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シリーズ:不思議な鏡
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不思議な鏡

作者:巨魂

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    非常に短い読切りの短編です。
    お気軽に覗いてみてください。
    いずれ絵本にしようと考えています。
    どなたか絵を描いて頂けませんか?


    登録ユーザー星:1 だれでも星:3 閲覧数:66

    不思議な鏡 2352文字

     

    僕は学校の帰りに、家に帰る途中だった。
    僕が歩く同じ方向の前方にお爺さんが腰を曲げながら重そうな荷物を運んでいた。
    ゆっくり、ゆっくり、とても遅い速さで歩いていた。
    黙って追い越そうかとも思ったけど、辛そうに歩いているように見えたのでやっぱり手伝おうと心に決めた。
    お父さんお母さんに、「困っている人がいたら助けてあげようね」とよく言われていたから。

    僕はお爺さんに声を掛けた。
    白い髭を生やしたお爺さんだった。
    「お手伝いします。」と僕は笑顔で言った。
    「いいのかい?助かるよ。ありがとう。」とお爺さんは言った。
    僕はお爺さんの荷物を持って同じペースで並んで歩き始めた。

    お爺さんの住所を聞くと僕が住んでいる所より少し先の丘の上に立っている神社の裏手ということが分かった。
    毎年初詣に行っているし、七五三の時にもお参りに行ったよく知っている神社の裏側だった。
    いつもは神社の急な階段を登るのだが、今日はその数メートル左脇の車道の坂道を登って行った。
    お爺さんが一人でこの荷物を持って上がるのは厳しい険しい坂だった。
    手伝うことにして本当によかったと心から思った。

    神社の真横あたりと思われるところより少し登ったところに大きい右カーブがあり、その突き当りがお爺さんの家だった。

    僕はお爺さんの家の玄関に荷物を置いた。
    お爺さんは「ありがとう、本当に助かったよ。」と笑顔を見せてくれた。
    それではと帰ろうとしたところ、お爺さんは「お待ちなさい。お礼をしたいので上がっていきなさい。」と言った。
    僕はそんなに長居をしたくなかったので「いいです、いいです。」と断って帰ろうとした。
    お爺さんは「では、この玄関で待ってなさい。渡したいものがあるのだ。」といって家の奥に向かわれた。
    僕はお菓子かジュースでも貰えるのかなと期待した。
    お爺さんは風呂敷に入った平べったい形のものを両手で持ってきた。
    やっぱりお菓子だなと僕は思った。

    お爺さんは僕に玄関に座るよう促した。
    一緒に座るとお爺さんは風呂敷を解いて広げて見せた。
    ???
    六角形の形をした古ぼけた鏡であった。
    お爺さんは囁くように僕に言った。
    「これは誰にも言ってはいけないよ。この鏡はとても大切なものなんだ。」
    「えっ?骨董品か何かで貴重なものなんですか?そんな大切な鏡は受け取れません。」
    「いやいや違う。貴重は貴重だがそこらへんの鏡とは全然違うのだ。」
    「どういうことですか?」
    「信じられないかもしれないが、この鏡は未来の己を映し出す鏡なんだ。」
    「???」
    「ほら、のぞいてごらん。5年〜15年後くらいの君が映っているだろう?」
    僕は鏡を覗き込んだ。
    そしてその瞬間、僕はのけぞった。あまりにもびっくりしたからだ。
    確かにそこには自分と非常に似ている青年が映っていた。
    あれは僕なのか?
    「ははは、びっくりしただろう。私も最初はびっくりしたさ。」
    僕は少し震えていた。怖くなった。こんなことが実際に起こり得るものなのか。
    「もう一度覗いてみるかい?」
    僕は顔を横に振った。
    「そうかい、それなら今はまだいい。では私の話をじっくり聞いておくれ。この鏡は毎日の自分の行動や考えによってどんどん姿形を変えていくのだ。今日の君のように人を助けると鏡の顔がにこやかになる。勉強をして成績が上がるようになるとこれまた笑顔になったりする。余裕のある顔つきに変わってくる。これは分かりやすい話だからすぐに理解してくれるだろう?でも不思議なもんでな、たとえ自分が何かしらの失敗をしても生き生きするのだよ。自分の頭で考えて挑戦する行動を起こして大失敗したとしても生き生きする。不思議だと思わんか?私は驚いたのだよ。以前、私が毎晩この鏡を覗いていたのだけれども何かを頑張って成功した時は鏡の未来の私は勿論喜んでくれたのた、しかし失敗した時はもっと喜んでくれた。多分、その失敗によって自分が何かしらの成長をした証になっているのであろうな。だから私は失敗を恐れなくなった。どんどん行動するようになった。」

    僕はお爺さんの話を聞いているうちにだんだん冷静になり、聞き入るようになっていた。
    もう、その不思議な鏡について信じ始めていた。
    僕は聞いた。「本当に失敗しても未来の自分は生き生きするんですか?」
    「本当だとも。でも、最初からそのような好循環ではなかった。以前の私はどちらかというと内向的であまり行動を起こさない人間だった。物事をあまり自分の頭で考えようとしなかった。また、ものぐさで腰が重かったのだよ。問題が起こった時にはその問題を直視できず、逃げていた時があった。そのような時はどんどん鏡の中の顔は暗くなり、みすぼらしく醜い顔に変わっていった。その変わっていく表情の変化が本当に怖かったものだ。」
    僕は唾を飲み込んだ。
    「私はこの鏡を君にプレゼントする。きっとこの鏡は君の成長・進化を手助けするであろう。」
    「本当にいいんですか?でも、正直まだ僕ちょっと怖いんです。」
    「そうか。では私が目の前にいるここでもう一度この鏡をみてごらんなさい。一人で見るのが怖いのであればここで慣れていきなさい。」
    僕は「はい」と頷き、覗き込んだ。そこには笑顔の晴れやかな青年が映っていた。
    「どうだい?」
    「はい、もう慣れました。」
    「どんな顔をしていたのだい?」
    「僕が自分で言うのもなんですが、感じの良さそうな好青年が映っていました。」
    「そりゃあ良かった。先程の私の話をちゃんと信じて行動を起こす準備ができている証拠だよ。その鏡を毎日眺めてその中の彼を喜ばせてやってくれ。」
    「はい!分かりました。ありがとうございます。」

    僕はその不思議な鏡を両手に抱きかかえて大切に家に持ち帰った。
    家族の誰にもこの話をしなかった。信じてもらえそうにもなかったから。
    この日から毎晩、この鏡を覗くのが楽しくなった。

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