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少し混乱が収まってから、俺はとりあえずこの状況について詳しく訊くことにした。
「――で、なんでその死亡フラグなんてのが俺に刺さってるんだよ」
俺は健康優良児、小学校入学から高二の今日までぶっ通しの皆勤賞がちょっとした自慢である。
「いわゆる大自然の法則なのです」
大自然の法則……って、いきなり壮大すぎて関係なさそうな単語が出てきたぞ。
「あなたは死亡フラグの十三法則その四『『冗談じゃない! この中に犯人がいるかもしれないんだぞ! 俺は一人で部屋にこもるからな!』って言ったら死亡』に触れてるのです」
……は? それだけ? それだけで死ぬのか?
「ふざけんな!」
衝動的にプーシャの胸倉をつかみ、反対の拳を振り上げる。
「そんなこと言われても私の責任じゃないのですっ!」
叫ばれて俺は我に返った。そうだよな。死神に大自然の法則をいじる権利があったらもっとたくさん人が死んでるような気がする。
「……悪かった」
俺は驚いて青い顔をしているプーシャに謝った。我ながら自分はこんなに短気な性格じゃなかったと思うが、火事場の馬鹿力が変な方向に出てるのか?
「で、何か助かる方法はないのかよ?」
ダメもとで俺は訊いた。自分が生き残る方法がダメもとっていうのがなんとも悲しい。大自然の法則相手だしな。
「あるのです」
そうか……。あるのか……。じゃあせめて今のうちに遺書でも……。
「って、今なんていった?」
もの凄くベタなボケをしてしまったような気がして、俺は聞き返した。
「だから、あなたが助かる方法があるのです!」
死神が天使に見えた。
「マジで!? それ、どうすればいいんだ!?」
俺は藁にも縋る思いでプーシャの手を握った。
「でも、成功できる確率はかなり低いです。それでもやるです?」
「やるやる! どうせ死ぬんだったら、最後まであがいて死んでやるぜ!」
そうじゃなきゃ俺の最期、情けなさすぎるだろ?
「わかったのです」
もったいぶってないで早く教えろよ。こうしてる間に死んだらどうするんだ。
「名探偵になることなのです」
……は?
「どういう意味?」
「ですから、名探偵になって、さっき亡くなった人を殺した犯人をつかまえるのです」
「それでなんで俺の命が助かるわけ? 大自然の法則で俺が死ぬのって決まってんじゃなかったのか?」
「大丈夫なのです!」
俺の事をじっと見つめて、プーシャは説明を始めた。
「大体の法則には、その上を行く別の法則があるのです」
そういうモンなのか?
「えーと、例えば、一辺が二センチ、別の辺が二センチだったとして、もう一つ辺を足して二等辺三角形じゃなくするにはどうすればいいのです?」
「は? 二センチの辺が二つあるから、どうしたって二等辺三角形になるんじゃないか?」
プーシャは顔の前に人差し指を立て、勝ち誇った笑みを浮かべている。なんだか馬鹿にされてるみたいで微妙にムカつくな。
「もう一つの辺の長さが四センチ以上ならいいのですっ!」
「っ!」
してやられた。というか、それ、三角形にすらならなくないか?
「そうなのです。つまり、『二辺の長さが等しかったら二等辺三角形』という法則より、『他の二辺の長さの合計以上の長さの辺があったら三角形は作れない』という法則のほうが上なのです」
解かったような解からないような。どっちにしろ、やるしかないんだからやるけどさ。
「それに、なんだかあなたの死にそうな顔を見ていたら助けたくなっちゃったのです! 私も協力するのですっ!」
死にそうな顔って、現に死にそうなんだけどな。とりあえず、協力してくれるんだったら感謝するぜ。
「あの!」
「なんだ?」
「まだ、あなたのお名前を聞いていなかったのです!」
そういえば、言ってなかったな。――このできすぎた状況下で、あまり名乗りたくない名前なんだけどな。
「――狼牙。風祭狼牙だ」
「えぇ!? それ、本名です?」
「本名だ」
予想通りの驚き方をするプーシャ。やっぱり、『狼牙風々拳』を連想させるんだよな、この名前。ちなみに、小坊の頃は本気であだ名がヤムチャだった。
「ああ、どおりでどことなく……」
いや、さすがに顔は似てないだろ。自称だけど。
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