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『キャット キャンノット クライ The Cat cannot cry』
登場人物
はなこ 元・猫の女の子。18才。警戒心が強く、怖がり。人間の真似っこがしたい。読書の次はお絵描きにハマる。
山田みゆき 美大生。21才。猫が好き。半年前に失踪した飼い猫タロウを探すうちに野良猫たちと(一方的に?)仲良くなる。
タラコ 新入りの野良猫。ピンクのまだら模様。生意気。元・人間で日本語を喋るが「な」の発音が「にゃ」になってしまう。
トラコ 山田と友だちの猫。トラ模様。常にムスッとしている。
キューリ 高いところに登るが好き。だがよく落ちる。
ズッキーニ プライドは高いが甘えん坊なツンデレ。キューリの兄貴分。
ロシアンブルー 田中邸で飼われている猫。山田が唯一意思疎通できる猫。
本編
● 駅前の公園
公園の芝生で遊ぶ小さな子供とお母さん、ボール遊びをする犬、ベンチに座って本を読む老人がいる。鳩がそこかしこにいる。
ベンチに座っている女の子。ぼーっと公園にいる人たちを眺めている。
一羽の鳩がえさをねだりに女の子の足下に近づいてくる。
女の子がぬっと睨むとそそくさと離れていく。
ショルダーバッグから『吾輩は猫である』の文庫本を取り出し、読み始める。
●駅前の公園(時間経過)
ヘッドフォンをして鼻歌を歌いながら歩く山田みゆき。
女の子の隣に座る。
女の子、急に現れた山田に驚くが気にしないように努めて再び本に目を戻す。
山田、鼻歌を歌いながらリュックからスケッチブックと鉛筆を取り出し、芝生で遊ぶ子供をスケッチし始める。
女の子、本を読んでいるが描かれる絵が気になって、ついつい山田の手元を見てしまう。
山田、鉛筆とスケッチブックを脇に置く。
女の子、慌てて本に目を戻す。
山田、リュックからコッペパンを出してかぶりつく。
一羽の鳩が山田に近づき、パン屑をねだるように山田の足下を動き回る。
山田「さっきから全然ページ進んでないよね?」
女の子「わっ」
突然話しかけられて驚く女の子。
山田、ヘッドフォンを外しながら
山田「その本、私も持ってるよ。同じやつ。どっかいっちゃったけど(コッペパンを小さくちぎって鳩にやる)ほらよ。…君も食べる?」
女の子、緊張しながら首を横に振る。
山田「そう」
山田、またパンをちぎって鳩にやる。
いつの間にか5、6羽ほど鳩が集まってきている。
鳩たちにパン屑をやって最後の一口を自分の口に入れる。
鳩「クルックー、クルックー」
山田「集まってきちゃった。もうないよ、あっちいった」
手で鳩たちを払う。が、鳩たちはいなくならない。
山田「ほんとにないってば」
鳩の群れに向かって飛び出す野良猫(タラコ)が現れる。細やかなまだら模様の猫である。
山田「おおおお?」
タラコ「(威嚇して)シャーシャー」
勢い良く飛び立つ鳩たち。
腕で顔を覆う女の子。
山田「威勢いいねえ〜。しかもなかなかきれいな子じゃない!」
スケッチブックと短い鉛筆を手に取り、野良猫の目の前にしゃがんでスケッチする山田。鉛筆を動かす。猫が正確に描かれていく。
猫、あっけにとられてフリーズする。
山田「初めて見る顔ね。よし…あんたの名前は今日からタラコだ!」
タラコ、声に反応してビクッとする。
女の子は驚いて山田の描く絵を見ている。
山田「そんなに緊張しなくてもいいのよ〜〜。リラックス、リラックス〜」
タラコ「(ちょっとビビりながら威嚇して)シャッ」
山田「あ、ごめんごめん、挨拶まだだったね(手を止め、顔をあげる)山田だよ。絵を描くのが好き。でも猫と遊ぶのはもーっと好き。よろしく!」
タラコに向かって握手のための手を差し出す。
タラコ、ツンと向きを変え、離れていく。
山田「ああ、待って」
山田、リュックを持って追いかけようとする。短い鉛筆が手元から落ちる。
タラコ、山田に気づいてダッシュして逃げる。
山田「こら!私と友だちになろうよー!」
山田の後ろ姿を見る女の子。
鉛筆を拾う。
もう一度、山田を見ようとするが、もういない。
● 商店街
