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シリーズ:500字内ホラー1~34
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500字内ホラー1~34

作者:itaka

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    無茶苦茶短い小説を書いてやろうと思って始めました。本当は1000字くらいの方が余裕持って書けるんですが、とりあえず500字で始めちゃったんで、この字数で頑張ります。


    登録ユーザー星:18 だれでも星:3 閲覧数:566

    500字内ホラー1~34 15082文字

     

     ーブーンブーンー
    ブーンブーン。

    うるせえなと思ってすぐに気がついた。
    恐らくハエの羽音だ。
    しかも段々と増えてくる。

    しけた状態でそんな音聞いてると
    とっても心が重くなる。

    やってらんねえやと思ったので、
    暗い建物の中をうろついてみる。


    ア〜ア〜。
    ウ〜。
    フフフフフフフ。
    色んな声、色んな気配。

    とりあえず悲鳴は聞こえない。
    昨日は聞こえたからその分ましだ。


    廊下にうずくまっている老人がいて
    無視して通り過ぎたら後ろからついてきた。

    「ここどこですか」
    話しかけられて介護施設だと答える。
    「私記憶がなくて」
    「大丈夫だ。みんな良くしてくれるから」


    老人はいなくなり、
    俺はなおも構内をうろつく。
    窓が板で覆われているので、
    暗くて嫌な感じだ。


    老人の介護施設で虐待から死亡者が出たのは二年前。
    施設は封鎖されてその後空き家になっている。

    俺は現金輸送車を襲って身元が割れ、
    逃げ場に窮してここに隠れている。


    人がいないのは良かったが幽霊がいた。
    ただしみんな怯えていておとなしい。

    怯え顔でこっちを見ている老人が一人。
    「俺は悪い奴じゃないよ」
    そう言ったら老人は首を横へ振る。


    「俺は悪い奴じゃないよ。
    ただ欲深なだけさ」
    そう呟いたら。
    自分が優しい人間に思えた。




     ー巨人ー
    男はフロントガラスを見上げ、
    巨大な足が現れるのを待っていた。

    霧の夜にその峠を走ると
    いきなり巨人の足が頭上を通り過ぎていく。

    それが気味悪くて
    みんな夜になるとその場所を通らなかったのだが、
    ある時頭のいい奴が真相を突き止めた。


    それによると近くの山に研究所があり、
    危険物を管理しているため
    定期的に構内の照明が
    周囲をめぐる金網を照らし出していく。

    その光が施設内のガラスで反射し
    そのまま峠道の方へ伸びてくる。
    そのためわずかな濃淡が霧の中に発生し、
    それが頭上を通り過ぎる巨人の足に見えてしまう。

    その説が出て以来、
    今度は色んな連中がそこを選んで通るようになった。

    男もその内の一人だ。
    そして今、
    男の車の頭上に巨人の足が現れ、
    それが車の方に降りてくる。

    「凄え」
    男が叫んだ途端足の踵が車のフロントに食い込み
    車のリアが空中に浮き上がる。
    さらに足が小さく動いて車は崖下に落ちていった。



    夜明けになり、
    地元の警察がやってきて崖下の車を引き上げる準備に入る。

    「まったくインターネットにも困ったもんだ。
    おかしな書き込みさえなきゃ死人が増えることもないのに」

    警官は立腹気味だったが、
    ネットの前で峠道の真実は無力だった。




     ー夢なら醒めてくれー
    目覚ましの音で目を覚ます。
    まだ時間はあるが後少しでまたバイトだ。

    最近は毎日コンビニで働き、
    土日は引越屋で働いている。

    結婚してないのが救いだが
    正確にはしていないのではなくできないのだ。


    役者になりたくて東京に出てきたが
    お呼びがなくて、バイトが生業になっている。


    東京に出てくる時は
    馬鹿なこと言ってないで目を覚ませと言われたが
    確かにこうなると他人の言う通りにしていれば良かった。


    もしおかしな夢を見なければ今頃どうなっていただろう。
    田舎で普通に勤め人をやって
    楽しくはなくても
    毎日コンビニバイトなんてやる必要もなかっただろう。



