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シリーズ:トリック 7(完結)

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  • トリック 7(完結)

    作者:風呂助

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    お題:都会の恋人



    トリック 7(完結) 7651文字

     

     アリアナを保護する水晶を持って、王城正面の宙を舞う。
    炎と不幸の神、ショロトルは脚が後ろ向きの犬の姿をして
    空洞の両目の右側に、水晶をはめ込んだ。

    「見える。見えるぞ女よ。お主が守りの来訪者か。
    我が炎と不幸の神、冥府の王を食らいしショロトルなり。」

     アリアナは水晶の中の小人。叫ぶしか出来ない。
    「何さ!悪趣味な化け物!レディの扱いも出来ないくせに!」

    「ほざけ小娘。来訪とは太陽を連れる者。夜明けさせろ。
    太陽を呼べ。生贄が不十分か?王女の心臓なら足りるのか?」

    「意味が解らないね!勝手な事をベラベラと!」

    「王女を守ったのは誰だ。お前だ。
    兄のヴァイオリンを守ったのは誰だ。お前だ。
    クリーリスの者に導かれながらも、その男を守る為に
    酒場の給仕に入ったのは誰だ。それもお前だ。

    酒場を襲った時、店の者達を守る事に加担した。お前だ。
    こうして魔女オズマの元へ向い、この国を守ろうとした。
    お前だ。お前だ。お前が守りの来訪者なのだ。

    何より、王女との秘密を守っている。秘密を明かせ。
    全てを証言せよ。さぁ、この明かせ夜を。」

     アリアナは水晶の中でしゃがみ込んでいる。声が出ない。
    ディルとした約束がある。友人でいたい。何も言えない。

     裏切る事は絶対に嫌だ。ディルの本名も正体も関係ない。
    あの娘は私の大切な、大事な……。

    「話す事が出来ないのなら、この仔猫をまず生贄にしよう。
    小さく貧弱な心臓だが。美味そうだ。」

     我に返ったバルドはショロトルに摘み上げられながらも
    怒鳴り返した。

    「あたくちは、小さくなど無いのです!大魔女オズマ様の!」

     その隙を突き、魔女オズマが円形劇場の謁見バルコニーから
    炎の無数矢を放った。火炎球となった矢の大群が
    王城から円形劇場を越えて、宮殿広場の噴水上空へ一直線に
    ショロトル目掛けて、ぶち込まれる。

     周辺国の内乱ですら見た事のない、爆発音と同時に、
    ショロトルはバルドを持った左腕だけで、つまりは
    バルドを盾にして、神の力の盾を形成した。

     心臓の犠牲は覚悟ある生き物ならば、猫でも強大になる。
    逆に臆病であるなら、どのような野獣や魔女でも、
    全く神への供物に足りえない。崇拝であれ畏怖であれ。
    存在させる事が神の力の根源だからだ。

     故に魔法とは違う。神の力に魔女オズマはバルドの盾の直前で
    全て直角に曲がり、噴水に落ちた。水煙がショロトルの体を隠す。

     アリアナに違和感があった。神なのに……?
    「こいつ、炎の神って名乗ったのに炎の魔法を避けた?!」

     水煙も、どうもおかしい。アリアナは水晶の中で煙たく無いが、
    視界が全て煙に包まれて。まるで、日の出を隠すような……。
     炎の矢に関係なく無限に湧く。よくみると紫色をしている。

     そうだ、いまこの王城は二重結界だと、バルドに聞いた。
    だとすれば、外側の国を包む結界に煙がこもって……。

     バルド、バルドは大丈夫だろうか?!アリアナは
    見えないが煙の苦しみは無い。神のショロトルに煙が影響あるか
    それは知らないけれど、バルドは大丈夫なの?!

    「バルド!」

    「はーい!あたくちは無事です!」

     まるでスノーボードでも楽しむように、トリックが
    体を傾けてながら、旋回してショロトルから距離を取る。
     ステファンスのカラクリ飛行機は闇夜に紛れるよう
    黒く塗装されている。魔法も神通力も無い単なる黒猫。

     トリックに咥えられて、照れながらバルドが威張る。
    ショトルが突然、手元から虎猫を奪われた。
     その早業に思わず怒鳴った。

    「チビどもがあ!何をしでかしたかぁ!どのような魔法も
    神の前には通じぬ。小賢しい真似をしくさって!許さぬ!」

     トリックは、全くどこ吹く風という感じで聞いていない。
    空中ボードがお気に入りの様子だ。緊張感の欠片もない。
    スマートに魔女オズマのバルコニーへ、器用に戻る。
     バルドが魔女オズマの胸に飛び込む。大魔女オズマが優しく。

    「バルド。よくやったね。これでいいかい。ディアスプロ姫。」

     真後ろに2冊の本を持ったまま、片手で水煙を空の結界に広げ、
    毅然として言った。王女らしい風格とドレスを纏う。
    「ありがとうございます。大魔女オズマ叔母様。」

     言いながらに、暗闇に凛々しくショロトルを睨む王女は、
    友人のアリアナだけを見つめている。小娘が。
     真横でステファンスが燃料を追加して、カラクリを再起動する。
    横目でディアスプロ姫を見る。なるほど納得。礼儀を保たないと。

    (ああ、かっこいいし美しいな。パレットがイカれるわけだ。)

