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シリーズ:佐藤君
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佐藤君

作者:巨魂

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    恋愛もの初挑戦です。
    少しでも評価してもらえるのであればもっと頑張ってみようかと思います。


    登録ユーザー星:1 だれでも星:0 閲覧数:54

    佐藤君 3221文字

     

    佐藤は高校3年生の冬、食品スーパーのアルバイトをしていた。
    進学が決まっていたから気が楽なものであった。
    アルバイトに一人、気になる女の子がいた。
    みんなが「マナミちゃん」と呼んでいる子だった。
    同じ高校3年生ならしい。佐藤は最近入ったばかりなので彼女の事はとても『ちゃん』付けで呼べなかった。
    マナミはとてもおしとやかであった。
    人から声を掛けられると一言、二言ニコッと笑顔で返す愛想の良さを持っていた。
    でも決して自分から積極的に話しかけるようなタイプではなかった。
    佐藤はそんなマナミに魅力を感じていた。もっとマナミの事を知りたいと思った。

    ある日アルバイトが終わった時に帰るタイミングがマナミと一緒になった。
    ほんの数百メートルの間、帰る方向が一緒だった。
    佐藤はマナミの趣味を聞き出そうと必死に話しかけた。
    好きな映画の趣味、好きなテレビ・アニメ、聞く音楽、読む漫画、知りたいことばかり湧き上がってくる。
    そんな気持ちを悟られないように、気持ちがられないようにテンションを上げすぎずに落ち着いて笑顔で聞いてみた。

    映画はあまりみないとの事。テレビもあまり見る時間がなかったとの事。好きな音楽の話になった時にマナミの温度が少し上がったのを感じ取った。
    「私、『SUBETENO HAJIMARI』が好きなの、略して『スベハジ』ってグループ。流行ってるから知ってるでしょ?ボーカルの浅戸がかっこいいんだよね。声加工してるけどその雰囲気がまたいいの。私、スベハジの曲なら全部歌えるかも。」
    こんな流暢にしゃべるマナミちゃんを始めて見た。嬉しそうとも思えるその笑顔がたまらなく可愛く思えた。

    あっという間に分かれ道まで来てしまい。手を振って別れを告げた。
    しまった。メアドだけでも聞いておくべきだった。佐藤は後悔した。自分の心の準備不足を呪った。

    佐藤は家に着いてからもマナミの事が頭から離れなかった。
    マナミちゃんは今頃何をしているのだろう。スベハジの曲でも聞いているのであろうか。
    愛おしさが抜けない。
    居ても立ってもいられずユーチューブでスベハジの曲を検索して聞き始めた。
    佐藤はスベハジの曲を街中やテレビで少し聞くくらいで、じっくり聞いたことがなかった。けれど聞いているうちにとてもいい曲が多いと思い始めた。

    よしっカラオケの練習をして、今度マナミちゃんをカラオケに誘ってみよう。
    佐藤は猛練習を始めた。特に最近歌われている『ラビット モーニング』を何十回、何百回とユーチューブを再生して音がちゃんととれるように特訓した。
    佐藤は正直、歌にそんなに自信がなかった。彼女に歌を聴かせて好感度をアップさせようなんておこがましいと自覚していた。ただ一緒に歌えたら、それだけで楽しいだろうというイメージをもってトレーニングを積んだ。マナミちゃんと一緒に共感してグルーブ感(ノリ)を味わえたらと考え、ワクワク感が止まらなくなった。

    佐藤は一週間の間にスベハジの有名な曲を5曲マスターした。


    さらに一週間後、佐藤はマナミと帰りがまた一緒になった。
    佐藤は勇気を振り絞って、笑顔で言った。
    「今日、ご飯ご馳走させてくれない?んで一緒にちょっとだけカラオケに付き合ってくれない?」
    マナミはビックリした顔をした。
    「えっ?何?ご飯とその後のカラオケもセットなの?佐藤君どれだけ歌を歌いたいの?」フフフッとマナミは笑った。
    佐藤はキョトンとした。その後、我に返った。確かに先走りすぎた。
    最初はお茶だけを誘うとかご飯を誘うだけするのが普通だろう。
    佐藤は急に恥ずかしくなった。
    「いいよ。とりあえずはご飯に一緒にいこう。カラオケは今あんまり気分じゃないからまた後で考えるね。」
    佐藤は心の中でガッツポーズをした。
    「奢ってくれなくてもいいよ。折角お互い高校生でアルバイトでお金を貯めてるんだから大事にしなきゃね。割り勘にしようよ。」
    佐藤はマナミの優しさに心打たれた。

