upppiは縦読みコミック(タテコミ)・イラスト・小説が無料で楽しめるサービスです!

ようこそ!ゲストさん
シリーズ:二人のポンチョ 第4話
閲覧数の合計:23

作品を編集する

  • シリーズタイトル・ジャンルの修正
  • この章を改訂する
  • この章を削除する
  • シリーズに作品を追加する
  • 表紙画像の変更

二人のポンチョ 第4話

作者:ドナルドバーダック

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
    • タグ:
  • 編集協力者:

    お店の説明


    登録ユーザー星:0 だれでも星:0 閲覧数:23

    二人のポンチョ 第4話 4125文字

     


    アタシは控室から出て赤いベルベットの絨毯をハイヒールで踏みしめる。すこし籠った音でアタシの好きな「cats came from the moon」のアレンジ曲が聞こえてくる。向かいにはキャスト用トイレ、そこから右手に8歩、左に曲がるとその先に黒い大理石調の壁材で四角く切り抜かれた接客ホールの景観。その絵の隅から遠目に黒服がお辞儀する、長い廊下をゆっくりと気分を高めつつコツコツとハイヒールを踏み鳴らしながら近づいていく。
    そして仕切りをまたぎ広い空間にでた瞬間、ホールいっぱいに「cats came from the moon」の反響がアタシのカラダを包み込み、アッパーライトがミラーボールのシャンデリアに無数に反射してアタシのカラダを舐めていく。

    まぶしい光に目がくらむ、ホールの中央には巨大なシャンペンタワー型の噴水。下からライトアップされてこの店で一番大きなミラーボールとなっている。それを取り囲むように配置されたソファーとテーブル。そこでくつろぐ男達はこの店のVIP。内閣総理大臣までもが訪れる。VIP一人に3人のキャストがついて接客する。
    そしてその四方に配された銀色のモニュメントとその下には丸いガラス張りのステージ。ダンスタイム外だが専属ダンサーがステージに腰かけて間近の客と談笑している。
    奥にはラウンジ、その中央でバーテン兼支配人が常連の話に耳を傾けながら店内の様子を気を配り若い黒服達に支持を出す。更にその奥に厨房が見え慌ただしく人が行き交う。
    その向かいで赤い布張りの重厚な扉が開き新たな予約客が到来する。ドアボーイがあらかじめ支持された席へと客達を促す。すでにキャストは席に着きゲストを迎える準備を整えている。

    奥行20m、坪300、天井の高さ8m、座席数400、ミラーボール80個にコンピューター制御の照明2000個以上が照らし出す、日本最大規模の超ド級大型キャバクラ、ここがアタシの戦場、
    そしてアタシたちのマダムのお店「クラブ マゼンタ」

    (オープニング 主題歌エレメント・エレメント)
    アーアー ン アアーアアー ン アー ホホホーホー ポポオポー アー

    ・・・ナーンチャッテ、ナンチャッテ。 テヘ、

    嘘です。確かにそんなマンモス(大きいの意)キャバクラは存在する。
    でもそれは、銀座本店「クラブ ロイヤルマゼンタ」(2008年、店舗の完成と共に本店移転)の話。
    うちのお店はその道頓堀1丁目支店、規模もその5分の1にも満たない。それでも十分に大型店なのだが・・・。

    とっいうわけで、ここいらで「クラブ ロイヤルマゼンタ」及び「マゼンタグループ支店」の関係と、それからマダムについてちょっとだけ説明しとこうと思う。

    まず超大型店「クラブ ロイヤルマゼンタ」の存在とその効果については、言わずもがな、その圧倒的な宣伝力とカリスマ性の誇示、グループが日本最大の規模である証明でもあるのだが、他にもう一つ隠された側面がある。

    それは新人育成についてだ。アタシたちは地方のアルバイト雑誌の求人を見て各支店に面接を受けに行く。
    そして採用されると研修で最初に本店に出向し、外側の比較的リーズナブルな席で教育係の先輩に付き従い、接客のイロハを学ぶのだ。(だからもちろんアタシも行った、しかも完成してすぐに!)

    ついでにアタシたち新人はその世界の頂点、まるでおとぎ話か映画の中の様な非現実的な世界をその目で見てその圧倒的インパクトで、夢と希望、目標を手に入れる。(どんなにやさぐれたアバズレでもこれで一発、生意気な鼻っ柱をへし折られ、素直なイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルになってしまうという寸法だ。)
    これがマダムの考えた「マゼンタグループ」のキャスト(キャバクラ嬢)育成法なのだ。

    短パンとYシャツ、高かったMIKEのスニーカー履いて精一杯オシャレした田舎から出たばかりのアタシは、「ロイヤルマゼンタ」の開店準備中の閑散としたホールで「スッゲー、お城みてー。(みたい)」って、自分の大声がコダマで響いてきて恥ずかしかった。(今のメグミよりずっと幼かった当時のアタシ)
    そこで働く綺麗な服を着た先輩のお姉さま方はまるでシンデレラのお姫様のように見えたのだった。

    それから新人研修を終えたアタシたちは全国に数百ある各支店に散っていきそこでまた成果次第では、本店に呼び戻されたり、あるいは支店を任されたりと出世していく。
    勿論、独立や結婚して辞めていく人だっている。(独立には寛容な方針だし、結婚にはお祝い金まで出る。)

    結婚、そう、こういったものについて回る女性特有の問題とわが社?の福利厚生ついても語らねばなるまい。とゆうか語りたい!

