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シリーズ:1566 Icarus

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  • 1566 Icarus

    作者:風呂助

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    お題:今年の内側/必須要素:手帳



    1566 Icarus 3985文字

     

     イカロスを巡る、最終降下作戦までの手記。

     コード:「кролик」弐号機搭乗員による。
    生還まで、ID以外の名称を仮剥奪につき
    記述における、一人称は「私」を使用する事を
    許可する。―― C.O.B. 非公式記録につき
    複製、転写、記憶の一切を禁じる。

     但し任務遂行の為に偽名を使用する事は
    採択15-100において、個人の判断に委ねる。
    その場合での、連絡手段はコード「PTLC」で
    発信する事。返答の有無を問わない事。以上。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     1969年7月21日02:56にかつて
    U.S.Aと呼ばれる国家の航空宇宙局。
    すなわちNASAによるアポロ11号計画で
    船長の「ニール・アームストロング」が
    人類初、月の大地に立った。

     この時、まだ誰も荒廃した月は次のステップへの
    足場だと考えていたかもしれない。

     この日を基準に遡って、現在は、A.D.は変更されて
    C.G.が世界、いや宇宙基準になる。
    Captain of the Grab.(鷲掴みの船長)という皮肉が
    流行ったが、実際はCommon Global.
    単なる「球体の共通」が元らしい。

     この直訳は私の興味の薄さによるので、
    或いは全く違う意味かもしれない。
    私自身も余りよく知らない。というよりも
    知る手段がほとんど無かったのだ。
    それですら仕方がないとも思わなかった。


     AA級以上の特殊監視下で収監された者は
    端末のような規模の大小に関わらず
    如何なる情報、コミュニケーションでも
    アナログ以外で接触出来ないのだが
    その代わりに現在では珍しい、P/Mでのみ
    読書をする自由が少しだけある。

     古代の遺物だ。紙と呼ぶ。神のように薄い。

     無論、コピーと改竄の汚泥にまみれて
    読む意味さえ薄いと誰もが思っている。
    だが、見落としはある。

     AA級以上の収監者は、徹底した監視下に置かれ
    本来なら、既に死んでいるか、直面した死を待つ。

     そういう者達だ。誰も与えられ、どうにか生きる。

     理由は何であれ延命を渇望している者達だ。
    死を望む者はAA級以上でも特殊監視にならない。

     だからといって、何も犯罪者ばかりではない。
    適正であれば、冤罪者もいる。

    (どのように冤罪とされたかは様々である。)

     私は連合法違反脱走者として収監された。
    地球へ行く為に、連絡用往復便を使わずに
    軍の機密兵器を失敬した。

     待っていたかのように、言い換えるなら
    その機体を制御できるかデータを取る為に
    私は暫くの間、泳がされポイントL5地点で戦闘。

     単独で追尾型対人掃討機22機をスコアし、
    縦型円盤式レーダー搭載戦闘ポッド8機と
    それらを統率する特殊機動装甲戦闘艇1機を
    全て撃墜した。

     直後、私の機体はシステムを自動シャットダウンされ
    私自身の記憶も、凄まじい激痛の直後に途切れた。
    眠りにつく寸前に聴こえたのは

    「イカロスの可能性は68%で、適正値は96.68と甲種…。」

     イカロスという名に興味を持ったのは、
    4種の異なる存在で、同名の持つ有名な対象が
    収監時に唯一の提供される、情報で知った事による。

     今年というアヤフヤな概念を粉砕するように
    兵器はより精密化されていく。
    これが内側の全てであり、実態で誰もが知る所である。

              *

     事実、手帳における今年を基盤にした
    スケジュールは、どれほどにアナタのプロットとして
    成立しているかを考えてみて欲しい。

     今年で理解できないなら、去年はどうか?
    5年前はどうだったか?本当にアナタの過去は
    貴方の思い通り予定調和であったか?

