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清楚で優しいお嬢様は、私とはずいぶん違う世界観の中で生きてきた。そんな彼女の力になりたい、彼女と一緒にいたい。同じ時間を過ごすうちに、その想いは日に日に強くなっていった。
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だれでも
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木漏れ日が差し込み幻想的に輝く森の中、私は一人ひたすら歩く。その最中、目を疑った。目をこすってみても変わらない。
明るく輝く泉を背景に、凛とそびえ立つ樹木に背をもたれさせて眠る、今まで見たこともない美少女が目を閉じて眠っていた。
光を受けて艶々と輝く黒髪は、前髪もサイドも真っ直ぐに切りそろえられている。背中と樹木に挟まれていてもなお美しさを主張する後ろ髪はおそらく腰まで届くだろう。
肌は新雪のように白く綺麗で、顔立ちは無駄なく整っている。
「ん……」
少女はゆっくりと目を開けた。目を開けた少女と私の視線がばっちりとかち合ってしまい、あわてて目をそらす。
見ていたことがばれてしまったかと思ったそのとき、彼女は澄みきった声で問いかけた。
「あなたは、この場所が好きですか?」
いきなりな質問に不意を突かれたものの、本心のままに答える。
「初めて来たけど、いい所だと思います」
「そう、良かった。私、ここが好きだからよく来るんです。心が落ち着いて……心地よくて。
居心地良すぎて今みたいに眠ってしまうこともあるんですけど」
彼女はばつが悪そうに苦笑した。
今の質問はお互い気まずくならないようにと思ってのことだろうか。
「わかります、ここに来た友達がとても綺麗で落ち着く場所だから一度行ってみるといいって言ってたけど、本当にその通りでした」
「そのお友達はいらっしゃらないの?」
「あの子は一度きたら満足だって言ってました。私はこういうところ好きなんで一人で来ました」
私はここみたいな自然豊かで心が落ち着くところが大好きなのだけれど、友達は退屈だからもう行こうとは思わないということで、私一人でここへ来ることとなった。雰囲気や性格の波長は合うのだけど、こういった趣味や好みがまるで違うのだ。
「そうですか……あ、自己紹介が遅れました。私は和泉雫と言います」
笑顔のまま丁寧に頭を下げる動作は、清流のように美しい。さっきから思っていたけれど、上品な人だなあ。それに、どこかで聞いたことある名前の気がする。
「あの……どこか問題でもありましたか?」
心配そうに顔を覗き込んでくる彼女……雫さん。いけない、意識が飛びそうになっていた、自己紹介しないと。
「ううん、大丈夫です。私は穂風真希奈。真希奈って呼んでください」
「穂風……真希奈さん?」
「はい、そうですけど?」
この人、私のことを知っている?
「もしかして白姫高校の方ではないのですか? 私はそこで生徒会長をやっているのですが……」
そういえば聞いたことがある。2年生にして生徒会長をしている、才色兼備の生徒がいると。
「あー、あなたがそうなの? ごめんね、流行に疎くって」
下級生と分かり、すぐさま口調を崩す。正直なところ敬語は苦手だ。
「そういう問題ではない気もしますが……そもそも私のことを知らない生徒がいたことに驚きです」
「……それ、自慢?」
「ち、違いますっ! 朝礼などで皆さんの前に出ているので、生徒なら顔と名前くらいは知っているはずです」
「うーん、私、人の顔と名前覚えるの苦手だからなあ……それに生徒会長だからって正直興味ないし」
彼女は驚きの表情でこちらを見ている。もしかしなくても、今のは失言だっただろう。
「ご、ごめんなさいっ! あなたに興味がないんじゃなくて、生徒会長だからって特別視しないというか、年功序列反対というか……!」
頭を下げ、思いつく限りの謝罪をする。けれど何を言っているのか自分でも分からない。
彼女からのアクションが無いので、恐る恐る顔を上げると。
「あの……もしよろしければまたここに来てくださると嬉しいです!」
顔を赤くして精一杯に思いを伝える彼女の姿がそこにあった。なんで? どうして? why?
