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シリーズ:スイーツ文庫『Nu―DY ラブドラ』
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スイーツ文庫『Nu―DY ラブドラ』

作者:スイーツ文庫

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    下谷乙女は変わり者。女性アイドルを追い掛け年上男とセフレのように関係し空しい日々を送っていたが…突然ヲタ仲間に迫られて!


    登録ユーザー星:3 だれでも星:10 閲覧数:1506

    スイーツ文庫『Nu―DY ラブドラ』 3114文字

     

    「ドアがボロいので激しく開閉禁止」
    「その似合わない色眼鏡、外してよね」
     皆からの集中砲火を浴びて『ミッチー』こと菅原道長は一瞬ひるむが、すぐにいつものようにお調子コイた態度で最近ハマっている三人組アイドル『パルファン』の新曲を口ずさんでヲタ芸を打ち始めたので、つられた数人がそれに付き合う。
    「フッフフフフゥー スマイルキボンヌ凛呼ターン」
    「そこOAD(体をひねりながら掛け声と共に左右で手拍子を打つ)だって」
    「違うPPPH(手拍子の後にヒューと叫ぶ)でそ」
     それぞれが持つ面倒臭いこだわりから言い争いに発展しそうになったので、二人しかいない女子の一人として騒ぎを鎮めようと間へ割って入る。
    「はいはいそこまでぇー」
    「オッサン、ミッチー的にここはマワリ(頭上で手拍子を打ちながら回転)でいいと思うんだけど」
    「オッサン、リーダーとしてはOADを激しく主張したい」
     サークル内でのニックネームは『オッサン』、これは単に本名の下谷乙女のオトにサンを付けただけという単純な名づけではない。
     去年、一昨年の学祭のステージでデブだった事を活かし、メガネ・長髪・デブという三拍子揃った痛いヲタオヤジとして出演、その後、観客の間へ割って入ってこれまで聞いたことの無いような凄まじい悲鳴を女の子達に上げさせたからだ。
     正直、あんまり有難くないニックネームだけれど性別が違う存在なのに親しまれている以上はしょうがないと諦めている。
    「基本、そこのフレーズ『チョコレートみたいに愛して』はマワリでヨシ」
    「やったー! ありがとーオッサン」
     自分の主張が認められたミッチーは大喜びであたしへ抱きつき、ピョンピョンと飛び跳ねる。
     だけどここでリーダーに対するフォローを忘れてはいけないと、ウサギのような体を引き剥がして、側へ寄って慰めた。
    「リーダー、最近就職のことで頭が一杯なんですよね、あまりムリしないで下さい」
    「うん……」
    「大丈夫ですよ、院に逃げて取り敢(あ)えず二年は何とかすれば」
    「つうか俺、院の試験に受かる自信ないんですけどぉ」
     リーダーはバカだった、そう言ったら身もフタも無いが、正直、よくこの大学に合格したなと言われるほどのレベル。
     それでも一年の頃に自力でこのサークルを立ち上げ、ここまでの勢いへ育て上げた実力は評価に値するけれど。
    「まあそれはさておき、今年の学祭に誰を呼ぶか考えましょうか」
    「うん、最後の学祭だし派手にやりたいよな」
     結論がなかなか出ない議論は延々と続き、時計を見ればもう夕方の六時。
     お腹も空いて来たので学校近くの居酒屋チェーンで食事兼打ち合わせと称して、飲み会。
     毎回毎回こんな展開ばかりで、少しも進まない打ち合わせにイライラするけれど、殆(ほとん)どツマミを食べずにアルコールを胃に流し込んでいるうち、酔いが回ってどうでも良くなる。
    「オッサン、ケータイ鳴ってね?」
    「あー悪い悪い、今出る」
     こんな時間に誰だと思い、液晶へ表示された名前を見てみれば2年の国田から。
    「はいー、オッサンだけど」
    『センパーイ、今どこですかぁ?』
    「のん兵衛」
    『じゃすぐ行きまぁーす』
     女の子らしい可愛さに溢れた声、そして粘りつくような独特な口調で話す国田はアイ研所属の二人目の奇特な女子。
     入部理由は元々アイドルを目指していたが超ド級のオンチでどこにも拾われず、せめて学祭だけでもステージの上へ上がって注目されたいからだそうだ。
     本気でアイドルを応援する気は無いと分かったが、それでも貴重な女子とあってリーダーが入れることを決めた。
    「クニちゃんから電話でしょ?」
     あたしのウンザリした様子に気付き、ミッチーがツンツンと肩を突いて来る。
     その通りだからこの無意味なスキンシップを止めろとお返しに肩をボンッと叩き、ジョッキへ口を付けて一息に飲み干した後、お代わりを要求したところへ、問題の国田が顔を出してきた。
