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【連載コラム:はたして紙はなくなるのか?】 第1回:文字の誕生と発展 1458文字

 



連載コラム:はたして紙はなくなるのか?  

 

 

 

株式会社パピレス 代表取締役 天谷幹夫
 

第1回:文字の誕生と発展

 当社の社名パピレスは、将来紙が不要になる、すなわちパピルスがレスになるだろうという意味で付けました。しかし、本当に紙がなくなるかどうかは人によって意見が異なります。



 「パソコンで本は読まないでしょう……」さすがに最近、ここまで言い切る人は少なくなりました。でも、数年前は、いろんな人によく言われたものでした。時がたつと人の言葉も変わるもの、今、皆さんが言われるのは、「電子書籍は増えていくでしょうが、紙を駆逐するとか、そんなことはありえない。紙と共存するか、あるいは紙を補完するものとなるでしょう……」です。


 ただまれに、「10年後に、出版物のほとんどはデジタル化される」と言われる方もいます。


 デジタル化はどこまで進むのか、はたして紙はなくなるのか。未来は誰にも分かりませんが、過去を見れば未来が分かると言います。このため、過去に遡って出版の歴史を俯瞰すれば、今我々が直面しているデジタル化の時代を見通せるのではないかと思い、その歴史を調べました。


 出版の歴史を紐解く第一弾として、まず文字がどのように誕生し、発展していったのかをみました。






 文字は今から約5000年前に都市国家を築いたシュメール人により発明されたといわれます。当初は巨大・複雑化する国家を治めていくのに必要な税の徴収、財産管理、情報伝達など実用的な記録を残すために考案されたのです。文字が人間の記憶を補助するだけでなく、時空を超え人々に思想や感情をも伝える文学表現として多用されるのは後代のこと。「必要は発明の母」だったようです。


 文字は視覚的な媒体に記録されることで次第に強力なコミュニケーション手段となりえました。ただ誰もが扱えるものではなく、書記と呼ばれる特権階級しか操ることができませんでした。書記は税を免除されるなど一般民衆とは違った特別待遇を受けていました。そのため立身出世タイプの若者は書記になることを目指し、書記養成学校では現代さながらの受験戦争が繰り広げられていたようです。


 情報をより広く客観的かつ抽象的に伝える文字は都市国家に広がり、多様化していきました。シュメール人は粘土板に刻んだ楔形文字を用いましたが、エジプトではパピルスに記した象形文字、中国では亀の甲に刻んだ甲骨文字が出現しました。欧米人には絵と映るらしい漢字は、絵文字の形をとどめた表意文字として現存する古代の遺物だそうです。






ただ最も広く使われたのは言葉の持つ音をそのまま表記する表音文字でした。表音文字は記録しやすいだけでなく、異文化の言葉を簡単に取り込むことができたため、様々な人々との交流に都合がよかったからです。それが現在世界中に流布しているアルファベットの誕生につながっていきます。


文字文化の発展の一方で、かつてシャーマンとして国家に君臨していた語り部たちの地位と声による伝承文化は次第に失われていきます。文字は記憶に優れた特殊な人々を必要としなくなったのです。さらに安価で便利な媒体――紙の普及によって、文字文化は一般民衆にも広がっていくこととなります。






第1回:文字の誕生と発展 (了)
 

 

 

 

 

 

連載コラム:はたして紙はなくなるのか? 第2回へ続く

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