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シリーズ:アラカワくんと俺 1(*BL・獣姦)
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アラカワくんと俺 1(*BL・獣姦)

作者:ささら和里 

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    つきあっていた上司に振られて落ち込む誠の前に現れたのは、人の言葉を理解する変な犬だった。
    「なんだお前、送り狼か?!」
    *半獣でも擬人化でもなく、変身もしません。犬×人です。獣姦がありますので、苦手な方はご遠慮ください。


    登録ユーザー星:22 だれでも星:62 閲覧数:17918

    アラカワくんと俺 1(*BL・獣姦) 5157文字

     

    アラカワ君は、よく遠い目をする。
    その目が、俺はとても好きだ。
    キリリと男らしくて、淀みなく、全てを見通しているような美しい目だ。
    見惚れていると、その視線に気付いてか、アラカワ君がフイ、と俺に流し眼をくれ、
    からかうような、皮肉な嗤いを浮かべる。
    赤面する俺に近づいてきて、アラカワ君は、
    そっと唇の端を舐めてくるので、さらに俺は赤面してしまう。
    そんな、くすぐったい日常が、愛しい。
    アラカワ君と一緒に暮らすようになったのは、今年、夏の始めだった。

    その少し前、俺は亡くなったじーちゃんの家を相続した父に、好きに使っていい、と言われて、
    管理を任されることになった。
    俺の職場に、最寄り駅から乗り換えなしで行けるし、家賃はタダだ。
    かなり古いが、大好きだったじーちゃんの想い出も染み込んでいる。
    俺は、それまで住んでいたアパートを引き払って、すぐにその一軒家に移り住んだ。
    木造の家は、1階に居間とそこに続く台所、じーちゃんが寝室にしていた畳の部屋が1つ、
    風呂場にトイレ、2階には部屋が2つ。
    一人で住むには結構広い。同じ一人暮らしでも、アパートとは随分違う。
    要するに、いい大人の俺が、寂しくて、全然落ちつかなかった。
    「じーちゃんは、よく一人で住んでたよなあ・・・」
    会社帰りの夜道、駅からの道すがら、そんな独り言を言いながら歩いていた。
    首都圏ではあるけれど、東京とは違い、駅から離れると大きな通り以外は、途端に田舎道だ。
    終電の近い時間なのもあって、人影がない。
    暗い夜道を歩いていると、これから、誰もいない家に一人で帰る侘しさが、
    俺の足を重くしていく。
    いや、侘しいのは単に、誰もいない場所に帰るからだけじゃないんだ。

    『誠、これからも、恋人でいてくれるだろう?』
    ふいに、國元の顔が顔が頭をよぎった。
    俺の所属する課の、課長だった男だ。
    2年付き合った男は、先月、社長の娘と結婚した。
    いつものように、ホテルで落ちあってセックスをした後、何でもないことのように、
    さらっと結婚することになった、と俺に告げ、結婚後も関係を続けようと言って来たのだ。
    『ははは・・・。
    それって、恋人じゃなくて、愛人って言うんですよ・・・』
    力なくそう言う事しかできない自分が情けなかった。

    それからは地獄のようだった。
    別れるつもりはない、という國元の言葉を必死で振り切って、
    同じ職場で何食わぬ顔をして仕事をするのには、かなりの努力がいって、
    1日ごとに神経がすり減っていく。
    体重もかなり落ちて、元々小柄でやせていた俺は、みっともなく薄っぺらになってしまい、
    同僚に、病気じゃないのか、と心配されるほどだった。
    もうダメだ。仕事も辞めよう、とまで追い詰められたけれど、
    ちょうど、異動の時期だったから助かった。
    社長の娘との結婚が決まったとなれば、当然、國元には破格の待遇が用意されている。
    他の部所の部長に昇進して、とりあえず、仕事で顔を合わせることは無くなったので、
    なんとか、持ちこたえることができたのだ。

    新しい課長は、仕事の出来る國元にひけを取らない、優秀な男らしいが、
    始終仏頂面で、部下への言葉も厳しい。
    さらに、どうもこの課長が来てから、仕事の量が増えてしまい、女子社員達が、
    「頭は切れるけど、あの言葉のキツさはないよね〜。
    細かいし」
    「あーあ、國元課長が懐かしいわ。ほんっといい男だったわよねー。
    色気があって。その上、話しが分かって、優しくてさぁ。
    社長の娘に取られたんじゃ、仕方ないけどさ〜・・・」
    と、ブーブー文句を言っていた。

    俺は仕事の出来る方じゃないから、就職して5年も経っているのに、
    新しい課長には散々、新人よりもどやされて、残業の日々だったが、それでも、
    気が紛れていいなんて、そんな風に思うほど、國元とのことがこたえていた。

    駅から20分ほどで、家に着く。
    さらに家から南に少し歩いたところに、荒川が流れていた。
    その荒川に、じーちゃんは幼い俺をよく連れて行ってくれた。
    見事な夕焼けと、キラキラと光りを反射しながら流れていく川は本当に綺麗で、
    俺はじーちゃんと手を繋いで、飽きずに眺めていた。

