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シリーズ:virgin suicide ~貴方が残してくれたもの~【改訂版】
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virgin suicide ~貴方が残してくれたもの~【改訂版】

作者:奈美

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    落ちてたまるか~リスキーゲーム~の登場人物、水野刑事の切ないラブストーリー。この恋愛があったからこそ、今の自分が翼と恋愛出来てる……
    「お前を殺して、僕も死ぬ……」
    同じ気持ちで、俺も貴方を愛してました。この恋は、忘れない……
    性的描写がちょっとだけあります。ボカロ曲「virgin suicides」を元に書きおろしてます。ついに、完結。


    登録ユーザー星:7 だれでも星:18 閲覧数:1381

    virgin suicide ~貴方が残してくれたもの~【改訂版】 54790文字

     

    【virgin suicide :運命の出逢い】


     幸せは、どうして長く続かないんだろう? だって幸せを感じるのって、ほんの一瞬だから。そんな幸せの種類も、たくさんあって。
     

     例えば――忙しい仕事をやり終えた後の、一口目の生ビールという、味わいの幸せ。
     
     そして現在、迷子のおばあちゃんを無事に家へ送り届けて、ご家族の方々にお辞儀をされながら、お礼を言われている。
     
     まさに今も幸せだったりするよなぁと、しみじみ思い微笑んだ。


    「こういう積み重ねで今日も、仕事……頑張れるんだよね」

     
     交番に戻る道すがら、ポツリとひとりごちた。
     
     小学生の時の夢を叶え、警察官になって交番勤務一年目の新人、水野政隆。毎日楽しく、お仕事に励んでおります。
     
     たまたま出くわした空き巣を捕まえたり、酔っ払いのお父さんを介抱したり、今みたいに道案内したり、いろんな人との出会いに日々、感謝している。


    「そうだ、さっきのおばあちゃん、また迷子になったら困るから、住所と名前、メモっとかないとね」

     
     たどり着けたのは迷子札を首から、きちんとぶら下げていたからだ。


    「メモメモめ〜」
     

     ブツブツ言いながら道の端っこに佇む俺に、後方からやって来た誰かが大声で叫んだ。


    「そこのポリ公! 走ってるそいつを、絶対にひっ捕まえろっ!!」
     

     切羽詰まった感じの、低めのハスキーボイス――
     
     その声にビックリして顔を上げ後方を窺うと、見るからにガラの悪そうな男が必死に、こちらに向かって走って来ていて。その後ろに同じく、ガラの悪そうな男たち数名が、男を追いかけるべく息を切らして走っていた。
     
     とりあえず捕まえろって言ってるんだから、両手を広げて迷う事なく前に立ち塞がってみる。
     
     男を押さえ込もうと右腕を伸ばた瞬間、あっさり弾かれた上に右肘で頭を、がつんと思い切り殴られてしまった始末。

     痛ったー……たくさん目から、ばちばちっと星が飛んだよ。
     
     俺が頭を押えてフラフラしてる間に、男は走り去る。


    「何やってんだよ、このタコっ! 鈍くさいにも程がある。バカっ!」


     俺に罵声を浴びせた男は、散々文句を投げつけるように言いながら、足早に男を追いかけた。
     
     その言葉に多少ムカつきつつ痛みを我慢して、被ってた帽子を脱ぎ、脇に挟めてから、捨て台詞を吐いた男の横に並走してみせる。


    「さっきは……すみませんでしたっ。あの男を、捕まえればいいんですよね?」
     

     捨て台詞にはイラついたが、自分のやらかしたミスなので、どうしても挽回したかったのだ。


    「あ〜? 野郎、めちゃくちゃ足早くて、追いつけないん、だぜ……」


     眉間にシワを寄せ、息も絶え絶え答える男に、俺はニッコリ微笑む。


    「俺は追いつけます。絶対、誰にも負けない!」
     

     言い終わらない内に、加速した両足――履いてる靴は、運動靴じゃないけど、スライドする足はスムーズに動いた。
     
     ――インターハイ出場、舐めんなよ! 

     なぁんて大口叩いてますが、実際は予選敗退選手。だけど、そこらへんのヤツに負けてたまるか!
     