     我々はそこに入り込むミツバチである。
    そう言って、すぐに把握出来ないなら、
    貴方はテーブルゲームでいう後手である。
    ターンを獲得する事。すなわち生き残る事。

     この施設には、それを完遂した者だけが
    収容されて、飼われているという事だ。

               *

     1つのイカロスはギリシャ神話における若者の名で
    父のダイダロスと共に、クレタ島の王ミノスによって
    監禁されたが鳥の羽根を蝋で固め、脱出したが
    太陽に近づきすぎて、羽根を焼かれて墜落死した。

     とても古い神話に拠るので、年代は特定できなかった。
    事故記録という物では無いが、酷く興味深かった。

               *

     2つ目のイカロスは1566 Icarusと呼ばれるもので
    地球近傍小惑星であり、A.D.時代の1949年に
    当時のドイツという国家出身のウォルターという
    観測天文学者が、やはり当時のU.S.Aのカルテクに
    所属するパロマー天文台で発見された。

     水星よりも太陽に接近する星の名前だ。しかも
    長い楕円形で軌道しており、火星の外まで遠ざかる。

               *

     3つ目はIKAROSという略称で、A.D.2010年に当時の
    JPNという国家のJAXAとISASという開発研究所。
    打ち上げられた小型太陽帆電力実証機であったようだ。
    私の印象では神話に近い宇宙船という感じだった。

    「interplanetary kite-craft accelerated by radiation of the Sun」

     これに由来するが、当時の地球には石油資源などは
    まだ僅かに残っていたが、太陽帆航行で宇宙空間に出るのは
    それまで夢物語だったらしい。神話の実証かもしれない。

               *

     最後の4つ目が、我々の事だ。我々には存在があるらしい。
    C.G.275年。A.D.であれば2244年になっていた年に
    「審判計画」が極秘裏に実行直前にあった。

     知る事が罪ならば、我々は焼かれるしかないだろう。
    それを天秤にかける。危険すぎる作戦だそうだが。
    従って、成功の報酬は破格の待遇になる。

               *

     事の始まりはC.G.218年に遡る。
    2つ目に挙げた、小惑星イカロスが大きく地球へ接近した。
    A.D.1968年よりも近かったらしく
    連合政府による公式の発表は無かった。

     発見から10回目の接近だったが、
    国家間統合開発連合機構によって、情報は
    並列化されて配布されていたという建前があった。

     実際は人類初の近傍惑星探査主要都市として
    月に建造された「C.O.B」City of bamboo(竹の都)にだけ
    特別な観測結果がもたらされたらしい。
    57年後のイカロス発見から13回目の接近は
    最も月に近くなるらしい。

     そこに至って、C.O.Bは地球連合機構に対して反旗を翻す。

     イカロスに降下して接触し独自の開発を進め
    太陽光から獲得できるエネルギーを活用し、
    月側の干渉によって地球への太陽エネルギーを著しく
    供給低下させて、C.O.Bによる惑星掌握権限の平等を
    迫る(事実上の地球奪回)を可決させた。

     13回目の接近が今年、C.G.275年になる。
    第一回降下作戦が無人機であったため、トラブルが多く。
    接近すらままならないで壊滅した。
    第二回は有人機7機による降下作戦で、
    その内5機は接近前に消失。

     残る2機から「イカロス、接触に成功。」の
    報告はあったが、それっきり連絡が絶えてしまった。

     さて、我々AA級以上で適正と判断された者は
    特殊訓練を強制されて生きている。

     この内、何人がイカロスへ行き、
    何を知り、何を見て、生き残り死んで行くのか。
    同時に何かが手に入った時、残りのAA級以上は
    奇襲作戦として、地球へ向うのか。

     私は第三回イカロス降下作戦に編入された。
    与えられた機体は、観測目的の着陸用宇宙船ではなく
    大気圏突破型汎用戦闘機だった。

     私が脱走に使った機体の最新型だが
    イカロスで戦闘があるのだろうか?
    対地球連合兵器ではなかったのか。

     第三回の降下作戦に参加するのは僅か4名。
    機体がそれしか無かったからだ。
    C.O.Bが全てを投入して最終作戦行動にでる。
    これを逃せば、またイカロスは19年後だ。
    次は地球に近いかもしれない。

     我々の機体には「кролик」とコードされている。
    作戦の命令は2つだ。金属板には他の文字列もある。

               *

     「降下成功時に如何なる手段を用いても
    第二降下機の記録を送信する事。

     それを妨害する要因があれば
    実力をもって武力突破する事。

     尚、諸君の生死に関わらず、第三回作戦の
    全データは機体の機能停止まで、採取するので
    生還は義務ではないが、生還すれば相応以上の
    褒賞が検討される。質問は認めない。以上だ。」

               *

     私は何の為に何処へ飛ぶのだろう。
    太陽が欲しいのだろうか。
    搭乗して、視認できるイカロスを視た。

     その星には巨大な翼があった。

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