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シリーズ:500字内ホラー1~32

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  • 500字内ホラー1~32

    作者:itaka

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
  • 編集協力者:

    無茶苦茶短い小説を書いてやろうと思って始めました。本当は1000字くらいの方が余裕持って書けるんですが、とりあえず500字で始めちゃったんで、この字数で頑張ります。



    500字内ホラー1~32 14085文字

     

     ー夢なら醒めてくれー
    目覚ましの音で目を覚ます。
    まだ時間はあるが後少しでまたバイトだ。

    最近は毎日コンビニで働き、
    土日は引越屋で働いている。

    結婚してないのが救いだが
    正確にはしていないのではなくできないのだ。


    役者になりたくて東京に出てきたが
    お呼びがなくて、バイトが生業になっている。


    東京に出てくる時は
    馬鹿なこと言ってないで目を覚ませと言われたが
    確かにこうなると他人の言う通りにしていれば良かった。


    もしおかしな夢を見なければ今頃どうなっていただろう。
    田舎で普通に勤め人をやって
    楽しくはなくても
    毎日コンビニバイトなんてやる必要もなかっただろう。



    「夢よ覚めてくれ」
    俺は服に着替えながら叫ぶ。

    役者になりたいなんて思わなければ
    こんな生活を送る必要はなかった。



    そう思ってため息をついた時
    俺は目覚ましの音に気が付く。


    どうやらさっきまでの夢が覚めて、
    やっと本当に目覚めたようだ。


    俺は起き上がると服に着替える。
    学校を卒業して入った会社は三年後に潰れ、
    その後はずっと派遣やバイトで暮らしている。


    俺は長いため息をつく。

    夢よ覚めてくれとは思ったが
    まさか役者志望の部分だけが消えるとは思っていなかった。




     ーエイプリルフールー
    四月一日の朝。
    目が覚めたら真っ暗だ。

    時計が狂ったのかと思ってテレビをつける。

    しかしながらひどく映りが悪い。
    しかも映りの悪い画面でアナウンサーが必死になって叫んでいる。

    「第三次大戦の勃発です。
    すでに数百発以上の核弾頭が炸裂しています」


    「嘘に決まってら」

    何気なく呟いたが外は真っ暗だ。

    もしかして核の冬という奴か。

    慌ててインターネットに接続しようとしたがつながらない。

    核戦争による電磁波のせいだろうか。


    だがその後テレビも映らなくなり、
    いつもお喋りなネットも消えたままだ。
    おまけに外は真っ暗だし
    出かけるのもちょっと怖い。

    それでベッドに戻ってもう一眠りすることにした。

    多分エープリルフールだろう。


    その後翌日になっても世界大戦については何も報道していない。
    ネットもテレビもつながらないためだが、
    何も言わないというのは矢っ張りエープリルフールだったということだ。

