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シリーズ:魔法少女 太宰玉69
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魔法少女 太宰玉69

作者:蒼ノ下雷太郎

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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     幻想世界――現実の世界とどこか似ていながら、どこかが決定的に違う――幻想世界の住人が住まう世界。どこかおかしい世界。
     そんな世界で戦う二人と――それ以外のお話。


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    魔法少女 太宰玉69 19501文字

     

       魔法少女 太宰玉69
                                      蒼ノ下 雷太郎 

     彼女は遠くへ行ってしまった。

     ……誰よりも知っているつもりだった。
     でも、本当は何も知らなかった。
     彼女の痛みも、苦しみも、悲しみも……でも、愛していた。
     愛していたのに。
     自分のことしか見えていなくて、彼女のことなんて考えていなくて……
     結局何も見えてなかった。
     見ようとしていなかった。
     まぶたを閉じて、交差点で一人、ぽつんと立っていただけだ。
     見ないフリ。
     聞こえないフリ。
     本当は、前からずっと見えていたことがあったのに――知らないフリを続けた。


    【太宰玉県(だざいたまけん) 魔法少女管理組局 局長 α太作成「報告書二〇一六〇二二七号一六六番書」】

     太宰玉県の魔法少女管理組局が所有する魔法少女六九班から脱走者が一名発生。
     この人物は局の襲撃にも荷担していたらしく、動機は定かではないが、現在局員を総動員して行方を追っている。
     なお、現在我々の権限により彼女の殺害を許可――

     1

     幻想世界、裏日本の太宰玉県にある平凡な町。だざいたま市裏和区。
     局から出発してホウキにまたがり、飛行。
     現在、十七号線を進み、敵を追跡中。
     あの【真】、のんきにヤキトリ食ってやがった。裏和駅近くの居酒屋で。
     黒いのは「――ちっ」と舌打ちし、白いのは「いいなぁ、ボクも食べたかったー」と嘆く。
     黒と白の、少女二人。
     片方は真っ黒な髪、ロングストレートの娘。非情に可愛らしく、美顔。若い娘。ワンピース型のセーラー服を着用し、頭には黒の線が入ったマリンセーラーハット。リボンは赤。お尻が良い形=良い娘。靴下は黒でそれが白皙の肌に合う。革靴は黒。胸はちんまり悲しい娘。ホウキにまたがり相方に怒声。切れ目のお目々に、黒縁眼鏡。知的な印象を受けるが、同時に鋭い迫力も持ち合わせる。
    「ほら、白歌! しーろーかっ! もっと撃って!ジャンジャンと! ジャンジャカと!」
    「えーん、もう疲れたよクロコーン」
    「私をクロコン言うな!」
     片方はやや白めの銀髪。これまたロングストレート。相方は美顔だがこの子はやや童顔でお目々が可愛らしく、クルリッとしている。若い娘。胸は豊富=最高。相方と色違いの服装。ワンピース型のセーラー服、彼女の場合は白い、ともかく白い。帽子も靴下も革靴も、格闘ゲームの二Pキャラのように対称的。良い娘。小動物系。声は甘くほんわかとしていて、キリッとクールな相方とは大違い。
    「えーん、撃っても当たらないよー!」
    「当てるの! 早くしないと家でとっちめるよ!」
    「えぇーん、もうお尻は嫌だぁぁぁっ!」
    「外で言うな!」
     白い子の悲痛が宿ったのか、魔弾が命中。ヒット。犬型の【真】は淡い光となって消える。
    「任務完了っ!」
    「うぅ……、完了」
     彼女達は魔法少女。
     太宰玉県が誇る【美少女】であり、「美しき戦士」。
     太宰玉県だざいたま市担当魔法少女、第六九班の二人。ペア。裏日本の【美少女】はいつだってペアで行動する。
     黒い方は東西黒子。
     白い方は北南白歌。
    「さっさと局に報告して家に帰ろ。もう、朝から何件仕事してんのよ――ってしがみつくな!」
    「だって、ボクもう疲れたあ。嫌だ、もう飛行できないー」
     二人とも同じくらいの身長。小柄な体格。十五歳程度の年齢。おそらく日本人。……現実世界の、日本にいた少女。
     彼女らは、白が一方的にくっついてフラフラしながら飛んで帰る。目指せ、管理組局。目指せ、家路。帰ったら温かいベッドでうっふん、うっふんだ。