     今日の服装は黒のカーディガンにチュチュのようなフリルで飾られた真っ白なミニスカートの下へニーハイを穿いて、髪の毛は夜だというのにキレーに下がカールしている。
     絶対、あたしには似合いそうもない服、そして髪型。
     でもムカついたりはしない、見た目がカワイイから許す。
    「下谷センパーイ」
     何故かあたしに懐いていて、すぐ隣へ腰を下ろすとカシスオレンジをオーダー。
    「クニちゃん、さっきまで何してたの?」
    「えーっ、ボイトレのために一人カラオケしてたんですよぉ」
     嘘吐け、一人だったワリには服からプンプンと煙草と香水の混じった臭いがする。
     でも意地悪くそれを口にして空気を悪くしたくはないので、ふーんと鼻で返事をしてから冷たいジョッキを口へ運ぶ。
    「頑張るコっていいよねークニちゃん、夢は諦めちゃだめだよ」
     そう言いながらミッチーがあたしの隣からクニちゃんの横へ移動し、二人で乾杯。
    「ミッチー、ずりぃぞ! 俺も」
    「僕もお願いしますっ!」
     目ざとくそれを見たリーダーや一年生達がこちらへ寄って来て、次々にグラスを合わせ始めたのでうるさい事この上無い。
     皆、クニちゃんを狙っているのは分かるが、ミッチーのそれは特に目立っており、サークル内では、
    『もう付き合ってるんじゃねーの?』
     とか、
    『あれはやはり、最終局面にまで到達しておりますな』
     とか、
    『我々に黙って何という事を! すぐに処刑すべし』
     なんて陰口を叩かれているが、あたしはそれに関して何の興味も無いので同じ性別のよしみで……とか言って特に聞き出そうとはしない。
     付き合っていてもいなくても構わない、ただサークルの輪を乱すマネだけは止めておけとべっとりクニちゃんへ接着しているミッチーを引き剥がし、その間へ腰を下ろす。
    「キャ、菅原センパーイ」
    「片手に花、片手にドクダミって事で」
    「ひどいなぁ、俺がドクダミ?」
    「そう、くっさいドクダミ」
     態度もセリフも臭い演出に塗(まみ)れたチャラ男なんかドクダミ以外の何物でもないと断言し、またジョッキをあおる。
    「下谷センパイ、そんなにお酒を飲んだら体に障りますよ」
    「いいのいいの、飲めるうちに飲んでおかなきゃワリカン負けするし」
    「でもぉ、病気なんですから」
     病気? 何故? と飲み込みかけていたビールをブーッと噴出し、クニちゃんの顔をまじまじと見詰めたら、本当に心配そうな顔で両手を組んで迫られた。
    「治りにくい病気だって知ってますぅ、でも、希望を持って下さいぃ。現代の医学は進歩してますからぁ」
    「はぁ? 治らない病気ってあんた何かカン違いしてない?」
    「だってぇ、急にヤセてぇ……それにぃ最近、食事もあまり摂らないで飲んでばかりでぇ」
     以前のあたしは飲む前に必ずご飯ものをバクバク食べていた、それに飲む間もツマミを一つ残さずに平らげていたが失恋以来急激に食欲を失い、飲み会の席ではツマミなど一切口にせず、ビールばかり流し込んでいる。
     クニちゃんはそれに気付き、重病を隠していると思い込んでいるようだ。
    「あのねぇ、病気でも何でもないから。そりゃ、前は散々飲んで食ってたけど、このまんまじゃ就職にも差し支えると思ってダイエットしてるだけ」
    「本当ですかぁ? 良かったぁ。私、てっきり下谷センパイがガンじゃないかってぇ」
     嬉しそうにそう言ってガバッと飛びついて来る可愛くて細身な彼女を抱き留め、以前の自分との違いをまざまざと実感する。
     折れそうな腕、大き過ぎない胸、柔らかい髪。
     こうなる前のあたしとは正反対、ライブ会場でケンカを始めた仲間と他大のサークル員との間へ割って入り騒ぎを鎮めた太い腕、合うサイズのブラはババァ色しか無いほどの巨大な胸、アイドルの為なら髪の毛の手入れなんか二の次で髪はボサボサだった。
     この子のように努力して体型を維持していれば、きっと悟にフラれる事はなかっただろう……。
      第2章  

     夕べ伊波に会った時、車の中で試験管のような小瓶へ入った黄緑色の液体を飲むように勧められた。
    「何これ?」
    「ラブドラだ、勿論(もちろん)合法な成分しか入ってない。今日、部下が冗談で海外土産に持って来て面白そうだから渡してみた」

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    作者紹介

    • スイーツ文庫
    • 作品投稿数:17  累計獲得星数:246
    • スイーツ文庫連載作品を管理するスタッフ用アカウントです。
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    • 関連URL
      スイーツ文庫:http://sweetsbunko.jp/

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