    アーよかった。




     ー咳をしたら百人ー
    美佐子には友達がいない。

    Lineをやっても無視され、
    気付いたら一人だけ追い出されていたりする。

    だからこそ一人ぼっちを恐れているのに、
    寄り添ってくれるのはいつも孤独だけ。

    何でこんな暗い性格に生まれてしまったのだろう。
    だが孤独しか友達がいないのなら
    彼と一緒にこの人生を生きていくしかない。


    悲しくて泣き声を飲み込もうとしたらついつい咳き込んでしまう。


    咳をしても一人。


    でも隣に孤独がいるから咳をしたら二人かもしれない。

    そんな事考えていたら孤独がどんどん膨れ上がっていく。

    咳をしたら二人。
    涙を流したら三人。
    泣き言を言ったら四人。
    この身を嘆いたら五人。

    そうやって苦しんでいる間にドンドンドンドン孤独が増えていく。

    ついには嗚咽を漏らしたら百人。
    恨み事を呟いたら千人。
    自己嫌悪に陥ったら一万人。

    こんなにたくさんの友達。

    ありがとう孤独達。
    ありがとう私に寄り添う寂しさ達。


    美佐子はコンサートのソロアーティストみたいに勿体ぶって咳をする。
    だがたくさんいた友達は知らぬ間にいなくなっていた。

    咳をしたら一人。

    寂しくて肩を抱いたら、戻ってきた孤独が一人。

    冷たい両手で彼女の肩を抱いてくれた。




     ー峠道ー
    夜中に峠道を走るのは気持ちのいいものではない。
    しかもほとんどすれ違う車もないとなると尚のことだ。

    「まさか出たりしないだろうな」

    ところが苦笑いを浮かべてルームミラーを見ると、
    驚いたことに後ろの席に女が座っていた。
    白い着物を着て、
    いかにも幽霊というその風情。

    「誰だお前は」
    私はついつい大声を出してしまう。

    しかしながら女は恐ろしい目でミラー越しに私をにらみつける。

    「貴方は誰なの」
    「それは俺の言葉だ」
    「それは私の言葉よ」

    からかわれているような気分だったが、
    ここで怒っている余裕はない。

    「何でこの車に乗っている」
    「貴方は何でこの車に乗っているの」
    「それは俺の質問だ」
    「それは私の質問よ 」

    そう言われて私は気がついた。
    「お前もしかしてコダマか。
    いや違うお前はコダマだ」

    そう言った途端女は憎々しげな目で私を見た。
    しかも返事をする代わりに口の横に手を当てて大声を出す。

    「ヤッホー」

    あまりの声に驚いて私は車をガードレールにぶつけそうになった。
    何とか体勢を立て直し、
    ルームミラーを見ると女の姿は既になかった。

    車は峠を降りかけており、
    クラクションを鳴らしてもコダマは返ってこない。

    ヤッホー。




     ーダダダダーンー
    ダダダダーン。
    運命が私のドアをノックする。

    ベートーベンよ、
    私は今君を身近に感じる。
    耳の聞こえなくなり始めた君が、
    運命のノックに怯えている。

    ダダダダーン。
    ダダダダーン。
    こら出てこい。
    逃げ切れると思うんじゃねーぞ。
    金借りた以上は返すのが当たり前なんだよ。

    ダダダダーン。
    ダダダダーン。
    ダダダダダダダダダダンダ、ダダダダダダダダダダダダーン。

    だが急に静かになった。
    どうやら運命は諦めてくれたらしい。
    親父の会社を潰して逃げまわっている俺だ。
    ベートーベンみたいに
    運命のノックだって聞こえなくなってしまえば全て気分の問題だ。

    ド〜ン。
    ド〜ン。
    「お前が出てこないならこっちから行ってやる」
    ド〜ン。

    どうやらノックを諦め、
    足で蹴り破るつもりらしい。

    ド〜ン。
    ド〜ン。

    ボロアパートのドアが悲鳴を上げ
    真中辺りが壊れ始める。

    ド〜ン。ド〜ン。
    バリバリバリ。
    おのれ逃げくさりやがって。
    どんな目にあうか分かってんのかコラ。

    ついに運命がドアを壊して侵入してきた。
    ベートーベンさん助けて。




     ー盗聴器ー
    吉村さんは最近機嫌が良かった。
    以前住んでいた部屋から立ち退きを受け、
    いざ引越してみると新しい部屋がひどく気に入ったらしい。

    元々不機嫌そうな人だったのでみんな不思議に思っていたが
    たまにニヤニヤ笑ったりするので逆に気持ち悪かったりする。


    「吉村さん最近機嫌がいいですね」
    女性社員の一人が探りを入れるために聞くと
    相手はニコニコ笑いながら答えてくれた。


    「引っ越した先で携帯の調子がおかしくて。
    どうも変な電波が出てるらしいって。
    それで業者に調べてもらったら
    盗聴器が三つも出てきちゃって。
    業者は取り除こうって言ったんだけど
    それを断ったんだ」
    そう言って吉村さんはニヤニヤしている。


