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シリーズ:さよならを教えて。第4回
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さよならを教えて。第3回

作者:惣領りつ

  • 無料作品 有料作品:¥0(税込) R18
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    登録ユーザー星:0 だれでも星:10 閲覧数:156

    さよならを教えて。第3回 6657文字

     




    「なんだか芸能マスコミも、ネタが多すぎて困ってるんじゃない?」

    『ダマスクローズ』のVIP室で、金司が呆れたように週刊誌を手にしていた。

    「浩志、アンタ自分で行けないからってアタシにこんな低俗なもの買わせて、うちはファッション誌しか置かないのよ」

    「いいじゃん。どうせスタッフが買いに行ったんだろ? 湊は、こういう週刊誌は読まないと思ってさ」

    「うん。・・・でも、みんな同じ話題だから、五種類も買わないで一冊で良いのに」

     湊の言う通り、見出しや扱いの大きさが違うだけで、どこの雑誌の内容も、ほぼ同じだった。




    『人気若手俳優『エターナル』からライバル事務所に移籍』
    『新生「shock」は湊脱退で、アジアを越えて世界を目指す』
    『謎のモデルとCMソング「Specially」の爆発的人気』

    「この中で一番ダメージを受けてるのは『エターナル』かしら?」

    「だねーっ、俺が移籍したし、新生『shock』のシングルは『Specially』のCMソングにあっさり抜かれちゃったからね。連続一位の記録が、ここで止まったから社長は怒髪天かな?」

     浩志は面白そうに、そして露骨に笑顔を浮かべている。


     それには、湊の解雇を隠して『大学に戻って普通の暮らしをしたい』という『湊のワガママに添って脱退を受けた』と「エターナル」側が報じていたからだ。

     ネットの非公式なファンサイトでは、湊への非難が相次いで「あいつ何様?」「もともと『shock』にいなくても良い存在」と叩かれている。




    「浩志さんのマネージャー、三塚さんになったの?」

    「そう。慣れないマネだとやりにくいから助かった。それより湊、また髪の色明るくしただろ? なんか意味あんの?」

    「えーと、・・・うん・・・ちょっと」
    「アタシが決めたの。ミナちゃん少し派手にしたらと思ってね」


     本当は『Specially』からの指定だった。「スノーホワイト」と「minato」の印象を、遠ざけるのが目的の。


    「金司さんの腕は確かだから似合ってるけど。っていうか、また一段と綺麗になって、俺ドキドキかな〜」

    「え・・・、・・・」

    「バカなこと言ってないで、これからドラマの制作発表でしょ? つまんない男女の恋愛ドラマの。遅れるからさっさと行きなさい」


    「金司さん、言っとくけど、恋愛は男女だけじゃないからね」


     意味深なことを言う浩志に、金司の牽制の視線が刺さる。
     それを肩をすくめて笑って受けると、浩志は湊の頭を撫でて店をあとにした。


    「食えない男だわ。食いたいとは思わないけど、ミナちゃんは危ないから、食われないようにね」

     湊は、二人のやり取りが楽しくて、ただ微笑ってうなずいた。



















    「佐々木! 何なのこれは!!」


    『エターナル』の花岡社長は、第一秘書の佐々木から、朝のコーヒーと共に受け取ったCDのデイリーランキングと週間ランキングの票を見ながら、怒りで肩を震わせていた。


    「御覧の通り、『Specially』のCMソング『speakness』が、『shock』を押さえて連日一位です。このまま行けばミリオンは確定かと」


    「新生『shock』に、とんだ邪魔をしてくれたわ。忌々しい! この『minato』という新人、まさか解雇した湊じゃないわよね? メンバーは何か言ってない? 何処の事務所にも入っていないのよ」

    「・・・いえ、『shock』の皆さんは何も」

    「そうよね。あんな冴えない子が『Specially』のCMソングなんて天地がひっくり返ってもあり得ないわ。でも同じ名前なんて虫ずが走る」

     週に一度、ネイルサロンで整えている長い爪で、花岡はランキングをプリントした用紙を引き裂いてゴミ箱に捨てた。

    「失礼ですが、社長は個人的に湊さんのことを・・・」

     そこで口を閉じた佐々木に、花岡社長は「ふん」と鼻で笑う。


    「湊はね。私の大嫌いなオンナが生んだ子供なの」

    「しかし、社長は『shock』のプロデビューの際に、湊さんの御両親に頭を下げに行かれましたが?」


    「頭ぐらいいくらでも下げるわ。心の中で舌を出してもわからないじゃない。青磁は、この業界でカリスマになれる。青磁が欲しかったの。
    湊なんて最初から眼中になかった。・・・いえ、違うわね。面白いと思ったのよ」

