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シリーズ:無記名サイン帳forぷちほらー
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無記名サイン帳13~18/18

作者:しかぞう

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    昔書いた1200文字の短編集。投稿規定を満たすために6編ずつに分割したもの。その13話から18話。
    ホラーよりはパロディ、パロディと言うよりはダジャレ。ホラー寄りに選集にするかどうか迷ったけど、なにが評価されるかわからないし全掲載にした。


    登録ユーザー星:0 だれでも星:0 閲覧数:59

    無記名サイン帳13~18/18 7476文字

     

    13.ピックマンのも出る
    作品紹介:誰だ出したのは。

    人に迷惑をかけない限り趣味の追求は自由であるべきだ。ペドでもスナッフでも自由にするがいい。もちろんそれを嗜好することによって販売を主とした金銭的動機が供給やそれに関する犯罪行為を助長することがある。
    それは私も社会人の一人として憂慮するし批判もする。
    でもほんの100年前にアルコールだってそうだったんだ。で、いまそのアルコールはどうなっている?
    後進国の人権が安いのが問題なんだ。解決すべきは貧困と法治、貧困と法治なんだ。
    そんな私の趣味は怪奇趣味だ。特に絵画。
    例に挙げたのと比べて大したことないと思う人もいるかもしれない。でもそれは本物を見たことが無い人の戯言だ。私の収集物はとても人に見せられるものではない。
    もちろん創作物で現実ではない。鉛の兵隊のように孤児も寡婦も作らない。
    それでも両親に絶縁され家庭を作るのもあきらめている。それだけの破壊力がある。
    そんな好事家の間で伝説となっているものがある。ピックマンコレクション。R.U.ピックマンが描いた食屍鬼をモチーフした一連の作品でアラビアの迷信に過ぎないモデルが実在してピックマンはそれを写実的に描いたと言わしめるほどの逸品だ。
    なんとその画集が販売されるらしい。もちろん表に出せるものではないので私はツテをたどりその出版社へ訪問した。
    聞いた住所に行くと秘密厳守のためか内線電話があるばかりで誰も居ない。
    私はそれを取って向こうの気配がないのも構わず名前と目的を告げた。
    しばらくして最後の校正中の多忙を詫びられ指定された応接室で待つように言われた。
    私はサービスを受けにきたわけではない。普通の幸福追求を犠牲にしてやまない趣味を満たしに来たのだ。言われるままに部屋へ行き待つことにした。
    そこには一冊のゲラ刷りと内線電話があった。
    私は半日でも待つつもりでソファに腰を下ろし気紛らわしにそのゲラ刷りを手に取った。
    私は驚嘆した。それはたしかにピックマンコレクションだった。同行の士の一人が所蔵したものを一度見たことがあるので間違いない。
    本物だ。感動で急くように次をめくると私はまた驚いた。
    ピックマンはピックマンでもピックマン自身がモデルとなって裸婦像やグラドルのようなポーズを取ってるのだ。
    この驚きをどう形容したらいいだろう。
    たとえば真面目な歴史研究だと思って戦国物や三国志の集まりに行ったときになぜか武将たちが女子高生になってたり同性愛に耽溺してた衝撃に近いだろうか。
    私は感激の落差で怒りに震えていた。そのとき内線が鳴ったので私は取った。

    「ご満足いただけたでしょうか」

    私は爆発しそうな怒りを必死で抑えながら思ったままを述べた。すると声の主は恐縮したように謝りながらすぐ伺うと言った。そしてすぐに来た。
    ピックマンの描くままの醜悪な食屍鬼がドアを開け窓を乗り越え排気口からにじり出て瞬く間に応接室を埋め尽くした。そして口々にこれこそが芸術なのだと私へ訴えるのだった。