    「こんな形での初対面、失礼。王女様。クリーリス家の情けない
    生き残りですが、ご尊顔を拝謁し光栄に存じます。」

    「ステファンス伯様。ありがとうございます。以後はどうぞ
    親愛の証としてディルとお呼び頂ければ光栄です。

     クリーリス家すら破滅に追い込み、周辺諸国を紛争に巻き込み、
    リクラッカを叩き潰してまで欲しがっていたのが、
    この黒い表紙の書物です。何百もの結界の底にありました。」

     大魔女オズマが驚きを隠せなかった。
    「本当に存在していたのかい?!一体?!どこから?!」

     ディアスプロ姫は肩をすくめて、微笑んだ。
    「私の親友の黒猫は、手癖が少し悪いのです。」
    トリックはヒゲを整えている。たしなみ優先という感じ。

     ディアスプロ姫が普段、王妃から学ぶ呪文書ではない方。
    真っ黒な本を掲げた。グリモワールではない神の記述書。

     その黒い漆黒なのに光のように直線の一筋が、ショロトルの
    空洞の左目に吸い込まれていく。

     もはや煙に包まれたリクラッカは星明りも何もない。
    ショロトルが王宮噴水広場から、円形劇場へ向って動き出す。

    「そいつを……。その書を寄越せ。それは魔法書ではない。
    貴様ら人間如きが触ってよいものではない。寄越せ。」

     ゆっくり怒りに満ちて、野外円形劇場を跨ごうとする。
    ステファンスが再起動の音にあわせて怒鳴った。

    「行けるぞ!」

    「叔母様、書物をお願いします。来るよ!トリック!」

    「ニャア。」

     トリックを前に乗せて、円形劇場にさしかかる神。
    ショロトルへ直線上に、ショロトルの左目を目掛けて
    カラクリ飛行機に乗ってディルは飛んだ。

     その瞬間!

     野外円形劇場の上空を、地上のステージから
    いっせいに照明がガラクタ飛行機に、スポットした。
    全て国王と王妃の指示によるものだ。

     ディアスプロは国家の大事を父母に黙って行う気質ではない。
    本物のお転婆は、捻じ伏せてでも許可を分捕る。
     この国の王位継承は民あって決まる。王家はその為に生きる。

     それを逆手に取った。ステファンスが生きている。
    彼は遠縁であっても同じ王家の親戚筋である。
    そういう保険もちゃんと、踏まえての行動である。

     普通の国家なら。普通の家族なら。まず認めないだろう。
    でも、そういう屁理屈は通じないのがリクラッカの王家なのだ。


    『トリック ラスト』


     レディース&ジェントルメン、あとついでに神様。
    やあ。やっと僕の順番?そのつもりで喋っていいのかな?
    最後の語り手は勿論、この僕だよ。

     誰もが、もうとっくに気がついていたとは思うけど、一応。
    魔法なんて神の【名】に縋った、亜種の手品なんだよね。
    洗脳とかプラシーボって言葉は聞いたことはあるかい?
    種を見せてから行う手品ななんて、マジックじゃないのさ。

     神の炎を軽々と避けながら、トリックは楽しんでる。

     あ、申し送れました。僕は黒猫トリック。
    オス猫では多分なんだけど、この国最高のイケメン猫。
    このヒゲを見てよ。立派でしょう。

     他は特に何も無いよ。普通のどこにでもいる黒猫。
    ああ、それとね。もう1つだけ特技があるんだけど。
    お、面倒な攻撃だね。うーんと、ちょっと待ってね。


     <物凄い速度で迫る、王女と人間のガラクタ玩具を
    ショロトルは笑いながら握り潰した。粉々に砕けて地に落ちる。
    王女も死んだ。これで、この……?むあ?!>

     <握り潰したはずのガラクタが、先ほどのバルトと
    同じように、旋回して背後へ回り込んでいる。
    王女も無事のままだ。何だ?何か先端に乗っている。>


     <黒猫?>


     詰らない質問は御遠慮頂きたいなぁ。台無しになる。
    僕はオス猫なので魔法は使えないけれどね。
    多分だけど、この国で最高の手品師。そういう事。

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    コメント

    • ここまでは読めました~w 遅いけど…w
      着眼点とか発想とか面白いと思いますw 語り部が毎回違うのもいいしw
      ただ、惜しいことに、たまに文章がおかしいところがあります…( ̄▽ ̄;
      最初の言葉と文末で意味が変わっちゃってるところとか。
      多分、風呂助さんは感性でダダダーッと書いてくタイプなんだろうなと思うんですけど、「はがのをに」のひとつが打ちミスっても読み手に伝わらない場合もあります。
      せっかくの作品が、これじゃあもったいないですよーw

      あ、あと、トリックがショロトルの前に登場するシーンとか、
      「そのとき、突然黒い影が横切った」とか入ると、スムーズになると思いますw
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      • Re 返信

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    • カール(絵ノ森 亨) さん>
      完走、本当にありがとうございました&コメントを頂戴しまして心より御礼申し上げます!
      ご指摘いただいた至らぬ点などは多大に、勉強したく精進したいと思います。
      が、何は無くと厨二黒歴お題で始めてしまったにも関わらず、最後まで拝読(RE:も!)頂いたことに嬉しさいっぱいです!本当にありがとうございました!ご返信遅くなり失礼いたしました!大感謝です!
      • 1 fav

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