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シリーズ:Earth 2015
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Earth 2015

作者:風呂助

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    お題:ひねくれた魔王


    登録ユーザー星:7 だれでも星:2 閲覧数:908

    Earth 2015 4075文字

     

     E県から船で少々、A島へ上陸する。
    ここは基本的には観光目的の島ではない。
    宿泊施設等の設備はないし、来島客用の
    スタンスを島民わずか15名の方々は
    用意していない。先住者の平穏かつ静かな
    暮らしだけを守っている。

     この島は実在するので検索すればすぐ
    情報が手に入る。その情報の中で注意するのは
    前述した「観光用の島ではない」事。

     つまりサービスが無いという意味ではなく
    住人の方々は普通に生活しているので、
    迷惑をかけないよう充分配慮して準備して
    礼儀を重んじるの常識だという事。

     この小さな島が簡単に検索できる理由。

    「15人の島民と猫100匹」で検索すれば
    必ず意味が解ると思う。H県のO島みたいな
    ウサギ目一杯の島とはかなり違うのが解る。

     時間や場所、量をマナーとして守れば
    ある程度、無数の猫たちと交流は許されるが
    猫カフェろは違う。百匹近い猫たちも島民なのだ。

     インターネットでウサギ島と猫たちのA島の
    動画を比較して試聴させてくださる方もいるが
    全く真逆であるのが解るとわかるとおもう。

     猫たちは徹頭徹尾、自由に生きているのだ。
    逆を言えば過保護でもない。自由に死も得ている。
    共存共栄で島民なのだ。それを邪魔する権利は
    猫同士でさえも無い。

     はず。だったのだけど……。

     島民の十数名は普通の生活をしている。
    猫を商売として観光として扱う気持ちは無い。
    家族だからだ。それは猫たちも判っている。

     たまに珍しがって観光客が来るが、京都へ
    旅行して舞妓さんに触るなら痴漢だし、
    東京で撮影禁止のエリアを撮影を無許可でやれば
    お巡りさんの出番である。

     故に、島民が暗黙の諒解で許容する場合以外は
    猫達は外来者とコンタクトはとらない。
    それがこの島のルール。島民の皆様は猫好きは少ない。
    なんとなく共存している。隣近所さんかもしれない。

     そう思って、そう聞いて、そう信じて。
    70年前から私はこの島で、特別にテリトリーを
    主張する事もなく、静かで穏やかで本質的に
    猫に親切な島民の方々と、静かに生きてきた。

              *

     70年だよ?誤字でも何でも無いよ。この島は猫が
    100匹以上いる。だからバレやしないのさ。
    そう思って高を括って猫の中に紛れて生きてきた。

     生涯をこの島で終らせてもいいって思うこともあった。
    でも、やはりやるべき事を諦めたくない。
    選択できる状態で初めて、最終決定をしてもいいはずだ。

     だから、私は猫たちに紛れながら生きてきたのに。

     油断してたのかな。気付かれた。最初の一言は
    宿泊所や食堂、それどころか商店も自販機もない島の
    港で、弁当を食ってた、人間のお婆ちゃんの笑顔だ。

    「おまえさん、帰りたいか迷ってるのかね?」

     人間年齢でいうなら70代中盤と思えるのだが
    矍鑠で陽気で。太陽みたいに眩しい笑顔と銀歯。
    私は誰にもばれなかったと、確信していたから。

     挙動不審だったんだろう。追い詰められて行く。

    「お前さん、東京でオリンピックさあった時も
    シュール・ストレミング船長が月に降りた時も」

    『米田の婆ちゃん。それアーム・ストロング船長だよ。』

    「まぁ、外国の何かだよね。とにかくお前さ。
    ずーっとこの島にいるね。毛並みが似てるからって
    よくいる雑種虎縞だけっていっても判るよ。70年。
    そんなに生きる猫がいるなら、化け猫か、猫以外の何かさね。」

     私は……だからって正体を明かすわけにはいかないし
    あくまで、無駄でもあくまで意地で、猫のフリをした。

    「なに責めてやいないし、バラしたりしないがね。
    お前さん、なにか苦労して苦労して、猫に化けているなら
    そんな無理せんでいいから。この島は《おせっかい》は
    しない。長生きの秘訣。気が向いたら踊りに来んさい。」

     A島の盆踊り。何も無いこの島の真夏にある、この島に
    継承されいる。私も70年の間で、何度見たか。
    化けて踊ったか、もうその数すら覚えていないけれど。