     局にもどると、彼女達を待っていたのは新たな仕事の依頼だった。
    「………」
    「………」
     二人の視線が一匹の小動物にするどく刺さる。
    「うっ――そ、そんな目でにらんでもダメだからね! これが仕事! 労働! 日本人なら労働を美徳としないと! 世の中には働きたくても働けない人がっ――あ、叩かないで。ちょっ、つままないで。ごめんなさい。許してください」
    「休暇よこせ! あんたね、こっちが黙って言いなりになると思ったら大間違いよ。スト起こすわよ、スト!」
    「ストリートファイター!」
    「違う! それ違う! ス・ト・ラ・イ・キ! フランスの伝統文化のあれよ」
    「いや、伝統文化とは……」
    「あ?」
    「……ごめんなさい」
     見た目は動物虐待である。
     ここは太宰玉県の魔法少女管理組局であり、その三階のオフィスである。机の上で働くのはどれもこれも女の子が好みそうなファンシーな小動物ばかり。ハムスター、子犬、子猫、中には何故かヘビもいるが、まぁ大体「かっわいぃーっ!」と黄色い声でさわぐものばかりだ。(ちなみに黒子がつまんでるのはハムスター)
     心なごむ彼らであるが、容姿とは裏腹に机の上は汚く散乱している。
     数日前のカップ麺や、ボロボロのテッシュ、他にもエロ本を置いたり、空き缶を煙草の灰皿代わりにしたりなど、人間のおっさんと変わらない腐敗具合。それを起こしたのが彼らなのだが、初見ではまず信じられない。
    「で、何で仕事がくんのよ。聞いてないんだけど」
    「ひどいよ、α太。休暇あるって言ってたのに、ボクら遊ぶ気マンマンだったのにぃ」
    「そんなこと言われても……」
     何度もふりまわされたり、引っ張られたり、叩かれたりしたあと、ようやく解放されて、青色のハムスターのα太は「ごほんっ……」とようやく威厳を見せ、彼女らに用紙を渡す。どういう力か不明だが、念力のように机の引き出しが勝手に開き、紙が浮き上がって渡された。
    「……これは」黒子は目を強ばらせる。
    「……これって」白歌は記憶をさぐるように停止し、さぐり終えてようやく眺める。
    「そう、あの男だよ」
     その用紙には一人の男のプロフィールが書かれていた。
     名前、唐草大庄。
     身長は一七八、体重は六一、歳は三一。背丈はまぁまぁ、細くもなく太くもない。だが髪はぼさぼさで、無精ひげはほったらかし。顔つきは悪くないのだが、だらしなさでもったいないことをしている男である。
     彼は魔術師であり、【虚】だ。いつだって、魔法使いの敵は魔術師。神秘的を汚すのはいつだって論理的であり効率化の人物だ。
     彼は――小説家でもある。
    「えぇー、ボクこんなの探すより休暇楽しみたいな。というか、こいつ死んでるよ。あれで確実に。だから、こんなのNOしちゃってさ。休日を」
    「のったわ……」
    「――ん? ちょ、黒子さん?」
     白歌は漫画のように冷や汗たらりと流す。
     嫌な予感がする。
    「この仕事、のった!」「いやああああああああああああっ!」
     結局、二人は休暇をつぶして仕事するハメになった。

     2

     幻想世界、本当は裏世界というのだが、それだと裏社会と被り暗闇ばかりが注目される。そんなのはダメだということで、この世界の住人はここを幻想世界と呼ぶ。
     ここは形の無い者の住処。人も動物も建物も、思想も幻想も夢も、全て「違い」という垣根を破壊され、狂わされ、共存してしまった。だから曖昧で、危ない。善悪の概念など無価値に等しく、周りのことを考えずに暴れ出す輩も多い。
     幻想世界とは現実世界から何らかのものが現れる世界だ。それが形を失い曖昧とし、幻想のようになる。だから、その中には現実世界から悪しきモノとして現れるのもいる。もう一度言おう。この世界には善悪の概念など無価値なため、この世界の者に治安を任せるのは不可能であり、ゆえに現実世界からこの世界を守るための【人間】を連れて来なければならない。
     そう、善悪の概念は人間にしか存在しないものだ。
     動物にいくら説明しても、善悪の概念を理解できるはずがない。
     現実世界からここへ、それを現実世界の者は【神隠し】だったり【UFOの誘拐】と言ったりするが、ともかく、ここではその連れて来られた者を【美少女】と呼ぶ。
     呼び方は何でもいい。その名のとおりに【びしょうじょ】と呼んでもいいし、【せんし】にしても、【アイドル】と呼んでもかまわない。大事なのはピグドラム的な看板であり、彼女らが何者か、抽象的でそれでいて明確で、そんなことが可能であるなら何でもかまわない。
     この【美少女】というのは世界各国(といっても幻想世界のだが)に存在し、日本は多様性を発揮する変態国家なため、その種類は世界一を誇る。各都道府県ごとにそれぞれの【美少女】が存在し、この裏日本の平和を守っている。

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