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シリーズ:お目目さん(かりんとう姉妹5)
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お目目さん(かりんとう姉妹5)

作者:風呂助

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    お題:スポーツの女の子


    登録ユーザー星:3 だれでも星:0 閲覧数:393

    お目目さん(かりんとう姉妹5) 7055文字

     

     小学校にあがる前の事。

     お母さんが無駄遣いはダメって言うけど、無駄じゃない時は買うよ。
    ねっとーしょー。とか、ぜっこーちょー。とか暑いと怖い事いっぱい。
    お日様の下にいたら、水を飲む約束です。一等賞みたいな名前のせい。

     だから、ジュースを買うのは良いの。林檎ジュースがいいです。
    でも、ジュース買う機械の、お金入れる所に手が届かない。

     どうしよう。

     知らない人に声かけられたら注意。って言われてるから、
    知らない大人にお願いしたら、用心されちゃうと思う。
    もしかしたら、お巡りさんに逮捕されるかも。

     どうしよう。

     お財布からお金を出して、思い切り背を伸ばして
    目一杯、手も伸ばして。そんでもって、届かないです。
    チャリン。あ、落っことしちゃった。

     急いで拾おうとしたけど、ジュース機械の下にコロコロ。
    入っちゃった。道にへばりついて隙間を覗きたいけど
    道が凄い熱いの。ねっとーしょーになっちゃう。
    でも、すぐに慣れてきたから。よく覗いてみて考えた。

     落っこちたのは100円だから、銀色のを探す。
    でも、よーく見ると銀色のお金みたいなのって
    他にも落ちてるみたい。他に落とした人が諦めたのかな。

     嫌だな。諦めたくないな。棒とかあれば全部取れるかな。
    他はお巡りさんに持っていけば、自分のは返してくれるはず。

     棒切れは無いし、手を伸ばしても少ししか狭くて入らないし
    中は日陰で暗いのに、とっても熱い。
     よーく見ると、銀色以外にも色々落ちてる。
    あれは10円。あれは蝉の抜け殻。あれはペットボトルのフタ。

     あれは……。あれ、あれは何だろう?動いた気がする。
    虫かな。違う。まばたきしたんだ。あれ、目だ。こっち見てる。
    猫が入れるような隙間じゃないけど。中は凄く熱いのに。でも。
    二つの大きさが猫くらいある目。パチパチまばたきして見てる。

     どうしよう。どうしよう。

     両方でまばたきしながら、見つめ合ってる。一応訊いてみた。
    「あの、ネコさんですか?」

     すると、その目はまばたきをやめて、ジーっとこっちを見てから。
    「違うよ。」って言った。男の人でも女の人でもない声。

     ちょっと考えてから、続けて訊いてみた。
    「そこに住んでるんですか?」

     さっきみたいに、まばたきはしないままで、同じように言った。
    「ああ【棲んでる】んだねぇ。」

     そっかあ。だから一応、謝ったの。
    「お家をジロジロ見たり、手を突っ込んでごめんなさい。」って。
    じゃあ、諦めるしかないんだって思ったから。

     急に。目が。大きくなって。
    「ああ、お前さんは良い子なのだね。何か用かい?」

     たまたまだったけど、目目さんが言ってくれたから、落とした
    100円の事を言ってみた。目目さんは100円は解らないけれど。
    そう言って、少し離れなさいと言ったから、離れて見てた。

     ブワーと熱い風で、ジュース機械の下の小銭が何枚も外に出た。

    「その中に100円というのは、あるのかね?」
    「これです!ありがとうございます!あと、あの。その。」
    「何か用かい?」
    「他の一緒に出たのは、お巡りさんに持ってっても良いですか?」
    「わたしは必要ない。好きにしていいが1つ約束しておくれ。」
    「何ですか?」

    「ワシと話した事は誰にも内緒だ。ただ拾ったと言いなさい。」

    「わかりました、またね!お目目さん。」
    「またのう。お嬢さんや。」

     お巡りさんは、随分あっちこっちの自販機から見つけたんだねえ。
    偉いねって言って、ご褒美に林檎ジュースをくれた。美味しかった。
    お目目さんの事は言わなかったけれど、帰り道でもう一度覗いた。

     でも、もう何も居なかった。呼んだけど返事もなかった。
    それでも、ありがとう目目さん。とは言っておいた。
    これは一昨年の事です。それっきり、お目目さんには会っていません。

     もうトコも2年生なので動販売機に手が届きます。


     かりんとう姉妹のお話。


     夏休みも、もうすぐ終わりという頃の事です。
    トコは夏休みの宿題はちゃんとやってました。もうすぐ終ります。
    でも、リン姉は勿体無いって言うの。バカみたいだって。

