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シリーズ:sakura10 「サクラ嫁入り編」
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sakura10 「サクラ嫁入り編」

作者:ささら和里 

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    ヤクザ組長×大学生。先代組長と姐さんの帰国に合わせ、嫁入りをすることになったサクラ。でもサクラには、気にかかっていたことがあった。更新中です。8/29加筆


    登録ユーザー星:51 だれでも星:213 閲覧数:19539

    sakura10 「サクラ嫁入り編」 19938文字

     

    小田桐本宅の中庭には、樹齢ン百年の立派な桜の大木が3本ある。元々は大名屋敷だったものを、何代か前の小田桐当主が買い取ったのだそうだ。
    ちょうど一年前の春、薄桃色の花びらが舞い散る中、鮮やかな刺青を背に浮かばせた郁人さんの姿を、今もはっきりと思い出すことができる。
    あの鮮烈な記憶。俺はきっと一生忘れないだろう。
    今年も庭の桜は、沢山の蕾をつけ、開花に向かって淡く綻んでいる。

    普段は郁人さんのマンションに居る俺たちだけど、襲名披露の後、世界一周旅行に行った前組長と姐さんを迎えるために、昨日から本宅に来ていた。
    大学が始まるのは2週間後だから、昼間ものんびりできる俺とは違って、郁人さんはほぼ年中無休だ。
    昨日の夜俺だけ先に来て、夜中になってやっと郁人さんも帰ってきたけれど、今朝も早くに出て行ったから、俺はひとりで本宅に残って、特に何をするでもなくボケっとしていた。

    だって何か手伝おうとしても、「姐さんを働かせる訳にはいかない」とかなんとか言われて何もさせてもらえないし。大体、俺は姐さんじゃないっていうの。
    それで、昼飯を食べたあと、一人で縁側に座って桜を見ていた。
    西川くんも恐縮するばっかりで、前みたいに気軽に話してくれないし。多門の兄貴に付いて回ってた頃、可愛がってくれてたっていうか、俺をいじって遊んでくれてた下っ端の人たちが何人か居たけど、その人達も、恐れ多いって感じで、遠巻きにされてる。
    だけどそれが、郁人さんの伴侶になるってことなんだろう。文句言ってたらバチが当たる。

    けどなぁ。……つまんない。
    はあ、と溜息を吐いていたら、なんとなく表の方から忙しない雰囲気がしてきたので、慌てて立ち上がり、小走りで玄関まで急いで行った。
    今日は俺たち以外にも人が来る。それを待ちわびていたんだ。

    すでに玄関に入ってきていた2人の姿を認めて嬉しくなった。
    「シズルさん! 」
    弾む声で呼び掛けると、靴を脱いで上がってきたシズルさんが俺のとこまで来て、肩をポンポン叩き、にっこり笑ってくれた。
    「サクラくん、久しぶりだね! 元気そうで良かった。なんか、また美人になったね。愛に溢れてるからかなぁ」
    「な、何言ってんスか……っ」

    美人っていうのはシズルさんみたいな人の事を言うんだって。一段と綺麗になって、色気が滴るようだ。

    これじゃ、恭一さんも気が気じゃないだろうな、と思いつつ、シズルさんに続いて上がってきた恭一さんをちらりと見ると、相変わらずエレガントに微笑みつつ、ドス黒い瘴気を撒き散らして、周囲を牽制していた。
    出迎えていた小田桐組の若衆たちが完全にビビっている。シズルさんに指一本でも触れたら、どんな目に合うか。
    背後の不穏な空気なんか全く気づかずに、シズルさんはにこにこしているもんだから、そのギャップに余計引くんだけど。

    冷や汗をかいていたら、恭一さんが形のいい眉を片方上げて、不敵な笑いを浮かべつつ、こっちに近づいて来た。
    うぉお……怖ぇ〜。
    「あはは、ゴメン。男が美人なんて言われても嬉しくないよね。あ! でも肌もすべすべだ〜。顔色もいいし、良かった。サクラくん、ちゃんと食べてるね」
    シズルさんがまったく意に介さず、俺のほっぺたに手を添えて、そっと撫でてくれる。
    ……のはいいんだけれど、どんどん近づいてくる恭一さんの殺気がもう半端ねえっての〜〜〜!!
    「シズル、積もる話もあるだろうけど、廊下じゃ何だからね。荷物を置いてこよう。それからだ」
    「え? う、うん、ってちょっと、恭一さん……っ」