    「夢よ覚めてくれ」
    俺は服に着替えながら叫ぶ。

    役者になりたいなんて思わなければ
    こんな生活を送る必要はなかった。



    そう思ってため息をついた時
    俺は目覚ましの音に気が付く。


    どうやらさっきまでの夢が覚めて、
    やっと本当に目覚めたようだ。


    俺は起き上がると服に着替える。
    学校を卒業して入った会社は三年後に潰れ、
    その後はずっと派遣やバイトで暮らしている。


    俺は長いため息をつく。

    夢よ覚めてくれとは思ったが
    まさか役者志望の部分だけが消えるとは思っていなかった。




     ーエイプリルフールー
    四月一日の朝。
    目が覚めたら真っ暗だ。

    時計が狂ったのかと思ってテレビをつける。

    しかしながらひどく映りが悪い。
    しかも映りの悪い画面でアナウンサーが必死になって叫んでいる。

    「第三次大戦の勃発です。
    すでに数百発以上の核弾頭が炸裂しています」


    「嘘に決まってら」

    何気なく呟いたが外は真っ暗だ。

    もしかして核の冬という奴か。

    慌ててインターネットに接続しようとしたがつながらない。

    核戦争による電磁波のせいだろうか。


    だがその後テレビも映らなくなり、
    いつもお喋りなネットも消えたままだ。
    おまけに外は真っ暗だし
    出かけるのもちょっと怖い。

    それでベッドに戻ってもう一眠りすることにした。

    多分エープリルフールだろう。


    その後翌日になっても世界大戦については何も報道していない。
    ネットもテレビもつながらないためだが、
    何も言わないというのは矢っ張りエープリルフールだったということだ。

