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シリーズ:101人目のHerobrine――露天掘刑
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101人目のHerobrine――露天掘刑

作者:しかぞう

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     これは「minecraft」と言うゲームの世界観をモチーフにした短編小説です。着想をゲームに得ておりますが、内容は必ずしもゲームの設定と整合性を保っているとは限りません。minecraftは様々なバージョンがありますが、筆者がプレイしているのはMinecraft Xbox 360 Editionです。


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    101人目のHerobrine――露天掘刑 2306文字

     

    少年はベッドで目が覚めるとまず腹いっぱい朝メシを食べる。そしてシャベルとつるはしとお弁当を担いで外に出る。
    目につく山や丘、それが消えれば足元の地面を掘って土石を集める。日が沈むころ家に戻り集めた土石をボックスに入れる。そして夕飯を心ゆくまで食べてまたベッドにもぐり込む。
    物心ついたときからそうしていて、恐らく死ぬまでそうするのだろうという予感があった。
    おかげで少年の周りには少年が暮らす家と、一本の旗、そして小さな青い球以外には見渡すばかりの地平線しかなかった。
    集めた資源はボックスの中で勝手に分類と精製がされ、必要なところへ送られるらしい。少年はその作業が好きだし、それを誰かが必要として喜んでくれると思うと嬉しかった。それで非常に満足していたが、ふと思った。
    なぜこんなことをしているのだろうか。
    だから少年は、彼に仕事を教えてくれた老人に聞いた。
    少年は少年以外の人間をその老人しか知らなかったが、彼は父さんと呼ばれると怒った。それは爺さんと呼ばれるぐらいに怒った。だからどう見ても老人なのだが、仕方なくおじさんと呼んでいた。
    問われると老人は、これは露天掘刑(ろてんぼりけい)なのだと語った。
    露天掘刑とは戦争罪への刑罰で、戦争罪とは文字通り戦争をした罪だ。
    少年には想像もつかなかったが、昔は人間が溢れるほど居て、その命は地球よりも重かった。しかし戦争では多くの人が死んでしまう。露天掘り刑は、つまらない理由でその戦争を始めてしまった「国」に課される罰だった。
    つまらないこと、たとえばおもちゃの取り合いでケンカを始めた子供に、罰としてどちらの子供からもおもちゃを取りあげるだろう。そうしないとケンカが止まらないからだ。
    同じように、資源や領土などつまらない理由で戦争を始めた国に、その土地を取り上げるのが露天掘刑だった。
    露天掘刑にはその重さに比して三段階あった。
    争点となった領土に対して、一定以上の人命が失なわれたときに露天掘刑が科される。重さはその失われた命の種類によって決まる。
    それが自国の人間だけだった場合は軽露天掘刑となる。
    軽露天掘刑とは、いまの少年の周囲のように、最低限のインフラのほかは、見渡す限りの地平線となるまで土地を平にしなくてはならない。削るだけで積んではならない。そして収集された資源は、戦争で被害を受けた人たちへの贖いに使われる。
    敵国の命を奪ってしまった場合は軽が外れてただの露天掘刑となる。これは戦争した両国の土地を、水没するまで掘らなくてはならない。紛争の原因を取りあげるのが目的だからね。刑のスムーズな執行のために、互いの国を入れ替えて作業させることもあった。競い合うようにとてもうまくいったそうだよ。
    そして最後が、もし戦争と関係ない第三国の人命が失われた場合だ。これは重露天掘刑となって、惚れる限り掘らなくてはならない。マグマだって汲みだして、岩盤の、そのときのテクノロジーではできなくなるまで際限なく掘り続けなくてはならなかった。そしてこの重露天掘刑に限り、被害国のみならず資源は全人類に共有された。それはとても豊かになったよ。いろいろな問題が解決された。そのために第三国で勝手に戦争を起こしたがるものもいたほどだ。あっと、いまのは忘れてくれ。説明すると長くなるし、本質的な問題とは関係ないからな。
    そう、君はその露天掘刑に従事していて、家の脇に旗が立っているだろう。あれが君の国の旗だ。知らなかった? まあそうだな。もう実質の意味がないものだからな。そしてその脇にある、抱えられるほどの青い玉をおぼえているかな。あれは驚くかもしれないが、この大地の形をあらわしているのだ。リアルタイムでな。実はこの大地は、平らではなく丸い形をしている。そして完全じゃなく、小指の爪ほどの赤茶けた染みがあるのに気づいたかな。それが私たちのいるこの土地なのだ。あとはみんな海の下に沈んでしまった。それも限りなく深くだ。時代によって多少の差異はあるが、みんな重露天掘刑に服したと思ってくれればいい。
    その人たちはどうなったかだって? そうだな。どうなったのだろうな。そのまま海の底に沈んでしまったとも言われているし、刑を嫌って空の向こうへ逃げたとも言われている。まだ刑に服していて、いまも海の底で地面を掘っているという話もある。
    実際はどうなのだろうな。まあ、どうでもよいのだよ。外国のことだしな。重要なのは君と君の国のことだ。君はそれらの重露天掘刑で集められた膨大な資源の最後の継承者だ。
    前任者、そう君のお父さんだ――お母さんだったけな?――まあいまとなっては大した問題ではない。男も女も居た。君の直前の遺伝子情報の供給元は、こういう結果になってしまったことを恥じて、自主的に露天掘刑に従事していた。しかしだね、その継承者が適切な判断ができるように成長したとき、そうちょうどこの質問を成したときだな、権限は移譲され、どうするかを自分で決めることができる。
    集めた資源で世界を再び元の形に戻してもいいし、再びその地を人類で満ち溢れさせてもいい。いままでと同じように露天掘刑に従事してもいい。自分ではなにも決めず、後任に全てを委ねてもいい。君が望もうと望むまいと、わしが勝手に君の後継者を用意して、そして先例に習いこのことを伝えるからな。無用な心配はいらない。
    少年は、いまの作業は楽しいから続けると言った。老人は、気が変わったらいつでも変えていいとつけ加えると微笑んで了承した。
    少年は相変わらず毎日幸せだったが、青い玉のそばを通りかかると、他に誰も居ないくてなにもないのは、ちょっとつまらないなと感じるようになった。

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