今日は日曜日だ、毎週行こうと思えば行けるだろう。でも今日は偶々早く目がさめたにしても、毎週の早起きは正直きつい。
だからといってこないという選択肢はない。この場所は気に入ったし、この子ともっと話してみたいし。
「午後からじゃダメ?」
「すいません、午後には習い事があるので……」
「そっか、じゃあ用事がなかったら毎週来るよ」
それと寝坊しなかったら。
「ありがとうございます! あ、私のことは雫と呼んでください、真希奈さん」
向日葵のような満開の笑みで喜ぶ彼女を見ていると、なんだか心があったかくなり、
同時にどこか落ち着かない気持ちになった。気恥ずかしいというか、むず痒いというか。よく分からない。
それに、どうして彼女……雫が笑顔になったのかはわからない。
けれど、確かに私は、ずっとこの笑顔を見ていたいと思った。
それから雫とは約束通り毎週会うことになった。
今日も泉と木漏れ日と彼女の笑顔がキラキラと光っている。
互いのことを話していくうちに、彼女はずいぶんなお嬢様であることがわかった。車で学校まで送り迎えとまでは行かないが、ゲームセンターやコンビニやファーストフード店などに入ったことがないのだそうだ。
ちなみに、学校では滅多に会えず、会えたとしても必ず回りに人がいるか生徒会の仕事をしているかなので、なかなか話す機会が無い。
その分週末にこうして話すのだけど、これが予想以上に楽しい。雫は私のどんな話でも熱心に聞いてくれて、知らないことが多いのかまるで子供のように次々と疑問を投げかけてくる。それが妙に可愛くて、ついつい多くのことを話してしまう。もっと雫のことが知りたいな。
「ねえ、今度の休日デートしない? 日曜じゃなくて、来週の創立記念日」
気付けば私はそんなことを聞いていた。でも妙案だとは思う。よくやった私の口。それとも脳かな?
「で、でーとですか!?」
雫は普段は穏やかな目を大きく見開いて予想以上に驚いた。
「そ。もしかして予定ある?」
「いえ、大丈夫です……」
頬を染めて落ち着き無くもじもじする姿がたまらなくかわいらしい。
ずっと見ていたい、寧ろ抱きしめたい……って何考えてるの私は!? そんなことをしたら繊細な雫のことだから距離を置かれてしまうかもしれない。でもデート中に手を繋ぐくらいはしてみたい。
そんなことを考えつつ場所と時間を決め、後はいつも通り他愛も無い話をして過ごした。
それから数日後、デート当日の午前10時5分前。私はデパートの前の木陰で雫を待っていた。とはいっても来てからまだ1分も経っていないのだけれど。
「おはようございます。すみません、待たせちゃいました?」
見ているだけで心が癒される笑顔でやってきた雫が問いかける。
来ている服はいつもより肌を覆う面積が狭い青色のワンピースだ。涼しげで清涼感を与えつつ、いつもより少し露出が多めにも関わらず彼女の持つ清楚な雰囲気は全く失われていない。
ちなみに私は黄色と橙のチェックのミニスカートとクリーム色のノースリーブの服を着用している。いつもは膝丈なんだけれど、雫と一緒という高揚感が私にそうさせた。
……大丈夫、釣り合ってないことはない! はず!
「ううん、今来たとこだよ。それじゃあ行こっか」
「はい!」
私は雫と共に服売り場までやってきた。色とりどりのいろんな服があって目移りしてしまう。
聞けば雫は親以外と買い物に出かけるのは初めてだそうだ。友達とは時間が合わないことが多く、次第に誘われることが少なくなっていってしまったらしい。
「ね、あれ雫に似合うんじゃない?」
私が指差したのはプリーツミニスカート。ひらひらしていて可愛らしい。丈は私が今はいているのと同じくらいかな。
「あんなに短いのなんて無理です! そうですね……あれならはけそうです」
そう言って雫が指差したのは落ち着いた感じのロングスカートだ。いかにも雫とは相性の良さそうな感じだけれど、普段なら絶対にしないであろう格好をしてもらいたい。
「でもさ、いつもとは違う自分になってみたいと思わない?」
「違う、自分……」
お、手ごたえありかな。ならばもう一押しとばかりに私は先ほど指差したスカートを持って雫を半ば強引に試着室へと連れ込んだ。
雫が恥ずかしいというのでそこらの服を物色し始めて少ししてから試着室へ戻ると、着替え終えた雫が出てきた。
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