     瀬戸の海を飲み干すような、踊りだから。
    切なくなるんだ。米田婆ちゃんは優しいけど、私は
    諦めたくないんだ。

                *

     A島は1639年に兵庫から漁業の拠点として住み着いた。
    現在も漁業は中心的。島民の方々は猫に冷たいようだが
    実際は、獲れたての魚をわけてもくれる。

     つかづ、はなれず。なぁなぁなプリミティブを安定させて
    共存してる気がするんだ。この島の裏側に不時着してから
    10年位で、なんとなくそういう気持ちがあったんだ。

     米田婆ちゃんの目は欺けない。間違いなく私は
    東京オリンピックも知ってる。ビートルズが来日した日も。
    私は、猫に似てるけど。似てるけど……だから猫たちに
    仲間として認めてはもらえない。私らの種族かしたら、
    70年なんて、赤ん坊がようやく目を開ける程度の時間だけど。

     寂しかった。この辺境の星に落ちて。宇宙船は直せない。
    この島には何も無いから。でも、私らと似た姿の原始生物が
    沢山いたから。……それで誤魔化してきたんだ。

     70年。

     正直にいう。寿命の長い他の天体生物でも、やっぱり長いよ。
    でも私らに外見のよく似た猫という彼らは、意思疎通は難しいけれど
    自由だ。少し少し、迷う気持ちが出てきた。

     地球人類から簡単にいうなら猫類似宇宙生命体。それが私。

     米田婆ちゃんも島の人も「ネボスケ三毛猫」って呼ぶ。
    私の本名は人間の発生方法では発音できない。
    アルファベットで書くなら、無理やりだけど『HYHYHK』
    この6文字でしか表現できない。母音がないので地球では読めない。

     大体にして文字を書ける事をバラしたこともない。
    強引に読むなら「ヒューク」その名前も月を飛び出す時
    自治政府によって抹消された。だから名前はない。

     飼い主ではないが港で毎日の漁が終ると、
    待っていてくれて雑魚をわけてくれる地球人がいた。
    あの古老の勇ましい海へ毎日、向う戦士を忘れない。

     彼が帰って来なかった日も忘れない。私は、魚はいらない。
    だからはやく帰ってきてくれと願ったのだ。その日は朝は晴天。
    でも、どうしても嫌な風を感じたから引き止めた。

     彼は言った。「そんなにお土産が楽しみか?沖まで行くか。」

     違う。行かないで。どこにもいかないで。爺ちゃん。
    どんな生き物にだって、多少の齟齬はある。食い違いも。
    気持ちがスレ違うというらしい。

     ここまで記録した中で間違っている部分はある。
    正常に記録できる方がおかしい。記憶の方があてになる。

     でも。帰ってきて欲しい。願う事を学ぶ。


                *

     目が覚めたとき、米田の婆ちゃんの庭で寝ていた。
    毛布がある。婆ちゃんがくれたんだ。


     その時、ハッキリ聴こえた。

    《イカロス-1566探索艇へ打診:応答せよ。
    帰還可能なら然るべき処置をして速やかに行動せよ。
    不可能なら一切の証拠と共に自我を消去せよ。》

     おかしい。私は脱走兵で……任務で地球へ来ていない。
    米田の婆ちゃんが私を見抜いた、その理由。

     もう一匹いるんだ……。

     彼は星空の小高い丘にいた。

    「やあ、君がラビット(кролик)計画の弐号機Ptか、
    あの後、君は重罪でありながらC.O.B.最高機関の英雄。」

    「唯一、ノイズアウトして自壊確認のなかった参号機Ptだな。」

    「不思議だね。コードネームからしても、月の生い立ちにしても
    ウサギだって思われていた僕達が、地球ではネコに似ていた。
    皮肉にもそれが、警戒されない理由になったなんて。」

    「月へ帰るのか?」

    「君は帰るのか?」

    「帰らない。私はここで生まれ育っていない、星と共存できるかは
    一切判らないが、排除されるのも問題ないと思う。
    参号機が帰還して、報告するのも構わないし覚悟もある。
    私は地球とも月とも、そういう面倒くさい事は嫌だ。コタツがいい。」

    「それは同感だ。ただ、残念ながら君と違って私には恋人がいる。
    だから帰る約束を守らなくてはいけない。」

    「何か手伝える事はあるか?哨戒一号機、コンタクト主任務四号機と
    ちがって、君の弐号機は索敵任務、私の参号機は攻性検証任務だった。
    私は「C.O.B.」City of bamboo(竹の都)を裏切って地球へ亡命した。
    弐号機の君が存命していた通信は傍受していたが、地球に来ていた事は

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