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シリーズ:落ちてたまるか ~リスキーゲーム~(改訂版)
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落ちてたまるか ~リスキーゲーム~(改訂版)

作者:奈美

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    高校生×刑事のラブコメディ。ある事件をきっかけに、ふたりの距離が遠くなったり縮まったり、まるでシーソー。二人の掛け合い、楽しんでもらえたら幸いです。ボカロ曲の『リスキーゲーム』を元に書きあげました。


    登録ユーザー星:13 だれでも星:27 閲覧数:1760

    落ちてたまるか ~リスキーゲーム~(改訂版) 26959文字

     

    【I fall in love:変な刑事】



     最近この時間になると、無性にイライラしていた。

     塾の帰り道、いつ親に模試の結果が届くのだろうと無駄にビクビク。その反面そんな自分の事が、情けなくてイライラ。

     俺は矢野 翼。私立高三年の受験生なのに、自分の将来が全く見えず決められず(正直、何になりたいのかも分からん)親の言いなりになって、大学に受験する事を決めたんだ。

     親の言いなりになる事は結局、自分で何も決められないのが悪い……

     模試の結果も、自分の普段の頑張りが足りないから悪いのだ。分かっているけど――


    「自分自身に、腹立ててもなぁ……」


     呟いたとこで、このイライラがおさまるわけもなく、家までの道のりを、ウンザリしながら歩いていた。

     その時、右手前のコンビニから覆面を被った人間が、慌てた様子で出てくる。その手には包丁を持っていた。

     目の前はT字路になっており、その先は住宅街。逃げるとしたら大通りに繋がる、こちら側に向かってくるだろうな。

     ――相手は包丁を持っているんだから、慎重に対処せねば。

     肩にかけていたカバンを勢いよくドサッと下ろして、軽く息を吸い込み、腹にためるように吐く。


     予想通りというか覆面を被った人間は迷う事なく、邪魔になるであろう俺に、突進してきた。

     次の瞬間、奥歯を噛みしめて、次の瞬間ら左手で包丁を持っている手をズバッと払い除け、右手で襟首をむんずと掴む。掴んだ襟首を軸にし上手くぶら下りながら、左足を相手の横へ出して、強引に体を倒した。

     そのまま綺麗に真横へぶん投げれば、横落(よこおとし)の成功!

     落とした拍子に包丁をどこかへ飛ばしてくれたので、安心して絞め技に取り掛った。

     自分の右手で相手の着ているシャツの左袖を掴み、締め上げながら左手は、逆の事をしていく。ゆえにどんどん、締まっていくんだ。

     コンビニから、覆面被った人間が出てくる=強盗。世の中不景気なのは分かるが、どうして俺の目の前に現れたかな。

     小中学校を柔道教室に通っていたお蔭で上手く対処できたけど、何も出来ないという状況だったら、どうしていただろう?

     締めながら俯きうーんと考えていると、何となく視線を感じた。ふと、顔を上げて見る。

     息を切らしたサラリーマン風の男が、まじまじと俺を見ているではないか。


    「あの、喧嘩じゃないです。偶然、強盗に出くわしてしまって……」


     あまりにも食い入るように見つめるので、思わず弁解をしてしまった。


    「君、強いんだね。その強盗、伸びちゃってるよ」

    「やべっ! やり過ぎた……」


     慌てて締めていた腕を離し強盗のマスクを剥ぎ取って、その様子を見ると、気持ち良さそうに気絶していた。


    「悪い事をしたんだから、多少のお仕置きは必要さ。お手柄だったね、高校生!」


     嬉しそうに言って、俺の肩をポンポン叩く。

     ホント、気絶するまで、やっちゃって良かったのか!?

     日頃の憂さ晴らしになったようで、正直に喜べないでいる俺を、不思議そうな顔をして、じっと見つめるサラリーマン。


    「謙遜するなんて、珍しい高校生がいたもんだ。遅ればせながら、俺はこういうモノです」


     そう言って、胸ポケットからドラマでよく見る黒い手帳をジャーンと見せてくれた。

     ――なんだ、刑事だったのか。


    「そこのコンビニから通報あってね。ちょっと前に近場のコンビニも、強盗に入られてたから、近隣を捜査していたんだ。いやぁ、ビンゴビンゴ」

    「捕まって良かったです……って、どうして手錠しないんですか?」


     なぜか持っている紐で、強盗の手首をグルグル巻きにしていた。


    「俺、三課の刑事じゃなく一課の刑事だから。応援要請あって、ヘルプに出てただけだし」


     その言葉に、小首を傾げる。


    「へぇ、自分の手柄にしないんですか。何から勿体ない感じしますけど」

    「手柄が欲しくて、犯人を検挙してるわけじゃないよ。世の中、平和であってほしいなぁと思っている傍らその実は、ギブアンドテイクな世界なんだ高校生。こっちも人手が欲しい時は、応援要請するからね」


