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シリーズ:水の中
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水の中

作者:黒瀬理子

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
    • タグ:
    • BL
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    水の中 994文字

     

     生温い水中に体を沈め、壁を思い切り蹴った。身体が滑るように進んでいく。柔らかな水の温かさが心地いい。そっと目を閉じて再び開く。すると、いつものように彼が現れた。彼はプールの底で、僕をじっと見つめていた。僕の進む速さに合わせて、彼は床に沿って進む。息継ぎのために顔を上げようとすると、彼の白い手が伸びてきた。顔にそっと両手で触れられた。彼の手は、プールの水よりずっと冷たい。ひんやりとした滑らかな手が頬を撫でる。プールの底へそっと引き寄せられ、僕はいよいよ息が苦しくなってきた。彼はじっと僕を見つめている。水の中の彼の瞳は、空や海の色よりも真っ青だ。光を受ける度に明るく輝き、その瞳はいっそう美しくなる。透き通った瞳に見とれて、息ができないことも忘れていた。苦しい、と思ったときには既に、彼の唇が僕の唇に触れていた。氷のように冷たい唇が、ぴたりと重なる。あまりにも冷たく、体温を奪われているような気がする。彼はそっと目を開き、目線で僕に訴えた。彼の意思に従い、少しだけ口を開ける。彼は僕の唇をそっと食み、また目を閉じた。彼とこうしている間は、息が自由にできる。鼻からではなく、彼と繋がっているこの口から。水中では自分の心音しか聞こえない。普段より早く激しく、僕の心臓は高鳴った。彼は僕の顔から手を放し、僕の身体をそっと抱きしめた。彼の冷たい身体が触れ、一瞬寒気がした。しかしそれはすぐに心地良いものとなり、僕はしばらく彼から離れられなくなる。脚と手を絡め、僕は彼の体温をもっと味わおうとした。ひんやりとした滑らかな肢体が絡められる。僕は彼の体温に侵され、彼は僕の体温を奪っている。そう考えると全身に鳥肌が立ち、惚けるような痺れが体中を走った。ずっとこのままで、ずっと彼と繋がったままで。そう思ったときだった。ずっとずっと遠くの方から、男子生徒たちのはしゃぎ声が聞こえた。彼は細めていた目を見開き、僕から四肢を解き、体を離す。悲しげな瞳をこちらに向け、僕の額に唇を一瞬だけ落とした。そして彼は泳ぎだした。僕は後を追わず、黙ってそれを見ることしかできない。彼の姿が小さくなると、やがて彼は氷のように水に消えてしまった。ひんやりとした柔らかな彼の身体の感触が、僕に取りついた。それを思い出し、一つの疼きが体を支配した。明日は誰にも邪魔されないはずだ。僕はそう考えながら、暑く眩しい水面に上がった。

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    作者紹介

    • 黒瀬理子
    • 作品投稿数:9  累計獲得星数:15
    • 美は地球を救う。愛は憎しみを生む。海外俳優尊い。
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