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シリーズ:平手打ち
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平手打ち

作者:巨魂

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    シリアスです。
    とある経験を基にしています。


    登録ユーザー星:5 だれでも星:2 閲覧数:66

    平手打ち 1894文字

     

    私には子供が4人いる。
    長男は小学校6年生。下は4年生、2年生、1年生と男女男女の4人兄弟である。
    長男は生まれつき足が不自由であった。
    左足の筋力が極端に虚弱であり、真っ直ぐに歩く事ができなかった。

    私は今日、日曜に公園の端の方にあるベンチに座って子供4人がサッカーをして遊んでいるのを眺めていた。家内は家で洗濯等家事をしながら留守番をしている。

    公園に元気な男子2人がギャハハと笑いながら公園に入ってきた。
    その男子二人は私の子供達4人がサッカーをしているところに割り込んで長男に何か大声で言っていた。

    私は気になったので、彼ら二人の背後からゆっくり歩いて近づいていった。
    長男が泣きべそをかいている。一体何があったのか・・・

    さらに近付くと、男子二人が話している内容が聞き取れてきた。
    「だっせーの。そんな恥ずかしいサッカーと言えない玉蹴り遊びやってんじゃねーよ。俺らの目に入るところでやんないでくれる?気持ち悪いから!」

    私はそのセリフを言っていた男子をこちらに振り向かせて、力一杯平手打ちをした。許せなかった。
    その子は泣きながら公園を出て行った。もう一人の男の子も後を追うように公園を出て行った。
    私は手をあげたその右手を見てみるとワナワナと震えていた。完全に頭に血が上っていた。
    落ち着くまで5分以上必要であった。


    私は後悔をした。
    まだ大人になりきれていない分別も付ききれていない小学生に手をあげるなんて。
    人様の子に・・・

    家について家内にその一通りの出来事を報告した。
    長男からその同級生の男の子の名前を聞いた途端に家内は血相を変えた。
    「この界隈で有名な大企業の部長でらっしゃるO崎さんのお子さんじゃないの!奥さんだってこの近隣のPTAで役員をされている方よ!なんてことをしてくれたの?訴えられたりしたら私達この家に住めなくなるわよ!」
    私は狼狽した。頭を抱えた。考え込んだ。

    謝りにいこう。
    どういう理由であれ手をあげてしまったのは間違いだった。

    身支度を整え、いざ家を出ようとしたところ、我が家のインターホンがなった。

    ドアを開けるとそのO崎君とそのお父さんと思われる方が立っていた。
    瞬間2人を見ると、O崎君の左の頬は赤く腫れ上がっていた。私が平手打ちをしたせいだ。
    御主人は非常に険しい顔をしていた。

    私が口を開こうとした瞬間に、御主人はドアをすり抜け我が家の玄関に入り込んできた。

    私は覚悟をした。何を言われても謝るしかないと腹を括った。




    突然、御主人は玄関で土下座をした。
    「この度は、私の息子がとんでもなく酷い事を口にしまして申し訳ありませんでした!」
    私は呆気にとられた。
    O崎君もお父さんにならって土下座を始めた。
    「ちょっと待って下さい!手をあげたのは私で謝るのは私の方なはずです。早く顔をあげてください!」
    「いやいや違います。もし貴方が手をあげて下さらなかったら私がこいつを半殺しにするところでした。本当に、本当に申し訳ございませんでした。これからは私がこいつに言って聞かせますのでどうかお許しください。」

    途中で長男も呼ばれ、O崎君は長男にしきりに謝っていた。

    こういった問答がしばらく続いたあと、二人は帰っていった。

    私は非常に疲弊した。まさかこんなことになるとは・・・
    フラフラになりながら長男と居間に戻ると、耳をそばだてていた家族達が待っていた。
    私は妙に気まずくて「参ったなぁ」と頭を掻きながら長男の頭を一撫でして奥の私の部屋に抜けて行った。

    数分後、長男が私の部屋に入ってきた。
    ぼそりと「お父さん色々ありがとうね。」と一言だけ発して部屋を出て行った。
    私は泣きそうになった。


















    20年後の正月、私はO崎君の御主人と酒を酌み交わしていた。
    御主人は大企業の代表取締役社長になられていた。
    少し大きい公園で餅つき大会が催されており、その来賓の席に二人は座っていた。
    O崎君が中心に主催した餅つき大会であった。甘酒、豚汁等も振る舞われている。
    立派な大人になったO崎君と私の長男が楽しそうに子供達の餅つきを手伝っている。
    都心のこの公園にハンディキャップを持っているお子さん達がたくさん集まっていた。
    目の不自由なお子さん、耳の不自由なお子さん、手が不自由なお子さん、足が不自由なお子さん等様々なお子さんがいる。
    杵を持って餅をつこうとしている目の不自由なお子さんにO崎君が手を添えている。
    長男は臼の中の餅を折り畳むようにひっくり返していた。
    笑顔と笑い声が絶えない集まりであった。

    近隣地区からいくらか補助金が出たが全然足りなかった為、不足分の多くはO崎君のお父さんのポケットマネーから出されていた。


    私はこの温かい雰囲気に胸が一杯になった。

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