    周りの連中はさすがにみんな引いた。
    おかしな趣味の人だとは思っていたが
    ここまでとは思わなかったのだ。


    「だって考えてみてよ。
    俺が部屋でため息をついたら誰かが聞いてるんだぜ。
    小さくあえぎ声をあげたら
    それを一生懸命聞いてる奴がいるんだ」

    吉村俊和はそう言って筋肉質の胸を
    まるで女性の乳房のように持ち上げる。

    彼に女装趣味があるという噂は以前から聞いていたが
    さすがにそれ以上だというのは初めて知った。




     ー女心ー
    ある日急に家の中で幽霊を見るようになった。

    白い着物を着た長い髪の女だ。
    絵に描いたような幽霊で
    いくら何でもありえないと思った。

    それどころかこんな幽霊を見てしまったら
    私自身がアナクロ人間だと思われてしまいそうで怖かった。


    しかしながら夜になると毎日幽霊が現れる。
    ついに無視しきれなくなって
    「お前は誰だ」と聞いたら、
    幽霊は恨めしそうに私を見た。

    「何で今まで話し掛けてくれなかったの」
    そう言われて返事に困ったが
    「気のせいだと思って無視してたんだ」
    と言ったら女はさめざめと泣き始めた。

    「どうせ貴方にとって
    私なんてその程度の女なんでしょう」
    そう言われて困惑したが女は泣き止まない。


    その後も女は始終現れ
    「どうして私のこと無視するの」
    と私の耳元でグチるようになった。

    私は関わりたくないので意固地に黙り込んでいたが、
    今は切実に悩み始めている。

    「何が聞いて欲しいんだ」
    果たしてそう話しかけるべきだろうか。

    だが話しかけたら
    「どうしてずっと話しかけてくれなかったの」
    と女が以前よりもひつこく私に文句を言い出したりしないだろうか。

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    コメント

    • さくさく読ませて頂きました。ホラーは長編もいいけど連発ショートショートもいいですよね。
      • 2 fav
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    •  初めまして。コメントを失礼いたします。
       この短さで、これだけのヴァリエーションを生み出せることに感嘆しております。ブラックジョークの混じる恐怖にもクスリとさせられました。
       何より、文章のリズム感がよく、良い意味で、流れるように読ませていただきました。
       私も丁度、連発ショートショートに挑戦しようとしていた矢先のこと、「やられたなぁ」という気分です。

       とくに乳の話など私も気をつけねばwww・・・・・・
      • 1 fav
      • Re 返信

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    • 泉鏡花氏、柳田國男氏も、一晩で百の怪を語るに
      挑戦されていたのを思い出しました。ちくま文庫さんの
      百物語怪談会には百を数えませんが、短く多く怖く儚く
      収録されていて感激したのを思い出します。
      能上さん同様に★を付加できなので、コメにて
      失礼致します。itakaさんの作品に棲む文脈を感じつつ。
      • 1 fav
      • Re 返信

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    • 新作読んでも、もう★を付けるところがないので、ここに「★」付けますね。
      すでにご存知だと思いますが、「書きだし小説」なるものを見つけました。「出だしだけで成立した史上最も短い文学スタイル」だそうです。
      もう一つ。ツイノベというツイッターで一話完結の小説を書くのもありました。こちらはコンテストがあったみたいです。
      「知っとるわ。そんくらい」だったらすみません。
      <(`^´)>オシエタッタドというつもりではないのでお許しください。
      itakaさんチャレンジどうですか?と思ったもんですから。
      私もチャレンジしてみたいなと、思ってるだけです(^▽^;)

      • 3 fav
      • Re 返信

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    • ありがとうございます。
      実のところ全然知りませんでした。その内のぞいてみるつもりです。
      • 2 fav

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    • 素敵な試みですね。
      いい勉強になりますね。
      100文字内のこと、ホラーな俳句(川柳?)もありますからきっといけるかも。
      • 3 fav
      • Re 返信

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    • 俳句はさすがにアンフェアな気がします。
      「隣の空き地に囲いができたね」なんて感じなら100字以内に収まりますが、さすがに内容がないのはまずいので結構難しいです。
      • 3 fav

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    作者紹介

    • itaka
    • 作品投稿数:8  累計獲得星数:126
    •  以前FC2小説に作品をアップしてたんですが、未だにネット小説の書式がピンときません。今回は改行なしでビッシリ書いてみようかと思ったけど、他の人のを見ると結構行開けがあるようなんで、慌てて改行を増やしてます。
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