    「いろいろ……あるんですね」


     警察の内部事情を、少しだけ垣間見た気がした。


    「ところで高校生、こんな時間に外をブラブラしているのは、どうしてかなぁ? 名前、教えてくれる?」


     顔はにこやかだけど、有無を言わせないプレッシャーを感じさせる口調に、思わず身構えるしかない。


    「私立校三年の矢野 翼です。塾の帰り道に、強盗に遭遇しちゃいました……です」

    「翼君か。三年生なら11月の今が辛い時だねぇ。受験勉強、大変でしょ?」

    「はぁ、そうですね……」

    「突然だけど、結構目つき悪いね。目が悪いの?」

    「はい?」


     初対面の人間に、何の質問だよコイツ。ワケ分かんねぇ。


    「一応視力、両方とも1.5あるんで、目は悪くないです」

    「ふむ、良いね」


     腕組みしながら俺の頭から足の先まで、マジマジと見てくれる刑事。

     ――何か、あんのか?

     訝しそうにしているとさっきと同じように、ポンポン肩を叩かれてしまった。


    「翼君、警察官にならないかい?」

    「は?」

    「君のように目つきが悪くて柔道経験者なら間違いなく、刑事になれるから!」


     おいおい、何の勧誘だよ。しかも褒めてるのか、けなしてるのか分かったもんじゃねぇ。


    「あの……柔道経験者といっても、実際小中六年間だけやってて、あんま強くなかったし、他にやりたい事、あるし……」

    「何、やりたいのかな?」


     間髪入れぬ、矢継ぎ早の質問に、俺は顔を一瞬引きつらせるしかない。ヤベェ、やりたい事なんて、正直何もない――

     困って視線を彷徨わせながら、何とか答える。


    「えっと、普通のサラリーマン。みたいな……」

    「普通のサラリーマンって、どんな感じかなぁ。抽象的だよねぇ」


     まるで取り調べされてる、容疑者みたいだ。すげぇイヤな感じ――

     俺は変な刑事の顔を、少し睨みながら答えてやる。


    「別に、刑事さんには関係ないでしょ。ほっといて下さいっ」

    「まぁそう、ツンツンしないで。あっ、翼だからこれから、ツンって呼んでいい?」


     これからって……まるで友達として、付き合っていくみたいな感じの流れじゃないか。


    「イヤですよ、そんな変な呼ばれ方」

    「そうだ、是非とも拒否りなさい少年。こんな変人に引っかかっちゃ、君の人生、終わりだからね」


     俺に変な質問していた刑事の真後ろに、眼鏡をかけた初老の男性がいた。


    「げっ、デカ長。いつの間に……」

    「お前が地取りから戻ってこないから、捜してたんだボケ! 何を呑気に、少年をナンパしとるんだっ」


     俺はポカンとしたまま、2人のやり取りを聞いていた。デカ長と呼ばれた人が変な刑事の頭を、容赦なくグーで殴る。


    「つっ、痛いなぁ。だって人手不足で困っている警察に、優秀な人材を補充出来たらいいなと、純粋に思ったんですってば」


     殴られた頭をさすりながら、俺をじっと見る。

     その視線に俺は優秀でないからなという思いを込めて、しっかり睨んだのだが、当然伝わるワケもなく、ニコニコしながら見つめ返してきた。


    「いろいろと、ホント済まない少年。さっきあった事を詳しく説明してもらわにゃならないから、まず自宅に電話して遅くなる事を伝えてくれないだろうか。あのバカ、無視していいから」

    「はぁ、分かりました……」


     デカ長さんに、コンビニまで連れて行かれる俺を、嬉しそうな顔をして、見ているアイツ。

     もう二度と会う事はないと、思っていたのに――

     数日後、何故だか俺の、高校の校長室にいるし……


    「矢野君、今回はお手柄だったね!さあ、座りたまえ」 


     校長が手招きして、俺を誘導してくれた。気持ちは回れ右なのだが、逆らえるワケがない。仕方なく、校長の隣に腰掛けるしかない。


    「まぁ、そんなに硬くならなくていいよ。今日は、感謝状の受け渡しの打ち合わせだけだからさ」


     この間同様に、ニコニコしながら喋る変な刑事。


    「はぁ、そうですか……」


     俺としては当たり障りのない、返答をしたつもりだったのに。


    「今日も相変わらずツンツンしてるんだね。ご機嫌、麗しくないのかな?」


     どうしてコイツは俺の神経をわざわざ、逆なでするような事しか言わないんだろう――つか、キレさせたいのか!?

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    コメント

    • 生まれて初めて書いたBL小説。
      気がつけば閲覧数が祝い1000回!
      拙いところばかりでエロがほとんどないのにも関わらず、
      ご拝読していただき(人'▽`)ありがとう☆ございます!
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    • 尚史さま。
      お、お久しぶり!!(◎_◎;)
      やっぱり、尚たんの書く作品はテンポが良くって、面白いね!
      梅取からの拝読順になるので、この先が楽しみー!

