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シリーズ:World of Rebirth~終末のイヴ~
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World of Rebirth~終末のイヴ~

作者:乃之鹿裡 -sikari-

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    いよいよ終末を迎えることになった地球。
    生き残った僅かの人間は小さな集団となり、生きる目的も曖昧なまま、それでも栄養源を確保し続けている。

    ※第一稿段階で、未完成といえば未完成です。もう一息捻りたいところですが、そう思ったところで都合良く思い浮かぶなんてことはないので、結局体裁を整え、文字削りをする程度での完成となる可能性も高いのであります。


    登録ユーザー星:4 だれでも星:0 閲覧数:247

    World of Rebirth~終末のイヴ~ 7801文字

     

     荒廃し、ひび割れた大地が延々と続いている。
     生命活動を終えた、ひょろりとした木々が点在してる。まるで巨人の骨の残骸が林立しているかのよう。その間をぬるりとした風が渦を巻くようにして通りすぎて行く。風に乗り宙を舞う物体は、どこにも見当たらない。
     不穏な静寂に覆われたグレーワールド。
     遮蔽を失いつつある地球に、容赦ない灼熱の陽光が降り注いでいる。
     人の目に映る眩いばかりの明度と、心に映る一寸先をも見通せない暗雲が、あまりにも歪な差異を刻んでいる。
     もはや水は枯渇の際に差しかかり、
     もはや資源と呼べる物質は見当たらない。
     世界が完全に生産機能を失い、そしてその時点で地球上に残っていた物資のみが人類の最後の命を繋ぐ――――滅亡への砂時計であった。
     砂の多くはすでに下部に堆積し、今も、上部から落ちてくる命の残滓を受け続けている。そんな状態。
     この、逼迫した現状を引き寄せる原因を作った戦争ばかりしていたらしい先達はもちろん今は生き絶えている。だが、仮にこの光景を目の当たりにできるとすれば、きっとこう言うだろう。
    ――――こんなはずではなかった
     資源は膨大に浪費し、未来の遺産までをも我が物とした。
     結果、大半の人類と同時に、地球が……死、滅。
     それから幾星霜――――現在は果たして何年なのだろうか。二千三百年か二千四百年か。あるいは生き残った人類の記憶の連鎖に空白があり、実際は三十世紀などと言われるような……。
     そんなことはもはやどうだって良い。
     現状――――。
     国家というシステムが崩壊してから、残った人間で小さな集団を形成し、当てのない移民となり、なんとか命を繋いでいる。
     
        
         1
     
     その土地の木々には、まだ僅かに緑が残っていた。それらを結界の軸とするかのように、切れ切れのビニールシートやボロ布などで形成されたテントがところどころ設置されている。
     それぞれの内に人の気配はある。しかし活気はない。
     息を潜めているかのような静けさが場を支配していた。
     ここに存在する全ての物資は拾い集めたものであり、すなわち文明の遺産である。
     時計と呼ばれた物体はあるが、動いてはいない。だから、大地の光景を視認することで一日の区切りを見つけている。
     その際たる指標――――命を削る悪魔の太陽が稜線に沈み、ようやく動き易い時間帯が訪れた。
     ビニールが皺を作る音が鳴る。テントの一つから、男がゆっくりと外へと出てくる。浅黒い肌をして荒々しい印象だ。眼光や肌の張り、雰囲気などから推測するに三十代前半ぐらいであろうか。精悍とも言うよりも、畏怖を抱かせる相貌。
     彼の手の中に水銀式の温度計があった。
    「だいぶ下がって来た、か……」
     男は月明かりに温度計を翳し、それを見つめながら呟いた。
    ――――三八度
     それから、テントと木々の間を移動する。何物かを覆っていたビニールシートを外すと、そこには文明の遺産が集め置かれていた。男はぼこぼこに凹んだ鍋と金属の棒を取り出すと、頭上に掲げ、大きく六度叩いた。金属音が空間を振動させる。あたかもそれが生命の息吹であるかのように、静寂がもぞりと動力を得る。
     一つ、また一つとテントが口を開き、人々が顔を出す。
     テントから出てきたのは、最終的に五十人程度。男女比は約六対四。皆みすぼらしいボロを纏っている。髪は無造作にあちこちし、生気が抜けているかのように覇気が感じられない。ただ、それでも肉がこそげ落ちて骨格が皮膚に浮き上がっているような者はいなかった。頬や腹回りを見る限り、エネルギィ源が枯渇している、というほどではないらしい。食料の備蓄にまだ余力があるということなのだろうか。
     俯きがちなまま、特に挨拶をし合うなどということもなく、淡々とした動作で毎日のルーティンを開始する。
     一日で一度のみと決められた栄養摂取作業である。
     火は極力使わない。
     木の皮、葉、廃屋などで見つけた今にも朽ちそうな缶詰、ほんの僅かの虫の死骸、それと遠く山の麓で取れた川の水である。
     一人に与えられる分量は当然決まっている。全てを合せて、手の平にちょこんと収まる程度しかない。命を繋ぐエネルギィとしてはあまりにも少なすぎる。
     絶望的に、
     少なすぎる。
     配られた者から地面に座り、輪を形成する一部となって行く。そして全員に行き渡ったところで、先程鍋を叩いた男がスッと手を挙げる。
     それが栄養摂取開始の合図である。
     無音のままに、人々は力ない咀嚼をゆっくりとし始める。茫漠とした濃紺の空間に陰鬱な輪を作り、停止しているわけでもなくもぞもぞと僅かに動き続けている。その光景は、月明かりで浮かび上がる異様であった。
     輪の端に見るからに一番の年長だと分かる雄々しい髭を蓄えた男がいる。男は目を閉じ、大きなタライのようなモノの中で胡坐を組んでいた。
     さきほどの合図を司っていた男が、その初老の男の傍に歩み寄った。
     そして、
     間髪を入れず、
     躊躇いを微塵も感じさせない挙動にて、
     男の首を斬り落とした。
     自らの豊かな髭を絡め取るようにして生首が地面に転がる。首は輪を形成している一人の人間の前で停止する。その者は目を見開いて停止した生首を、ほんの一瞥するのみ。咀嚼のペースが乱れることはない。
     胴体――――首元から吹き出した血がタライの中に溜まってゆく。
     誰も何も騒がない。ある者は横目でその様子を見ながら、ある者は見向きもせずに、木の皮を齧り続けている。衣擦れにも似た楚々とした咀嚼の音のみが、音量もリズムも変えずに完全なる静寂を僅かに壊していた。
     男は首なしの死体をタライから出し、ビニールシートの上に寝かせると、その死体をナイフで切り刻み始めた。すぐに小さな肉塊が切り取られていく。
     男は切り取った肉体を、輪を形成する一番近くの人間に手渡す。手渡された人間は、隣へと渡し、隣隣へと肉塊は移動してゆく。
     その繰り返しで、寸前まで初老の男であったはずの肉片が、全員の手に行き渡る。
     そして皆が、ほぼ同時にかぶりついた。
     血が滴り、皆の口元が悪魔の牙が伸び出てきたかのように、黒く染まる。今度の咀嚼には“じゅるり”と耳朶にねっとりと纏わりつくような音が加わっていた。
     死体の解体を終えた男は、今度はタライに溜まっていた血を小さな桶に移した。それをまた傍の人間に手渡した。手渡された人間はタライに直接口を付け、血液をごくりと一つ飲む。そして隣へと手渡す。隣の人間も同じように、人体から採れた血液を摂取し、隣隣と渡してゆく。
     その頃には、死体を解体した男は輪の端に座り、生首を穿っていた。眼球を飲み込み、穴の開いた眼窩から脳漿を引き摺り出しては口に運んでいた。
     男の眼球にギラリと月明かりが反射する。
     不穏。
     誰かが言った。
    ――――あと、四十九人
     そして、
     誰かが輪の人間をぐるりと見回した。


