴走列車具合がどーにも私の好物っぽい匂いプンプンではありませんか!勿論まだまだ楓ラブ、もおいっそ三つ巴のハル<楓<亨の数珠繋ぎ〜みたいなことにならないかぁなと一人ウハウハしてます(笑)なんか閨の描写がいい感じにエロく進化してますしね、ううん好きです(笑)ああーもぉどーなっちゃうんだろ、この人達。。ヤッちゃうヤっちゃう?更新楽しみにしてま〜す。
      • 1 fav
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    • ししょー。あんまり久しくなくって嬉しいです(*´∀`*)
      そして貴重な意見あざーす!亨ってどんな人なんだろ。こうした感想面白いです~。「あはー。亨が壊れてくー。止めトコ」ってな具合でしたが、ガタゴト行っちゃって良かったんですね(・∀・)
      そして本編7話プロットはあるんですが、面白い幽霊が落ちてなくって事務所休業中になっちゃってます(・∀・)
      そして閨(この表現好き)最近書くの好きで好きで。進化と言って下さると嬉しいです(*´∀`*)
      熟過ぎた結果が「腐」なら、いっそ香りを芳醇に。(開き直ったとも言う)
      >ヤっちゃう?ヤっちゃう?
      ど、どうなるんでしょう…?(うん?あやとが作者か)
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    • 連載開始、おめでとうございます(#^.^#)

      ちなみに僕はまだ読みません(ヲイ)
      だって続きが気になり過ぎて、何も手につかなくなるから(バカだよね)

      みんなのコメント読んでキリのいいトコで読む!
      季節の変わり目だし昼夜の気温差なんかあります、風邪等お気をつけあれ。
      • 3 fav
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    • 尚史さま。

      お祝いの言葉ありがとう!!
      でもそんなに大した話でも(ヾノ・∀・`)ナイナイ
      ってか、これ葉城になるのかな?不安になってきた・・・。早くも骨組みバラバラにしちゃったし。

      なおたんもお体ご自愛しつつ、頑張って人生エンジョイしてね!
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    • 大丈夫だよ、骨組みバラバラになってもきっと立て直す事が出来るって。

      僕のアナログイラストみたいに、やっちまったなぁ!ってなってやり直しがきかないワケじゃないんだから、良しとしなきゃさ←バラバラになって組み立てても、案外最初と大して変わらない率高くないかい?

      このシリーズは先が見えない面白さもあるし、あやとたん自身も連載っていうプレッシャー感じながら書いてるのかもしれないねぇ。
      まずはあやと節を炸裂させるべく、肩の力を抜いてリラックスしてみたらどうですか?(僕は今抜き過ぎてる状態、反省)
      • 2 fav

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    • なおたん。

      そうだね。なんとかなるか。(´∀`*)←いい加減。

      本編はねーなんかまとめなきゃって思いがあって辛かったんだけど、今回は真っ白なキャンパスに描いてて、今の所、結構楽しい。
      上手くいけば、連載。失敗すればSS。
      菊さん、あやといい加減でごめんネ!(あ。なおたん失礼。)
      なおたんもいい具合に力が抜けて楽しそうだねー!!また遊びに行くね!ヽ(・∀・)ノ
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    作者紹介

    • あやと
    • 作品投稿数:76  累計獲得星数:736
    • 彩城あやと(さいじょう あやと)です。
      思いつくまま書いただけのお話を載せていますが、お気軽に楽しんでいただけると嬉しいです!


      Special thanks!
      アイコンデザイン☆ねこまんまさま
      一部分の扉絵、タイトル文字入れ☆菊市香さま

      ウッピーと小説家になろう以外のアカを忘れ、しかもアド変えたので自サイト含め、他サイトにログインできません(汗

      以前のメアド消滅してます。どうしましょう 汗


      TL長編[禁戒〜何も知らない神の子とぶきっちょな蜂蜜色の竜]をムーンライトさんで完結済み投稿しています。
      総文字数14万強ありますのでこちらのサイトと掛け持ちで管理ができず。ごめんなさい。
      お時間許すようでしたら、ぜひ遊びにいらして下さい↓
    • 関連URL
      禁戒〜何も知らない神の子とぶきっちょな蜂蜜色の竜:https://novel18.syosetu.com/n1422fx/

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