    「折角、沢山お休みなんだから宿題なんか、最後の最後でいいの。
    トウコ(燈子)は真面目っていうか、バカ正直なんだよ。」

    「バカじゃないし、バカっていう方がバカだもん。」

    「ワタシは馬鹿じゃないよ。頭いいから最後のギリギリでも
    全然、余裕で間に合うの。4年生にもなるとね勉強も難しいけど、
    天才っていうのは、理解されないも。の。な。の。さ。」

     お母さんがリン姉の後ろにいる。トコは黙ってただけだもん。

    「鈴子、天才だったら先に宿題を終らせて、家の手伝いもやって
    妹から尊敬されるお姉ちゃん!なんじゃないかなぁ?」

    「えっと、ワタシ宿題しよっと。晩ご飯なったら呼んでね。」
    リン姉は部屋に逃げちゃった。

     トコはお母さんに訊いてみた。
    「ねえねえ、お母さんも夏休みの宿題は早くやってた?」

    「もちろんです。って言いたい所なんだけど、
    私も結構、鈴子タイプだったなぁ。ため込んで最後に困るの。
    だから、皆には困って欲しくないわけ。これ内緒ね。
    誰にも話しちゃダメだからねぇ。さぁ、もうすぐご飯ご飯。」

     誰にも話してはいけない。

     あれっきり、ずっと忘れていた。だから確かに誰にも話してない。
    自動販売機を倒して、底がどうなってるか見たことはないけど
    あの目目さんは、あの隙間より大きかった気がする。
     トコがまだ小さかったからそう思っただけなのかな。
    元気かな。まだあそこに住んでるのかな。

    「ニャア。」フウコ(風子)が鳴いてる。お腹空いたのかな。

     次の日、お母さんがリン姉の宿題を、怒りながら手伝ってるので
    退屈だし、フウコとタコ公園(タコの形の滑り台があるの)にお散歩。
    犬さんと違って仔猫は、自由気ままに散歩するから、ブロック塀の上
    柵の下を行ったり来たり。結構、着いて行くトコの方がアスレチック。

     フウコのトレーニングは凄いんです。トコだって水泳は得意です。
    夏はプールがあるから大好きです。潜るのもできます。

    トコはお外行くときは大きな麦わら帽子を被ります。
    カコ姉のおさがりです。いつもなんでも新品はカコ姉達ばっかりで、
    トコはおさがりばっかりです。

     お母さんにそういうと、鈴子も華子お姉ちゃんのおさがりばっかり。
    ってよくいってたよ。って言われます。じゃあ、しょうがないのです。

     でも、この帽子は好きなのです。ひっくり返すとフウコが入ってくるの。
    だから見失ったら、帽子をひっくり返して「フウコのボウシーだよ。」
    それだけで、戻ってくるから大事な帽子なんです。

     でも最近、フウコはタコ公園の途中の、パン屋さんの前で止まります。
    ここのパン屋さんはお婆さんとお爺さんでやってて、お菓子もあります。
    中は涼しそうだけど、サンドイッチが美味しそうだけど。

     トコはお小遣いは貰っているんだけど、お母さんが一緒じゃないと、
    お外へ持っていっていいのは500円までって言われてます。
    多分、お母さん貯金には5千億万円くらいは貯まってるはずです。

     そうだフウコも頑張ったし、公園で半分こしようって思って
    ジュースを買おうと思ったのです。けれど、お店のお婆さんは居眠り。
    起こしたら可哀想なのです。お婆さんも頑張って一休みですから。
     お店の外に自動販売機があるので、こっちでいいの。

     フウコが自動販売機を見つめている。これ……なんだっけ。
    何かトコは、この自動販売機と大切な約束をした気がします。
    公園までの一本道、暑い日差しがトコとフウコを照らしています。
    眩しくて、ジュースがよく見えないのです。

    「何か用かい?」

     急にどこからか声がしました。眩しくて判らなかったから、
    パン屋のお爺さんかお婆さんかと思いました。

    「光が眩しくて見えないんです。フウコ炭酸だめだから。」

    「ああ、これならどうかね?」

     陽射しの金色を遮るように、影が包んで自動販売機が見えました。
    トコは林檎ジュースを買って、影の方にお礼をしようと。振り向いて。

    「どうも、ありがとうございま」

     フウコも、振り向いて。トコたちは身動きできなくなりました。
    毛むくじゃらの大きな、自動販売機より大きな一本足のオバケが、

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