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シリーズ:フルーツバスケット版権小説「一方向性」(紫呉×透)
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フルーツバスケット版権小説「一方向性」(紫呉×透)

作者:西崎宮都

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    花とゆめ、高屋奈月著の漫画がアニメ化されたアニメ版「フルーツバスケット」の前半+妄想設定で、2002年ごろに書いてWebサイトにUPしていた作品の再掲です。夏の暑い夜、お茶を運んできた本田透にいけないことをする草摩紫呉の話。

    原作未読、アニメ途中で書いたので、キャラやカップリングはねつ造です。


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    フルーツバスケット版権小説「一方向性」(紫呉×透) 7237文字

     

    (人は、やはり誰かを求めずには生きていけないのだろうか。)

     古びたワープロの画面は、先ほどからちっとも変わらない。草摩紫呉は大きく伸びをしてから、ふとそんなことを思ってしまった自分を鼻で笑う。
    (人なんて求めてなんになる?)
    (人は、僕によって利用されるために存在するんだから。)
     それが、自分のある意味でのポリシーだったはず。だが、最近それが少しずつ崩れてきはじめているのに、彼は気がついていた。
     しとしとと絶え間ない雨が、夜の闇をぬって、自分の心まで這い寄ってくるような、そして自分が胸の底に隠した大切なものすべてをだめにしていくような、かすかな恐れ。外の雨はいつかはやむけれど、心の雨はいつになってもやもうとしない。普段の彼は「何を考えているのか分からない」と称されてしまうこともある笑みを顔に張り付け、何があっても動じずにただ笑うだけだったが、夜の静けさの中、部屋に一人こもっているのは、生まれたときから笑うことなんて知らないような暗い色だけを瞳に満たし、心がもう救われないほど深く、深く沈んでいる独りの男。
     草摩の「外」に出て生活してみても、そんな自分が変わるはずもない。由希や夾と同居を始めたのも、その寂しさから逃れ得るのではないかと一瞬でも思ったからなのかもしれない。そんなこと、口が裂けたって誰にも言うつもりはないし、はかない願いだったが。
     嫌な想いの中を漂っていると、キーボードの上にただ乗せてあるだけの指は、ぴくりとも動かない。こうして担当を泣かすのも、そろそろ飽きてきた。
     隣でからからと音を立てて回っている扇風機の風邪は心地いいのに、首筋に一筋の汗が伝った。
     
