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シリーズ:俺のヨメは変身ヒロインです
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俺のヨメは変身ヒロインです

作者:Maggie

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    「俺の嫁創作コンテスト」参加作品。俺の可愛いヨメは、実は愛と希望の変身ヒロイン、聖乙女ピュア・ジュリエットで……!? おばかでほんわかショートショート。


    登録ユーザー星:13 だれでも星:25 閲覧数:1382

    俺のヨメは変身ヒロインです 4317文字

     

     俺のヨメは変身ヒロインです。
     いや、マジで。

       ‡

     よくあるだろう。人々の愛や希望を守るため、数人の女の子たちがチームを組んで、可愛いコスチュームに身を包み、異世界から来た敵と戦うって、アレだ。
     宇宙からの侵略者は男性ヒーローが中心となって追っ払っているが、ご近所に出現するモンスターはもっぱら変身美少女ヒロインたちの担当らしい。TVでも常連のメジャーどころから超マイナーご当地ヒロインまで、いろいろチームはあるようだ。
     うちのヨメのヒロイン名は、“聖乙女ピュアレジェンズ”のピュアジュリエット。ドジっ子で友達思い、ヒロインやりながらちゃんと恋人もいる――俺のことだが――というスタンスから推察できるとおり、三人チームのセンター、スーパー戦隊もののレッドのポジションだ。
     ほかのふたりは、攻撃力に秀でたピュアオディールと、頭脳派のピュアジゼル。ふたりとも中学校からの同級生で、今もヨメの親友だ。
     だけど、変身ヒロインってのはふつう中学生か、せいぜい高校生がやるものじゃないだろうか。
    「しょうがないじゃない。人手不足なのよ、この業界も」
     朝食の目玉焼きを作りながら、ヨメは言った。
    「あたしだってほんとは、世代交代するべきだって思ってるもん。でも、後継者がいないの。ほら、近頃の子ってドライだから」
     そうなのだ。変身ヒロインのなにが問題って、完全なボランティアだということだ。
     ヨメがどれほど敵を倒したところで、俺たちがようやく買ったこのマンションの三〇年ローンが一円だって減るわけじゃない。
     敵モンスターから人々を救えば、もちろん感謝はされる。だが、あくまでその場限りだ。なんといっても、変身ヒロインの正体は絶対に秘密なのだから。
     本当は俺も知っていちゃいけないのだが、そこはまあ、夫婦だし。
     俺たちが付き合い出したのは高校生の時。そのころからヨメは変身ヒロインをやっていた。
     当時は俺も、まさか自分の彼女が愛と希望の変身ヒロインだなんて、夢にも思っていなかった。
     だけど、普通の女子高生がいつもやたらと忙しい。時にはデートの最中でも、
    「ごめん、急用ができちゃった!」
     と、慌ただしく走り去る。そのあとには必ず事件が起こり、変身ヒロインが現れる。それで怪しいと思わなければ、よほどの阿呆だ。
     そして極めつけは、彼女のポーチに住み着いた、猫だかネズミだかわからん妙なぬいぐるみモドキ。変身ヒロインにはこの手のお助けキャラがつきものだ。
     ちなみにそのぬいぐるみモドキは、現在うちでハムスターのふりをしている。
     彼女が変身ヒロインをやっていることに、俺は付き合って二か月ほどで気が付いた。けれど彼女がそれを秘密にしている限り、黙っているつもりだった。
     彼女が自分からそれを打ち明けてくれたのは、プロポーズした夜のこと。
    「あたし……実は、聖乙女ピュアレジェンズの、ピュアジュリエットなの。今まで黙っていて、ごめんなさい……」
    「謝ることなんかないだろう」
     ずっと考えていた決め台詞で、俺は彼女の秘密を受け入れた。
    「きみは命を懸けてこの世界を、大切な人たちを護ってきたんじゃないか。きみが世界を護るなら、俺はきみを護ってみせるよ」
    「ありがとう……! あなたを愛して、本当に良かった……」
     まあ正直、結婚すれば彼女の変身ヒロインの任務も自然消滅すると思っていた。なんたって彼女らは“聖乙女”だ。結婚すれば当然、乙女じゃなくなるわけだし。
     ところが。
    「隣街の水族館に敵が現れた! 急げ、ピュアレジェンズに変身だ!」
     日頃はケージの中でごろごろしているだけのハムスターもどきが人語を叫びだすと、
    「わかった!」
     ヨメは食事中だろうが入浴中だろうが、変身用のマジックアイテムをひっつかみ、家を飛び出していく。
