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シリーズ:迷子の恋 ―想いは駆け巡る―
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迷子の恋 ―想いは駆け巡る―

作者:妖狐_naito

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    サラリーマンの涼一は大学からの親友 俊祐が好きだった。その想いは告げられず暗闇の中で途方に暮れ迷子になっていた。その時に光と出会った。上司と同僚、男性5人の想いはいったいどこに向かっているのだろう。

    初めて小説を書きました。


    登録ユーザー星:4 だれでも星:14 閲覧数:2598

    迷子の恋 ―想いは駆け巡る― 38259文字

     

    ■ 迷子の恋 ―想いは駆け巡る―

    ◆ 日常

     目の前一面にはソメイヨシノとシダレ桜が咲き誇っている。
     大きな桜の木の根元で上を見上げると花びらの隙間から太陽の光が射し扇状に四方八方へ拡がっている、光が射す花びらの桜色は薄く遠くになるにつれて濃い桜色へと拡がっていく様は神秘的で美しかった。こんな美しい光景は初めてで感動すら感じてしまう。イヤ、ただ心に余裕が無かっただけなのかも知れない。
     彼と知り合ってから半年が過ぎた、穏やかに過ごせる日が来るなんて当時の私は思ってもみなかった。
     それまでの自分は想いを偽り暗闇の中で佇たたずんでいた。一体私はどこに行けば良いのだろうか? 解っていることは真っ直ぐに進んではいけないと言うこと。進む道が見つからず迷子で途方に暮れていた私を見つけてくれた彼。願わくばこの穏やかな日々が永遠に続いてほしい……

     彼が私に半年以上も前から恋していたなんて知る由もない日常で私は毎朝ラッシュにもまれていた。
    「おはようございます」
    「おはようございます」
     駅を出て足早にビジネス街を歩く私に挨拶をしてくれる知らない女性たち。中にはいつも挨拶してくる女性もいる。急いでいる時のあいさつはウザイと思ってしまう事もしばしある。
     26歳、高瀬涼一。色白で細い体に軟らかい髪は少しウェーブがかかり、あごのラインがスッキリとした顔立ちは自然と人目を引いてしまう。

    「先輩、おはようございます」
    「おはよう田島、いつも元気だね」
     オフィスでは田島がいつも一番に出社して始業前にメールのチェックを終えている。
     私は鞄をデスクの下に置きパソコンの電源をONにした後、出社確認ボードの名前に青のマグネットを置いた。出社している田島の名前には既に青のマグネットが置いてある。
     デスクは私と田島は隣同士で、田島は図面を見ていた。
     9月でまだ残暑が残る季節、駅から歩いて汗を掻いている体に心地よい空間が待っていてくれる。
    「田島が早く来てエアコン入れてくれるから来た時オフィスが涼しくて助かるよ。ありがとう」
     イスに腰掛けながら田島にお礼を言うと、
    「そんな」
     嬉しそうに田島祐が笑った。笑うと笑窪が出来て可愛い。23歳、新入社員でクセのあるパーマ毛が幼く見え、甘え上手な所がある。もし私に弟ができるとすれば田島は理想の弟だと思う。
    「おはよう」
     他の同僚も出社してきた。
    「おはよう、今日も頑張ろうな」
     最後に課長の西浦が皆に声を掛ける。いつもの風景だ。
    「先輩、柳瀬電子の見積りが届いていますよ」
     田島が電子メールを開いて見せた。
    「ほんとだ」
     田島と私宛にメールが届いていたので私も電子メールを開いた。
    「これじゃ予算オーバーになっちゃいますね」
     横に座っている田島が覗き込んで言った。
    「そうだね、見積りの見直しをお願いしたけどダメだったみたいだ、設計変更が必要になるな」
    「今からだと時間掛かっちゃいますね」
     そう言いながら、田島はディスプレイに表示した見積書をマウスで動かし価格を確認していた。
    「ポイントを抑えていくつかパターンを考えればそうでもないさ」
     と、田島と設計の打ち合わせをしていると西浦さんが話しに割ってきた。
    「高瀬、そろそろ田島君に仕事を任せてみたらいいんじゃないか?」
     後ろを振り向くと西浦が立っていた。
     西浦は課長で部下5人のチームリーダーだ。身長も高く、顔の堀が少し深い。前髪を後ろに流して大人のカッコ良さがあり誰にでも気さくに声をかけるため女性社員にも人気がある。仕事には冷静沈着でやり手とのもっぱらな評判だ。
    「西浦さん。そうですね、今見ているこの仕事は納期に余裕があるから田島が引き継いでやってみるってのはどうですか?」
     田島が配属されてから5ヶ月、私が指導係として一緒に仕事をしてきたが、そろそろ一人でテーマに取り組んでも良い頃と私も思っていた。
    「え、良いんですか? でも僕1人で大丈夫かな……」
     田島は不安そうに手元の図面をめくっている。
    「段取りはほぼ終わっているし、今まで私と仕事してきたんだから大丈夫だよ」
    「ん、そうだ、いつまでも高瀬に甘えてちゃ困る。私と高瀬がフォローするからやってみろ」
     西浦は田島の頭に手を置くと微かに田島の頬が色づいた。
    「わ、わかりました。僕頑張ります。高瀬さんお願いします」
    「じゃ、まず設計の見直しをして柳瀬電子に再見積り依頼の手順でいこうか」
    「はい」
     早速田島は仕事に取り掛かった。

