upppiは縦読みコミック(タテコミ)・イラスト・小説が無料で楽しめるサービスです!

ようこそ!ゲストさん
シリーズ:魔王を倒したら勇者が女になった件について
閲覧数の合計:4046

作品を編集する

  • シリーズタイトル・ジャンルの修正
  • この章を改訂する
  • この章を削除する
  • シリーズに作品を追加する
  • 表紙画像の変更

魔王を倒したら勇者が女になった件について

作者:タカば

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    勇者は魔王を倒した!
    しかし、呪われてしまった!!

    混ぜるな危険、女体化&BLファンタジー!


    登録ユーザー星:6 だれでも星:7 閲覧数:4046

    魔王を倒したら勇者が女になった件について 11368文字

     

    「魔王を倒したら勇者が女になった件について」

    ●魔王城の決選
     禍々しいオブジェに彩られた玉座の前に、オレたちは立っていた。
     玉座には漆黒のローブをまとった異形の王がけだるげに腰かけている。気の抜けた所作。だが、奴が油断ならない相手だということはオレが一番よく知っている。
    「勇者クロムと大賢者カイトか……ふふ、この魔王に2人だけで挑もうとは無謀な奴らよのう」
    「俺たちだけではないさ」
     オレの隣に立っているカイトがつい、とメガネを押し上げた。
     それに呼応するように外から人々の怒号が響いてくる。この魔王城を落とすために戦っている兵士たちの声だ。
    「この城を守る四天王はもういない。外敵を排除する結界の要石も破壊させてもらった。……この城はじきに落ちる。お前の王国はもう終わりだよ」
     カイトに国の崩壊を告げられても魔王の笑みは変わらない。
    「はっはっは。そうだな。その通りだニンゲンよ。我が国は終わりだ……だが、我はまだ終わりではない。わかっておろう?」
     魔王はにやりと笑う。
     そうだ。国が瓦解しても完全に終わるわけではない。
     こいつの息の根を止めなければ、また魔王軍は復活してしまう。
     オレは剣を鞘から抜いた。
     勝利を約束された剣が黄金色に輝く。
    「だからオレたちはここに来たんだ。魔王殺しの血族の力、みせてやる!」
    「ニンゲンふぜいが!」
     魔王が立ち上がる。
     同時にオレは床を蹴って走り出した。
     うねうねとうごめく魔王の触手から、真っ黒い粘液のようなものがいくつも射出される。
     しかし、それらはオレに当たる直前に蒸発した。
    「何?! 惑乱の魔弾がきかない?」
    「この世のありとあらゆる呪いを凝縮させた魔弾の噂はきいていたからな。事前に対策をとらせてもらった」
     カイトが冷静に杖を構える。
    「女神の加護をうけた俺たちに、呪いはきかない!」
    「おおおおお、おのれ女神めえええ!」
     魔弾を作り出していた触手が、一斉にオレに向かって来た。素早い攻撃だが、見えないわけじゃない。オレは慎重に1つずつ触手を切り落としていく。
    「ははは、触手にばかり気を取られている場合ではないぞ?」
     触手相手に、一瞬足が止まった時だった。
     目の前に虹色の光弾が向かってきていた。
    「甘い!」
     ばちん、と音をたてて光弾が破裂した。後ろで構えていたカイトが魔法でそれをねじ伏せたのだ。
    「勇者にばかり気を取られている場合じゃないぞ、魔王」
    「カイト、ナイス!」
    「突っ走れクロム。魔法のダメージは気にするな、俺が全部打ち消す!」
    「わかった!」
     触手を薙ぎ払ってオレは進む。ものすごい数の魔弾が飛んできていたが足を止めたりしない。だってカイトが守ると言ったんだ。失敗なんてするわけがない。
    「父さんと……母さんの仇っ!」
     魔王に肉薄し、剣を振り下ろす。
     両断されて、魔王の体はぐずぐずと崩れ始めた。
    「わ、我の……我の体が……っ、うおおおおお」
     回復しようとうごめく魔王を、カイトの魔力が拘束する。オレは更にその首を切り落とした。
    「おおおおのれおのれおのれ……呪ってやる……呪ってやる……!」
    「だから、呪いはきかないって言ってるだろ?」
     オレは魔王の頭を見下ろす。魔王は恨みがましくオレを睨んだ。
    「呪えない……呪えない……ならば……お前を『祝福』してやろう」
     にんまり、と魔王が口元をゆがめた。
    「何っ?!」
     魔王はちらりとカイトを見て、それからバカみたいに笑い出した。
    「そうだ、『祝福』だ! お前に、お前たちに幸福あれとな!」
     闇とは正反対の言葉を口にしたせいだろう。自らを焼きつぶして魔王はあっという間に消滅した。
    「祝福……って何だそれ」
     呆然と、俺たちは立ち尽くす。
     悪意をもった『祝福』。
     魔王の最期の言葉だ。ろくでもない内容に決まっている。
     そう思った瞬間、ずしりと体が重くなった。
    「クロム!」
     カイトの慌てた声を聞きながら、オレはその場に倒れた。