    アーよかった。




     ー咳をしたら百人ー
    美佐子には友達がいない。

    Lineをやっても無視され、
    気付いたら一人だけ追い出されていたりする。

    だからこそ一人ぼっちを恐れているのに、
    寄り添ってくれるのはいつも孤独だけ。

    何でこんな暗い性格に生まれてしまったのだろう。
    だが孤独しか友達がいないのなら
    彼と一緒にこの人生を生きていくしかない。


    悲しくて泣き声を飲み込もうとしたらついつい咳き込んでしまう。


    咳をしても一人。


    でも隣に孤独がいるから咳をしたら二人かもしれない。

    そんな事考えていたら孤独がどんどん膨れ上がっていく。

    咳をしたら二人。
    涙を流したら三人。
    泣き言を言ったら四人。
    この身を嘆いたら五人。

    そうやって苦しんでいる間にドンドンドンドン孤独が増えていく。

    ついには嗚咽を漏らしたら百人。
    恨み事を呟いたら千人。
    自己嫌悪に陥ったら一万人。

    こんなにたくさんの友達。

    ありがとう孤独達。
    ありがとう私に寄り添う寂しさ達。


    美佐子はコンサートのソロアーティストみたいに勿体ぶって咳をする。
    だがたくさんいた友達は知らぬ間にいなくなっていた。

    咳をしたら一人。

    寂しくて肩を抱いたら、戻ってきた孤独が一人。

    冷たい両手で彼女の肩を抱いてくれた。




     ー峠道ー
    夜中に峠道を走るのは気持ちのいいものではない。
    しかもほとんどすれ違う車もないとなると尚のことだ。

    「まさか出たりしないだろうな」

    ところが苦笑いを浮かべてルームミラーを見ると、
    驚いたことに後ろの席に女が座っていた。
    白い着物を着て、
    いかにも幽霊というその風情。

    「誰だお前は」
    私はついつい大声を出してしまう。

    しかしながら女は恐ろしい目でミラー越しに私をにらみつける。

    「貴方は誰なの」
    「それは俺の言葉だ」
    「それは私の言葉よ」

    からかわれているような気分だったが、
    ここで怒っている余裕はない。

    「何でこの車に乗っている」
    「貴方は何でこの車に乗っているの」
    「それは俺の質問だ」
    「それは私の質問よ 」

    そう言われて私は気がついた。
    「お前もしかしてコダマか。
    いや違うお前はコダマだ」

    そう言った途端女は憎々しげな目で私を見た。
    しかも返事をする代わりに口の横に手を当てて大声を出す。

    「ヤッホー」

    あまりの声に驚いて私は車をガードレールにぶつけそうになった。
    何とか体勢を立て直し、
    ルームミラーを見ると女の姿は既になかった。

    車は峠を降りかけており、
    クラクションを鳴らしてもコダマは返ってこない。

    ヤッホー。




     ーダダダダーンー
    ダダダダーン。
    運命が私のドアをノックする。

    ベートーベンよ、
    私は今君を身近に感じる。
    耳の聞こえなくなり始めた君が、
    運命のノックに怯えている。

    ダダダダーン。
    ダダダダーン。
    こら出てこい。
    逃げ切れると思うんじゃねーぞ。
    金借りた以上は返すのが当たり前なんだよ。

    ダダダダーン。
    ダダダダーン。
    ダダダダダダダダダダンダ、ダダダダダダダダダダダダーン。

    だが急に静かになった。
    どうやら運命は諦めてくれたらしい。
    親父の会社を潰して逃げまわっている俺だ。
    ベートーベンみたいに
    運命のノックだって聞こえなくなってしまえば全て気分の問題だ。

    ド〜ン。
    ド〜ン。
    「お前が出てこないならこっちから行ってやる」
    ド〜ン。

    どうやらノックを諦め、
    足で蹴り破るつもりらしい。

    ド〜ン。
    ド〜ン。

    ボロアパートのドアが悲鳴を上げ
    真中辺りが壊れ始める。

    ド〜ン。ド〜ン。

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    コメント

    • さくさく読ませて頂きました。ホラーは長編もいいけど連発ショートショートもいいですよね。
      • 2 fav
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    •  初めまして。コメントを失礼いたします。
       この短さで、これだけのヴァリエーションを生み出せることに感嘆しております。ブラックジョークの混じる恐怖にもクスリとさせられました。
       何より、文章のリズム感がよく、良い意味で、流れるように読ませていただきました。
       私も丁度、連発ショートショートに挑戦しようとしていた矢先のこと、「やられたなぁ」という気分です。

       とくに乳の話など私も気をつけねばwww・・・・・・
      • 1 fav
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    • 泉鏡花氏、柳田國男氏も、一晩で百の怪を語るに
      挑戦されていたのを思い出しました。ちくま文庫さんの
      百物語怪談会には百を数えませんが、短く多く怖く儚く
      収録されていて感激したのを思い出します。
      能上さん同様に★を付加できなので、コメにて
      失礼致します。itakaさんの作品に棲む文脈を感じつつ。
      • 1 fav
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    • 新作読んでも、もう★を付けるところがないので、ここに「★」付けますね。
      すでにご存知だと思いますが、「書きだし小説」なるものを見つけました。「出だしだけで成立した史上最も短い文学スタイル」だそうです。
      もう一つ。ツイノベというツイッターで一話完結の小説を書くのもありました。こちらはコンテストがあったみたいです。
      「知っとるわ。そんくらい」だったらすみません。
      <(`^´)>オシエタッタドというつもりではないのでお許しください。
      itakaさんチャレンジどうですか?と思ったもんですから。
      私もチャレンジしてみたいなと、思ってるだけです(^▽^;)

      • 3 fav
      • Re 返信

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    • ありがとうございます。
      実のところ全然知りませんでした。その内のぞいてみるつもりです。
      • 2 fav

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    • 素敵な試みですね。
      いい勉強になりますね。
      100文字内のこと、ホラーな俳句(川柳?)もありますからきっといけるかも。
      • 3 fav
      • Re 返信

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    • 俳句はさすがにアンフェアな気がします。
      「隣の空き地に囲いができたね」なんて感じなら100字以内に収まりますが、さすがに内容がないのはまずいので結構難しいです。
      • 3 fav

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    作者紹介

    • itaka
    • 作品投稿数:7  累計獲得星数:126
    •  以前FC2小説に作品をアップしてたんですが、未だにネット小説の書式がピンときません。今回は改行なしでビッシリ書いてみようかと思ったけど、他の人のを見ると結構行開けがあるようなんで、慌てて改行を増やしてます。
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