     必死に走って逃げる男に、どんどん近づいていく。そして……


    「先ほどは、ど〜も。かなぁり、痛かったですよぅ」
     

     颯爽と横に並び、爽やかな笑顔を振りまきながら一声かけると、ギョッとした顔をした、ガラの悪い男。


    「どうもありが、とうっ!」
     

     とうっ! のところで男の足に自分の足をを引っかけて、上手く転ばせてやった。さっき肘で殴られたお礼を、しっかり返す事を忘れない。
     
     派手にスッ転ぶ男に、息を切らしながらあとから来たガラの悪い男たちが、慌てて取り押さえる。


    「お前、やるじゃないか。足、めっちゃ、早いのな‥‥‥」


     ゼーゼーしながら俺に話しかける、捨て台詞を吐いた男。よく見ると、俳優並みに整った顔立ちをしているじゃないか。

     ――むっ、羨ましい……


    「僕は捜一の山上。ちょっとドジっちゃって、コイツ取り逃がしたんだ。マジで助かった……」

    「自分は、二丁目交番に勤務してる水野です。お役に立てて光栄です」
     

     俺は帽子を被り直し、ビシッと敬礼した。
     
     まるで、刑事ドラマみたいなやり取り。勿論俺は通りすがりの、警察官役なんだけど――顔立ちが脇役レベルなので、いた仕方がないよね。 
     
     主人公である山上刑事の額から滴る、汗まみれの顔が眩しい事、この上ない。まんま熱血刑事って感じ。


    「お前のその足、僕にくれないか?」

    「は? くれないかと言われても……?」
     

     あげれるハズないじゃないか。何言ってんだ、この人――
     
     ポカンとして、まじまじと山上刑事の顔を見てしまった。


    「刑事になってその足で、僕のために働けよ。水野」
     

     真剣な眼差しで、俺を見ながら言い放つ。この人、冗談じゃなく本気なんだ。
     
     だけど何気に言ってる事、酷くないか? まるで俺を警察犬みたいに、扱うつもりのような発言。
     
     今日いつも通り、いろんな出会いがあった。しかし、この山上という刑事との出会いは、正直微妙である。
     
     あまりの衝撃に言葉をなくし、うへぇと思いながら、顔を引きつらせるしかない。
     
     そんな俺にズビシと音がしそうな勢いで、眉間に指を突きつけられてしまった。

     ビビッて、思わず顎を引く。


    「二丁目交番の水野、インプットしたからな!」

    「山上さん、一体何――」

    「坊っちゃん。早く連行しないと、デカ長に叱られますよ」


     俺の台詞を遮って、他の刑事が叫んだ。
     
     坊っちゃんって何だか、すごい呼ばれ方してるな。どこぞの御曹司なのか!?
     
     うわぁと考えてたその時、肩をポンと叩かれ、ハッと我に返る。
     
     振り返ると垂れ目の刑事がニコニコしながら、気さくに話しかけてきた。


    「さっきはありがとう。いやぁ、助かった、助かった」

    「いえ、こちらこそすみませんでした……最初に上手く、対処していれば、こんな事にはならなかったんですが」

    「しかし、タイミング悪かったな。あの山上に、目をつけられるとは」
     

     眉間にシワを寄せてタレ目の刑事が憐れむように、じっと俺を見る。その視線を、不思議に思って首を傾げながら、


    「あのぅ、その山上刑事って一体、どういうお方なんですか?」
     
     声を潜めて、こっそり訊ねてみた。
     
     俺に言い放った上から目線の物言いといい、坊ちゃん呼びされてるところといい、非常に気になる。


    「交番勤務じゃ知らなくて当然だよな。山上の父親が、警察庁のお偉いさんでな。親のコネを使って、うちに来て」
     

     同じように、タレ目の刑事もコソコソ話す。


    「やりたい放題やって、きっちり仕事、こなしてくれるワケなんだが――」

    「きっちり仕事してくれるなら、むしろ良いんじゃないんですか?」
     

     言いよどむ言葉を不思議に思った。きっちり仕事をこなすって、やっぱり出来る刑事なんだ。ドジな自分とは大違い。


    「バカ野郎! 法律スレスレの危ない事を、ヤツは進んでやるんだぞ。周りの迷惑無視して、勝手に突っ走るから実際、火の粉被るのが俺たちなんだ」
     

     うわぁ。それはすっごくイヤかも……


    「それは大変そうですね。今回取り逃がしたのって、そのせいなんですか?」

    「いや、デカ長の判断で動いてたんだがな。山上の勘で動いてたら、こんな大事にならなかったと思うなぁ。だけどヤツのやる事は、リスクがでかいからね。誰もやりたがらないんだよ」
     

     日頃から、いろいろと苦労してるんだろうな。疲れ切った顔が、すべてを物語っている。
     
     はあぁと大きなため息をついてトボトボ去って行く、タレ目の刑事に、頑張って下さいと心の中でエールを送った。


    「君もその内、イヤという程分かるよ。ヤツにスカウトされたんだから」
     

     立ち去りながら、呟くように言う。

     え……あれがスカウトされた事になるのか!?

