upppiは縦読みコミック(タテコミ)・イラスト・小説が無料で楽しめるサービスです!

ようこそ!ゲストさん
BL小説表紙コンペ
画像
画像

2013年7月より募集を開始いたしました 『アドリアン』表紙コンペ には32作品のご応募を頂きました。作品応募頂きました方々及びコメントや評価を頂いた読者の方々、本当にありがとうございました!

以下、選出作品と選評を発表させて頂きます。また最終選考に残った作品については短評を掲載させていただきましたので、ぜひご覧頂ければ幸いです。

⇒ 『アドリアン』表紙コンペの概要はこちらをご覧ください
※選出作品び最終選考作品には選評を掲載しています。
『アドリアン』表紙コンペ選出作品
選出作家:コーノテツ
選出作品

※コーノテツ様へはイラスト利用契約手続き及び利用料お支払いの為、
別途upppiよりご連絡させていただきます。

審査員選評
 構図と雰囲気の出し方が他より抜きんでていたこの作品。
 BL小説コンテスト作品でありながら、直接的な描写はほとんど出てこない「アドリアン」において、性的ニュアンスの表現は非常に難しい部分です。この作品では半裸であるアドリアンから、性的なものが感じられません。しかしその憂いを秘めた瞳は独特の空気を作り出しています。
 また、あえて背景をほぼ白にしたことで、一見インパクトに欠けてしまっていると思われるこの構図。ですが、周りをくりぬくように白としたことで中心に用意されたアドリアンの顔へ自然と視線が誘導されています。そのため目を引くという点で、非常に巧みであると言えるでしょう。
 光源の関係でアドリアンの顔に影がかかってしまっていますが、周りが白であるためにそこまで気にならなくなっているのもよい点です。
 「アドリアン」の時代性に繋がるわかりやすいものは、そこまで出ていませんが、画風や服装、額縁や持った絵筆から、これがアドリアンだということは読んだ人間ならすんなりとわかると思います。
upppi公式アドバイザー弓島
『アドリアン』作者(辰波ゆう)総評
 このたびは至らない拙作のためにこのような機会を与えて頂き、もったいなく有難く、運営さまには感謝の言葉もありません。そしてコンペに参加下さったすべての皆さま、参加には至らずとも考慮して下さった皆さま、そして応援下さった皆さまにも改めてお礼申し上げます。言葉では言い尽くせない謝意を、まずはここに。

 コンペになると知ったときには、描いて下さる方が本当に現れるのか不安でたまりませんでした。ファンタジーでなく時代もの、それもあまり馴染みがないと思われる中世ネーデルランドが舞台。しかも宗教画を描く話。にもかかわらず美しい力作を次々に投稿頂き、思わず動揺してしまう日々でした。これはまさに選び難い、選び得ないとも思いました。  一方、選びがたき中を選ばれたのがコーノテツさまの作品と伺い、やはり、と思ったのも事実でした。好みの作品、美しい作品、強く惹かれる作品ばかりが揃うなか、絵としての巧拙、良し悪しのみで図るならばまさに優劣つけがたいなか、表紙に求める条件を全て満たしているのは、やはりこれだと思います。

『アドリアン』の物語を正確に紹介していること。
『アドリアン』の物語を好む読者を、幅広い層から惹きつける絵であること。

 私が求めていたのはこのふたつです。 
 コーノテツさまの作品には「窓」は描かれていません。正確に表現するのが非常に難しい当時の窓を描くかわりにシンプルな額縁を使い、その奥に当時の街並みを望ませています。城でもなく農村でもない、中世の町の風景。まさに物語の舞台そのもの。見る人の視線を吸い込むような深み、そして奥行。作中でヤンが描いている絵も、中世の絵でありながら「奥行がある」という設定ですから、まさにふさわしい背景と唸りました。
 古色を帯びた色使いも時代ものらしい雰囲気。中央には腰かけた主人公。少年というには育ちすぎているがおとなの男でもありえない。まさに文中の形容そのままの肢体。そして、表情。媚びた色気はかけらもなくて、それでいて艶は備えたこの表情。そして青く大きな瞳。写実的になりすぎない親しみやすい表現で、より広い層に受け入れられるとも思います。素肌には布だけを纏い脚は露出していますから、同性愛描写があることもわかります。いわゆるBL絵ではないと思いますが、本体も王道BLとはいいがたいのでむしろそれは良しでしょう。そして絵筆を手にしている。いにしえを舞台とした画家とモデルの恋の話と、正確に紹介する絵だと思います。