    生前、じいちゃんは俺に、
    「誠意をつくせよ。何事にもな」
    と、よく言っていた。
    戦前生まれのじーちゃんは、なんと、元特攻隊員だ。
    明日特攻というときに、終戦になり、そのことがじいちゃんの人生を変えた。
    じーちゃんが、戦時中のことを語ることは滅多になかった。
    自分の命が助かったことよりも、生き残った事と、馬鹿げた戦争に加担したことを深く悔いていた。
    だから、俺にその時のことを話した後、それを他の人に言ってはイカン、と言っていた。
    『命をかけて国を護ろうとしたんだ。
    人によっちゃ、特攻を英雄みたいに思う奴がいるが、
    だがやはり、命を捨てることは、あってはならん事だ』
    じーちゃんは、戦後、町工場を起こして、黙々と働いた。
    無口で、誠意ある仕事ぶりは、従業員にとても尊敬されていた。
    父に工場を継げとは言わなかった。70まで働いて、綺麗さっぱり、工場を手放して余生を送った。

    國元に、愛人になれ、と言われた時、正直、そうしてでもいいから、別れたくなかった。
    そもそもなんの取り柄も無い自分が、國元みたいに仕事ができて、非の打ちどころのない男と、
    ずっと付き合ってもらえるなんて思ってなかったから、
    それでも仕方ない、と思ってしまった。
    寸での所で踏みとどまったのは、じーちゃんの言葉を思い出したからだ。
    川を見たいな、と突然思った。
    こう暗くちゃ、良く見えないだろうけど、流れる水音は聞こえるだろう。
    荒川の両側は土手になって、芝生の植えられている場所がある。
    そこに少しの間座って、水音を聞き、癒されたかった。

    土手に座り込み、煙草を取り出して咥え、火を点けようとして、
    何かの気配を感じ、後ろを振り向いて凍りついた。
    「・・・ヒッ・・・!!」
    いつの間に近づいていたのか、後ろ足で立ったら俺くらいの背丈はあるんじゃないか、
    と思われる大型の動物が、街灯に照らされ、そこに居た。
    オ、オオカミ?!!
    余りの恐怖に、口から煙草がポロリと落ちる。
    ピン、と耳を立て、こちらを凝視している、茶がかった灰色の艶やかな毛並みを持ったその動物と、
    かなりの至近距離で見つめ合ったまま、俺は金縛りにあったように動けなくなっていた。

    おおお、落ちつけ。
    オオカミなんて、日本に居る訳がない。コレは犬だ。
    だけど、地球上で一番賢くて強いのは犬だって、マ○ターキートンが言ってたぞ・・・!

    急所に噛みつかれたら、確実にあの世行きだろう。
    首筋を、鋭い牙で抉られる恐怖に身が竦み、ザッと血の気が引き、
    どくんどくん、と心臓の音が激しく耳の中で聞こえる。
    動いたら即座に飛びかかられそうで、恐ろしくて指先も動かせない。
    呼吸すら止める勢いで瞬きも忘れていると、ふいに、犬が、フッと笑った・・・ように見えた。
    ・・・え・・・?
    いや、まさか。犬は笑わないよな。
    今度は目が点になったまま固まっていると、
    (推定)彼は、すい、と頭を沈ませて、俺の落した煙草を咥えた。
    そしてそれを、実に無造作に俺に投げて寄こし、徐に俺の横に座って、川を眺めている。
    ピンと伸びた背筋、スッと通った鼻筋。惚れ惚れするような、引き締まった筋肉の流れと、
    艶やかなな毛並み。
    血統書付きと言われても納得するような気品すら漂わせている。
    野良犬ではないだろう。だが、首輪はつけていない。

    煙草・・・拾ってくれたのか?
    少しの間ポカンとして、再び手の中に戻って来た煙草と犬とを見比べ、
    それから恐る恐る、俺も川の方に向き直った。

    深夜の土手に、スーツ姿の男と大型犬が並んで座って、
    川を眺めている。
    妙な光景だ。しかしとりあえず、俺を喰う気はないらしい。

    「えーと・・・。この辺に住んでるの?」
    試しに、話しかけてみる。
    かなり寒い図だけど、誰も聞いてないから、別にそれくらい構わないだろう。
    けれど犬は、ちろりと俺に一瞥をくれただけだった。
    「お前、なんて種類なんだ?
    お前ってのも・・・失礼か。なあ、名前、ある?」
    聞いたって応える訳がない。分かってるのに話しかける俺って、相当寂しいのかもしれない。

    しばらく一緒に暗い川面を見つめていたが、彼は立ち去る様子はない。

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    作者紹介

    • ささら和里 
    • 作品投稿数:70  累計獲得星数:2920
    • ePUB変換ではなく、ワードから直接貼り付けていますので、変な改行や行間が空いて読みにくいところがあると思います。すみません。よろしかったら、感想などお聞かせください。
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