    恭一さんがシズルさんの手首をぎゅっと強く握って、強引に引きずって行く。あれはもう、荷物を置きに行ったっきり、母屋にはしばらく戻って来られないだろう。
    俺に触ったりするから……相変わらず迂闊(うかつ)な人だ。
    オロオロしながら顔だけ振り向いたシズルさんに、取りあえず手を振って見送った。
    俺に怒りが向かなくて良かった。と思うのは薄情かもしれないけど、
    あれはあれで、シズルさんは結構喜んでる節があるし、恭一さんがシズルさんを傷つけることはしないだろうから、大丈夫だろう。

    案の定、シズルさんたちは2時間以上経ってから、ようやく母屋に戻ってきたから、お茶の時間だと呼ばれて客間に行くまで、結局、俺はまた一人で、暇を持て余すことになってしまった。
    客間になっている広い和室は、大きなテーブルに座椅子がセッティングされている。俺の向かい側、恭一さんの隣に、シズルさんが座るとすぐに、西川くんが、お茶とお茶菓子を運んできてくれた。

    今まで散々恭一さんにお仕置きされてたらしいシズルさんが、ぎこちなく腰を庇ってもぞもぞしている。
    「サクラくん、ごめんね。来て早々、離れに引っ込んじゃって」
    「あ、え、いや、お疲れ様ですっ。畳に座って大丈夫っすか? 椅子に座れるとこって言えば、場所変えてもらえますけど」
    服装も髪も整えてはいたけれど、けだるげで、明らかに事後だってわかるほど色気が漂って、非常にエロいことになっている。
    ドギマギして思わず余計なことを口走ったら、シズルさんがサッと頬を赤く染めた。
    「だ、大丈夫……。あ、水ようかんだ。美味しそう」

    俺と目を合わさずに話題を逸らしたシズルさんに、俺も慌ててごまかすようにして、出されてた水ようかんに視線を移した。
    「これ、西川君が作ったんだよね。すごく美味しいんすよ。郁人さんのお墨付きです」
    ぐにぐにと、クロモジの楊枝でつついていたら、お盆からテーブルの上にお茶を置いていた西川さんが、ガチャン、と大きな音を立てた。
    「え、マジっすか? オヤジさんが、美味いって?! 」
    西川くんが、思わずといった感じで俺ににじり寄ってきた。
    「だってこの前、全部食べてただろ?郁人さん、ちょっとでも舌に合わないものは食べないよ?」
    この前来た時も出されて、郁人さんは無造作に2口で食べていた。何も言わなかったけど、全部食べるってことは美味いってことだ。

    「よかったね、西川くん」
    「サクラさん……!うわぁぁぁ、やっべ、俺マジ嬉しいっす〜!! 」
    「はは、うん、嬉しいよね」
    俺も、料理を始めてから3ヶ月目、ようやく全部食べてもらえるようになった時は嬉しかった。
    西川くん、崇拝する郁人さんが朝飯も食わずに出かけるのを気にしてたから、認めて貰ってよっぽど舞い上がっているんだろう。

    俺は俺で、部屋に入ってきた時も緊張して無言だった西川くんが、以前のように親しい口調になってくれたことにホッとして、嬉しかった。
    だから抱きついてきたのを受け止めて、ポンポンと背中を叩いて労ったんだけど、その直後、片側だけ開いていた襖の残り半分が、廊下からガンッと蹴られて柱にぶつかり、スパーン!と高い音をたてて開けられたもんだから、驚いて飛び上がってしまった。
    「……何やってやがる」
    入口に仁王立ちして、冷たい目で見下ろす郁人さんのこめかみに、青筋が立っている。
    目を見開いた俺と、俺に抱きついたまま振り返った西川くんは、揃って「ひぃ」と喉から変な音を出したきり、中途半端な姿勢で一瞬にして凍りついた。

    「ふふ、迂闊だな」「迂闊だ……」
    向かいに座った恭一さんとシズルさんが、同時に呟いている。
    そういえば、夕方、先代と姐さんが帰ってくるから、郁人さんは早く帰って来る予定だったんだ。

    ああ、迂闊だった……。


    俺たちと見下ろす郁人さんの目が暗く陰っている。えらくご立腹なのが明らかだった。
    「い……郁人、あの、その」
    「西川ァ!! 」
    「ひィィ!! 申し訳ございまセンッッ!! 」
    文字通り飛び上がったあと、頭を畳に擦りつけながら10mくらい後退した西川くんが、ブルブル震えながら、ぺったり上半身を床につけて土下座している。
    「……ヨウカン」
    「はひ? 」
    「さっさと俺の分のヨウカンも持ってこいッ」
    「は……は、はいぃ!! 」
    西川くんが物凄い勢いで客間を出て行くのと入れ替わりに、部屋に入ってきた郁人さんが俺の隣にどっかり座って、チッと舌打ちした。
    よかった、ヨウカンのお陰で、西川くんはボコられずに済んだらしい。