    14.キーも鍵ももう越えて
    作品紹介:我が子の命の贖(あがな)いは我が子の命で報いましょう。お前らが越えられる一線は俺だって越えられるのだ。

    蘭堂鱶太(らんどう・ふかた)と言う大人物が居た。彼は一代で巨万の富を成したが失踪してしまった。
    私はその遺言管理人だ。
    彼の遺産は長男と長女によって争われた。二人とも彼譲りの狷介な激情家で一歩も譲る気配はなかった。一族は長男派と長女派に別れてバラバラになった。
    彼の失踪からしばらくして彼の代理人と名乗る銀色の仮面を被った謎の老人が現れた。
    仮に白銀仮面と呼ぶ彼はシルバーキーと銀の鍵をそれぞれ長男と長女に渡しその二つの謎を解いた者が蘭堂邸の居間にある大型振り子時計に隠された遺産を手に入れると告げた。同時に遺産のことは忘れてその謎を解くべきではないとも言った。
    不思議なことに白銀仮面の言ったことは一族以外には極秘だった遺書の内容に沿っていた。
    しかし相続権のある二人の性格は言った通りである。半端な制止は煽るだけだと私も注意したのだが白銀仮面は二人の説得をやめず二人は私の予想した通り争いを激化させた。
    互いの鍵を奪い取ろうと脅しにかどわかし殺しに仕返しと争いは止まらずついに一族は長女を残して全員非業の死を遂げた。
    その長女に白銀仮面は言わんこっちゃないと毒づいた。長女はお前のせいだと激昂し白銀仮面の仮面をむしり取った。そして長女は白銀仮面の顔を見ると仰天して死んでしまった。
    私も驚いた。彼は鱶太本人だったからだ。
    私は鱶太氏になぜこのようなことをしたか聞いた。
    鱶太氏には隠し子が居た。彼の母親は子供の教育費を無心した。それは鱶太氏の財産の一分にもみたいなわずかな額だったがそれを惜しんで長男と長女はその隠し子を謀殺したのだ。間接的な協力を含めれば一族で無実な者は誰も居なかった。
    鱶太氏の怒りは激しく一人残らず殺そうと考えた。しかしよくて一人二人だろう。息子も娘も父譲りの悪知恵と根性が据わってるのでうまくいかないかもしれない。しかしそれではおさまらない。
    そこで動機だった遺産をネタに互いに殺させ合おうと企んだ。この世で恐れる唯一の父が死んだ二人は油断して鱶太氏の思い通りに動いた。そして最後の一人が死んだ。
    私は事情の凄惨さと非情に言葉を失ったがなんとか一言だけ言った。

    「それはやはり犯罪ですぞ」

    鱶太氏は呵々大笑するとこの世に未練はないが世間に従う気もないと二つの鍵を取り出して置時計の振り子のドアを開けた。鱶太氏が中に入って閉じると振り子の向こうにドアが現れもう一つの鍵を使って開けるとその向こうに姿を消した。
    私は当局を呼んで事情を話し逃げた鱶太氏を追うように要請した。しかし置時計をどけても向こうに扉はなく幾多の申請をして屋敷を取り壊してもその先にはなにも無かった。
    これは私の生涯でもっとも不思議で恐ろしい事件だった。いまでもしばしば夢に見る。
    私は夢で色の無い砂漠を歩いていると形のない門の前で白銀仮面の鱶太氏がいるのだ。彼は笑いながら門をくぐるのをしきりに勧めるのだが私は冷や汗を流して目を覚ますのだ。


    15.ナイルアイダホポテトチップス
    作品紹介:タイトルが一番面白い。作品紹介のほうが面白いと並んでまれによくある。

    みんな大好きポテトチップスにはときどき妙な期間限定の風味が出ることがある。地域限定だったりときには誰が考えたのだと首をひねりたくなるようなものもあるがナイルアイダホポテトチップスもその一つである。
    ナイルアイダホポテトチップスはナイルアイダホ味の期間限定ブランドだ。マニアの間ではちょっとした伝説になっていて古くはロゼッタストーンにその記述がみられる。
    資料によれば紀元前200年ほどにエジプトの聖職者によって王に捧げられたのが始まりだ。祖の王位を継いだ若き味、味の中で最も傑出したる味、神々にどこまでも忠実に仕え、敵に対し常に勝利を収め、王国全土に文明をもたらした不死なる味覚、プタハに愛されたる味であるナイルアイダホポテトチップスは9年にわたり発売されたとの記述があった。
    次に言及されるのはアイダホ州の名前の由来である。
    アイダホの名前の由来はネイティブアメリカンのショショーニ族の雄たけび「イー・ダー・ホー」から来ているというのが通説である。これは直訳すると「山から転がる畏るべき太陽」である。太陽ではなくジャガイモだという異説もある。
    ただどちらの場合も同アパッチ族やコマンチ族では敵を意味した。
    これはエジプトの例と同じようにナイルアイダホ味の過度な人気をアパッチ族らが恐れを込めて形容したのだと思われる。
    山から太陽が転がり下りてくるような勢いでナイルアイダホ味が広がったのだろう。その影響力は敵認定しなければならないほど大きかったのだと推測される。
    歴史に三回目に現れるのは近代のエジプトだ。アメリカの小説家がこう記している。
    ナイルアイダホポテトチップスと言う予言者か扇動家が群衆を集めナイルアイダホポテトチップスを広めている。それを味わった者は二度と忘れることができず悪夢に悩まされしばしば外に飛び出して月に咆哮する。彼らは恐怖から逃れるために徘徊や騒乱で夜を過ごし朝日に白ける月を見てようやく眠りに就くのである。

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