    「ごめん、ちょっと遅くなるかも。悪いけどお皿洗っといて」
    「あ、ああ。わかった。気を付けて」
     人々の夢と希望を護るため出動するヨメを見送ると、
    「あ、やべ。俺も急がなきゃ」
     俺も慌ただしく出勤した。
     俺の会社は中小の工場が立ち並ぶ地域にある。
     タイムカードを捺して自分のデスクに着いた時。
    「あ、ちょっと」
     部長が俺を手招きした。
    「悪いんだが、また現場へ手伝いに行ってくれるかな」
    「えっ、またですか!?」
    「すまないね。どうしても人手が足りなくてねー。危険手当、ちゃんとつけるから」
    「はあ……」
     これが中小企業の切ないところだ。ホワイトカラーとして入社しても、手が足りなければすぐに現場へ駆り出される。
    「今日の現場って?」
    「隣町の水族館」
     ……悪い予感が的中した。
    「急いでくれ。だいぶ押されてるらしいから」
     社名の入ったマイクロバスでほかの社員とともに水族館へ向かうと。
     お察しのとおり白亜のアクアリウムでは、アシカが巨大化したようなモンスターと、みんなを守る変身ヒロイン、聖乙女ピュアレジェンズが激しい戦闘を繰り広げていた。
     白銀とブルーのピュアジゼル、金と黒のピュアオディール。ピンクが基調のウチのヨメ、ピュアジュリエットがやっぱり一番可愛い。
     水族館の職員や遠足で来ていたらしい小学生たちも、懸命に闘う聖乙女に精一杯の声援を送る。
    「がんばれ、ピュアレジェンズ!」
    「負けるなあ!」
     そして、そのほかに。
    「と、撮れた! ジュリエットの絶対領域!」
    「マジか!? あとでデータくれ!」
     ……やっぱり居やがった。
     物陰からデジカメの望遠レンズを突き出し、ヒロインたちを撮影するカメラ小僧ども。
     全身スーツに身を包み、素顔もわからないスーパー戦隊のピンク系とは違い、露出の多いコスチュームの変身ヒロインは、カメラ小僧の絶好の被写体だ。
    「やっぱイイよなぁ、ピュアレジェンズ! あの脚! オレも蹴られてぇー!」
    「うおー、ジュリたん、オレのヨメー!」
     黙れ、この出歯亀ども。お前らが追っかけまわすそのヒロインは、大事な大事な俺のヨメだ! ヒトのヨメのパンチラ撮ってんじゃねえよ!
    「何やってんすか、先輩! 早く早く!」
     先に現場へ乗り込んでいた後輩社員が、建物の陰から俺を呼んだ。
    「またカメコどもにガンくれてたんですかぁ? 先輩、ほんっとにカメコ嫌いっすねえ。なんか訳ありですかぁ?」
    「……別に」
    「ま、いいっすけど。はいコレ」
     手渡されたブツに、俺は深く深ぁくため息をつく。
    「いいじゃないすか。幹部役は危険手当倍増っすよ? オレがやりたいくらいっすよ!」
    「……だったら、お前やれよ」
    「無理っす。スーパー戦隊の悪役と違って、変身ヒロインの悪役幹部はほぼ顔出しっしょ。人が入れ替わったら、即バレちゃいますよ」
     ……そうなのだ。
     うちの会社は、表向き道路工事などを請け負う土建業だが、裏では変身ヒロインと戦う悪の組織もやっている。
     正確には、聖乙女たちの敵、悪夢の帝王と業務提携し、この付近での悪の活動をサポートしているのだ。
     あちらは夢と希望の異世界に突如生まれた暗黒の意識、人間社会に詳しくない。手足となって働く部下として、この社会で暮らす人間を雇うしかないのだ。
     うちとしてみれば、悪のモンスターが暴れて道路や建物が損傷すれば、それを修復する仕事も増える。一石二鳥だ。もちろん、公共工事を発注する自治体には内緒だが。
     で。動植物や時には家電をベースにするモンスターは帝王サマが怨念パワーで生み出すが、それをサポートし、人語を話せないモンスターの代わりにヒロインたちをどやしつける悪の幹部役は――。
    「いいなー、先輩。ネット上でもけっこう話題なんすよ。ピュアレジェンズと対峙する謎の美形悪役って!」
     派手なアイマスクで顔の半分も隠して、美形もくそもあるか。
    「あ! アシカクン、やられちゃいそうっすよ! 先輩、急いで急いで!」
     戦闘現場では、まばゆい光とともに無数の羽根が散っている。武闘派ピュアオディールの固有技が決まったらしい。残るはピュアレジェンズ三人の力を合わせた必殺技のみだ。
     俺はアイマスクをつけ、もそもそとマントを着込んだ。
     誓って言う。入社するまで俺は、うちの会社がこんなことやってるなんてまったく知らなかった。知っていたら入社するものか。