買い物する人たちで賑わっている。
鉛筆を手に握って歩く女の子。
●商店街の文房具店前
ショーウィンドウには高級な色鉛筆がずらりと並べられている。
鼻を押し付けてそれを見る女の子。
店の中から店主が、険しい表情で女の子を見る。
女の子、ビクッとなってショーウィンドウから顔を離す。
手にある鉛筆を見る。
山田「ターラコ〜」
女の子、山田の声が聞こえて辺りを見回す。
歩き始める。
山田は、店と店の間の隙間に入って汚れながらタラコを探しているが、女の子は気づかず、通り過ぎてしまう。
● 住宅街の路地
女の子、手で鉛筆を持ちながら歩く。
駐車場の前を通りかかると、山田の声が聞こえてくる。
山田「元気?」
駐車場を見ると、しゃがんで何かに話しかけている山田がいる。
●駐車場
女の子、鉛筆をポケットにしまって山田の背後に近づく。
女の子「なに…やってるの?」
山田「わ!!びっくりした!!」
ところどころ汚れた山田が振り返る。
女の子「わ、私こそびっくりした!」
山田「あなた……喋れるのね!」
女の子に抱きつく、山田。
あわあわする女の子。
山田の足下にいた猫2がムスッとした表情で去ろうとする。
山田「ぎゃ、トラコ待って」
山田、追いかける。
女の子「トラコ…?」
山田「トラ模様だからトラコなの!」
女の子「……」
● 駐車場(時間経過)
山田「いやあ、タラコ追いかけてたらトラコに会ってしまってねえ」
女の子「はあ」
トラコ、アスファルトに寝そべり不機嫌そうにしっぽを地面に叩きつける。
山田「トラコ、そこでじっとしててね。久しぶりに会ったんだから描かせてよ」
スケッチブックを取り出し、鉛筆を探す。
山田「あれ〜?チビ鉛筆がいない」
女の子、不安になる。
山田「ま、いっか」
筆箱から新しい鉛筆を取り出す。ペンケースの中には鉛筆がたくさん入っている。
それを見て目を丸くする女の子。
トラコを描き始める。
山田「それにしてもまた会うなんて奇遇だね」
女の子「(描かれるスケッチに見とれながら)うん」
● 駐車場(時間経過)
トラコ「みゃあ〜」
起き上がって伸びをする、トラコ。
山田「ん〜」
山田も伸びをする。
紙にはトラコのスケッチが出来上がっている。
女の子、スケッチを手に持って見る。
山田「お疲れさま、ありがとう」
トラコを撫でる山田。
トラコ、ムスッとしている。
山田「どう?よく描けてるっしょ?」
うなずく女の子。
女の子「いつも猫描いてるの?」
山田「そうだよ。猫好きなの。この無駄にプライドが高い感じとかね(苦笑)」
トラコ、相変わらずムスッとしている。
山田「ほらもう〜、つれないんだからあ。全然笑ってくれない〜。ま、そこがかわいいんだけど。君もさっきから笑わないね。朝早くから公園で読書なんて…まさか家出中?」
女の子「いや、えっとー…散歩、かなあ」
山田「へえー。名前なんていうの?」
女の子「え、えーと」
女の子、オロオロする。
山田「(肩をすくめて)じゃあ私が名前つけてあげるね」
女の子「え?」
山田「得意なんだよ、名前つけるの」
トラコ、(何が得意だ)と言いたげにムスッとしている。
「ん〜」と言って考え出す山田。
女の子、しゃがんでトラコを見る。トラコも女の子を見る。
女の子「…い、いい天気だね」
トラコ「……みゃ」
トラコが返事をしたことに驚く女の子。
トラコ、女の子をじっと見ている。
女の子「(小声で)疲れた?」
トラコ「…みゃ」
女の子「そっか、寝転がってるだけだもんね、疲れないか」
トラコ、目をそらして目をつむる。
未だ考え中の山田。
駐車場の隅の茂みから、タラコが出てくる。
女の子「あ、あの、山田さん、さっきの猫が」
山田「あ、…タラコ!」
しかしすぐに姿をくらます。
山田「トラコ、タラコとはお友達?」
トラコ「……」
寝たふりをするトラコ。
山田「んもう…。ね、よかったら一緒にお茶しない?再会したのも何かの縁ってことで」
女の子「うん」
● 商店街
商店街を歩く二人。お昼前で賑わっている。
山田「はなこってさあ」
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