      • 1 fav
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    • あやとさま

      お、お久しぶり!!(◎_◎;)←この顔にツボった

      実は改訂後もう一度見直して、書き足したモノを誤って全部削除し、泣きながらもういいやって掲載してしまったものです(誤りを10個見つけたけど無死)
      読んでくれてありがとね、また掲載し直すけど、内容は変わりません!
      • 1 fav

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    • 読者評価期間後半戦、エロがほとんどない上に、まどろっこしい作品に、ポチポチ☆をつけていただけて、大変感謝しています。

      本当にありがとうございます(*^_^*)
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    • ログインしなくても、☆を付けられるようになってから、一気に閲覧数と☆が増えたので、嬉しく思います。
      本当に、ありがとうございます。

      この作品のエピローグ、『落としてみせる』に載ってますので、お時間があればどうぞ(*^_^*)
      • 1 fav
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    • とても軽快なラブコメで、読んでいて楽しかったです。
      翼を振り向かせようと、あれこれ頑張る水野さんが可愛い。
      でも、刑事さんらしく頭の回転が速いというか……策士というか……あなどれませんね。がんばれ翼(笑)
      • 2 fav
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    • 空知 花さま

      コメントありがとうございます(*^_^*)
      水野刑事の策士ぶりは、落としてみせるで、ネタバレしちゃってるんですが、(エロネタがなくて寂しいのが、難点…)
      ちょっとずつ、傾いていく翼の内心と、大人可愛い水野刑事を楽しんでもらえて、良かったです。

      ご拝読、どうもでした。
      • 1 fav

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    • ☆をつけていただいた読者の皆さま、どうも有難うございます。

      生まれて初めて書いたBL作品だったので、拙いトコがたくさんありましたが、こういう風に評価していただけると嬉しいですね。

      これを含めてBL4作品、書くのが最初で、最後になります(*^_^*)
      • 0 fav
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    • やっと自分のがひと段落したので、三部作拝読させていただきました。

      これだけ世界を広げられるストーリーテ―リングは見事だと思いました。

      テンポのいい会話も読んでいて笑えました。リズム感があると読み易くていいですね。
      • 1 fav
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    • 叩き多恵さま

      締め切り前の忙しい時に、3作品とも読んでいただき、しかも天ノ弱の方にも、☆をポチッとしてくれて、どうも有難うございました。

      初めてのBL作品、しかも拙い文章なので、1作じゃ足りなかったんですよ。

      限られた文字数で、自分の色を出すのって、難しいですよね(*^_^*)
      • 0 fav

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    • 今更ながら、コメントに☆をつけました。

      気づくの遅すぎ…
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    • 今回の改稿で、主人公の揺れる気持ちを随所に書き足してみました。

      virgin suicideの水野のイメージがあるので、絡みが難しいです…
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    • 表紙変更しました。

      「落ちてたまるか、よっ!」
      「わっ、違う意味で落ちちゃう!」

      そんな仲良しのふたりです(#^.^#)
      • 0 fav
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    • こんにつわ~~!!

      「エッフェル塔に恋するヤツ・・・」このセリフ笑ってしまった(⌒▽⌒)

      これから盛り上がりを見せてくれそうなストーリーですね。続編もどんどんお願いします←簡単に言うなよ~って言われそう・・・
      • 1 fav
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    • 私、個人的にデカ長が好きです(ヲイ)
      実際にいるんですよ。エッフェル塔を愛してしまい、抱きしめたりキスしたりする外国のお方が(#^.^#)

      続編、頑張って書きます(描きます)簡単じゃないから、楽しいですよ(*^_^*)
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    • 自分でイラスト描いてるなんて、すごいですね。お話おもしろかったです。
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    • >宇佐未さん
      イラストは学生時代から(イケメンばかり)描いてました。
      ☆とコメント有難うございます。

      宇佐未さんの作品も実は楽しく読ませてもらってます。クリスマス仕様の表紙可愛いです(#^.^#)
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    • イケメン・・・・。いいですよね。(笑顔)
      読んでいただいて、ありがとうございます。(ぺこり)
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    • 2次元でイケメン捜しても、なかなかいませんから~。

      イケメンも好きですが、宇佐未さんのような可愛いコも好きですよ(ぺろり)
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    • 僕に、かわいいなんて言われると、胸キュンしてしまうじゃないですか。(笑)

      僕は、あくまで普通の容姿です。リアルでは。まぁ、二次元では、どんな容姿でもいいんですから、いいですよね。
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    • >宇佐未さん
      さっきの返信、2次元じゃなく3次元の誤りでした(ヲイ)
      なので私は2次元のイケメンばかり、描いてる次第です。

      宇佐未さんの日記を拝見してると、めっちゃ可愛い感じするんです。
      うさぎちゃんを狙うオオカミさんに、なってしまいますよ(彼氏さんがね~)
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    • 小説と一緒に自分でイラストも描いてます(#^.^#)
      絡みが難しい…
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