 個人的には象徴的意味を詰め込んだ作品も大好きではあるのですが、小難しく見えてしまうおそれもあります。中世の天使像のようなくるくる巻き毛がむしろイメージでもあったのですが現在の流行とは少しずれているかもしれず、読者を選びそうでもあります。「受胎告知」を強調する絵も、敬遠する方もやはりあるかと思います。文句のつけようもなく鮮やかに美しいのに情報量が不足する絵、あるいはどこか中世には見えない絵。でも全てが魅力的です。この絵にあわせて、舞台を近世に移行しようか。絵に合わせて中身のほうを書きなおそうか。そう思った絵さえ何枚もありました。頂いた一枚一枚、その全てに想いもみっちり詰まっています。表紙をとりたいというよりも、「アドリアン」をまず描きたい。その想いを感じる絵には、比喩ではなく本当に涙が出ました。そして、それこそが改稿への原動力ともなりました。表紙となるのはたった一枚だけですが、頂いた全ての絵からかけがえのないものを受け取りました。今仕上げている最終稿に、全ての絵が息づいています。
 「みんな違ってみんないい」が正直な感想で、それぞれに1000字くらいは語りたいところではあるのですが、あえて語らずにとどめておきます。こんなにもたくさんの方々に、こんなにも力の籠った絵を頂けて、感謝の気持ちでいっぱいです。改めてありがとうございました。
 そしてコーノテツさま、選出おめでとうございます。素晴らしい絵をありがとうございました。  
辰波ゆう
画像
画像

最終選考にあたっては、一次選考から更に選別した5作品について審査員が協議致しました。以下の最終選考4作は惜しくも選に漏れてしまいましたが、いずれも極めて評価の高い作品です。それぞれ、審査員の短評を添えてご紹介致します。

最終選考作品
  • 審査員選評
     極めて高い画力で物語のワンシーンを切り取って描かれたこの作品は、『アドリアン』が何を題材とした、どのような雰囲気の物語なのかを良く表現しています。構図・光彩によって手前の青年「アドリアン」へ視線を集める一方、背景の緻密な書き込みや人物描写も秀逸です。
     審査にあたっては各審査員が一様に上記の画力を絶賛する一方、イラスト全体から漂う比較的暗い印象について、作品表紙として陳列を行った際のイメージ・訴求力へ与える影響という観点でほぼ一致した危惧として挙げられました。この『アドリアン』には独特の空気感があり、それを十全に表現しながら訴求力に配慮するには高いバランス感覚が求められるものと思います。本作も十分に健闘してはいるのですが、選出作との比較に於いては僅差ながらも一歩譲る形となりました。
    株式会社パピレス企画担当:毒島
  • 審査員選評
     時代背景等の描写は無きに等しいのですが、パッと見た際のインパクトがずば抜けています。画力はもちろん申し分なく、やや絵画的なタッチと、そこから醸し出されるストイックさ、そして秘められた力強さは『アドリアン』という作品の雰囲気を如実に表現していると言えるでしょう。右上の空白にタイトルを入れることで引き締まる構図も見事です。
     この「情報量は少ない」が「インパクトと雰囲気は抜群」という点で審査員の意見が割れ、最後まで選を争う作品となりました。最終的には情報量の不足がネックとなり惜しくも選を逃しましたが、これはあくまで総合点としての結果。やや挑戦的にはなりますが、本イラストを表紙にすることも十分あり得たという程に、高い表現力を誇っています。
    株式会社パピレス販売担当:新堂
  • 審査員選評
     このイラストの魅力は緻密に計算された構図です。
     右手しか描写されていないヤンとその手の先を見つめるアディの表情からは、2人の関係性やアディの内に秘めたヤンへの思いが伝わり、見ている人間をとても切ない気持ちにさせます。また、時代背景を意識した窓や木目の荒れ具合等、細かい部分の完成度が高く、表紙に必要な情報供給という仕事も充分に果たしています。イラスト単体としての完成度は文句の付け所がありません。
     選考に際して意見が別れたのは一点。『アドリアン』が持つ一般的なボーイズラブ小説とは異なる独自の空気感・ある種のストイックさと、このイラスト全体から醸し出される色気との親和性についてです。この「空気の表現と読者への伝達」という一点に於いて審査員間で激しい議論が為された結果、惜しくも選出に至りませんでした。
    株式会社パピレス企画担当:狩屋
  • 審査員選評
     構図や色使いがうまく、画力のレベルが非常に高い作品です。特に物語の歴史・社会背景がもっとも大事であるこの小説にとって、宗教的な雰囲気をここまで上手く醸し出せたことが本当に素晴らしいと思います。
     中世ヨーロッパの窓ガラスに聖母マリアの象徴とされるユリの花、細部までよく練られているこの作品で、アドリアンの純潔で無邪気な天使イメージが生き生きと表現されています。 ヤンの筆で描かれるアドリアンはきっとこういう感じでしょう(笑)
     この作品の全体的なバランスが疑問なく良くまとまったけれども、商用を目的にする小説の表紙として、第一印象のインパクトが選出作品と比べればやや足りないということで、採用作品に一歩譲ってしまうという評価となりました。
     真ん中の青い布が画面の重心となっている一方、主役であるアドリアンより目立ててしまう傾向があります。アドリアンの存在をもうちょっと引き立たせれば、さらにレベルアップをはかれます。
    株式会社パピレス販売担当:リリー
『アドリアン』表紙コンペ審査員総評
 募集前から難しさゆえに応募数が少ないのでは? とスタッフ間で心配がされていた「アドリアン」表紙コンペも、蓋を開けてみれば32作の応募が集まる盛況となりました。  特に応募締切前の怒涛の駆け込み投稿は、今までで一番の勢いでした。
 力作の数々、ありがとうございます。

