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作者:駒沢

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    蝶は飛び立つ。蛹の背を破って。


    登録ユーザー星:0 だれでも星:0 閲覧数:94

    1052文字

     

    「ねえ、ルリ。チョウって、ホント、不思議よね?」

    「突然どうしたのよ?」

    「さっきね、店の前でサナギを見つけたの。そしたらちょうど背中が割れてアゲハチョウが出てきて……もうびっくり!」

    「なーんだ、そういうこと。うん、イモムシがチョウになるって、すごい変化よね」

    「あれはいったい、どうなってるの?」

    「チョウみたいに、幼虫と全然違う姿の成虫になることを“完全変態”っていうのよ」

    「へー。ルリって、そんなことにも詳しいんだ」

    「ふふ。こう見えても理系女子なんだから、私」

    「どうして、まったく別の姿に変わることができるの?」

    「イモムシは体の中に、チョウになる元となる“成虫原基”というのを持ってるの。ちょっと乱暴な説明になっちゃうけど、イモムシである“兄”の体に、将来チョウになる“弟”が寄生しているみたいな感じかな」

    「ええっ!」

    「卵から孵った“兄”はイモムシとして食べることに専念して、体の中に栄養を溜め込むの」

    「それで?」

    「そしてある一定の量を溜めこむとサナギになって、自分の体をドロドロに溶かしてしまうのよ。もう一度卵みたいな状態になるわけね。ある意味、イモムシである“兄”はこの時点で死んだといってもいいわ」

    「じゃあサナギの中は溶けた状態?」

    「ええ、そう。そして“成虫原基”である“弟”がドロドロに溶けた養分を使って、立派なチョウになるってわけ」

    「そっかー。だとすると、“兄”は“弟”の養分になるために死んだ、ってことになるの?」

    「“成虫原基”の解釈によっては、そうなるかしら?」

    「弟がチョウとして羽ばたくために栄養を蓄えるだけの生涯……か。なんかこう、切ないものを感じるわねえ。そんな一生でいいのかな?」

    「それもまた生き残るための戦略なのよ。ひたすら栄養を蓄えるイモムシと、交尾して子孫を残すチョウ。それぞれが役割に特化することで、生き残る可能性を高めているんだから」

    「そうね。ありがとう、ルリ。おもしろい話だったわ」

    「どういたしまして」

    「ところで、カレシは元気?」

    「元気よ。ていうか、今日も部屋でぐうたらしてるわ。いつかビッグになるとかエラそうなこといってるけど、あれじゃあニートみたいなものね」

    「とかいっちゃって。そんなカレシのために毎日こうしてキャバクラ勤めなんだから、ルリってホント、オトコに尽くすタイプよねー!」

    「そんなんじゃないわよ。いまは私が食べさせてあげてるけど、いつかビッグになったら、こっちが楽させてもらうつもり」

    「うふふ。そのときは別な女を探して、どこかに飛んで行っちゃったりして……」

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    • 駒沢
    • 作品投稿数:20  累計獲得星数:179
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