    何しろ女性中心の職場、当たり前だが女性特有の問題で仕事に支障が出る、もしくは続けられなくなることがある。そう妊娠、出産、育児である。
    もちろん最初から子持ちのシングルマザーで寄る辺もない人がこの業界を頼ってくることだって多い。
    面倒だからと断っていたら優秀な人材をみすみす捨てるようなものだ。

    ここで巨大グループ企業の強みが最大に生かされる。
    何と、幼稚園・保育園等の多角経営から、育児免許取得のための進学補助、加齢による引退後の進路相談までそれはそれは手厚いサポートが受けられるのだ。

    徹底的な女性人材活用、その理念を昭和40年台のマゼンタグループはまだお店も少数で小さかった最初期から掲げ目指してきたのであった。
    それは日本という国が半世紀以上遅れてようやく手を付け始めた事業である。

    そしてこの女の城を一代で築き上げたのがアタシたちのマダム、生ける伝説、マゼンタグループ総取締役 女帝「北大路千穂」その人だった・・・。

    フー、ようやくマダムのお話です。いやいや熱が入りすぎた。熱い、熱い。
    「あ、三上君、お水チョーダイ。」ゴクゴク、ぷはー「アリガトー。・・・ヨシ、それでは!」

    北大路千穂、アタシ達がマダムと呼ぶその女性が生まれたのは日本の古都京都にあった歴史ある旧家。昭和14年、第二次世界大戦開戦の年だった。
    良家の生まれでありながら物心ついた頃には敗戦後の混乱の中で・・・と、この辺の生い立ちは既に伝記等で書かれていて読んだ人も多いと思うので割愛!
    ・・・え、まだ読んでない?うーん、困ったアタシ歴史苦手なんだ。GHQだとかBBQとか出て来て良く分からなくなるので・・・。

    と、とにかく? 汗、マダム自身が夜の蝶として活躍していたと言う話なのっ!

    同世代には、外国の大統領と結婚した「デビル夫人」とか、割りばし占いで有名な「細本数子」とか、アタシも大好きソーラン旅がらすで有名な「コマッタ鳥の姉妹」とか、そりゃースゲー面子!で、なんかその人達とナンバーワンを競ってたとか。ひー、歴史の教科書かよ!って、
    「ああれ、三上君、さっきのホントに水? あ、お客さんのドリンク勝手に飲んだの?アタシ・・・。ウン、アリガト何でもない。」
    「 ・・・。」

    まーそんなこんなで我らがマダムも国政を司るさる権力者、ゆってしまえば当時の総理大臣の愛人となり、また大衆風俗の有様をお上に伝える良きアドバイザーとして信頼を得ていくわけですよ。
    そして資金と権力を得て自身の理想のために万進していくっと、
    マダム自信の不孝な生い立ちと男に食い物にされる女達のため、寄る辺のない女たちのための駆け込み寺を作ろうとしたと言うお話でした。
    以上、終わり。くー、カッコいいぜ!

    というわけでアタシは仕事があるから行かなくちゃいけない。
    そう、19番の席で黄昏出版の人の接客をするのだ。
    そしてあわよくば、福ちゃんの小説を売り込まなければならない。(小説が存在するならばの話・・・。)

    ええいっ、ままよ!アタシが信じないでどうする!と店内に視線を向ける。
    なるほど。冒頭紹介の夢のようなお店から始まってややスケールダウン感も否めない。
    が、それでも我が「クラブ マゼンタ」(道頓堀店以後省略)だって一流店ではある。
    何よりマダムのお膝元、(マダムは現在大阪にお住まいだ。)格式で落ちようはずはない!

    大体の構造はグループ共通、巨大シャンパンタワーの噴水が無かったり専属ダンサーがいなかったりと言う程度で基本的な雰囲気は本家と統一されている。
    決して安っぽかったり遊びに来たお客の気持ちをガッカリさせるようなものではないと、これは保証する。

    ←前のページ 現在 1/2 ページ 次のページ→

    1ページ目に戻る
    ▤ 目次ページに戻る


    お気に入りリストに追加 この作品を応援する

    応援ボタンを押す事で作品の★が増え、作者に「イイね!」を伝える事ができます。

    コメント

    作者紹介

    この作者の人気作品

    小説 純文学の人気作品

    続きを見る