         2

     一日のうち、行動できる時間は至極限定的である。
     悪魔の陽光が大地に降り注いでいる間の行動は疲弊が著しい。だからと言って闇の中で自在に動けるほどに人間の夜目は万能ではない。着火具や燃料などは貴重中の貴重品であり、視界の獲得ごときに使うわけにはいかない。
     よって最も行動が盛んになるのは陽光の昇り始め、すなわち気温が比較的低く視界のある早朝の二時間程度といったところである。
     多く、その時間帯は移動に費やされることになる。
     文明の残滓を求め、当てもない大地を勘だけを頼りに進むのである。
     今自分達が地球のどのあたりに立っているのか、それを知る術はほぼ失われている。もちろん運良くかつての地名が分かる町並みの残骸などに行きつけば、廃屋などから見つかる古い地図と照合し、自分達の場所を知ることは可能であった。だが、そこに留まり続けることは死を意味する。よってまた移動し続けることになるのだが、なぜか地図通りに進んだはずが、地図にはないどろりとした黒い液体に覆われた海に行きあたることになる。そのため、方向感覚は失われ、地図は使い物にならなくなるのだ。あまつさえ、いつ頃、どの地点からくらいだったろうか、書物に登場する文字が読めないように変容している。

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    コメント

    • 鹿さん!夢にも見てしまったこのお話、印象深くて鹿さんワールド全開でよかったと思います。おめでとうございます!
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    • ありがとうございます♪ 
      この不健康な作風を、健康グッズで矯正できはしまいかと夢見ています☆ 
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    • にゃー……。
      グロテスクでした。そして、圧倒的かつ不気味な世界観と最後のどんでん返しがトラウマになる作品。すみません。描写が気持ち悪すぎて、ところどころ流し読みしました……。
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    • わざわざのお越し、恐縮至極であります。ホラーを勘違いしている自覚はあるのですが、自覚があっても発想できず、あれよあれよとこんなことに(*_*; どうせならマイ箱庭であるやんわりゆーもあエッセイ、あるいはほんわかゆーもあファンタジーの世界にお越しいただきたかったという想いを抱きつつ、そんな箱庭作ったこともないことに愕然も( ゚Д゚)ハウ 
      ナマケモノさんの作品に触発されて、多彩な箱庭を作りたいなという気になってきたところで気が早かったようです('ω')ノ コメントありがとうございます♪
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    • 昨日人肉を食べる夢を見てしまったですよ。今思うと確実にこの作品の影響です。茹で上がった真っ白くなった指からほかほかと湯気がたちのぼってそれを口にしていたのです。あれ?生肉じゃない@@;
      • 2 fav
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    • いつも有り難うございます♪ なんとまぁ恐ろしい夢をば(-"-) うん、でもちゃっかり茹で加減は抜群ですっ!!プロノワザ
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