 作品の雰囲気を崩さず、如何にして読者に届きやすいものを選ぶか。
 今回の選考はそこが争点となりました。
 独特の時代背景と世界観が大きな魅力の「アドリアン」において、まず画風は意識せざるを得ないものだったのでしょう。
 色の塗り方の多くは、厚塗りを中心に油絵を意識したものが見られました。独特のタッチで描かれたアドリアンの姿は、どれも作品から抜け出たと錯覚させるようなものばかりでした。他にも著者の資料を読んで調べていただいたのか、当時を象徴する小物を描きこんだりと細かな仕込が見て取れこちらに関しても作者の努力を感じることが出来ました。  解釈についても様々で描かれるモデルをしているアドリアンを描いたものや、そのアドリアンが描かれた「絵」を描いたもの、シーンの一部を切り取ったようにイラストにしたものと様々です。どれにも言えることは、作品のメインテーマである絵画をやはりみな強く意識しているということでどの方もよく「アドリアン」を読み込んでいるなと私も関心しきりでした。
 作品それぞれを見ていくと、みなさん画風に合わせた構図など試行錯誤が伺えます。しかしやはりこの画風で、ボーイズラブ小説(この作品は18禁要素は薄いですが)売り場に並んだ時に目を引けるものを描くのは難しかったようです。
 募集ページでもお伝えしましたが、今回選出された作品が表紙となって販売されるのはパピレスとRenta!です。こちらのボーイズラブ小説ページを見ていただけると分かる通り、基本的にサムネイルがユーザーが初めて見る表紙となります。こちらのサムネイルで如何に興味をそそらせるか。それが表紙の役割です。
 その点で、縮小されてしまうとなんの画像かよくわからなくなってしまうものなどについては、キャラクターを重視した見せ方をしている他商品に比べるとどうしてもインパクトに欠けてしまいます。
 「ぱっと見たときに目をひく表紙」これは色味と構図が重要になってきます。いくら拘りを持って細かい描写をしたとしても、まずは作品ページに来て本を手に取ってもらわなければ大きな画像は見れません。
 この視線がきやすいという点について言えば、今回だけでなくすべてのイラスト作品に言えることではないでしょうか。
 一度遠目や縮小してみて全体像を確かめると、自分の作品の新たな面が見えて来るかと思います。

 最後に今回のコンペへの応募者、コメントなどでイベントを盛り上げていただいたユーザーの皆様、改めてありがとうございます。
 ついにBL小説コンテスト表紙コンペも、残すところ特別審査員賞「黒木くんと美月ちゃん」のみとなりました。こちらもスタッフ一同よりよいものとするよう尽力いたしますので、よろしくお願い致します。
upppi公式アドバイザー弓島