    「ったく、俺も大人になったもんだ」
    「ほんとっすね! 」
    「てめぇが言うな、このくそチワワが。てめぇはきっちり躾直してやるからな」

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    コメント

    • 完結と思っていたのですが続くのですね。楽しみです(*´ω`*)待ってますね(^_-)≡★
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    • サクラシリーズいっきに読んじゃいました。初のBL小説。小指のない方の会社で働いてた事が思い出されます。
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    • ようやく ようやく 「サクラ」に たどり着きました😁
      ずっと
      作品を追い続けて行きます😘
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    • ささら和里さんずっと探してましたー。以前の村で更新ストップしてからも何回も小説読み返したりしてて、特にサクラちゃんシリーズが大好きだったので、嫁入り編の続きが気になって気になって(^^;;
      最近になってツイッターやらこちらの活動を知りました。
      またささらさんの小説が読める〜と感激してます。
      体調みながら活動頑張って下さい。更新も楽しみにしてます〜
      • 18 fav
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    • サクラシリーズ、続きが読めるのが分かって感激してます!
      ブログ村でずっとるかさんの作品読んでいたのですが、突然更新が止まって悶々としてました。
      ずっとスマホで読んでいたから気づかなかったのですがPC版を開けてみたらこのサイトの方で再開することを知って大喜びでした!
      サクラシリーズ、続き楽しみにしてます!
      プライベートで大変だとは思いますが気長に待ちますから!頑張ってくださいね!サクラと郁人さんにあいたいです!
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    • sakuraシリーズが続いて嬉しいです(≧∇≦)♡
      あまあまハッピーエンドがすきです。
      ①を読んだ後、「この話面白い!早く続きっ」と、次の日仕事にも関わらず朝方まで一気に完結まで読み切ってしまいましたw

      サクラくんの言葉ひとつも可愛くて、郁人さんじゃなくても、ぎゅうってしたくなっちゃいますw

      続きを楽しみにしてます☆
      • 14 fav
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    • そらさん、いつも読んでくださってありがとうございます~!
      ふぉ~、明け方まで一気にだなんて!!嬉しいです。(´;ω;`)うう・・・
      サクラはおバカな奴ですが、そんな風に言っていただけるとは、なんて幸せなのでしょうかっ!  完結後もほそぼそ不定期で書いているんですが、只今、進撃の巨人に嵌って怒涛の勢いで二次を書いているので、そっちの勢いが収まったらまた続きを書きたいと思います。
      ありがとうございました~!
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    • 初めまして、漢が漢に惚れる任侠モノが好きで
      此方でsakuraシリーズ見かけて一気に読みました。

      見事ハマりました。
      郁人さんの俺様攻めぷりが最高で、
      お気に入りのシリーズです。

      近い内、勝手にイメージ画を描いて投稿しても迷惑かもしれないと思い、
      改めてもしささら和里様がご迷惑でなければ描いても宜しいかとお願いも有りまして、
      此方を通してコメントさせて頂きました。

      • 9 fav
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    • 陸斗さん、こんにちは~~!コメントありがとうございますっ!!なんちゃってヤクザで、アホな2人の掛け合いですが、一気に読んでくださってありがとうございます~~~!! 気に入ってくださったと!なんて嬉しいっ(´;ω;`) しかも大変なことになってる!!イイイイメージ画ですとッ!!マジですかッ。嬉しくてうれしょんしそうです!! 
      • 9 fav

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    • ささら和里様

      承諾ありがとうございます!!
      一気に読破したので主要キャラのラフ等描いたのupしていきます。

      イメージが違ってたらす・・すみません(土下座)
      これがNG系等あれば遠慮なくいってくださると嬉しいです。
      と、がっつりレスポンさせて頂きます。
      • 12 fav

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    • わーい、嬉しいです(*´∀`*)
      むふふう~~(嬉しくて壊れ気味)
      • 7 fav

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    作者紹介

    • ささら和里 
    • 作品投稿数:70  累計獲得星数:2911
    • ePUB変換ではなく、ワードから直接貼り付けていますので、変な改行や行間が空いて読みにくいところがあると思います。すみません。よろしかったら、感想などお聞かせください。
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