     微妙な気持ちを抱え、呆然と立ちつくした俺。イヤな胸騒ぎが激しくする。


    『インプットしたからな!』
     

     そう言った山上刑事の嬉しそうな顔が、頭から離れなかった。 

     今から俺の事、キレイさっぱり忘れてくれないだろうか――

     ――その後……交番に戻って、小一時間ほど経った夕方、電話が鳴った。それは明日、署長から人事の話があるというので、顔を出してくれという内容だった。

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    コメント

    • virgin suicides番外編を書いてる関係でしょうか。
      ポチポチッと☆がつく事があり、大変嬉しく思います。

      正直暗いお話なので、受けが良くないかなぁと思いつつ、それでも読んでもらえた上に評価していただけるのは本当にあり難いの一言です。

      こういう小さな積み重ねが執筆活動の励みになりますね、有難うございます!
      • 2 fav
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    • 週末になると、ポチポチッと☆がつくのが増えてきている自分の作品。
      特に苦労した作品だったりすると、嬉しさが倍ですね。

      ご拝読ともども、本当に有難うございます(*^_^*)
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    • こんにちは。
      いつも、コメントいただいて、ありがとうございました。

      どこに、コメントを書いていいのか、悩みましたが、ここに書かせていただきました。

      一応、『宇佐未遼平(腐男子)の日常』が終わったので、挨拶に来ました。
      そして、あとがきに、スペシャルサンクスで、奈美さんの名前を使わせていただいたので、もしご都合が悪い時は、おっしゃってくださいね。削除させていただきますので。

      それから、いつも奈美さんは、たくさん文章を書いていて、読みやすくて、おもしろい作品ばっかりなので、とても勉強になりましたし、楽しませていただきました。ありがとうございました。
      それでは、失礼します。
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    • >宇佐未くん

      おはこんにちばんは。
      こちらこそ、わざわざコメント有難うございます。

      私も勝手に宇佐未くんをお友達扱いして、日常を読んでました。
      「うさみん。今日は何したのかなぁ?」
      という感じに、あだ名まで付けてる始末(*^_^*)

      日常が終わってしまったのは、大変残念ですが、この小説に出てくるミズノン同様に、うさみん。も彼氏さんと幸せになってほしいです。

      私もうさみん。の日記からたくさん萌えを戴きました。
      本当に楽しかったです。
      ありがとね(●^o^●)
      • 1 fav

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    • ☆をつけていただき、ありがとうございます。

      あとから、結構手を加えて読みやすく加工してみました。
      頑張って書いただけに、こうやって評価されるのは、嬉しいですね。
      • 1 fav
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    • もうっ!泣ける!!
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    • ayaさま

      いつもご拝読、ありがとう。
      ミズノンのこの恋愛があったからこそ、今の翼と恋愛が楽しく出来れてるのが、お分かりいただけたでしょうか?
      • 1 fav

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    • タイトルの英語の意味は
      『神聖な自殺』
      という意味です。

      読み手によって、この作品はいろんな意味にとられるかもですが、山上が水野を想う気持ち、分かって欲しいです。
      • 1 fav
      • Re 返信

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    • ミズノンの現在形は山上サンが作り上げたのね・・・っと、しみじみ思ってしまった。

      これから切なくなっていきそうなお話、続きを読みたいような読みたくないような(泣)でもきっと読んでしまうんだろうなぁ。
      • 1 fav
      • Re 返信

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    • 落ちてたまるか。のミズノンをいかに崩さないように山上っちに成長させるか、難しいです。

      今、ラブってるトコ書いてるから後半切なくなるのが堪らないね。
      ヤンデレの配合具合も楽しんで書いてます(●^o^●)
      • 1 fav

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