    「売れたあとに、突き放すのが・・・ですか?」


     その問いには応えず、花岡は椅子の背にもたれると、両腕を組み、デスクに置いたノートパソコンで、芸能ニュースを見ていた。


    「あとは浩志よ。売れさせてあげた恩を忘れて、ここを辞めた途端、移籍発表と同時に、月九のドラマ発表ですって。私も舐められたものね。佐々木、浩志もその新人も、まとめて潰すのよ。わかっているわね?」

     花岡が飲まずに冷めたコーヒーを入れ直すため、佐々木は、軽く会釈をして社長室から出て行く。


     前室の秘書室にいる女性に、新しいコーヒーをお願いすると自分のデスクに座り、軽く溜息を付いた。


    「・・・馬鹿な人だ、つまらない私情でドル箱を手放すなんて」

     その口ぶりとは別に、佐々木の顔は微笑を浮かべていた。










     その頃、『shock』のメンバーも、青磁と羽瑠の部屋で朝食を取りながらTVの芸能番組を見ていた。

    「うわぁ〜、浩志さん派手に記者会見かぁ、社長の鬼のような顔が浮かぶなぁ」
    「タケ、メシが不味くなるから言うな」

    「え〜っ、不味いのは淳が作ったからじゃない」
    「お前なぁ、ちょっと焦がしたぐらいで。嫌なら食うなよ」
    「うっさいなぁ。落ち着いて食えないだろ!」

     淳と剛史がジャレ合って、それに文句を言う羽瑠、いつもの光景だった。


     しかし、利哉と青磁だけは難しい顔をしていた。

    「花岡社長は、湊のこと気付いたかな?」

    「時間の問題だろ? 今頃、頭から湯気が出てるかもな。湊かどうかは関係なく、浩志と一緒に何かされる可能性がある」
     









    『Specially』のCMの話題は、芸能ニュースでは好意的に扱われている。

     本来なら「スノーホワイト」と、謎のシンガー「minato」を徹底取材して素性や素顔を暴くために動いたり、いい加減な憶測記事も流れる。


     しかし『Specially』の親会社は、旧財閥の流れを持つ「JHGグループ」で国内外でも有名な大企業だ。

     経済界はもちろん政界にも大きな人脈があり、特にTVマスコミから見たら最大のスポンサーでもある。


     それに比べれば、大手の芸能事務所『エターナル』は、持ちつ持たれつの同じ穴のムジナで、芸能マスコミはこぞって『shock』のシングル連続一位の記録が、無名シンガーに止められたことを報道していた。


    「ちょっと、ムカツク! 『shock』がまるで落ち目みたいに言ってるしさぁ」

     羽瑠が悔しそうに、移動の車の中で愚痴る。

    「叩かれるのも人気のある証拠と思えばいい。姿を出さない『minato』と、TVでも露出の増える俺たちでは今後が違うだろ?」

    「青磁の言う通り、生放送での視聴率やネットでのPVを併せると確実にダンスのパフォーマンスで人気が出てきているからな」

     青磁と利哉は、「湊の挑戦」を受けて立つと言っている。
     剛史や淳も、本当は湊の活躍が嬉しくて仕方ないのだ。

    「なに呑気にしてんだよ。『minato』は湊だとリークすれば簡単だろ?」
    「うわぁ〜、そうしたらさぁ、実力のある湊を手放した『エターナル』と俺たち『shock』が無能みたいだよねぇ」

    「そうだよな。湊は自分から辞めたことになってるから、事実と食い違うし、そこを突かれたら、『エターナル』と『shock』のスキャンダルになるよね」

    「・・・と言う訳だから、羽瑠も短絡的なことを考えるなよ」

     剛史と淳、そしてリーダーの利哉に釘を刺されて、羽瑠は押し黙った。











    「急に呼び出して悪かったね」

    「いえ、社長・・・じゃなかった直貴さん。特に忙しくないですから」

     湊は、「社長と呼ばれるとアレルギーが出る体質だから」と契約の時に、直貴から言われたことを、素直に受け取っていた。
     そんな素朴な湊に、直貴は笑んでソファに座るようにうながす。


    「CDランキングと配信ダウンロードで、ミリオン確定のシンガーにしては、のんびりと過ごしているようだね?」

    「です・・・よね。なんだか実感がわかなくて・・・」

    「君が望むのなら『minato』として活動をしてもいいんだよ。こちらとしてはシンガーの『minato』までは制限しないからね」

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    コメント

    作者紹介

    • 惣領りつ
    • 作品投稿数:15  累計獲得星数:438
    • 胸キュン出来る小説を目指して書いています。エロは少なめ。切ない系とコメディが好きです。ご意見ご感想いただけると嬉しいです♪


      同人誌は別名で出しております(´ω`*)
      委託はコミコミ様のみ♪

      新作「さよならを教えて」を連載開始しました(*_ _)ペコ

      ※著作権は放棄しておりません。
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