    二人は近くのファミレスに入った。
    ここでも佐藤はマナミに対して質問攻めにしてしまった。
    マナミは嫌な顔をせず、一つ一つ丁寧に返答をしてくれた。
    逆に彼女からの会話を引き出そうとしてみてもなかなか難しかった。
    そこで例のスベハジの話題を出してみた。
    だが、今度はマナミの温度は上がらなかった。逆に下がったようにも見える。
    「この前、ボーカルの浅戸のニュース見た?レシーブ・ムピャムピャと付き合ってるんだってね。私全然知らなかった。なんかショックだったの。最近の曲の『ラビット モーニング』だって彼女に対して歌った曲だってことを噂で知って、なんかシラけちゃった。だから嫌いになっちゃって最近全然聞いてないの。」
    佐藤は頭が真っ白になった。あんなに練習したのに。
    顔面蒼白になった佐藤を見てマナミは心配した。
    「どうしたの?何かあった?大丈夫?」
    「えっあっそう・・・そうなんだ・・・スベハジ嫌いになっちゃったんだ。」
    佐藤は泣きそうになった。
    「だからさっきカラオケは気分じゃないって言ったわけ。例のニュースの前だったらノリノリで歌えたんだけどね。なんか今は逆に聞きたくない感じ。スベハジ以外の曲はほとんどまともに歌えないからね。」
    はあ、と溜息をついた佐藤をマナミは見逃さなかった。
    「でも佐藤君がそんなに歌いたい気分だったら少しだけだったらつきあってもいいよ。そんなに落ち込むなんて佐藤君今日なんかあったの?なんかよっぽど歌いたいみたいね。」
    フフフッとマナミは笑った。
    いや違うんだけどと思いながらうなだれていた佐藤は背を正した。
    「じゃあ、折角だからちょっとだけ付き合ってくれる?」と自覚できるひきつった笑顔で声を振り絞った。

    二人一緒にカラオケに入ったのだが佐藤はノーブランであった。
    スベハジが封じられた今、何を歌えばよいのか?
    ハイッとマナミにリモコンとマイクを渡され、佐藤は完全にテンパった。
    佐藤はやけくそになった。
    女の子の前では引かれる可能性が高い「終音クミ」を検索し始めたのである。
    まともに歌えるのは終音クミしかなかった。
    「終音クミの誕生」や「億千万のコスモス」をこともあろうに連続で歌ったのである。
    しかもシャウトで。汗だく状態で。
    2曲歌い終わった後、佐藤は我に返った。一体自分は何をしてしまったのか。
    マナミを見ると彼女はケラケラ笑っていた。屈託のない笑顔。
    「佐藤君、相当溜まってたみたいね。」
    良かった。引いてなかったみたいだ。
    佐藤はマナミにリモコンを差し出した。
    「折角だから何か歌わない?」
    「うーん、どうしよっかな〜。」マナミは悩み始めた。
    「やっぱりいいや、佐藤君歌って。」
    リモコンが返ってきて佐藤も悩み始めた。
    ヤバイヤバイ、これ以上終音クミを続けてしまうとマナミが離れていってしまうような気がした。
    だからと言って他に選択肢は・・・・・


    佐藤は勝負に出た。
    彼女の気分ではないと言っていたスベハジを入力したのである。
    最近の曲『ラビット モーニング』を入れた。

    前奏が始まった時に佐藤はマナミを直視できなかった。
    「ラビッモーニン♪ラビッモーニン♪ラビッモーニン♪今朝♪君のそばで♪寂しさを♪消してあげよう♪・・・」
    佐藤はマナミにもマイクを渡した。一緒に歌おうと仕草で伝えた。
    マナミは渋りながらも一緒に歌い始めた。
    だんだんノッてきた。横目で彼女をみてみると涙目になっているような気もした。
    彼女の歌声は高い音がとてもきれいで透き通っていた。
    佐藤はあまり邪魔しないように控えめに彼女のリズムに合わせるように歌った。
    練習した甲斐があった。上手く合わせられた。

    歌い終わった後、彼女は言った。
    「佐藤君、よく空気読めないって言われるでしょ。」
    佐藤はギクッとした。まともにマナミの目を見ることができなかった。
    「でもなんでだろう。なんか楽しい。」
    マナミはそう言い、彼女の頬を佐藤の肩に寄り掛かせた。

    二人は続けて一緒にスベハジの歌い続けた。
    佐藤は上を見ながらその雰囲気を味わい、この時間がずっと続けばいいのにと思った。

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