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    コメント

    • 一次選考通過おめでとーございます♪
      実は再訪なのですが、前回きたときはコメントを残さなかったようですね(汗

      ほのぼのしたおバカなお話が心地よいかったです。嫁さんちゃんと可愛いし。
      ただ、ひねくれ者としては、もうひとひねりほしかったかなと、贅沢をいってみます。
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    • ありがとうございます!
      せめて一次選考くらいは通過したいなーと思っていたので、ちょっとほっとしています。

      次のお話はもうちょっと工夫できるよう、がんばります。また読みにきてくださいね♪
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    • ふふふっ。コレは楽しめました!
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    • コメントありがとうございます!

      楽しんで、笑っていただけたら、私もうれしいです!
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    • とても面白かったです!
      読んでいて大笑いしましたし、ある意味『お似合い』な仲良し夫婦っぷりにほのぼのしました。本人たちは真剣なのに微笑ましくていいですね。ぜひシリーズで拝見したいです。
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    • コメント、ありがとうございます。
      短いお話なので、とにかく笑えて楽しいものを、と思って書きました。笑っていただけたなら、私としても「よっしゃー、やたー!!」です。
      シリーズ展開……ほんとにできたら、いいかも(*^v^*)
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    • 予想外に、と言ったら失礼かもしれませんが、とっても面白かったです。

      ありえない話だけど妙にリアルなとこもあったりして。
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    • コメント、ありがとうございます。
      「予想外に」と言っていただけたのが、逆にうれしいです。
      「死霊の」というオカルトフレーズにリアルな日常のできごとをくっつけると妙に笑えるモノになる(「死霊の盆踊り」とか)になるっていうのと、同じかな? また笑ってください(^^;)
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    • 短いのにちゃんとオチもあって、笑えました。名前もないのにキャラが想像できて、シリーズものにできそうですね。
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    • コメントありがとうございます! シリーズものにしても、面白そうですね。今度はヨメの立場から夫のナゾにせまる、とか(^^;)
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    • 旦那さんの危機感ゼロの淡々とした語り口が良いですね。
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    • コメントありがとうございます。
      淡々というか、こういう半分ボケ男くんだからこそ、変身ヒロインの亭主なんぞやってられるのでしょうね(^^;)
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    作者紹介

    • Maggie
    • 作品投稿数:10  累計獲得星数:91
    • この自画像でちらほら出現しています。フォロー、リフォロー、作品へのコメントもどうぞお気軽に。
      平安~明治大正まで、日本を舞台にしたヒストリカルロマンスを中心に、アクション、歴史ものなど、オトナ女子向け作品を手がけていきたいと思っています。もちろん、Hotなシーンももりだくさん! どうぞよろしくお願いいたします。
      つぶやきはTwitterではなく、すぴばるが中心です。
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