     こつ、こつ、と障子を叩く音がする。
     やさしく、すこし控えめなその音は、毎日、小さな足音の後にやってくる。最近、それがないと落ち着かないくらい、彼女がいる日常に慣れてしまった。
     こんな夜遅くに珍しい、と思いつつも、知らない間に掻きむしっていた髪の毛を手櫛でそっと直し、一瞬にして目にいつものほほえみを取り戻す。
    「はい、どうぞ」
    「失礼します」
     すっと障子が開き、少し色素が薄い、長い髪の少女が入ってきた。本田透。由希、夾に続く、この家の同居人である。
    「まだお部屋に明かりがついているのが見えましたので」
     彼女は、お盆に乗せて持ってきたウーロン茶のグラスを、そっとそばの机の上に置く。そろそろ秋の気配が感じられる今日この頃だが、今夜はなぜか蒸し暑い。氷がグラスとふれあって立てる音は、それだけで涼しさを運んできた。彼女の格好も涼しげな短いスカートと、下につけたキャミソールが十分透けて見える薄いシャツである。そろそろこの開放的な格好が見えなくなると思うと、近づいてくる秋が少し恨めしくもなる。
    「ありがとう、ちょうどのどが渇いたところだったんだよ」
    「それは良かったです」
     彼女はいつもやわらかく微笑む。自分が遙か遠い昔に忘れてしまったような、心からの笑顔。
    「早速いただこうかな」
     グラスを口に近づけると、茶の香りに、ほんの少しだけ、別の匂いが混じっている。どこかでかいだことがあるような、少し懐かしい、青臭い匂い。「戌」である彼は、一般人より遙かに鼻が利く。
    「ねぇ、透君。今日は不思議な匂いがするね」
    「そうですか?」
     立ち上がって部屋を去ろうとしていた透は、振り返って不思議そうな顔をする。
    「何か、草のような」
     彼女は一度小さく首を傾げてから、すぐ顔を明るくし、人差し指を立てた。
    「あ、先ほどそら豆をむいていたところなのです」
    「なるほどねぇ。透君の手の匂いか」
    「明日の朝ご飯にと思いまして、今準備をしていました」
     彼女が家に来てから、夕食だけでなく、朝食も豪華になった。ただ数が多い豪華さではなく、心がこもった、人の手の味。
    「それはいいねぇ。僕、そら豆大好きなんだよ」
    「紫呉さんもですか? 私も、とても好きなのです」
    「でも、いつもわざわざ皮付きのを買ってこなくてもいいんじゃないの?」
     彼女が皮をむいている姿を何度か見かけたことがあるが、少し不厚めの皮は、彼女の手に少し余るようだ。手が傷つくのではないかと心配になるが、彼女はいつも器用にむいている。
    「えっと、その、私はそら豆の皮むきは豆以上に大好きなのです」
    「へーえ。またどうして? 毎度毎度面倒くさくないの?」
    「なんと言いましょうか、少し固くてごつごつした皮の家の中に、暖かい、白い毛のベッドがありまして、そこに皆さん仲良く並んで、成長していく姿が、思い浮かべるととても暖かい気持ちになれるのです」
    「うーん」
     そんなものかな、と紫呉は首を傾げる。だが、彼女が両手を頬の下で可愛らしく組んで、笑顔で語っているのを聞いていると、何となく真実味を帯びてくるのが不思議だ。
    「でも、さすがに今日のはちょっと量が多かったです。少し肩がこってしまいました」
    「僕がもんであげようか?」
    「え、でも、紫呉さんのほうがこう毎日お疲れですし、私はもう今から寝てしまいますから、大丈夫なのです」
     さりげない一言で、おもしろいように反応する。少し顔を赤らめて両手を振る彼女の肩を押し、「いいからいいから」と扇風機の前に座らせる。
    「透君も毎日家事で疲れてるだろうからねぇ」
    「そんな、私は家事は好きですし、全然問題ないのです」
    「人はね、自分が考えているよりもずっと、疲れているんだよ」
     すまなそうな顔をして振り向く彼女の額を軽く前に戻し、両肩に軽く手を乗せる。肩は肉が少なく、薄く、手の中にすっぽり収まった。薄いシャツの上からでもぬくもりは十分伝わってくるが、少し物足りない。
    「ねぇ、透君。上の一枚は脱いだ方が肩もみやすいと思うんだけど」
    「あ、そうですか?」
     紫呉は透が手を伸ばすより先に、すっと後ろからシャツを引っ張り、腕を取って脱がしてしまう。
    「あの、でも少し恥ずかしいのですが……」
    「いいからいいから。腕をおろして力ぬいて」
     透はおとなしく従う。紫呉は透の長い髪をそっと体の中程でまとめ、改めて肩に手を置いた。ほんの少し汗でしめった素肌は、手に吸い付くようで、それでいてなめらかな感触が、手だけではなく脳を伝って体まで刺激しそうになる。少し力を入れれば折れてしまいそうな細い肩は、紫呉の大きな手が余るほどだ。
    「透君、こんな感じでどうだい?」
    「とっても気持ちがいいのです〜。でも、本当にご無理はなさらないでください。もう大丈夫ですから、代わりましょうか?」
    「大丈夫大丈夫。僕も楽しんでやってるんだから」
     肩を押すと、つられて長い髪が揺れて、親指の背を刺激する。シャンプーの柔らかな匂いが、わずかな汗の匂いと一緒になり、彼女独自の香りが鼻を満たす。
     白い肩に、薄桃色のキャミソールの紐が、似合いすぎるほど似合ってしまう。これほどまで薄桃色が似合う肌は、最近ではめっきり見なくなったと思う。
    「ねぇ、肩ひも邪魔だからちょっとずらすよ」
    「あの、でも……」
    「前を押さえておけば大丈夫だよ。脱がせはしないから」
    「はぁ」
     そっと紐を肩から腕のほうにずらす。透は慌ててキャミソールの前を腕で押さえた。そんなことしなくても胸の当たりで止まりそうなものだとも思うが、見た目より案外ゆったりとした生地は、肩ひもをずらしただけで背中でかなりたわんだ。肩胛骨がほぼすべて見えるようになり、その奥に紐がないブラジャーの背が見えてしまう。
    (無防備すぎるのは少々問題だな)
     白い肩でゆっくりと、絶え間なく動かしている手を、ついつい前のほうに滑らせたくなる。欲望を理性で押しとどめるのは、あまり慣れている方ではない。
     紫呉はそっと透の左肩に唇を這わせた。
     突然の肩に触れる柔らかな髪と、肩を滑る熱く湿った感触に、透の肩が大きく揺れる。
    「あの、紫呉さん……?」
    「透君の肩があまりにもきれいで、ちょっと食べたくなっちゃってね」
    「そんな、私なんかを食べなくても、お腹がお空きになられたのなら今何かお作りしますが」
    「いいから、じっとしてて」
     彼女の妙な反応が楽しい。
    「でも、あの、その……」
    「肩をもむより、こちらのほうが効くんだよ」
     紫呉は唇を一点で止め、強く吸い上げた。唇を離すと、赤い跡が残る。

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    作者紹介

    • 西崎宮都
    • 作品投稿数:13  累計獲得星数:25
    • 西崎宮都(にしざきみやと)。ボーイフレンド(仮)など版権小説中心に書いています。特に西園寺生徒会長(西園寺蓮)×赤主人公のR-18(官能小説)。読みたいシチュエーション、読みたいカップリングなどコメントで募集。

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