    ●祝勝会の悲報
     アルテア聖王国は、魔王城陥落の知らせを受けて勝利の美酒に酔いしれていた。300年の長きにわたって魔王軍の侵略に苦しめられてきたのだ、その喜びは推して余りある。
     だが、その歓喜の宴にはひとつだけ、欠けたものがあった。
     この勝利の功労者、勇者の姿である。
     本来ならば主役として王城で歓待を受けるはずの人物は、しかしいつまでたっても現れない。
     人々が不安に駆られ始めたころ、勇者の右腕である大賢者が王の前に姿を現した。
    「おお、大賢者カイトよ。よく来てくれた。今宵はそなたのための宴でもある、存分に楽しんでいってくれ」
    「ありがとうございます、国王陛下」
    「……して、勇者クロムはどうしたのじゃ。このたびの魔王討伐は、勇者の活躍あってのもの。彼がおらぬのでは、我らは心から喜ぶことはできぬ」
    「それが……」
     賢者は苦しげに目を伏せた。
    「まさか!」
     最悪の事態を予想して王が腰を浮かせた。慌てて賢者が手を振る。
    「勇者は生きております。ですが、魔王は倒れる寸前、彼に呪いをかけたのです」
    「何と、呪いとな?!」
     賢者はばさりとマントを翻した。その影に隠されていた人物が姿を現す。
     勇者の鎧と剣を身に着けた戦士。だが、彼はなぜか頭からすっぽりとフードをかぶり、その顔を隠してしまっていた。
    「ん? そなたは……勇者、クロムか?」
     王は首をかしげる。
    「にしては、ずいぶん細くはないか?」
     彼の疑問は当然だろう。鎧はぶかぶかで、剣も身の丈にあっていない。誰か小柄な別人に無理矢理着せたような恰好だ。
    「いいえ、彼は勇者です。お忘れになりましたか? この鎧と剣は、真の主以外身に着けることができないことを」
    「では、その者は確かに勇者……」
     広間にどよめきが広がる。まさか英雄がこんな姿になるとは、誰も予想していなかった。
    「この姿こそが呪い。魔王は彼から声と力を奪ってしまったのです」
     その場にいたすべての人間が息をのんだ。
     魔王を倒すという偉業を成した者に新たな試練が課せられてしまったのだから。
    「楽しい宴の席でこのような報告をすることとなってしまい、申し訳ありません。私たちは急ぎ、呪いをとくために旅に出たいと思います」
    「そうか……残念じゃ。そのような事情なら仕方がない。旅に出るというのなら、飛行艇でも船でも我が国の乗り物を使うといい。だが……せめて今夜だけは城で休んでいってくれ。魔王と戦って疲れたであろう?」
    「お心遣い、感謝いたします」
     賢者は、再びマントで勇者を包み込むと静かに広間から立ち去った。


    「おいクロム、部屋についたぞ」
     城の客間に入ると、カイトはオレをマントの中から出した。支えていた手が離れてオレはその場に膝をつく。
    「あーもう、この鎧重てえ……」
    「こら、扉を閉めるまではしゃべるなって言っただろうが」
     ドアを閉めながらカイトがオレをたしなめた。オレは力なくそのまま絨毯の上に座り込む。いつもより隙間が多いせいか、鎧はがしゃがしゃと耳障りな音をたてた。
    「大丈夫か?」
    「あんまり大丈夫じゃない。背中の金具外してくれ」
    「わかった」
     いつもなら眠っていても身に着けられるオレの鎧。だけど今はカイトの手がなければ脱ぐことも着ることもできなかった。
     ぱちん、ぱちんとカイトが留め金を外すたびにゆっくりと体が軽くなる。
     胸あてが外されると、オレは大きく深呼吸をした。
    「……くそ。肩はぶかぶかだってのに、なんで胸だけ圧迫されるかな」
    「そこだけでかいせいだろう」
     カイトがオレの胸元を見る。そこには男の手にもあまるほどたっぷりとしたふくらみが二つあった。形がよくて色っぽい……女の胸。いや胸だけじゃない。六つに割れた腹筋があった場所にはすべすべのおなかが、がっちりかたまった筋肉があった場所には丸くてやわらかい尻がある。
     オレの体は、魔王の『祝福』を受けてなぜか女になっていた。
     しかも、むちむちぷりぷりの美少女。
     元から女顔だったけど、本当に女になったら自分でもびっくりするくらいかわいい。
     たぶん、着飾ったら王女様とも張り合えると思う。
     いやそんな評価はおいておいて。
    「なんで祝福で女になるんだよ〜」
     魔王の城を脱出してから、何度目かの疑問を口にする。

    ←前のページ 現在 1/4 ページ 次のページ→

    1ページ目に戻る
    ▤ 目次ページに戻る


    お気に入りリストに追加 この作品を応援する

    応援ボタンを押す事で作品の★が増え、作者に「イイね!」を伝える事ができます。

    コメント

    作者紹介

    • タカば
    • 作品投稿数:5  累計獲得星数:104
    • 普段はゲーム作ったり、遊んだりしてます。
      サイトでもいくつかサウンドノベルを公開しておりますのでついでにどうぞ
    • 関連URL
      :http://geboku.egoism.jp

    この作者の人気作品

    • 嫁検分
      嫁検分

      └若干変化球投げてみました。ちょっと違った後味の話はいかがでしょう。

    • 肝試し
      肝試し

      └2ちゃん実話怪談ぽい雰囲気で。 この物語はフィクションですが!

    • 401号室
      401号室

      └新居を見つけるときに実際にあったことをモチーフにしました。 事故物件ではないようなのですが……

    小説 ボーイズラブの人気作品

    続きを見る