    ◆ 親友俊祐の結婚

     仕事を終え私はパソコンの電源をOFFにして、出社確認ボードの名前に置かれたマグネットを外した。
     オフィスには5チームに分かれたデスクが配置されて、まだ10人程残って仕事をしていた。
     今週の仕事はこれで終わり。肩を二,三回まわして肩をほぐし、私は大きなため息をついた。
    「はぁ〜…… お先に失礼します。お疲れ様でした」
     同僚達に声をかけながらドアを開け通路に出ると、
    「お〜い! 涼一!」
     すぐさま背中越しに俊祐が抱きついてきたので私はビックリした。
    「な! なんだ」
    「今晩暇? 俺さ仕事でミスしちゃって今すっごく飲みたい気分なんだよ。なぁ、明日は休みだし俺に付き合えよ」
     屈託のない笑顔を見せる俊祐の誘いを私が断れる訳がなかった。私は俊祐が好きだ。想いの届かない相手……
    「いいよ。どんなミスしたんだ?」
    「いつもの処で飲みながら話そうぜ」
     佐藤俊祐。26歳。短髪で逆立った髪。スーツの襟元から見える首筋は外回りで焼けた小麦色の肌をしている。ガッシリした体格をしている成績優秀な営業マンだ。
     外に出ると9時過ぎなのに熱が蓄積されたアスファルトから地上へ陽炎のように昇ってくるため暑さが残っている。
     私達は会社から徒歩15分先の居酒屋『椿』に向かった。雑談しながらビジネス街の大通りから細い通りに入り通称「居酒屋通り」を歩いていると美味しそうな匂いが私達を誘う。
     居酒屋『椿』に入ると黒と赤を基調にしたシックな店内が私達を迎えてくれる。女性客も多く人気がある私達の行き付けの店だ。
     イスに腰掛けながら俊祐は生ビールを注文して身を乗り出してすぐ話しに入った。
    「今日、朝一番に大事な取引先との会議があったんだけど遅れて、お得意さんがカンカンに怒っちゃって。上司には『始末書書けぇ〜』って怒鳴られるし泣きたいよ」
     店員がビールを置くと同時に俊祐は取り上げ豪快に飲むと、荒々しくジョッキを置いた。
    「プファ〜 うめぇ〜」
     と叫んだ。俊祐は本当に美味しそうに飲む。ビールを飲みながらそれを見ている私は仕事の疲れも癒される思いだった。
    「『泣きたい』って言いながらビールを飲み干すお前って何? お得意さんには遅れるって電話連絡してたんだろ?」
     多忙な営業マンとしてはよくあること。怒られるようなことではない。すると俊祐は困った顔をしながら、頭をかいた。
    「会議があることをケロっと忘れていて…… 気づいたら約束の時間を一時間過ぎてた」
     俊祐は店員を呼びビールと適当に料理を注文した。
    「はぁ? どうしたんだ? らしくない、『スケジュール管理は営業マンの心得だぁ〜』とか言いながら前日に翌日のスケジュールを確認しているじゃなか」
    「実はさ、昨日プロポーズして…… ヘヘヘ」
     また頭をかきながら俊祐の照れ笑いした顔に私はグッときた。って、え? 今なんて
    「プロ…… ポーズ?」
    「有紀ちゃんにプロポーズしてOKしてもらった」
     俊祐は顔の前で親指を立て、どや顔をした。
    「もうさ、オレうれしくて興奮して夜眠れなくて、朝方やっと眠れたと思ったら寝過ごしたアハハハ」
     え? え? 顔から血の気が引いた。
    「お、おめでとう! 良かったじゃないか。26にして結婚かぁ。でも仕事を忘れるのは営業マンとしては失格だぞ」
     今、私の顔、変じゃないか? 顔が引きつるのが自分でも痛いほど分かる。取り繕わないと、と思うとうまく言葉が出てこない。
    「そうなんだよ、自分を戒めないと。『ダメだぞオレ』」
     とポンと自分の頭を叩きながら、俊祐はおどけて見せた。
     テーブルに料理が運ばれてくるが、喉を通りそうにない。
    「それでさ昨日は有紀ちゃんの誕生日で、いろいろ考えたんだぜ。よくテレビでやってるバンジージャンプしてプロポーズとか? デズニーでミッキーに指輪を渡してもらうとかも、いろいろ派手なイベントも考えたけど、やっぱオレには合わないよな」

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    作者紹介

    • 妖狐_naito
    • 作品投稿数:5  累計獲得星数:50
    • みなさんを引きつける小説を早く書けるようになりたいと思う今日この頃……言葉で表現するって本当に難しいですね。
      イラストや写真はホームページにて公開しています。
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      Hobby and novel ―小説家への夢―:http://mitsuki0novelist.web.fc2.com

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